ワンピースの話、ただそれだけ。   作:のへてみこそ

1 / 2
ワンピースの話、ただそれだけ。

私がワンピースの世界に生まれたことを受け入れざるをえなかった時は、いつのころだったのか。

自分の記憶を振り返って考える。おそらく、懸賞金が書かれた紙を見つけた時のことだったと思う。

WANTED。DEAD or ALIVE。

なんじゃこれって。

認めたくはなかった。なぜなら、怖かったから。

悪魔の実やばいよ。何でもできるじゃん、とか。四皇とか人じゃねえよ。ギロチンの歯が折れるってどういう理屈なん、とか。

まあ今の自分は怖がられる側の存在みたいなものになってしまったけど。

ワンピース世界だった。認めたくはなかったんだ。

現実を受け入れたのは、はロジャーの語り文句が新聞記事に載っていた時のことだと思う。そんなことしないでくれって大声で叫んだよ。

その時私は、海の上で商船の見習いをやっていた。つまり、影響をもろに受けた。悲しいかな、人生。やって来るよ、大海賊時代。

ところで皆さんワンピースは好きか?ちなみに私は見ているぶんには好きだ。見ている分には。そう、実際に体験してみたいだなんて、誰が望むものか。ひ弱な私の価値観なんて枯れ葉のように粉々になった。だって、人が空飛んでいるんだもの。身一つで。船の用心棒役のその人は人一倍変態だったけど。いい人だった。

ロジャーの発言以降。海賊船が海にたくさん現れるようになったのだ。ただでさえ、海の治安はいいとは言えなかったのに、商人にとって最悪の時代が訪れた。

 今でも、説教したくなる。最低限の運航計画ねれよ、馬鹿野郎。飯なくなったからって、人襲うな。金ないなら働け!

 

それはさておき、自分の価値観を大きく変わることになった昔話を一つ。

自分がまだ幼少の頃、木登りをして遊んでいたときのこと。前世の街には木登りをできる場所が限られていた、都会っこだから、体全身を動かして登るのがこれまた、なかなかに楽しい。そして、遊び疲れて木の上から街並みを眺めていた。正しくは村並みか。大人が働いているのを見て、大変そうだとか考えていた時のこと。

一隻の海賊船が現れた。その船はなんの断りもなく港で接岸した。島唯一の港へとだ。

当然、漁師は困る。他の島との交易などあまりしない島だったから余計に困った。漁師たちが船を泊める場所がなくなってしまったのだ。

長い間、海賊船は停泊していて、その間ご飯のおかずが一品少なくなってしまった。それはともかく。海賊は物資を要求した。暴力を対価に。

 

 特に印象深かったのは、その武力。船長らしき人物が地面に足を叩きつけた、そしたらクモの巣状にヒビが広がっていった。

遠くの木から眺めていてもわかるほどのひび割れだった。

マジやばくね。人間やめてね。

それを見た村人たちは海賊たちを精一杯もてなした。当たり前だ。俺だって、海に潜って魚をめっさ取らされる羽目になったし。

 今にして思うに、その船は穏健だったんだと思う。あの船の力ならば私たち無力な一般人などなぶり、根こそぎ財を奪うことだってできたはずなのに、そうはしなかった。

その経験は幼い子供心、といっても中にはおじさんが入っているわけだが、に無力感を染み込まさせた。それと、ここままじゃ不味いという、不安感をも染み込ませていった。力が自由の尺度なのだ。治安機構のはずの海軍はよく沈められているし、法律なんてもの見たこともない。力こそが正義なのだ。

考えてもみてほしい。日々のんのんびよりと暮らしていたら、突然海賊に襲われたり、あるいは天竜人とかいう特大の厄ネタが出没したりとするのだ。 じゃあ、どうすれば自分の権利が守られるのか。ふかふかベッドで夜を過ごせるのか? 

