頭文字Dー歌姫の最速録ー   作:三坂

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どうも超お久しぶりです
モチベーションが少し戻ってきたので次話投稿になります。

 今回はサブタイトルでわかる通りあのお方が登場します()


 それとイニシャルDが30周年を迎えましたね
自分が車好きになったきっかけとも言えるので、なんとも嬉しい限りです。
 新シリーズも始まったことですし、しげの秀一さんには無理をせずに頑張ってほしいです…!




第二十七話 デンジャラス慎吾

 

 

 秋名山頂上のストレートでのスピン練習を済ませた池谷は今度は麓近くの低速セクションでのサイドを使ったスピン練習をするために流し気味でダウンヒルを走っていた。

 

 

フォー…

 

 

 とはいえどやはり車を思うように操るというのは走り屋としての経歴がそこそこ長い池谷でさえも難しく感じるらしい。

 

 

ーやっぱクルマを思い通りに操るのってホントに難しいよなー……ー

 

 

 だからこそ自分よりも若いのに高いドライビングテクニックを持つ後輩的存在の拓海や友奈は、彼からすれば憧れの存在のようにも思えてしまう。

 特に拓海に関しては同じ秋名の走り屋、だからこそ何か得られるものがあるのではないかと内心思っている様子。

 

 

ーそう考えると拓海や友奈ちゃんはすげーよな、若いのにあんなテクニック持ってんだから…。特に拓海は俺と同じ秋名の走り屋…、なら何か得られるものがあるかもしれないなー

 

 

 もちろんそのために少し前拓海のハチロクの隣に乗せてもらったのだが(池谷失神事件)、それよりも樹のように自分のクルマで走ってもらい、横に乗って横から見る方が参考になると考えているようだ。

 

 

ーもう一度拓海の横に乗ってみてーな、出来ればイツキみたいに自分のクルマで走ってもらって横でみるのが一番参考になるんだが……ー

ガアオオオオ

 

 

 とまあそんなことを考えながら車を流すように走らせていた池谷だったが、ふとバックミラーに映り込んだ光に気づくとハッと我に返る。

 どうやらいつの間にか後ろから1台追い上げてきていたようで、ぴったりとケツに張り付く様子をミラーで見ながら思わず速いな…と呟く。

 

 

カッ

ー…っ…気づかなかったぜ…、いつの間にか後ろに1台…!!ー

「…かなり速そうだな」

 

 

 だが張り付いてきたと思った矢先に、突然バンパーをどつかれたことで思わず驚きの表情を露にした。それもそのはず、このタイミングでバンパーをつついたと言うことは=遅いからどけということに直結する。

 

 

ギャァァァ

コン

ー…バンパーつつきやがったァ!?遅いからどけってことかよ…!!ー

 

 

 当然ながらそんなことをされてはいそうですかとおとなしく譲るはずもない、突かれたことで完全にスイッチの入った池谷は譲らんと言わんばかりアクセルを強く踏み込む。

 

 

「クソッタレ!そんなことされちゃ余計に譲りたくなくなるぜ!!どうしても先にいきてーなら俺を抜いてからにしな!」

ドギャァァァ

 

 

 同時に彼の操るS13シルビアもそれに応えるように甲高いエキゾーストサウンドを響かせながら加速、後続を振り切ろうとせんばかりにペースを上げていく。

 しかし後ろの車はその光景に驚くこともなく、むしろその反応を待ってましたという雰囲気を見せながら、後を追うように加速する。

 

 

ガァァァァ

 

 

 とはいえどしばらくは相手の実力を把握するためなのか大人しく追走しており、それがまるで余裕だと言わんばかりのオーラを漂わせていた。

 しかし池谷はそんな相手の不気味な雰囲気に気づくことなく、コーナーの立ち上がりで不安定な挙動になりつつも精一杯にクリアしていく。

 

 

「……」

「ちっ…!!」

ゴクッ!!

ドギャァァァ

 

 

 だが不気味な雰囲気を見せながらも後ろからついてくる車は特にこれと言ったアクションを起こさず、池谷のペースに合わせるようにコーナーでブレーキをパカパカさせながら立ち上がっていく

 とまあそんな感じでもつれ合うように何個かのコーナーをクリアしながらダウンヒルを疾走していくうちに、2台はとあるキツめの左コーナーに差し掛かる。

 

 当然池谷は今までクリアしてきたコーナー同様にフルブレーキングからの、ギアを2速に叩き込んでからステアリングを切り込んでコーナーに突っ込もうとした訳なのだが…

 

 

ゴヒャァァァ

 

 

 突如として何の前降りもなく後ろを走っていた車が、先程小突いてきたのとは比べ物にならないほどの勢いで勢いよくフロントバンパーをS13のリアバンパーへ接触。

 もちろんコーナーに突っ込んでいる最中なので若干アウトにリアが振っており、そんな状態でどつかれたらバランスを崩すというもの。

 

 

ゴッ!!

