頭文字Dー歌姫の最速録ー   作:三坂

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いよいよ始まった赤城峠でのレインバトル
雨の走りが得意中の得意と自分で語る賢太相手に
友奈はどんな攻略法を見出すのか…!?



(お久しぶりです
そして明けましておめでとうございます
久しぶりの投稿になりました。
今年もどうかよろしくお願いいたします





第十一話 AE86(結城友奈)VS S14シルビア(中村賢太)

 

 

 

赤城山

頂上

 

 

ウォン!ウォン!

ボムっ

 

 

「……」

 

 

 

 

駐車場に入ってくるとゆっくり徐行しながらしばらく走っていたが、賢太の前で速度をじわじわと落としながら最終的にハチロクは止まっていく。すると運転席側の扉が音を立てて開き、車内から真剣そうな表情を浮かべた友奈が姿を現した。

 

 

 

 

ーやっぱり…バトルとなると嘘みたいに雰囲気変わるな…、ほんとっそこは嫌ってほどアイツとそっくりだぜ…ー

 

 

 

「来てくれてサンキューだぜ、んじゃ改めて自己紹介しておこうか。俺は赤城レッドサンズの中村賢太」

 

 

 

「こちらこそ、私は結城友奈と言います」

 

 

 

「それじゃ最終確認するか、バトルはこの赤城で下り一本勝負のレインバトル。どっちかが麓のゴール地点を先に越した方が勝ち。まあ簡単に言えばぶっちぎってしまえばそれで終わりだ」

 

 

 

 

降りてきた友奈を少し離れた位置で見ていた啓介は、初めて出会った時の彼女とは全く違ったオーラに少し興味深そうな表情を見せていた。普段の様子では全く想像出来ないが、どうやらバトルとなるとかなり雰囲気が変わるらしい。その感じがどこか拓海と似ていたようで、意識してないのにふと照らし合わせながら啓介は思わずため息を溢してしまう。

 

その間にも二人は改めて自己紹介を簡単に済ませるとバトルについての最終確認がてらの会話を挟んでいる。だがその表情はお互い真剣そうにしておりどこかただならぬオーラを漂わせていた。

 

 

 

 

「前からそう聞いているので問題ありません。それでいきましょう」

 

 

 

「よし決まりだな、スタートラインはそこの白線でいく。俺が手前、君は奥側で頼む」

 

 

 

「分かりました…!」

 

 

 

「…言っとくが君が雨に慣れてなくても容赦はしない。赤城の歌姫だろうがなんだろうが関係はないぜ!軽く捻って啓介さんの仇を取らせてもらう!」

 

 

 

「自信満々で言ってくれますね…(ニヤリ)、もちろん私だって容赦はしませんから…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウォン!!ウォンウォン!!

ブォォォン!ウォン!

 

 

「それじゃカウント始めるぞー!!」

 

 

 

あたりに集まっていたギャラリー達の声を一瞬で掻き消すようなエンジンサウンドが吹き上がる音が暗闇に包まれた赤城山全体に響き渡っていく。指定されたスタートラインには賢太のS14シルビアと友奈のハチロクが並ぶように止まっており点灯したヘッドライトが更に雰囲気を掻き立てているように感じる。

 

そんな2台の間に立つように前方には忠浩が雨に打たれながらもスタート合図をかけており、エンジン音に負けないほどの声を上げていた。

 

 

 

「……」

 

 

「啓介、FCの隣に乗れ」

 

 

「……へ?」

 

 

 

あと少しでスタートの合図が下りるためか真剣な眼差しで見ていた啓介、しかしいきなり背後から涼介に声をかけられたと思ったらそのままFCを指差しながら乗るように指示される。なんの拍子もなく突然のことであったため、なんのことかさっぱりの啓介は頭に?マークを浮かべながら思わず首を傾げてしまう。しかしそんな弟を見ながらも涼介は話を続けていく。

 

 

 

「モタモタしてるとスタートするぞ、特等席からヤツの走りを見せてやる」

 

 

 

「アイツの…走りを…?」

 

 

 

最初こそ涼介が何を言っているのか理解が追い付いていなかったが、急かされるように隣に乗れと言われたため一瞬呆気に取られつつもFCの元へと啓介は向かうことに。その間にもスタートラインでは雨に負けないような熱気に包まれながら忠浩によるカウントダウンが始まろうとしていた。

 

 

 

 

「スタート5秒前ッ!!