単純明快、強くなるしかない。 というわけで、島に唯一の道場に足繁く通っていた。そこでは、海軍仕込の剣術を教えてくれるのだという。そう、だけど、私には才能が無かった。だから、工夫が必要だった。

 

 

 長い長い昔の思い出に浸っていた。

商談の帰り道、ふと思い立って酒場に足を運んだ。むせ返るような酒の匂いに顔をしかめながら。

場末の酒場で、ジュースを煽る。辺りを見渡してもろくな人間がいない。まぁ、私もその中の一人か。一人で苦笑いする。自分に酔っているみたいだ。

「なぁ、そこのガキ。金借してくんねぇ?」

頬が赤く染まった、大男が絡んできた。うざったらしい。センチメタルな心地に浸っていたのに、台無しだ。

ビンタした。手のひらで相手の頬を殴った。バチン、と音がした。男はまず、体勢を崩した。膝をついた。

そして、ビンタされたことを理解すると、屈辱を感じたのだろう。顔を真っ赤にしてこちらに殴りかかってきた。 

おそいなぁ。ゆっくり、殴りかかってくる男の拳をつかんで、首を傾げた。

「まだ、やる?」

男はさらにプライドを傷つけられたのだろう。というか、ここまで虚仮にされたら引くこともできなくなってしまったのだろう。体全身に怒気がまわり、冷静な判断ができていない。

男は自由な方の手で殴りかかってきたからだ。実力差は明確なはずなのに。お酒は怖いね。

酒場の地面に転がっている男を見て、くつくつと嗤う。

ガタイはいいが如何せん積んでいる経験の差が大きい。力の差は残酷だ。

「まあ、喧嘩を仕掛けてきたのはそっちのほうだから。絡む相手を間違えたね」

二重らせんのイタズラか、はたまた、漫画世界のお約束か。指数関数的に鍛えられていく筋肉、筋肉は裏切らない。今では私も立派な人外。

 「おい、見ろよあのガキ、ジョンを一捻りで潰しやがった」

人目を集めてしまった。名前は売れているほうなのでばれるとめんどくさい。

「マスター、これ代金」

「あの、こんなにもらっても」

「騒ぎを起こしてしまったから、色をつけておくよ、ありがとね」 

 私は自らの船へと踵を返す。ここは商売島、たくさん商船が集まって成立した島。海流と天候の関係上、欠かすことができない重要な航路の一角に存在している。故に人が集まりそこで商売人も集って、この島はどの勢力にも属さない、不思議な勢力均衡の下に成立している島。

 

自分の船の泊まり場へと行く。

「お疲れさま、何かあった?」 門番代わりに置いている人に尋ねる。

「特に何も起きなかったですよ」

「そう、それは良かった」

滑車を組んだエレベーターみたいなものに載る。これ作るのに、めっちゃ金かかったなあ。けっこうな自信作。そんなことを思いながら、紐を引っ張って、甲板の上についた。

 「商談は成立したから、明日の朝頃に船荷が到着するから、それらを運び入れる準備、よろしく」

「了解です、船長」 私は船長室、兼応接室へと引っ込む。

 

 アラバスタに行こう。ふと、思い立った。この世界の主人公である、ゴムゴムを見に行きたいと思ったんだ。

 どの時期にゴムゴムが現れるかなんて覚えていなかった。だけれども、アラバスタ編は印象に残っているから、その時に会いに行こうと思っていた。

 懇意にしている新聞屋からアラバスタで政変に兆しがあるらしい。

 

 でも、ここ現在地は新世界、アラバスタに行くまで結構な距離がある。とりあえず魚人島を通らないといけないし、時間がかかるし、労力もかかる。

 船員たちを納得させる理由を見つけないと、奴らは時折鋭いから気をつけないと。

何かあったかな。手に持ったペンをクルクル回す。

魚人島で魚人族の船員の里帰り。今回の交易品をシャボンディ諸島で流せば、かなりの額になるとは思うのだけど。他にも欲しいかな。そうだ、アラバスタの香水を購入するっていう、建前でどうだろうか。

