――旅人side――
奥蔵山から璃月港に帰ってきた蛍は少しだけ璃月港の異様な奇妙な状態を目にする
それは普段よりも活気がないその雰囲気や、千岩軍の兵士ですらどこか恐怖しているようなそんな感情を抱く。いつもの人口密度を100とすると、今はその半分よりも少ない。店もやっているところとやっていないところがある
パイモンと蛍は奇妙に思いながら、この雰囲気の中経営している春香窯の鶯に話を聞いた
鶯「あ旅人はん…こんな時にようきてくれたなぁ」
蛍「璃月港の雰囲気が暗いけど…なにかあったの?」
蛍がそう聞くと鶯は暗い声で答えた
鶯「最近な…商人や冒険者が行方不明になっとんのよ。それも結構突然。うちの顧客も行方不明になっとうから心配や…」
パイモン「行方不明?」
鶯「そうや。千岩軍が必死に探しても見つからへんし、逆に行方不明になる…はぁ怖いわぁ」
鶯は心配そうに空を見上げる
それからしばらくしていろんな人に話を聞いた結果、みんな同じような回答が返ってきた。瀞はそれに関連して、「彼女がやったのかもしれません…」と一言。瀞の本体は業瘴を使用し攻撃に転用しているため、考えられない事があっても不思議じゃないとの事
パイモン「むむむ?業瘴って人にも仙人にも害をなすものじゃないのか?それなのに瀞の本体の奴はなんで業瘴を使うことかできるんだ?」
瀞「詳しく話すと魔神戦争時代まで遡りますが…簡単に話せば、彼女は業瘴に耐性がある仙人と言っても過言ではないです…」
業瘴は人はおろか仙人まで害をなす物質であり、魔神の残留エネルギー。その他様々な事で形成されるものである。それを攻撃に転用、使うことは仙人であっても難しく、放出しか出来ない。それを攻撃に転用している瀞の本体は、瀞でさえどのように行動するかわからないのだ
するとそこに甘雨が現れ、留雲はもう大丈夫なのかと蛍は尋ねる。返ってきた答えは安心を得るものであった
―留雲の傷はもう大丈夫といえる段階まで回復したが、まだ安静にしていなければ行けないため、理水真君にあとを任せたらしい
甘雨「…伐難さん。あなたの本体についてですが、この写真を見てくれますか?」
甘雨はそう言って一枚の写真を取り出し、蛍たちに見せる
その写真には例の黒い炎とそれに襲われる冒険者、そして黒い炎の隙間から血のように赤い目が見えた。瀞はそれを見て少し息を吸い込む。瀞が言うにそれは瀞の本体で業瘴を使っている場面だという
瀞「…その冒険者は今どこに?」
甘雨「わかりません…刻晴様の情報では行方不明になっているとの事で…」
パイモン「じゃあこの写真を取ったやつはどうなったんだ?」
甘雨「この写真を取った方は今意識不明の重体になっています。その方が持っていたフォンテーヌ産の写真機から抽出したものです。凝光様の調べによると……複数人で襲われ、必ず現場から一人は生還していますが、その生還した人は例外なく何者かに怯えるか、その襲われた記憶を無くすそうです」
瀞「―業瘴の影響ね…早くあの子をどうにかしないと…もっと酷いことになる…」
水の狐は尻尾を悲しそうに下げる
気になったパイモンは瀞にその本体の方にある別人格について話を聞くことにした
パイモン「瀞、本体の方にある別人格について聞きたいんだけど…」
瀞「彼女は私のもう一つの人格…もうひとりの私。戦闘が苦手な私と対比して戦闘に長けている彼女…本当に私とは真反対と言ってもいいくらいです」
瀞が言うには、彼女と初めて出会ったのは魔神戦争時代の事で、いつも心のなかで会話をしていたのだとか。だが、500年前の厄災のときに全力を出した結果、自らの力に耐えきれず瀞の中で消滅してしまった
彼女の存在を知っているのは留雲や理水、六花や鍾離などで大抵の仙人は彼女の存在を知らない。それ故彼女の実力などわからない事ばかり
何故人を襲うのか、何故今復活したのかなど…
甘雨「伐難さんと彼女にそんな過去があったなんて…」
瀞「ですが…彼女は昔とは違っていました」
蛍「昔とは違う?」
瀞「はい…彼女は決して自分に課せられた契約に反することはしませんでした。彼女の契約―それは私を護る事の他にも、私が望む事を手助けするという契約も結んでいます。なのに……」
