頭文字Dー歌姫の最速録ー   作:三坂

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 今回が今年最後のイニD投稿になります
 色々と改めてありましたが、皆様のお陰でここまでこれたので本当にありがとうございます!

 そして様々にリクエストしてくださりありがとうございます、頂いたキャラはストーリー進行に絡めながら合った場面に登場させて行こうと思います。

 今年も残るところ僅かになりましたが、皆様よいお年をお過ごしください!!

 それでは!!また来年!!


第二十三話 お見通し

 

 

 急に明日香に声をかけられた2人だったが、面倒くさそうな啓介とは裏腹に涼介は至って冷静に笑みを浮かべながらどうされたのかと尋ね返す。

 

 

「……」

「どうされたのかな?お嬢さん」

 

 

 やっぱ噂になっている通り2人とも美男系だなーと内心思いながらも、一応確認も兼ねてレッドサンズの高橋兄弟かと質問。

 もちろん涼介も隠すつもりはないため、そうだと答えると明日香は笑みを浮かべながら丁度良かった!と口にしながら自己紹介をしていく。

 

 

「あの一応聞くんですけど、お二人って赤城レッドサンズの高橋…兄弟ですよね?」

「いかにも、俺がレッドサンズのリーダーをやってる高橋涼介。それでこっちが弟の啓介だ」

「……うっす…」

「そうでしたか…!それは丁度良かったです♪あっ私滝沢明日香っていいます、そこの赤のMR2乗りでコレでも走り屋やってます!」

 

 

 その後挨拶を終えるとまずは正攻法で試すことにした明日香は、急で申し訳ないが…と一言付け加えながら自分とバトルをしてほしい…と真剣な表情で直談判を試みる。

 当然自分がそのへんの走り屋でないことを証明するため、普段は秋名や妙義を中心に走っていること、そしてナイトキッズのツートップと絡んでいることも付け加えた。

 

 

「それで急で申し訳ないんですけど…、よければお二人のどちらかでも良いので…。私と、バトルをしてくれませんか!」

「なるほど…バトルですか」

「あっもちろん自分で言うのもアレですけど、そのへんで走ってる連中と一緒にしないでくださいよ?これでもナイトキッズのツートップと絡んで走ってるので」

 

 

 本人は決して変な風には言ってはいないものの、啓介から見れば自信過剰の女性走り屋がバトルをふっかけているように見えるもの。

 コイツ俺たちの実力分かって言ってんのかよ…と不服そうに見ていたが、涼介はこれがただのバトル挑戦状ではないことに感づいているようで…

 

 流石は公道最速理論を唱えているだけもあってか、明日香のことも知っていると言わんばかりに先ほどの説明に上乗せするように次々と実力を当てていく。

 

 

ーちぇ自信過剰のタイプかよ、コイツ俺たちレッドサンズの実力わかってんのか?しかもナイトキッズ絡みか…、ったく面倒くせぇ…ー

「…そうか、君が例の。…常々話は聞いているよ、妙義で唯一ナイトキッズのツートップと張り合える実力を持つ女性のMR2乗りってことを」

 

 

 まあもちろんのこと妙義でかなり有名になっている時点でこうなることは予想していた明日香は、相変わらず平然を装いながら受け答えていく。

 だがそれだけで終わるはずもないもので、彼女が非公式だが妙義でのバトルでそのツートップを破ったことも知っている…と追加で指摘。

 

 これも彼女は別段気にしていなかったが、啓介だけは違ったようでマジかよ…と少し驚きげに目を少し見開いた。

 

 

「いやー、やっぱ有名になってるよねー。ってか流石はレッドサンズのリーダー、情報収集が早いことで」

「ふっそれだけじゃないさ、非公式だが妙義ナイトキッズのツートップを君は打ち破っているそうじゃないか」

「……はっ?」

ーおいおい嘘だろ?コイツが妙義ナイトキッズのツートップを!?シビックはともかくあのGTRもか…!?ー

 

 

 確かにガラが悪いことで有名な上に大のGTR嫌いでもある啓介はリーダーの中里に対していい思いを持っていない、だがそれでもナイトキッズでは高い実力を持っていることは知っている。

