頭文字Dー歌姫の最速録ー   作:三坂

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今回は日常回です((



第二十九話 恋の始まり?

 

 

 夏ということもあってか日差しがしっかりと差し込む中、渋川市内を道行く人たちは日傘やラフな格好で歩きており、車に乗っている人たちも一部エアコンなどを使い暑さや眩しい日差しを凌いでいた。

 

 そんな中、ホノモータースは定休日ということもあってか工場のシャッターは閉まっており、目の前の幹線道路の車通りとは違い静寂に包まれていた。

 …工場の裏手を覗いて

 

 

「おりゃ!」

「あぶっ!?」

 

 

 基本的にホノモータースは正面が工場兼ショールームになっているが、家自体は裏手に別途建てられる感じで存在している。

 そんな焔家の家と工場に挟まれる形で存在するそこそこ広い庭の隅に存在する小さめプールでは、水着姿の羽南と祐也が仲良く水浴びをしていた。

 

 

「やったなーっ?このっ!」バシャ

「うぉ♪いいのが来たねー♪」

 

 

 普通に考えれば高校生の男女がこうして遊んでいればカップルなのかと思うものだが、別に2人は付き合っているというわけではない。

 というのも羽南と祐也は幼馴染ではないものの、昔から付き合いの長い親友であり、毎年夏になったらこうして焔家にあるプールで遊んでいるとか。

 

 もちろん過去には友奈も一緒に遊んでいたこともあったが、残念ながら今日はスタンドでのバイトのためパスしているとか…。

 

 

「友奈もこれれば良かったんだけどねー、バトル前のリラックスとして」

「まあバイトが入ってたんなら仕方ないな、けど夏休みはまだまだあるから次の機会に誘えばいいと思うぜ」

「だねっ、それもそうか」

 

 

 ちなみに2人の水着としては祐也は普通の黒海パンで、羽南はライトグレーのハイネック型ビキニとなっている。

 普段の雰囲気や見た目からしてボーイシュ系が強く、男子と混じっていても違和感のない彼女だが、れっきとした女の子。

 

 やっぱ整備士として家の手伝いしてるのもあるのだろうが、普段以上に肌の露出が多い水着だと祐也曰くスタイルはいいとのこと。

 

 

ーにしてもまあ、こうしてみると女の子なんだよなぁ…。普段学校じゃ野郎に混じっても違和感はないんだが…ー

「まっ今日は私らでしっかり楽しんじゃお…!工場もお休みな訳だし!」

ーそれにやっぱ整備士として手伝ってるのもあるが、スタイルはいいんだよなぁ…コイツー

 

 

 とまあそんなことは口に出さない常識はある祐也だったが、その直後に一階ベランダの窓が開いたと思ったら冷たい飲み物やスイカを持ってきたのだろう。

 トレーに皿やコップを載せた状態で羽南の母親である来海が、楽しそうな2人を見て微笑みながら一声かけてきた。

 

 

「だな、せっかく誘って貰ったんだし楽しむk…うぉ!?」ザブ

「へへー、隙あり♪」

「あらあら、楽しそうにしてるわねー。でもそろそろ休憩挟みなさいよー?冷たい飲み物とかスイカ持ってきたから」

 

 

 すると食べ物に反応したのか、羽南がスイカ!?と目を輝かせながら視線を祐也から来海に向けていき、すぐに取りに行くと口にしながらプールから上がっていく。

 そんな相変わらずな親友に思わず苦笑いをしながらも、自分も食べるために同じようにプールから上がっていくのであった。

 

 

「えっ!?スイカ!食べる食べる!」ザバッ

「ははっ(汗)相変わらず元気なこった、まっオレも頂こうかな」

 

 

 

 

 

 とまあプールから上がった2人は来海が用意したスイカや冷たい飲み物を飲みながら縁で一時の休息をしていた訳だが、ふと焔家にあるプールに関しての話題になる。

 ちなみにこのプールは羽南のお爺ちゃんが、孫のためといって作ったものらしく、彼女も気に入ってか夏になったら毎年欠かさずに使っているとか…

 

 

「…にしてもまあ、羽南のお爺さんも凄いよな…。家の庭に簡易とはいえプール作るんだから」

「あはは…、まあおじいちゃん根っからの孫っ子だったから…。でもプールはいまでも嬉しいから毎年この季節になったら使ってるよ♪」

 

 