 

 

4ッ!!

 

 

3ッ!!

 

 

2ッ!!

 

 

1ッ!!

 

 

GOッ!!」

 

 

 

ゴシャァァァァ!!!

 

 

 

上げながら広げていた右腕がGOという合図とともに勢いよく振り下ろされるとともに2台は弾かれたように激しくホイルスピンをさせながら飛び出す。やはり路面が雨で濡れている関係か、リアタイヤが水を巻き上げながらも前へ前へと押し出されるように走り出していく。

 

 

 

 

「くぅーっ!いよいよ始まったぜ!雨のレインバトル!!やっぱうめぇやつはスタートダッシュだけで鳥肌もんだ!!」

 

 

 

「あぁ!俺なんかこんな雨の中でのスタートダッシュなんてスピンして壁に突っ込む自信しかないぜ!!」

 

 

 

 

道沿いに陣取っていたギャラリー達はそれぞれ歓声を上げながら目の前を勢いよく通過していく2台に視線を集めていた。だがスタートダッシュはほぼ同じように見えた飛び出しではあったが、流石に雨に慣れていないのが響いてきたのか友奈のハチロクは僅かにだが無駄なホイルスピンをさせてしまう。

 

 

 

「いやハチロクが僅かに遅れてるぞ!流石に雨とはいえどS14相手にスタートダッシュ勝負はキツいか!?」

 

 

 

「いや違う!スタートダッシュで僅かにだが無駄なホイルスピンをあのハチロクがさせちまったんだ!それで後半の伸びで響いて来てる!」

 

 

 

ーヤバっ…!上手く行けたと思って踏みすぎたかも……!完全にやらかした……ー

 

 

 

ーやっぱり俺の狙い通り…っ!あのハチロクは雨の走りに慣れていない!このままマージンをどんどん広げてやるっ!そして啓介さんの仇を取らせてもらうぜ!ー

 

ゴァァァァ!!!

 

 

 

いくらレース用エンジンを積んでいるとはいえどスタートダッシュで遅れてしまえばその後の伸びも同様にズレてしまう。もちろん友奈自身も気づいていたため表情に少し焦りを見せてしまうが、やってしまったものはどうすることも出来ずジリジリ後ろへと後退していく。

しかもいくらノンターボとはいえど相手は直列4気筒の2.0Lエンジンを搭載しているシルビア、更に加速も滑らかとなれば当然伸びはいい。そのため、それを知っていた賢太は自慢の馬力にものを言わせてハチロクを振り切りにかかろうとマージンをどんどん広げにかかっていた。

 

 

 

 

「来たな、しっかり掴まってろ啓介。ここからはミステリーだらけのツアーだ。彼女の走りを目に焼き付けておけ」

 

 

 

「……ゴクッ」 

 

 

ゴクン

ギャァァァァ!!

 

 

 

スタートしたことをバックミラーで確認しながら助手席に座っている啓介に対して、しっかり見ておけよと告げた直後に素早くクラッチを繋ぎ激しくホイルスピンをさせながらFCを発進させていく。その後、横を走る本線を疾走する2台を確認しつつアクセルを微調整して背後につくような位置に陣取ろうとしている。

 

 

 

 

「白のFC…!涼介さんだ!!赤城レッドサンズのリーダーがあの2台についていったぞ!?」

 

 

 

「おいおい!まさかいきなり赤城峠最速決定戦になるのか‥!?」

 

 

 

「きょーれつ!まだ始まったばっかりなのに鳥肌立ちまくりだよ…!!」

 

 

 

 

まさか赤城レッドサンズのリーダー、高橋涼介もバトルに加わるとは思っていなかったギャラリー達は驚きの声を上げてざわめきながらシルビアとハチロクの背後に一定距離を開ける形で追いかけていくFCの後ろ姿を眺めていた。

 