 ソイツら相手に勝っただと…と信じられない啓介だが、涼介は相変わらずクールな表情を見せつつ、そんな貴方が何故急に赤城へ来たんだ?と質問していく。

 

 

ーシビックはともかくオレの嫌いなGTRも倒したのかよ…!?冗談よしてくれ…、腐ってもナイトキッズのツートップ組だぞ相手は…ー

「おやおや、そこまでもうご存知でしたか。まあ相手が相手だし仕方ないといえばそうかな?」

「…だがそんな貴方がどうして急に赤城へ来たのか…、俺からすればそれが不思議で仕方ないな」

 

 

 普段妙義や秋名を中心に走っており、ナイトキッズとよくツルんで走っている走り屋がいきなり赤城へ現れたとなれば少しおかしな話。

 仮に自分たちレッドサンズが最初から目的だったとしても、涼介かは言わせればこの雰囲気は本気でバトルを申し込む訳では無い。

 

 あくまで本当に第2の目標に過ぎないと言わざるおえず、それを最初から予想していたレッドサンズのリーダーは、赤城に来た目的は別にあるな?と笑みを崩さずに話を続ける。

 

 

「普段妙義や秋名、しかもナイトキッズとツルんでる君が突然赤城を走り出すというのはおなしな話だ。だが仮に目的が俺たち高橋兄弟だとしても、君ぐらいの走り屋なら手順を踏むと思うが…」

「……」

「…いや最初から俺たちが目的ではないんだろ?もちろん俺たちもそうなのだろうが、あくまで第2の目標に過ぎない」

 

 

 明日香もそこまで当てられては平然さを装えなくなったようで、気づけば主導権は完全に涼介へと奪われてしまっていた。

 だが何が起こっているのかさっぱりな啓介は、少し視線をオロオロさせながら説明してくれ…と言わんばかりにアニキを問い詰めていく。

 

 しかしここまで来たら答えは涼介曰く簡単…ということのようで、俺たちレッドサンズが主目的でない+赤城でレッドサンズ以外話題となっている走り屋は一握りしかいない。

 

 

「へっ…へぇ、さっ流石…やっぱ高橋涼介は只者じゃなさそうだね…」

ーやべー…、完全に主導権奪われた。ってかこれほとんどバレてない?ー

「あっおいアニキどういうことだよ!?オレには全然わかんねぇ…、ってか俺たちはコイツの目的じゃないって…」

「…考えなくたって分かるだろ啓介、俺たちレッドサンズが目的じゃない…そしてそれ以外で赤城にわざわざ赴くほど話題になっている走り屋となれば…」

 

 

 もはやお見通しと言わんばかりの表情でそうだろ?と聞かれた明日香は、こりゃ一本やられたわ…と観念した表情を見せながら本当の目的は赤城の歌姫だと白状していく。

 最初こそ意味を理解していなかった啓介だったがその名を聞くと驚きを露にしながら声を上げ、見透かしていた涼介はやっぱりな…と口にする。

 

 

「そうだろ、明日香さん?」

「たはは…その感じだとバレてるっぽい。レッドサンズのリーダーさんの言う通り、私の本当の目的は『赤城の歌姫』よ」

「なっ…!?なん…だと…!!」

「……やっぱりな」

 

 

 詳細な経緯はプライバシーの関係で伏せたものの偶然にも赤城の歌姫と出会ったこと、そしてその流れでバトルの挑戦状を叩きつけたら了承を得たことも彼女は話していく。

 まあいきなりそう言われてもはいそうですか…となるわけもなく、まだ半信半疑の啓介だったがアニキの反応的に見ても嘘ではなさそうだ…と内心そう思う。

 

 

「詳細な経緯はプライバシー関係で伏せますけど、少し前にたまたま赤城の歌姫さんと知り合ったんです。んで流れでバトルの挑戦状叩きつけたら、案外あっさり了承されちゃって」

「…相変わらずってところか、バトルの挑戦状を叩きつけられたら受けるというのは」

「………」

ーコイツの言っていることは疑わしいが…、アニキの反応からして歌姫のバトルするのは嘘でも…なさそうだなー

 

 