 ただ1人で泳ぐには寂しいというもので、祐也を始めとして友奈も誘って今のように一緒に楽しんで泳いでいるという訳だ。

 とそんなことを話していると知り合いから貰ったというスイカをあっという間に食べ終わったので、羽南がお皿を片付けてくると口にしながら立ち上がろうとする。

 

 

「まあでも、1人で泳ぐには寂しいからこうして祐也や今いない友奈ちゃんを誘ったりしてるんだけどねっ」

「…確かに、1人で泳いでも楽しくないわけだし…。にしてもこのスイカ美味しいな」

「知り合いの畑で作ったやつらしいーよ、っともう食べ終わっちゃった。ちょっとお皿片付けくるね」

 

 

 しかしその際に中途半端に足元に起きていたサンダルを踏んでしまいそのままバランスを崩してしまう。

 もちろん祐也も気づいてカバーに入ろうとするが、無理な体勢で支えたため2人仲良く芝生の地面にドタドタと音を立てながら倒れ込んだ。

 

 

「っと……(グラッ)わっ!!!?」

「あっおい!大丈夫……あっやべ」

「「あわわわっ!?」」ドタドタ

 

 

 幸いそこまで高くない位置からの落下な上に受け身もしっかり取れていたことから、2人は怪我をせずに済んだらしい。

 羽南の上に覆いかぶさる形で倒れていた祐也は、羽南に大丈夫かと伺いながらもゆっくりと起き上がろうとする。

 

「いてて…、大丈夫か?怪我とかしでn…」

 

 

 …がその際に右手に何か柔らかい感触が伝わってくることに気づき、なんだ?と思いながら祐也は軽く右手を動かそうとしていく。

 だがその瞬間に聞き慣れた声だが、今までに聞いたことない軽い悲鳴が聞こえたことでその動かそうとしていた右手が反射的に止まった。

 

 

ーん?なんだこれ…なんか柔らかい感触g……ー

「ひゃう……///」

「……へ?」

 

 

 一体何事だろうか…そんなことを思いながらも声がした方に視線を向けると、そこには仰向けで地面に倒れている羽南の姿が……いや何故かその表情は頬を赤らめている。

 それはもう今までにないぐらいの赤らめっぷりであり、なんでそんな表情をしているのかと一瞬疑問に思っていた祐也だったが…

 

 

「あっえっと……羽南?」

ーさっきの変な声コイツか?ってかなんでこんな表情赤くして…ー

 

 

 ふと自分の右手が胸元を護るように付けられているハイネックの水着の中に突っ込まれていることに気づくと、すぐに状況を理解。

 だが驚くほどに冷静に突っ込んだ腕を抜いていくと、何ともいえないような表情で祐也は羽南に謝っていく。

 

 

「……あ……、………すまん」

 

 

 しかしわざとではない上にこうなった原因が自分にあることを分かっていた羽南はゆっくりと起き上がりながらも気にしないでとフォロー、その後改める形でお皿を片付けにパーカーを羽織りながら一旦室内へと入った。

 

 

「あっ全然大丈夫…!!///もっもとは言えば私がコケたのが原因だし…!うん気にしないで…!///」

「おっおう……」

「とっとりあえずお皿戻してくるから…!///祐也はここで待ってて…!///」

 

 

 とまあそんな感じでリビングに入って窓を閉めた羽南だったが、実際は心臓バクバク状態であり親友に胸を触られたことをめっちゃ気にしていた。

 

 

バタン

「………」

ーど…どどどどうしよう…!?///祐也に胸触られた…!///ー

 

 

 いくらラッキースケベなうえにハプニングでこうなったとはいえ、親友に…しかも異性に触られたとなればそうなるのも無理はない。

 しかし嫌かと言われるとそんなことはなかったようで、むしろ祐也に対して何か特別な感情を感じているようにも見える。

 

 

ー…でもなんだろう…///普通ならいくら親友とはいえ異性に触られたら嫌なのに…、全然問題っていうか…///祐也のことが…ー

 

 

 だが胸を触られてそんな感情になっているとなればそれはただの変態、慌てて首を振って平然さを装いながらもお皿を持って来海のいるキッチンへと向かっていくのであった。

 

 

ーってダメダメ!!こんなんただの変態じゃん!落ち着け私…!冷静さを保て…!!ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに置いていかれる形で外で待っていた祐也はと言うと……

 

 

「……これがいわゆるラッキースケベって奴か?」

 