スタートダッシュでアドバンテージを取れたS14を先頭に、その後ろには少し出遅れる形で追走するハチロクとFCはそれぞれのスキール音を響かせながら最初のコーナーまでのストレートを疾走していく。

 

 

 

 

「どうやらあの子は雨の走りに慣れていないようだな、スタートダッシュで賢太に先を越されたということは余計なホイルスピンをさせた感じか」

 

 

 

「けど完全に慣れてない…って訳じゃなさそうだぜアニキ、要所要所は抑えてそうだ結城って奴は…」

 

 

 

「あぁ、それは俺も同意だ。とは言えどバトルはまだ始まったばかり、彼女がどこまで走れるか…賢太がこのマージンをどこまで広げられるかで勝敗は決まるだろう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちら第3(No.65)コーナー!!賢太が頭で突っ込んできます!!その後ろに遅れる形で歌姫のハチロクと涼介さんのFCがっ!!」

 

 

 

 

最初の緩い2つのコーナーを抜けた先にある急な左コーナー、雨の中陣取っていたギャラリー達であったがヘッドライトの光が奥から照らされたと思った矢先、少し遅れる形でスキール音とともにオレンジのS14シルビアが勢いよく影から飛び出して突っ込んでくる。それに対し少し遅れてはいるもののこちらも負けじまいと姿を現すようにハチロクとFCも続いていく。

 

 

 

 

「くっ!(クワッ!)」

 

 

 

 

まるで飛び込むような勢いでコーナーに突っ込むと、目をしっかり開きながら賢太は素早くブレーキペダルをリリース。4速からヒール・アンド・トゥで2速へギアを叩き込みながらステアリングを切り込む。ブレーキランプが点灯すると雨で路面が湿っているためか、少しリアを滑らしながらも問題なく立ち上がる。

 

 

 

 

「うぉすげぇ!賢太の奴けっこう攻めてやがる!伊達に雨の走りが得意っていうだけはあるぜ!」

 

 

 

「というか雨の中FRであそこまで行けるんだな…!俺なんか怖くて踏めないよ…!」

 

 

 

「まーな、雨じゃ全然前に進まねぇしその割に踏み過ぎたら簡単にとっ散らかるし…。いいことなんてありゃしない…(汗)」

 

 

 

「呑気に話してる暇ないぞ!ハチロクとFCが突っ込んでくる!!どっちもなかなかのスピードだっ!」

 

 

 

相変わらず雨の中の走りをする賢太は凄いやとギャラリー達は口々に話しており、コーナーを抜けて走り去っていく後ろ姿を眺めていた。それだけ雨の走りというのはリスクがあるとうもので、普通に走っててもヤバいのにここまでのスピードレンジとなればどこにとっ散らかるなんて想像することは出来ない。

 

そんなことを話していると、一人のギャラリーが次が来たぞという声を上げた直後に先程と間髪入れず友奈のハチロクと涼介のFCがコーナー入口に差し掛かっていく。

 

 

 

 

ーっと…!ー

ゴクン!

ウォンウォン!!

 

 

 

 

先程の賢太と同じようなタイミングで素早くブレーキペダルをリリースしつつ、ある程度余裕を持たせたヒール・アンド・トゥで2速へ叩き込みながら滑らかにステアリングを切り込んでリアを意図的に滑らせる。

 

 

 

ギャァァァァァ!!!

ドシャァァァァ!!

 

 

 

「うぉすげぇ!この雨でドリフトかよ…!滑りやすいのによくコントロール出来るぜ…!」

 

 

 

「雨だからだよ…!滑りやすくていつケツが振るかが分からないなら意図的に振ったほうがいいってことさ!ラリードライバーとかはよくやってる…!」

 

 

 

「くそーっ!こんなんならカメラ持ってくれば良かった…!!もったいなさすぎる!」

 

 

 

 

雨の中での四輪ドリフトを見せられたことでギャラリー達もさっきとはまた違った盛り上がりを見せているらしい。スタートダッシュで出遅れて少し焦っていた友奈ではあったが、比較的落ち着いた表情でアクセルやステアリングを器用に操りつつまるでハチロクが走りたいラインを描くように流していた。

 

 

 

 

ー…とりあえず雨に慣れるのが先決かな…、そこまでは安全マージンはしっかり取らないと…ー

 

ゴシャァァァ!!