 そのバトル自体が今週の水曜日に行われるため今はそれに向けて赤城を走り込んでいた最中だったようで、丁度いい練習相手を探していたらたまたま高橋兄弟と遭遇。

 しかしレッドサンズは余程のことがない限り地元ではバトルを受け付けないため、ある策を利用して誘引を企んでいたが…それが赤城の歌姫というのをあっさり見抜かれ今に至るようだ。

 

 

「んで今週の水曜日にここでバトルすることになって、今さっきまでコース覚えるために数日ぐらい走り込んでいたんです。でもそれだけじゃイメージが沸かないもんで…」

「それで俺たちを見つけたから、丁度いい相手として寄ってきた…ということか」

「はい、でもレッドサンズは余程のことがない限り地元じゃバトルしないで有名なんで…。ちょっとした策で誘導しようと思ったんですけど、見抜かれちゃいましたね…」汗

ーなるほどな…、正攻法じゃ無理だから赤城の歌姫を餌に俺たちを……。コイツナイトキッズとツルんでる割には頭いいぜ…ー

 

 

 もちろん本来であるならば彼女の言う通り、レッドサンズは滅多に地元でのバトルを引き受けないためあっさり断られてしまうのが普通というもの。

 だが赤城の歌姫絡みとなれば話は大きく変わるというもので、今回は特別に君の挑戦状を受け入れよう…と口しながら涼介は難なく了承することに。

 

 

「確かに俺たちレッドサンズは、基本的に地元でのバトルは受け付けない。本来なら君の挑戦状もお断り…なんだが…」

「……」

「…それが赤城の歌姫絡みとなれば話は別だ、特別に君の挑戦状を受けるとしよう」

 

 

 まさか見抜かれるとは思っていなかったものの、やはり赤城の歌姫絡みということで難なく受けてくれたため、あまりの嬉しさでついガッツポーズを浮かべる。

 その様子を見ながらも本当にいいのかよ…と改める形で確認する啓介に対し、彼女が嘘をついているように思えないこと…そしてあの状況で俺が断ると思うか?と質問で返した。

 

 

「えっマジ!?よっしゃ!」

ー思ってたのとちょっと違うけど…、まっ結果的にはオーライってやつだな!ー

「ほっ本当にいいのかよアニキ…、受けちまって」

「確かに本来なら断るところだが、彼女が赤城の歌姫とバトルするというのも嘘では無さそうだ。だったら、そんな状況でこの俺が断ると思うか?」

 

 

 確かにアニキならやりかねないな…と少し頭をポリポリしながらそう呟いた啓介だったが、その横では涼介が明日香と何やらバトルに向けた打ち合わせ的なのを進めていた。

 まあ別に2人同時…というのも出来なくはないが、一応確認も兼ねてどちらとバトルしたいかなどの要望はあるか…と尋ねた涼介に対し、明日香はどっちでも構わない旨を伝える(もちろん先ほど走り込んだので、タイヤの余力のことも考え流石に連戦は断ったが)。

 

 

「……まあ、アニキならやりかねないわな…」

「そうと決まれば色々と手短に決めないとな、要望とかはあるか?」

「一応今日ここ、赤城峠のバトルでダウンヒルバトルを。ルールとかはそちらに合わせます」

「なるほど、なら基本的なよーいどん方式で行ったほうが無難だな。あとどっちとバトルしたい…というのはあるか?」

「あっそれはどちらでも構いません!勝ち負け関係なしでどんとこいっ!って感じなので♪…でも流石に連戦は、タイヤとかの余力もあるので…」

 

 

 それを聞いた涼介は少し考えていたが、ならこちらは啓介がお相手することにしよう…と突然自身の弟を指名。

 これには流石の啓介も思わず声を上げたが、どうやらハチロクコンビに連敗して不完全燃焼な状態を発散するにはいい機会だ。

 

 そもそも近い内、赤城の歌姫との本格バトルが終わり次第公道最速プロジェクトを再始動することも控えているため、それに備えた準備運動には持って来いという考えもあるのだろう。

 

 

