考えてみてくれ、新世界の海の荒れようを。空から人間大の大きさの雹が降ってきたり、強大な海王類に襲われたりする。そんな海をどうして渡ろうと考えるのか。馬鹿なのか。
ロマンがあるのだろう。ロマンはあるのだろう。
未知に対する冒険心は誰しもが持っているものだ。
夢があるのだろう。
海賊王の財宝がそこには眠っているのかもしれない。
でも、そんな危険な航路を渡るには実力が必要だ。麦わらの一味が異常なだけで、偉大なる航路を乗り越えて進むことができる海賊の数は驚くほどに少ない。というか、たくさんの沈没船、難破船が海底には転がっている。偉大なる航路を五体満足で生き返ることができる人物が珍しいことは、黄泉がえり骨男を見ればわかるだろう。人の命は簡単に消えて失われていく。それが現実だ。
アラバスタで起きたクーデター未遂で何人死んだ?
だからこそ、その後のアラバスタ王女の演説に国民が耳を傾けているのみて、相容れぬ感情の揺らぎを感じた。
そんな危険な航路ではなくて、久しぶりに普通の海で商売を続ける。海が逆さになったりすることもないし、その代わりに船とすれ違う。彼らは基本的に護衛船団方式で船荷を運んでいる。
基本的に私たちの仕事は安く買ったものを高い金額で売ることだ。だから意図的に商品の値段が上がるのを待ったりするし、仲が良い新聞記者から極秘情報を聞いたりもする。つまり、高く買ってくれるのであれば、顧客がどんな人間であろうと商売相手になり得るということだ。例え、悪人だろうと関係がない。私は船員の命を預かっている、これは慈善事業ではないのだ。
麦わらを見てみたいとは思ったけど、海賊のロマンは理解できる日はこないだろう。
偉大なる航路や新世界の物品は高く売れる。
目の前にいる、愚かな貴族も大切な顧客の一人だ。豪勢な客室に通されて、多くの商品を見た目がよくなるように机に乗せる。
いつも思うのだが、高級な香料を使う前に自分自身の姿を鏡の前で眺めてみるのはどうだろうか。いくら高い香料を使ったところでこのままでは豚に真珠でしかない。
あと口癖が酷い。どこぞの天竜人を意識している口調だ。成金のように全身にアクセサリーを身に着けていて周りには付き人を大勢侍らしている。天竜人と比べるとまだましだと思うが、それでも、この国で革命軍の勢力が拡大しているのも、まあ、当然のことだなと思えるほどに酷い。
「ふむ、これはアラバスタの香水ざますか。いい香りざますんね。買いざましょう」
「ありがとうございます。おくさま、こちらの宝石はどうでしょう、偉大なる航路のとある島でしか採取できない、貝殻を丹精に磨いたもので、耳を傾けてみると漣の音がする逸品です」
「すんばらしいざまんす。これもいただきざましょう」
ざまんすってなんだよ。ざましょうって。突っ込みたくなるのをこらえて、にこやかな営業スマイルを浮かべる。商品を買ってもらうためには、我慢しないといけない。
相場よりもかなり高めの金額で買ってくれるのはうれしいけど、そのお金がどこから出ているのかを考えると儲かったと安直に喜んでしまうのも、いかがなものかとは思う。まあ、取引はするけど。目の間にいる、着飾った体脂肪率60%の人がどんな未来たどるのかは、見えていた。
ちなみに、この島では革命軍の勢力が増しているらしい。
かなり、コストパフォーマンスのいい取引をした後はすぐにこの島から出ていった。この島では人種差別がひどく、特に魚人の船員には船に閉じこもってもらって窮屈な思いをしてもらった。魚人と同じ空気を吸うと魚人になってしまうという、よく分からない考え方が彼らの中にはあって、ものすごく気持ち悪かった。さらには、差別も公然となされており、船員に魚人がいると船を港に停泊することができないために、荷物の中に紛れてもらっていた。
「ごめんね、こんな窮屈な思いさせちゃって」