 とりあえず、会議にかけてみようか。まぁ、私の意見に反対する人がほんとんど居なくて不安なんだけど。どうなのかな。船員たちは不満抱えてたりするのか。まぁ、聞いてみないと分からん。嫌われてはいないと思うけど。給金はずんでいるし。旨いもん食ってるし。

 というわけで会議室。この船の船員は私が省人化を励んだ結果、20数人で動くようになった。それでも、かなりの荷物を運べるから、この世界の造船技術と身体能力は飛び抜けている。

 私も含めて船員は数百キロ近い荷物を軽々と持ててしまうように鍛えている。しかも、魚人の船員に至っては数トン近い荷物も運べてしまう。

ほんとすげぇ。人間の神秘だね。

 

会議室の中は長机と椅子とお高い時計。船の上でも使える時計はぼったくり価格だった。

 

 「というわけで今回の議題、アラバスタに道中寄り道しながら向かいたいんだけど、異義ある人いない」

「賛成」

「賛成」

「右に同じ」

椅子に腰掛けている船員たちは異口同音に賛成した。特に疑念を抱いているような人はいない。

「なんでやん。いや、もっと主体性を持ってもらってもいいんだよ」

自分でいいながら、主体性って何やねんってツッコミを入れたくなった。

「いや、うちら、そんなこと正直分からないんで、金庫番の姉さんと船長がそういうなら、それでいいのかなって」

「こう、気にくわないこととか。あったりはしないの」

「いや、このままで充分っす、それに船長には頭が上がらないっすし」

なら、まあ、いいか。

 

「アラバスタに向けて出港」

 

 

 金庫番の姉さんとは、うちらの財布の引き締める人だ。お金儲けが好きでよく人にお金を貸している。現代の感覚からしたらボッタクリだけど、まぁ、大海賊時代だったらそんぐらいの利子だねって感じで貸しているらしい。むしろ、安いほうらしい。損はしてないとか。

曰く、返す人と夜逃げする人では匂いが違うらしい。ちなみに、私は面白いお金の匂いをさせる人らしい。 

 コーヒー片手に船長室で話す。姉さんには今回の裏の目的は伝えている。

「みんなどう思ってるんだろう」

「というと」

「船長だからって、過大評価しなくていいよってこと。私は弱ぇし」

「そんなことないです、船長。この前だって、億超えの海賊を倒していたではないですか」「それは、相手が覇気を知らなかったからでしょ。それに、悪魔の実の能力も使いこなせていなかったし」

あの海賊は弱かった。

なんか、金庫番の姉さんが呆れた顔をして、こちらを見てくる。

気恥ずかしい。そっぽを向いて、口笛をふく。

「とりあえず、アラバスタへ向かうことに異議はないのね、じゃあ次、途中、魚人島やシャボンディ諸島に寄り道するんだけど気になるところある?」

 

 

 

私たちの船長は不思議な人だ。自分のことを発明家きどりの簒奪者とだよ、とこの前言っていた。

でも、色んなことを利用するのが凄く上手いし、もととなる知識が山のようにあると思う。スクリューと帆と電気のモーターを組み合わせた船はすごい速いスピードで進むし。

 さらに、この前億超えの懸賞金がかけられている海賊を赤子の手をひねるように倒していた。とても強い。

四皇の船と遭遇した時は一目散ににげていたし、かつそれで逃げ切っている。最終的には商売の許可も勝ち取っているし。どんなふうにして、あの個性の塊みたいな人たちから商売の許可をもらったんだろう。

それに何より、行く宛のない私たちを雇ってくれた。だから、私は船長を信頼している。何より、お金払いいいしね。

 

 

 アラバスタってめっさ人口いるんだよね。1000万人とか、そんくらい、ちゃんとした統計とってないけど。というかこの世界に体系だった統計学とかねぇし。作れよ、ベガパンク。

 話がそれた。ともかく、今回はアラバスタ編の話だ。

確かこんな感じだったような。

水足りなくてって、アラバスタで内紛起こして、クロコダイルに乗っとられかける。WHY?どいうこと?

世界政府何しとん?王下七武海というのは国乗っとるのが趣味なのか?