「うおっ…!?」

 

 

 派手なスキール音と共にバランスを崩しした池谷のS13は、コントロール不能状態となりながら悲鳴と共にド派手なスピンをかましていく。

 

 

「うああああぁぁぁっ!!?」

ギヤァァァァァ

 

 

 しかし小突いた張本人である後ろの車は特にこれと言って気にすることなく、少しつついたぐらいでバランスを崩すFRは情けないぐらい不安定だねぇ…と呟きながらスピンして回転するS13の横を通り抜ける。

 

 

「…ターンイン寸前の荷重が抜けたリアをちょいと押すだけですぐにとっちからかる、情けないぐらいに不安定だねぇ…FRって奴は」

ギャァァァァ

 

 

 だがその際にふとみえた秋名スピードスターズのチームステッカーに気付いたようで、おやっ?という表情になりながらも自身の愛車をゆっくりと減速させていく。

 

 

「…秋名スピードスターズ?」

ギャァァァ

 

 

 その間にもしばらく回転しながらコントロールを失っていたように思えたS13であったが、不幸中の幸いかコーナーに上手くそってスピンしたお陰で車をぶつけることなく停車させることに成功。

 しかしかなり肝が冷えたのは間違いなく、息を荒げながら池谷は額から冷や汗を流していた。

 

 

ドッドッ

「はぁ…はぁ…、たっ…助かった…上手くコーナーにそってスピンしたからクルマをぶつけずに…」

 

 

 だがその際、右側からテールランプの光が差し込んでいることに気づいてふと顔を上げながらそちらに視線を向けていく。

 するとそこには赤色のEG6が少し先で停車しており、そのドライバーである不敵な男 庄司慎吾は悪笑みを見せながらゆっくりと愛車を発進させる。

 

 

「……」フッ

ゴアアアア

 

 

 もちろんあのEG6が自分のS13にぶつけてスピンさせたのは池谷も分かっており、謝罪すらなくゆっくりと走り去る光景にわざとぶつけたなと怒りを露にさせていく。

 当然逃がすはずもなく一旦ギアをバックに入れて車を下げると、1速にギアを叩き込んで車を再度発進させてコースに復帰。

 

 その後は怒りを露にするように甲高いエキゾースト音を響かせながらフル加速していき、あっという間にEG6のケツに張り付いた。

 

 

ーあのヤロー…わざとぶつけやがったな…!!逃さねーぞ…!!ーゴクン

ゴシャァァァァ

 

 

 まあ当たり前ではあるが慎吾も追いかけてくることはわかっていたため、相変わらず不敵な笑みを浮かべながらついてこれるかな?と内心そんなことを思いながら右足をブレーキに添えていく。

 

 

ーふんっ、秋名のイモがついてこれるかな?ー

スッ

 

 

 もちろんブレーキに足を添えたことでリアのブレーキランプが点灯、何もないストレートで突然減速するEG6に気づいた池谷は慌ててブレーキを勢いよく踏み込む。

 幸い急激に車間が詰まったものの接触寸前でぶつかることはなかったものの、急にフルブレーキングした影響かS13はふらつきながら急激に失速。EG6との車間を今度は急激に空けた。

 

 

「うぉっ!?」

ガバっ

ギャァァァ

キュルキュル

 

 

 当然その間にも慎吾は素早く右足をアクセルに踏み直すと何事もなかったかのように加速、突然のブレーキングで混乱しているS13を突き放しにかかろうとする。

 しかし池谷も黙ってやられるような性格ではないため、とんでもないやつだと口にしながらこちらもアクセルに足を踏み直して再び加速。

 

 

「ふふっ…」ガバっ

ンバアアア!!

「…なんてやつだ…」ハァ…ハァ…

 

 

 その間にも一足先にコーナーへと差し掛かったEG6はまるでレースーカーの如く鋭いコーナリングで突っ込んでいくが、相変わらず怒り心頭な池谷は負けじまいと相手のペースに合わせるように飛び込む。

 

 

ギャァァァ

ギャン!!

「舐めやがって…!!」

 

 

 コーナーギリギリまでブレーキを引っ張ると、ここぞと言わんばかりにフルブレーキング。2速にギアを叩き込みながらステアリングを切りみながらサイドブレーキを勢いよく引き上げる。

 

 もちろんサイドブレーキを引いたことでリアのタイヤがロック、そのままリアを滑らせるようにS13はコーナーをドリフトほどではないがハイスピードで流していく。

 

 

「っ!」

ウォンウォン!!

ギャァァァ

 

 

 だが多少無理な体制での滑らせのため立ち上がりで大きくふらついてしまい、左右にふらつく車体を池谷はステアリングを必死でコントロールさせながら立て直す。

 

 

「っち!!」

キュルルルル

 

 

 しかしいつもより速いペースで突っ込んだお陰でなんとか先程開いた差を埋めることに成功、再びS13は背後霊のようにEG6の真後ろにへばりついた。

 とはいえその程度で慎吾が驚くはずもないもので、特に後ろを気にする様子を見せずに次のコーナーへのアプローチしていく。

 

 

「はぁ…はぁ…!」

ーぜってぇ逃さねーぞ…!とっ捕まえて謝らせるまでは…!!ー

 

 

 もちろん池谷も遅れまいEG6に続くようにとコーナーへ飛び込もうとしたが、コーナー直前なのにアクセルを緩めることなく飛び込む前走車に対し物凄い突っ込みだと池谷は驚愕。

 

 

ギャァァァ!!