「船長には返しきれない恩がありますから。それに、奴隷時代にはもっと、酷いことされたこともあるから、今が一番幸せです。家族にはもっと会いたいですけど。それはわがまますぎですね」
「そう、できる限りのことはするから。そうだ、おいしいご飯食べにいってみない?イーストブルーに美味しいご飯屋さんがあるらしいんだよ」
あまり主人公の後を追っかけると私たちを警戒している海軍の佐官やCPに目をつけられてしまう恐れがある。
今の彼らの実力では覇気使いが出てくると完封負けを喫する恐れがある。別に私は原作ブレイクがしたいわけではないからそれでは困る。
私の影響が少なからずあるのは知っているけど、それでも原作の修正力というのも馬鹿にはできない。だから、できるだけ原作に沿った形で進んでいってもらいたい。
だって、私は今まで戦った敵に原作とは違う悪魔の実の能力者と戦ったことはないし、赤髪のシャンクスの腕はなくなっているし、というか、原作通りに進んでいくことを祈るしかない。そうでないと、この世界がどんなふうに転がっていくか分からなくなってしまうし、そう考えていたはずなんだけどね。
でも、バラティエのご飯は食べてみたかった。だから、麦わらのイベントが起きた後なら原作ブレイクを引き起こす確率は低いと思って、船を前に進めていく。
俺たちは泣く子も黙る、コモドドラゴン海賊団だ。今日も東の海で次の獲物を探している時、ターゲットを見つけた。その船は、海賊旗を掲げていないことから、海賊ではない、でも。俺たちよりも、立派な船だった。しかも、一隻のみで堂々と大海原に帆が風をうけて前へと進んでいく。
けしからん、ここいらでこんな調子に乗った真似をされては、海賊の名が廃る。
「野郎共、次の獲物は目の前のあの船だ。できるだけ、船体を傷つけないようにしろよ。あれが次の俺たちの船になるんだから」
「船長、乗組員はどうしますか?」
「男は殺せ、女は生かしておけ。後でヒューマンショップで高く売り飛ばしてやろう」
船員どもは下卑た笑い声をあげる。
「分かりました。船長」
「野郎ども突撃だぁ」
「おー」
「さあ、狩りの時間だ。フハハハハハ」
たくさんの小船を使って船へと近づいていく。
商船に乗り込んだ手下どもが吹き飛んだ。
「いったい何が起きた?」
商船の甲板には魚人がいた。
「魚人!何で、魚人がこんなところにいるんだ」
「別に私がどこにいようと、問題ないのではないですか?」
まずい、手下どもが、軽い混乱に陥っている。
「船長どうしましょう」
俺はあの魚人に勝てるだろうか。もしも、負けたらこいつらは俺を見限るだろう。そうしたら、俺の海賊ライフもこれまでになってしまう。それに、きっとあいつがあの船の護衛のような役割を担っているのだろう。あいつさえ、倒せば後はあの船は俺のものだろう。
「大砲をあいつに向けろ」
「船長、船には傷をつけないんじゃなかったのか、それにまだ仲間が」
「うるせえ、とっとと撃て」
「分かりました」
備え付けのカルバリン砲が火を噴いた。
砲弾は魚人の胴体に直撃した。
「やった、化け物め。これであの船は俺のものだ」
大砲の煙が晴れると、無傷の魚人がたっていた。その姿が大きく見えて一歩後ずさってしまった。
「痛いですね。で。これが、何か?」
敵船から女の声が聞こえた。
「ブルーム、遊んでないで速く片付けな」
「了解姐さん。さてと、格の違いとやらを教えましょうか」
魚人の手のひらから放たれる水滴は機関銃みたいな速度で、辺りを銃弾のように流れて、部下の体を貫いた。
その瞬間俺は襲う船を間違えてしまったことに気がついた。
「逃げるぞ」
敵船に乗り込んでいる部下を見捨てて、船を逆方向に進める。
「船長、見捨てるんですか」
「じゃあ、どうやってあの化け物を倒すんだ。魚人だぞ」
俺に歯向かう部下は殴り飛ばして自ら舵を切る。
「仲間を捨てて逃げるなんて、ひどいですね」
「黙れ、雑魚が」
聞き覚えのない声がした。
