0話 名の知れぬ傀儡使い
―無妄の丘。そこには強い妖魔が多く、人など立ち入ってしまえば、すぐにでも狂ってしまう危険な場所…故に人は近づかない。ただでさえ不気味なのにさらに危険があるなど、死に急ぎもいい所だと口を揃えて言う
そんな無妄の丘に2つの冷たき影があった…
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「yeye,rooureu,ydyu!」
巨躯な体を持つヒルチャール暴徒は2人の璃月人をしつこく追い回す
2人の璃月人は戦闘に長けているのだが、なぜか戦うことをしない。それを見てかヒルチャール暴徒は仲間をよび、逃げ惑う二人の璃月人をさらにしつこく追い回す
やがて、目の前に大きな崖が聳え立ち、二人の行方を阻む
?「っ…戦うしかないか!」
?「そのようだな…重雲、主は左を頼む。我は右を」
重雲「はい!」
2人の璃月人は戦闘を始める
所詮はヒルチャールと侮ってはいけない。このヒルチャールたちはどこかおかしい。なぜだか獰猛になっている。それを吟味してたたかわなくてはいけない
2人は、氷の神の目を持っているが、それでもかなり手ごわい敵だ
?「くっ…なぜこんなにつよい?」
ヒルチャール暴徒「yedada!u hyhoei itoo yuo!」
重雲「
申鶴「よかろう!"天真敕奏"!」
重雲「"妖魔め、立ち去れ"!」
申鶴の元素爆発は氷の傀儡、重雲の元素爆発は氷の剣
2人が放った元素爆発はヒルチャールたちにヒットし土煙が上がる。土煙が晴れたあと…敵が一掃されているものと誰もが思った。だが実際は、ヒルチャール暴徒以外のヒルチャールが倒されていて、暴徒は無傷のようだった
2人はどうしてと悲嘆にくれるような顔をする。いや、驚きといった方がよいか
―俺は無傷だぞと言わんばかりに雄たけびを上げるヒルチャール暴徒。その手に持った大きな斧を時が止まったかのように動けない二人に向けて振り下ろす
その時。それは彼らを守った
?「―――――」
ヒルチャール暴徒「ganshui???!!!!」
申鶴「氷の…」
重雲「傀儡?!」
彼らを守った氷の傀儡は斧を跳ね返し、その場でくるりと一回転すると、そこに白と青を基調とした蒼白髪の青年が立っていた
その姿は凛々しく、青年とは思えない立ち姿であった
?「まったく…最近の方士は弱い…」
そう呟いた彼の名は
彼はいとも容易くヒルチャール暴徒を撃破し、その手に持った片手剣をシュッとしまう
な、何が起こったんだと重雲はつぶやく。それもそのはずだろう。撃破するのにかかった時間はおよそ"0.5"秒程。七神のような強い方々であれば、それはお茶の飲むくらいなのだろうが、一般人から見れば、一瞬消えた瞬間、次の時にはヒルチャール暴徒が倒れているのだから
申鶴「氷の傀儡を使った…あなたは一体…?」
重雲「助けていただき感謝致します。その…あなたは?」
六花「我の名は六花。お前たち方士の師となるものだ。覚えても得はない」
彼はそう言って消えてしまった
不思議に思った2人は璃月に帰った時、それぞれ彼について調べることにした
――重雲side――
璃月に戻った重雲は、方士の家系を辿った
方士としての家系。重雲らを救ってくれた彼の者は「お前たちの師となるものだ」と言っていた。そしてあの強い氷の傀儡…一般人ではないことは火を見るより明らかだろう
重雲「家系だけじゃなく、歴史とかも調べて見ようかな」
行秋「ここにいたのか重雲」
飛雲商会の次男坊こと、行秋は重雲に声をかける
重雲「あ、行秋。ちょうどよかった!少し僕の調べものを手伝ってくれないか?」
行秋「今日暇だから別にいいけど…何を調べているんだい?」
重雲「"六花"という人について何か知らないか?」
行秋はかなりの読書家であり、かなりのことを知っている。飛雲商会の次男坊ということもあってか、暇があったら読書をしているくらいだ。ついでに言うと剣術にも優れていて、かつて栄えた古華派という剣術の流派を学んでいる
はっきり言うと…従者よりもはるかに強い。星を付けるなら星6が付くほどだろう
行秋「うーん…六花という人は知らないな。僕も璃月全ての人を知っている訳じゃないからね」
重雲「そうか―あんなに"強い氷の傀儡を使ってた"んだからてっきり腕の立つ人かと―」
行秋「―その人をどこで見た?」
行秋は少し驚くような声で重雲に質問を投げかける
重雲「む、無妄の丘で見た」
行秋「――――」
少し考え込む行秋。だがすぐ答えは出た
行秋「―昔、ある人の著書で見たことがある。魔人戦争時代、無妄の丘となる場所には氷の傀儡を使う夜叉がいたと」
――申鶴side―――
申鶴「師匠」
留雲「なんだ?悩み事か?」
璃月の西北部、奥蔵山に住んでいる白く美しい鳥の仙人は申鶴の師、留雲借風真君だ
彼女は俗世とは関わらないという性格をしており、普段からこの仙府にこもってからくりの発明や仙術の鍛錬など色々と勤しんでいるのだが、何故かよく物知りで、本当によく分からない人だ
申鶴「悩み…というのではないのですが…」
留雲「悩みではないのならばなんのようだ?近頃は俗世に顔を出しているではないか。妾はてっきり想い人が出来たのかと思ったの―」
申鶴「"六花"…という名に聞き覚えはないでしょうか?」
その名を言った途端。彼女は静止した
留雲「…六花。その名をどこで聞いた」
申鶴「妖魔と対峙しているときに助けてもらいました。かなり強い氷の傀儡を行使していましたので、師匠なら何か知っているかと」
留雲「―あやつ、まだ存命していたか」
留雲は少しめんどくさそうに口を開き申鶴に六花という名の男について語り始めた
留雲「かつてあやつとはともに競い合う者であった…妾が仙府の中でからくりを作り、彼がそれを攻略した。攻略された妾はさらにそれを改良してよいものを作った。よくこの仙府に足を運んでいたのだから、甘雨のやつも彼のことは知っておる」
申鶴「魈も彼のことは知っていますか?」
留雲「さてな。降魔大聖が知っておるかどうかは妾にはわからん」
魈「我の名をよんだか?」
風と共に現れた少年の名は魈。降魔大聖や金鵬の名で知られている三眼五顕仙人の夜叉の一人だ
普段は望舒旅館付近の妖魔の討伐を帝君から命じられている。今ここにいるということは仕事が終わった後なのだろう
普段から無口な彼はとある人とかかわったことにより少し柔らかくなった。いつもは氷のようだったが、最近は水に近くなってきていると留雲借風真君はいう
留雲「降魔大聖…六花という者は知っておるか?」
魈「―――六花。懐かしい名だな」
申鶴「貴方も、彼のことをご存じで?」
魈「彼とは魔神戦争時代からの仲だ。同じ夜叉として、ともに腕を磨きあげたからな」
魈は懐かしむように口を綻ばせる
魈「だが、急になぜその話を?」
留雲「なんでも、申鶴が六花と話をしたと」
魈「――あいつ…まだ生きていたのか?」
申鶴「…?二人とも、どうして同じような回答をするのですか?」
申鶴がそう問うと二人は口をそろえてこのように言った
―――あいつは変人だったと