「うぉ…!?すげー突っ込みだ…!!」

 

 

 だがこれで驚くのはまだ早いと言わんばかりにアクセルを緩めることなくコーナーに突っ込んだ慎吾は、右足はアクセルペダルを踏んだまま左足で調整するようにブレーキペダルを何回かに分けつつリリース。

 物凄いスピードでコーナリングしながらブレーキランプが何度も点滅する光景を目にした池谷は、先程の突っ込みとは比べ物にならないぐらい驚きを露にする。

 

 

ギャァァァ

「げっ…!?ブレーキランプ!?あのスピードで……コーナリングしながらブレーキランプ!?」

 

 

 しかしそんな池谷を気にすることなくブレーキランプを点滅させながら突っ込んだEG6はまるで消えるようにカーブの奥へと消えていく。

 もちろん遅れまいとこちらも限界ギリギリのコーナリングで左コーナーをクリアして飛び出したものの、出口に差し掛かる頃には既にはるか遠くまでテールランプの光が離れていた。

 

 

ゴギャァァァァ

「っ!」

ーくそっ!とてもついていけない…!物凄いテクニックだ…!!ー

 

 

 流石にここまであからさまに実力の差が露見してしまってはどうやっても追いつくことは不可能、それに無理に走って車をつぶすわけにもいかないため池谷は追いかけることをあきらめて車をスローダウンさせる。

 

 だがそれと同時にあのEG6の突っ込みのスピードがとんでもない速さだと感じており、下手したら拓海や友奈以上の速さかもしれないと感じている様子。

 

 

ー…今のEG6…突っ込みの速さは拓海…いや下手したら友奈ちゃん以上かもしれない…ー

「…アイツ一体何者なんだ」ボソッ

 

 

 しかしそんな池谷の疑問とは裏腹に、赤色のEG6は夜の暗闇に包まれた秋名のダウンヒルに甲高いVTECエンジンを響かせながらも、相変わらずコーナーでブレーキをパカパカ点灯させながら疾走していくのであった。

 

 

ギャァァァ

 

 

 

 

 

 

 それから翌日、相変わらずクソ暑い上に眩しいという夏らしい天候の中、スタンドではアルバイト3人組がいつものように汗水流しながら元気な声を響かせつつ働いていた。

 

 

パパーっ

「「「ありがとうございましたー!!」」」

 

 

 そんな中スタンドの店舗入り口近くでは池谷が、昨夜遭遇したEG6に関して愚痴を挟みながらも店長と何やら真剣な表情で話し込んでいた。 

 確かに愚痴を零したくなるような相手ではあったものの、それ以上に今までに見たことがない走りだったので気になって仕方ないというのもあるのだろう。

 

 

「…にしてもマジ頭に来ましたよ」

「ほぉー、コーナリングしながらブレーキ…。しかも物凄いスピードで…」

「そうなんですよ…、あんなの…今まで見たことがなくて」

 

 

 当然その会話は拓海達の耳にも入ってきており、話している内容を手が空いたから聞こうと池谷の背後からやってくる。

 だがそんな中樹は何も考えてなさそうな表情を見せながら、そんなことよくあることなんじゃないかと発言していく(拓海はげっという表情になり、友奈は半分呆れているが)。

 

 

「そうですかぁ?そんなのよくあることじゃないですかー」

 

 

 彼曰くコーナー途中でブレーキを踏むことはしょっちゅうあるようで、その池谷が遭遇したEG6も同じような感じじゃないかとのこと(絶対違うが)。

 しかし樹は全然気にしていないようで、実際に手足を動かして自分がよくやる光景を再現。見かねた友奈に止められていた。

 

 

「コーナーの途中でブレーキ踏むなんてしょっちゅうですよー、あっやばいスピード出しすぎた。怖いよーちょんt……」

「はいそこまでイツキ君(汗)多分池谷先輩が言いたいことはそうじゃないと思うな」

 

 

 実際友奈の言う通りであり、池谷はそんなんじゃないんだよなと口にしながらそのEG6が物凄いスピードでダウンヒルのコーナーをクリアしていったことを説明。

 

 

「そうなんだよ、友奈ちゃんの言う通りイツキが言ってた低レベルな話題じゃないんだよな…。そのEG6、物凄いスピードで下りのコーナークリアしていったんだぜ」

 

 

 だが樹と拓海は何のことやらさっぱり…という感じで立っており、店長は柱に背中を預けながら話を聞いていた。しかし友奈は思い出したように閃いた表情を見せながらそれって左足ブレーキなのでは…、と口にしつつ池谷に訪ねていくのであった。

 

 

「……」

「…あっそれって池谷先輩、もしかしてそのEG6左足ブレーキやってたんじゃないですか?」

 

 

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