「そんな雑魚に怯えて、逃げているんですか?」
後ろを振り向くと、そこにはあの魚人がいた。
「な、なんでこんなところにいる。クソ。俺は1000万の賞金首だぞ」
手に持っていたサーベルで切りかかる。
魚人の人差し指と中指でサーベルを挟まれて、そこから刃を動かすことができない。
万力を込めて動かそうとしても、微動だにしない。
「クソが」
手に持っていたピストルを撃ち放つ。
奴はピストルの弾が見えているのかのように避けて、その後うれしそうにいった。
「おお、懸賞金首でしたか。お小遣いゲットです」
「ぐべぼ」
奴のこぶしの速さは早すぎて目で追うことができなかった。
「ここらへんだと、私たちのことを知らない海賊が結構いるみたいですね」
「そうだね、でも懸賞金の額がしょぼいね、あんまりおいしくないね」
甲板の上に転がっている海賊たちを縛り上げて、一か所にまとめる。
「こいつらどうするんですか」
「次の停泊地に海軍の支部があるからそこで渡しておくよ。それと、ブルームって、アーロンって名前聞いたことがある?」
「タイヨウ海賊団の船員の一人ですよね。ジンベイ親分が酒の席で話していたのを覚えています」
「そうか、次による場所はそいつが人間に過酷な支配を行っていた場所だから、また外に出ることは避けてくれるとありがたい」
「そうですか、アーロンが支配していた町ですか」
「人間と魚人。異なる種族の融和はままならんものよな。だけども、商機があれば私たちは船を向ける。そういう人種だからな。また、窮屈な思いをさせることになるだろう」
「ええ、この船に乗ることを決意してからは、了承ずみです」
「じゃあ、行こうか」
風車を頭に付けているおじさんに出会った。海軍に懸賞金を貰う帰り道にココヤシ村寄った。そこで、かの有名なアーロンパークを見に行こうと思ったのだ。
「君は旅の商人だと聞いている。すまないが物資を譲ってくれないか。もちろん対価払う」
「具体的にどんなのがご入用で?」
町は復興の最中で、いい感じに物資がはけたのが嬉しかった。
「へえ、ここの村は魚人に支配されていたんですね」
「ああでも、勇敢な麦わら帽子を被った少年に助けられた」
「それは良かったです」
まあ、知っているけど。
「一度その魚人が支配していた居城に向かってもいいですか?」
「ああ、別に構わんが。でも、そこには何もないぞ」
「知り合いに見せたいなと思いまして」
アーロン、か。天竜人の奴隷に対する扱いは酷いを通り越して、言葉に表せる領域を超えている。だからといって、わたしは奴隷を解放しようとも思わないし、原作知識を使えば、より良い未来があったかもしれない。だけれども、私はそれをしてこなかった。アーロンの支配の象徴。それは、私が見るべきものの一つだろう。ごたごた言ってるけど。まあ、どんなものかをみたいだけでもある。
そして、崩壊したアーロンパークを見て、ゆっくりとため息をつく。
「ままならんものだなあ」
聖地巡礼の旅。次は、バラティエにでも行こうかな。
風車のおじさんがめっちゃ絡んでくる。酒に酔っているのが分かる。
「ナミっていう子がいてな、とてもいい子なんじゃよ。手癖が悪いの玉に瑕なところがあるが。この前、この島を出ていってしまってな。ほんといい子なんじゃ」
ナミね。聞いたことはある。でも、ダル絡みするのはやめてくれるとありがたなあ。この話リピートしてないかな。三度聞いた気がする。寂しいのはわかるけど、だるい。写真を飾るのはまだ、分かるけど、拡大するのはギリギリアウトだと思う。これ、手配書とかでもやりそうな気がする。やめておいたほうがいいとは思う。
バラティエのご飯は美味しかったです。
ちなみに、ココヤシ村でアーロンを倒してから、ビビの演説まで21日つまり3週間ほどの出来事だそうです。いろいろとやばくね。そう思うのです。一回調べてみてください。無理があるのはないか思ってしまうくらいの弾丸運航です。