「ふむ…、なら君の相手は啓介に任せるとしよう」

「はぁ!?なっなんで俺が…、てっきりアニキが受けるもんだと……」

「何、最近お前はハチロクに連敗してて不完全燃焼だったろ?ならそれを発散するにはいい機会だ、走り込みの成果もみたいしな」

「……そりゃそうだが…」

「まっそれに加えて近いうちに公道最速プロジェクトも再始動させるんだ、その準備運動には持って来いだろ」

 

 

 まあそれなら別にいいか…と涼介の提案を聞いて納得した啓介は、話が終わると明日香の方に視線を向けながら軽く挨拶と意気込みを語っていく。

 もちろん明日香のほうもそれに答える形で改めて挨拶をしながらも、互いに目に見えない目のバチバチをぶつけていくのであった。

 

 

「…まあならいいが、…改めてレッドサンズの高橋啓介だ。言っておくが端からオレは手加減するつもりはない、ナンバー2の実力におののくがいいぜ」

「滝沢明日香です、もちろん望むところです!こちらも油断するつもりはないですし、女の子だからって手加減してると痛い目見ますよっ?」

「ふんっ、口は達者だな。果たしてそれに見合うほどの実力があるかどうか…拝見だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから少しして赤城峠麓の駐車場、バトルがあればダウンヒルのゴール地点として設定されている場所に見慣れたレッドサンズメンバーの中村賢太、そして広報担当である上有 史浩の姿があった。

 どうやら急遽バトルをすることになった関係で、ゴール地点でどっちが勝ったか、そして対向車の有無などの確認を任されているらしい。

 

 無線機片手に史浩は頂上にいる涼介に対して、こっちは準備完了という報告を行い、彼も了解という胸を伝えていく。

 

 

『こっちは準備完了だ。いつでもいいぞ』

「わかった、急にすまないな2人とも。急に呼び出して、それじゃあとは頼むぞ」

 

 

 麓にいる史浩と連絡を終えたタイミングで、自身が立っている道路の真ん中、その左右にスタートラインに指定された場所に2台がゆっくりと前進してゆっくりと停車。

 リトラクタブルのヘッドライトで前方を照らしながら、涼介からみて左側にMR2、右側にFDが待機しており、今か今かと飛び出すタイミングを待ち浴びていた。

 

 

「…さてと、こっちも準備は良さそうだな」

ウォンウォン!!

ウォンウォン!!

ヒュルルルゥ

 

 

 その車内、FDのステアリングを握る啓介はふと隣に止まっているはMR2、そのハンドルを同様に握っている明日香を横目に見ながら、先ほどとは全く違うオーラに少し興味を見せていた。

 

 案外思っていた以上にやるかもしれない…、そんなことを一瞬思いながらもすぐにそんなことは関係ないと首を振っていく。

 それよりもレッドサンズの意地とプライドとして完封してやる…と真剣な目つきを見せながらカウントを始めるという涼介の合図の元、視線を前へと向ける。 

 

 

ー……(チラッ)さっきとはオーラが全然違うなアイツ、なんとなくは思っていたが…こりゃ思っていたよりもやるかもしれねーな…ー

「それじゃ、カウント始めるぞ!」

ー…いやそんなのは関係ない、レッドサンズの…オレのプライドと意地にもかけて…絶対に完封してやる…。伊達にアニキにしごかれて来たんだ…!ー

 

 

 スタート5秒前の元、徐々にカウントダウンしていく中2台は相変わらずいつでも飛び出せるようにエンジンサウンドを咆哮させながら今か今かとスタートの合図を待ち浴びる。

 そんな2台を見ながらもカウントを進めていった涼介は、0になると同時に上げていた右手を大きく振りかざす。

 

 

ウォォォォン!!

ウォンウォン!!

「スタート5秒前!!

 

4っ!

 

3っ!

 

2っ!

 

1っ!

 

GO!!」

 

 

 それと同時にまってました…と言わんばかりに2台は激しくリアのタイヤをスピンさせながら、白いタイヤ煙を巻き上げつつ弾かれたように飛び出していく。

 先ほどまで静かだった赤城峠に甲高いエキゾーストサウンドを響かせながらも2台は縺れるように暗闇のダウンヒルへと飛び込んでいくのであった。

 

 

ギャァァァァァ!!!

 

 

 

 

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