 

 

 

 

目の前でどんどん突き放しにかかっているS14シルビアの後ろ姿を見て追いつきたい気持ちがあるものの今はそれを抑えつ雨の環境に慣れることに集中するようだ。そのため普段よりも控えめな突っ込みで走りながらアウト側のガードレールと距離をいつもより開けながら走っている。

 

 

 

 

「こうしてみるとまるで芸術だな、あの年であそこまでの走りを見せてくれるとはまるで藤原を想像するぜ」

 

 

 

「あぁ、だがアイツとは根本的な走りはどうも違って見えるぜアニキ。むしろあの子は自分が行きたい方向に走らせるんじゃなくて車が行きたい方向に身を委ねてるように感じる」

 

 

 

「あの走りは乗り手が変わっても変わらない…いやそれが『赤城の歌姫』らしさってところか。…だが賢太も負けてはいないようだな、最初に出来たマージンを更に広げにかかってる。これじゃ啓介の予想とは外れてしまうぞ?」

 

 

 

 

そんな2台を一間置く形で追走しているFCの車内ではステアリングを操りながら運転席に座る涼介が綺麗な走りを見せてくれる友奈の走りに関心の表情を浮かべていた。自分が行きたい向きにいかせるのではなく、まるで車が行きたい向きに委ねるその走りは速い奴には解かるものがあるのかもしれない。

 

啓介もそれは同じ考えのようで、一瞬同じハチロク乗りであり年齢層もほぼ同じ藤原の走りが頭に過るがすぐに首を振って視線を前に向ける。だがいくらそんな走りが出来たところで賢太相手にはかなりのマージンを取られており、これでは友奈が勝つという答えは破綻してしまうぞと続けるように涼介の口からそう告げられた。

 

 

確かに普通ならここまで雨の中で距離を開けられてしまっては並の走り屋では追いつくのはほとんど不可能に近い。スタートしてからちょっと走っただけで見ればレインバトルは誰がどう見ても賢太に分がありそうだが…

 

 

 

 

「…いや、それは有り得ないぜアニキ。というかアニキも分かってるんじゃないか?コイツはまだ本気を出してねぇ、むしろ敢えて抑えて走ってる。俺に言わせれば本気を出せばいつでも賢太に追いつけるはずだぜ」

 

 

 

「さて…それはどうかな…?(そう言いながら案外分かっているようで、笑みを浮かべる)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴシャァァァ!!!

 

 

 

 

「…!!来た来た!!エキゾースト音が近い!もうすぐ来るぜこれは!!」

 

 

 

 

先程の場所から4、5個過ぎた辺りにある右のコーナー付近。そこにも今回の走りを一目見ようと多くの走り屋やギャラリー、報告要員としてレッドサンズのメンバー数人ほど含めた集団が陣取っており今か今かとその姿を待ち望んでいた。そこから少しするとエキゾースト音が上の方から響き渡ってきたため様子を見ていた一人が耳にするや否や声を張り上げる。

 

 

 

 

ゴァァァァ!!

 

 

 

「おぉ!来たぞ!賢太が頭取ってる!!」

 

 

 

「うっしゃ!流石だぜ賢太の野郎!!伊達に昔から雨の峠を走ってただけあるぜ!!」

 

 

 

「…っ…!」

 

 

 

 

エキゾースト音が聞こえたと思った矢先、奥の方からヘッドライトの眩しい光とともに賢太のS14が飛び出してきてそれを目にしたレッドサンズメンバー達は歓喜に包まれるように声を上げていく。その間にもコーナーに差し掛かった賢太は慣れた手付きでアクセルから素早くブレーキペダルにリリース。

 

特にこれといってやることは変わらないと言わんばかりにヒール・アンド・トゥでシフトダウンしつつステアリングを切り込んでコーナーに突っ込む。その際、リアが滑りかけるが器用にアクセルを微調整して極力膨らむ車体を抑えながら立ち上がる。

 

 

 

 

ゴギャァァァァ!!!