 

 と呑気にそんなことを呟いているのであった

 

 

 

 

 

 

 

 その日の夜

藤原とうふ店

 

 

「ただいまー……」

 

 

 今日も暑い中バイトを終えた拓海はいつものように家に帰宅、丁度居間で新聞を読みながら晩酌していた文太にただいまと伝えながら自身の部屋へと戻ろうとする。

 すると拓海がいない間に電話が来ていたようで、思い出したように文太は呼び止める形でそのことを伝えていく。

 

 

「おう、…そういえばさっき電話があったぞ」

「誰からー…?」

 

 

 だが誰かまでは分からないようで知らないと答えながらも電話の相手が女性だということは分かったようで、可愛い声だったと呟く。

 

 

「知らねーよ、女だったよ。可愛い子だったな、また掛け直すとさ」

 

 

 しかしそれだけで拓海は電話の相手がわかったのか、少し照れくさそうにしながらも電話越しじゃ可愛いかなんてわかんないだろと突っ込む。

 が長い事男として生きていると分かるものらしく、女もそうだが車も同じような感覚で鋭くなるとか…

 

 

「可愛いかどうかなんて、電話じゃわかるわけないだろ…」

「長い間男としてやってると感で分かるようになるんだよ、車も女も経験と勘だぜ」

 

 

 もちろん拓海の少しの表情変化も見ずに察することが出来たようで、まあせいぜい頑張れと文太なりの声援を送っていく。 

 だが親父に言われて照れくさくなったのか、うるせぇと可愛い反抗を見せながら自室へと拓海は引っ込んでいくのであった。

 

 

「まっせいぜい頑張れや」

「うっせぇ」

 

 

 とまあそんな息子の言葉を聞き流すように新聞を読みながら聞いていた文太だったが、勘で察したのか商店街の寄り合いにでもいくか…と呟きながら支度を進めていく。

 

 

「…さて、寄り合いにでも行ってくるか」

 

 

 それから文太が寄り合いにいってから数十分ほど経過したぐらいだろうか、電気が落とされ静まりかえった一階部分に突然電話が鳴り響いた。

 もちろん家には拓海がいるため、眠たそうな表情をしながらも電話をとっていき慣れた口調でお店の名前を名乗っていく。

 

 

ピリリリリ

ガチャ

「はぁい…、藤原とうふ店です…」

 

 

 するとどうやら電話の相手は聞き慣れた女性、茂木なつきだったようで自分の名前を言われると一瞬びっくりしかけて電話を耳から離した。

 がすぐに電話を持ち直しながら返答すると、どうやらこの前に話していた事について進展があったらしくその事に関しての話のようだ。

 

 

「あっもしもし拓海くん?」

「うぇ…!?茂木…?」

「あっごめん寝てた?あのさ、この前話したことなんだけど……」

 

 

 とはいえ藤原とうふ店の朝は早いため既にねかけていた拓海は半分寝ぼけてはいたものの、それでも話していたことは覚えているようで相変わらず抜けた表情をしながらも話を聞いていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

同時刻

焔宅

羽南の自室にて

 

「……」

 

 

 いつもなら就寝時間でぐっすり熟睡しているはずなのだが、今日はなかなか寝付けないのか先程からベットの上でゴロゴロしていた。

 やはり昼間の刺激が強すぎたのだろうが、何よりあのハプニングがきっかけで祐也のことを意識するようになったことも決め手なのかもしれない。

 

 

「……///」

ーやばい…、祐也のことを意識しぱなっしで…ー

 

 

 今まではそんなことなかったのになんでよりによってラッキースケベがきっかけで意識をするとは…、と思いながら毛布にくるまる。

 

 

ーんもーっ…なんでよりによってラッキースケベでこんなことに…ー

 

 

 だが気にしてても解決するわけではなく、それよりも明日に控えている明日香と友奈のバトルに備えてしっかり寝なきゃ…と気持ちを無理やり切り替えようとする。

 しかしやはり気になって仕方ないようで、しばらくの間寝付けずにベットでゴロゴロと行ったり来たりしているのであった。

 

 

ーってそれよりも…!明日は友奈ちゃんと明日香ちゃんのバトル…!しっかり休まないと…!!ー

 

 

 






今作では祐也のカップル候補は羽南ちゃんになりそうですね((

普段車にしか興味ないボーイシュな子が恋を知るって展開……いいですよね()
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