「あの~、リアルで休みが欲しいんですが…」
「彼女いないのに、休んでどうするの?」
痛い箇所をつつく兄。年がら年中、ゲーム三昧では彼女は出来ないと思う。出会いが無いんだから…
「そうそう、高校の入学式には行けよ」
高校?入学試験を受けていない気がする。
「我が社のゲームはe-スポーツに認定されたんだよ。で、一芸入学で押し込んだ。精々、高校で彼女でも見つけろよ」
VR-MMOって、e-スポーツに入るのか?
「VR-MMOなのに?」
「お前、オートモード切っているだろ?ゲーム内での体捌きや身体能力を学校側が認めたんだ。お前が入学する星降学園では、ゲーム内で剣道や柔道などの組手をNPC相手に行っていて、VRでの鍛錬を実践しているんだ」
うん?学園からの依頼でフルダイブVRトレーニングシステムでも納品したのか?
「普通科ですか?」
進学コースは無理っぽ。
「フルダイバー科だ。学校はゲーム内の星降る里にあるから、通えよ。加速速度は4倍速だ。1日3時間が授業で、8時間はギルドで勤務だからな」
午前中、リアル3時間授業を受けると、実質12時間授業になるのか。それはハードだな。その上、ギルドでのバイトが確定なのか…ハード過ぎる。出会いの時間はあるのか?某ラノベの様にダンジョンで出会いを見つけるしか無いのか?
◇
そして無事に入学式を経て、ホームルーム中である。VR世界内にある学校である。種族が様々である。eスポーツ科は別にあるらしい。体育会系のクラスもあるらしい。フルダイバー科は廃人向けで、現状、俺と1つ上の姉しかいないし…
「リアス姉さんと二人だけ?」
「あぁ、フルダイバー科はなぁ」
姉さんの種族はどう見ても悪魔に見えるのだが…まさか、サッキュバスか?肌を覆う布面積が少ない気がするのだが…
「どう?運営サイド特典でサキュバスにしたのよ~」
姉のエロそうな姿を見ても、なんとも思わない。俺、異常なのか?って、運営サイド特権って何?あっ!俺の種族が天使になっているし。
「で、授業って、何をするんだ?」
「他のクラスに潜り込んで、監察業務だな。チーターを見つけたら、手口を解明して、レベルをドレインしてくれって。ルール違反者も摘発してくれよ」
姉がそんなことを口にすると、俺のスキルにレベルドレイン、スキルドレインが芽生えた。これ、ダメなスキルじゃないのか?そもそも監察って、嫌われ職一番ではないのか?
「イッセーから聞いていないの?フルダイバー科は、基本、一ノ瀬家の者しか入学出来ないんだよ。将来、運営サイドに行くのは決定だし」
聞いていない。俺は学校も職業も選択出来ないのか。出会いは、どこにあるんだ?
授業は一般クラスのようだ。VR空間であることを除けば、普通の学校との違いは少ない?授業中に強制ログアウトするヤツが多いようだ。安全の為、尿意、便意、空腹などが一定レベルを越えると強制ログアウトが発動する。発動するてことは、健康管理が出来ていないと判断され、成績にマイナスポイントが負荷するようだ。
授業が終わると、俺は一旦ログアウトされ、休憩1時間が課せられる。この時間内でトイレ休憩や食事にストレッチを熟さないといけない。1時間後にはバイトの時間であるからだ。
「入学して1週間経てば、校則違反が出そうだな」
姉さんが悪い顔をしいている。学校のある星降る里には総合ギルド本部がある。総合ギルドは冒険者ギルド、商業ギルドなどが統合されているギルドである。主に、登録業務が為される。ここから、ゲームのスタート地点である『始まりの街』へ転移が出来る。尚、生徒特典により、『始まりの街』間の転移料金は無料である。
俺は職員特典により全区域無料で転移出来る。仕事場である『始まりの街』の冒険者ギルド本部へ向かった。まず在庫管理をチェックし、足り無い素材を採取したり加工したりする。ゲームの運用開始前であるが、NPCを鍛える為、通常と同じ手順で流通をさせていくのだ。
「今週末には正式オープン予定だ。チーターにはそれ相応な罰を与えろよ」
運営責任者で冒険者ギルド本部グランドマスターの兄が指示を出している。この冒険者ギルド本部が運営サイドの最前線になる。