現在、彼女は瀞の望む事の反対に向かって行動している。このまま行けば、璃月の人々だけでなく、六花や魈、そして岩王帝君に手を出す可能性もありうる…そうなる前に彼女をどうにかしなくては行けない。幸い、まだ彼女は復活したばかりで、昔の力を発揮できていない。かつての力を取り戻す前にどうにかしなければ、以前の歌の魔神よりも悲惨なことになるだろう
瀞「…彼女が現れた場所を教えて」
甘雨「は、はい。ええと…こことここと…」
甘雨は地図上に印をつけていく。それはかなりまばらで次にどこに現れるかなどはわからない
しかし瀞はわかっていた。彼女がなにも考えずに人を襲うはずがなく、なにか原因があるはずだと。そしてそこから逆算していけば必ずたどり着けるはずだと
―じっくり。じっくりとその地図を観察し、その結論にたどり着くための糸を探す。もし誰かを探しているのなら?帝君を殺害しようとしていてその力を戻るまで人で試している?それなら次の目標は…
瀞「――魈に戦いを挑む…?」
パイモン「それがあいつの次の目標なのか?」
瀞「おそらく…いやでもまだ確証がありません…もっと情報を集めてみないと…」
甘雨「私の方でもなにかないか調べてみますね。凝光様に今回のこと話さなければ―」
甘雨はそう言って立ち去る
残された三人は、とにかく他にも情報がないかを調べるため他の人に聞き込みを始めた
――璃月海上――
荒れ狂う波に抗うように進む舟。風は一迅の刃となり、天は怒りを落とす。この雷は稲妻の神のものではなくごく自然なものである。だが、まるで渦の魔神オセルがいるかのようなその不気味な気配に船員たちは恐れる
だが、その船長は勇敢でありその雰囲気を恐れずに前に進んでいく
貨物はゆらり揺られ、船員はぐらりと酔う。予報ではこんなはずではなかったのだが、急な雷雲の発生が著しく納品時間も引き延ばせないため行くしかないのだ
「このまま進めばいつかはたどり着ける。この苦しみも今だけだ!」
勇猛果敢に言葉を放つ船長。その姿はまるで海山を討ち滅ぼした北斗船長のようであった
実際この船長は北斗の事を尊敬しており、北斗のような人になりたいと心から思っている
―その瞬間、今までにない雷鳴が舟に響き渡る。そして更に雷鳴は激しさを一層まし、天は何かを訴えているのかと考えるほどであった
そして舟に雷が落ち、舟が大きく揺れる。幸い、貨物や船員は投げ出されることはなかったが……その落雷下地点に、紅い髪の少女が現れた
その少女はまるで息をするかのように船員をなぎ倒し、船長に接近した
「あ、あんた何者だ――」
船長は焦る。殺されるのでは無いかという不安と、この得体のしれない少女は何なのだろうかという疑問
しかしその少女は船長の問に答えず、船長に問いを返した
少女「月夜に潜む――それはなにか」
船長は意味がわからずに困惑する。船長が答えずにいると、少女はどこからともなく取り出した凶器を船長の喉元に突きつけ、答えを急くように促した
もうどうにでもなれと思った船長は「知らない」と一言答えた
―少女はその言葉を聞いた瞬間船長の胸元を掴み、その船長を荒れ狂う海へと放り投げるとニヤリと口角をあげた
少女「…言語機能が回復してきたわね。さて…次はどこに行こうかしら」
そう。その少女の名は濫。今この璃月を恐怖に怯えさせている張本人だ
徐々に力を取り戻してきている彼女はその力を制御するために様々な事をしている。だが、それは瀞が思っているように彼女の本心でなく、業瘴によるものなのかもしれない
(…やめなさい。これ以上は――)
濫「うるさいわね。私は契約に従っているだけよ」
(契約に従っているのなら他にも方法はあるはず―――)
濫「他に何があるっているの?私にはこの方法しか無い。それはわかっているはずでしょ」
心の中で”自分と"対話する
心の中の濫は今表面に出てきている濫とはまた別人格なのかもしれず、今の行動を否定している。それがいいことかどうかはわからないが、今の濫にとって邪魔な存在だろう
濫「この力も…戻ってきたところだし、そろそろ手合わせ願いたいわね…」
濫は考える
どこ行けば自分の実力と会う対戦ができるか
誰だ自分に会うだろうか
濫「…魈がいるじゃない」
そう言い残し、濫は雷鳴と共にその舟を去った
前回、このアンケートを投稿後に追加してしまってすみません。改めてここで告知します
UA20,000+お気に入り100人突破を記念して作品を作りたいと思います!期間は伐難の伝説任務終了までで、終了時に一番多かったものを作ります。よろしくお願いしまう