 

 

 

「おぉ!ケツ振ってるぞ!やっぱFRは雨だと滑りやすいか…!!」

 

 

 

「だが滑っても極力ロスを抑えてるぜあのオレンジのS14!!流石はレッドサンズの一軍に属してるだけはある…!!」

 

 

 

「まだまだ来るぞ!!ハチロクとFCが突っ込んでくる!!赤城の歌姫と高橋涼介だ!!」

 

 

 

 

だがS14シルビアが通り過ぎてから間もなくして、こちらも高いエキゾースト音を響かせながらハチロクが姿を表しその後ろからついてくるようにFCも飛び出て来た。コーナー手前に差し掛かるとハチロクのテールランプが点灯、直後滑らかなブレーキングで減速しつつ鋭い角度で突っ込む。

 

賢太もなかなか速い突っ込みだったが、友奈のコーナリングはそれを凌駕するかのように可能な限りイン側のガードレールに寄せながら中間を流し、ほぼ速度を落とさずに立ち上がる。その後ろから一歩引く形で涼介が続いていく

 

 

 

 

「なっ…なんだありゃ!あのハチロクけっこう攻めてねぇか!?」

 

 

 

「あぁ!!賢太よりは突っ込みは甘いんだが…それを忘れさせるようなあの鋭いドリフト…!!一度見たら忘れられねぇ…!」

 

 

 

「なんか全体的に滑らかっていうか…!他の走り屋じゃ見ないような走り方だな…、ほらっ!例えば秋名のハチロクとか…!」

 

 

 

「間違いない、秋名のハチロクは速度を落とさずに軽さを活かして攻めて攻めまくるタイプだが歌姫は流れに身を任せる感じっていうか…。まあなにせあまり見ないタイプの走りだな…」

 

 

 

 

雨なのに賢太にも負けない突っ込みで目の前を勢い良く通過していくハチロクを目で追いかけながらアドレスドバドバ出ているようでかなり熱狂している様子。やはり彼女の一番の特徴は全体的に滑らか、そして車の行きたい向きに身を委ねるというかなり変則的な走りのようだ。

 

ここで注目されているように同じハチロク乗りですぐに浮かぶ走り屋といえば秋名のハチロクである藤原拓海が思い浮かぶが彼とは似ているようで似ていない走りなのかもしれない。

 

 

 

 

「ってか涼介さんバトルに参加しているって感じじゃなかったな?」

 

 

 

「あぁ、どっちかというと一歩引いて見物しているようにも見えたよ」

 

 

 

「そりゃ、レッドサンズでナンバー2で弟の高橋啓介がやられりゃ黙ってないさ。しかも地元なら話は別だ」

 

 

 

「だよなぁ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーすげぇ…目が追いついていかねぇ…、野郎もう本気になったのか…!?まだコーナー4つしか抜けてねぇぞ…!ー

 

 

 

 

その頃後ろを追走するFCの車内では、助手席側のドア上にある取手を握り右へ左へと横Gが来るのを堪えながら啓介が前方に眉を細めながら視線を向けていた。コーナーを3つほど抜けた辺りから彼女のペースが速くなっているようで、コーナーに侵入するたびにまるで消えるように突っ込んでいくのが彼の目にはしっかりと映っているらしい。

 

 

 

 

ー流石に適応力が速すぎる…っ!最初こそ雨に慣れていないせいか控えめに走ってたのに…!あの短時間で把握したのかよ…!?ー

 

 

 

「っ!」クン!

 

 

 

 

ふと隣に視線を向けると、そこにはステアリングを操っている涼介の姿が。だがさっきまでの余裕はどこに行ったのかというレベルでなくなっており焦りの表情を見せながら忙しくステアリングに修正舵を入れながら雨のダウンヒルを疾走している。

 

 

 

 

ーさっきとはアニキの雰囲気がまるで違う…。赤城でもこんな表情になったことがないのに。まさか…アニキが本気になったのか…!?ー

 

 

 

 

普段見せないような表情に啓介は思わず息を呑みながらその様子をしばらくの間見つめている。その間にも2台は激しいレインバトルを繰り広げており、高いスキール音やエンジンサウンドが雨の赤城山に児玉していくのであった…。

 

 

 

 

 

 








第十二話 動き出す影
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