 しかも、古代兵器の秘密が眠っているらしい?カバカバすぎない。ガバガバナンスじゃん。

 まぁ、クロコダイルは意図的に懸賞金を低く下げて、自分の実力を低くしていたみたいだけと、それはそれで置いておいて。

国としてどうなん、一つの海賊団に乗っ取られかけるって、と思ったりする。

まあ、ドレスローザの前例あるし、あんがい簡単なのかも。

そんな思索に耽っていたり、積荷で筋トレしてたりした。

 

 アラバスタで向かう航路の道中残り一日のことだった。号外の新聞記事が出ていた。

 クロコダイル捕まる。王下七武海、解任か!

 

あれ、もう既に終わってくね。 

 

 「まあ、とりあえず香水買って、観光するか」

 

 

 

 到着アラバスタ。

 

人が皆ラジオを聞いている。こんな光景を見てしまうと王家の求心力が並一通りのものではないな、と思い知らされる。でも、麦わらの一味はどこにいるのかな。

「ねぇ、そこの海軍、麦わらの帽子の海賊知らない?」

「え、彼ならもう出港、あっ」

「海賊なのに随分と嬉しげに話すねぇ、そうなると新聞が誤謬だと知って。ああ、ごめんごめん。悪い癖だね、だいじょうぶ知ってるから」

私は林檎を噛りながら王女のラジオを聞く。

「青春だねぇ。年寄りには眩しく感じられるよ。ところで少将はなぜここに?」

私が話しかけた海軍の青年をねぎらいつつ、貫禄がある馴染みのおじさん将校がいた。

「それはお前がいきなり、アラバスタになんぞにくるからだ」

「それ、いろいろ失礼じゃない?」

正義のマントをかぶった海兵がいる。こいつ階級詐欺しているだろと、会うたびに思う

「それで、監視対象にわざわざあって何の話を」

「あまり、派手に動くと警戒せざるえないじゃろうが」

「それは、君らが過剰反応しているからでしょ、もっと他にやることあるでしょ。例えば、七武海の監視とか」

「貴様、おちょくりおって」

「いつものことじゃん。それにCPは冗談通じないから、つまらなくて。君に絡んでいるだよ」

馴染みの海軍大佐は呆れていた。

「世界広しといえども、CPに向かってそんなことを言えるものがどれほどいるか」

「あくまでたとえ話だよ。スパイ潜り込ませられていたことについて根に持っているわけではないから」

「なるほど、機会があったら伝えておこう」

「スパイについては海軍もうかうかしていられないけどね。海軍、節穴だからね。じゃ、ばいばい」

「待て、いったいどういう意味じゃ」

そうして、そのまま、足早にその場を去った。

無駄足を踏んだ気がするのは嫌なので、未だ水不足気味のアラバスタに大量の水を売りつけてやった。

 

海のほうを見ると、アラバスタ編の屈指の名シーンが見れたのでそれはそれで満足でした。

 

アラバスタの風はどこか乾燥していた。

 

「すみません、少将。彼はいったい何者なのですか」

「彼はマンセル。金があればなんだって用意するとまで呼ばれている。マンセル商会のボスだよ」

「何でも?」

「酒から武器、悪魔の実まで、まさしく何でも取り扱っている」

「悪魔の実まで、ですか」

「名だたる海賊が悪魔の実を狙って彼の船を襲い、撃退された」

「そんな大物が何故アラバスタに」

「それが分からないから、私がここに派遣されたのじゃろう。マンセル商会の物資供給でアラバスタの食糧不足は落ち着いたらしいがな。奴が何の目的もなしに商売を行うことなどは、今までも一度もなかった」

ゴクリ、若い海兵は唾を飲み込んだ。

「何も起こらなければいいのだがな」

それに、最後の奴のセリフ。いったいどんな意味があるのか。海軍にスパイがいる。馬鹿馬鹿しい。そんなことなどは、とっくに理解しているは。だが、なぜわざわざ、そんなことを言ったのか。うむ。分からん。頭を使うのは無理だ。あいつにでも任せよう。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。