頭文字Dー歌姫の最速録ー   作:三坂

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第三十六話 盛り上がる恋バナ(?)

 

 

 

 

 

パパーッ

「「ありがとうございましたー!!」」

 

 

 赤城で友奈と明日香がガチンコのダウンヒルバトルを繰り広げた翌日、渋川のガソリンスタンドでは池谷達がいつものように仕事をこなしていた。

 …がお客さんの波が途絶えて暇になった途端、樹が昨日のバトルを振り返ると興奮したように声を上げながら変なポーズを披露していく。

 

 

「くぅー!!やっぱ昨日のバトルは痺れましたねー!!友奈ちゃんも明日香ちゃんもいい走りしてくれましたよ本当にっ!!」

 

 

 だが池谷も後輩の気持は分かるのか、あれは鳥肌もんのバトルだったと懐かしむように振り返りながらウンウンと話していた。

 それと改めて女性の走り屋がここ最近増えてきている現状にも触れ、群馬エリアもにぎわってきたもんだとも口にする。

 

 

「わかるぞその気持ち、本当アレは鳥肌もんのバトルだったよ。見てて衝撃もんだ」

「ですよね!?本当俺の周りにはすげー友達しかいねーよっ!」

「それに群馬エリアも凄い女性の走り屋が増えてきてってからなー、こりゃ今年は賑やかになるぞー」

 

 

 当然自分たちも負けてられないという意気込みが同じ走り屋として生まれるもので、樹は頑張らないととテンションアゲアゲの状態で仕事探しにスタンドの奥へと引っ込む。

 その様子を見ていた池谷は、そう言えばやけに今朝から樹のテンションが高いなーとぼやくように呟く。

 

 

「俺たちも負けてられないっすよね!さーて!やることないかなー?おっ仕事!!おっ仕事!」

「…そう言えば朝から思ってたが、やけに張り切ってたな」

 

 

 まあ樹がテンション上がることなんて車関係、もしくは女絡みしかない。拓海は否定したが、池谷は彼女がもし出来たのなら先輩を差し置いて許せん(年齢=彼女いない歴)と両手を握りしめながら悔しそうに愚痴る。

 

 

「さぁ……」

「女でもできたのかなー、……もしそうなら…先輩の俺を差し置いて許せん…!!」

 

 

 だがその後話題を変えるように突然拓海に対して、自分のS13に乗ってみたくないか?とニヤニヤしながら視線をこちらに向けてきた。

 これには流石の拓海も予想出来たなかったようで、思わず驚いた表情で池谷の顔面を顔見してしまう。

 

 

「それはそうと拓海…、俺のS13。運転してみたくなーい?」

「うぇ…!?」

 

 

 池谷曰くたまには違う車に乗ってみたら新鮮味があって楽しい…とのことなのだが、流石に人が…ましてや先輩が大事にしている愛車を運転出来るほど拓海は図々しくない。 

 

 

「たまに違う車に乗ってみると新鮮でいいぞー?」

 

 

 遠慮しておきます…と申し訳なさそうな口調で断ろうとした拓海だったが、どうやら池谷は乗ってほしいようでいきなり距離を詰めながら両肩に手を添える。

 

 

「いいですよ(汗)遠慮しておきます、だって池谷先輩が大事にしてるクルマ……」

「頼むよ拓海…!!」

 

 

 というのもここ最近池谷自身ドライビングテクニックを上達したいと色々と試行錯誤しているようで、そのために拓海の走りを参考にしたいそうだ。

 特にそのためには自分の車を運転してもらって、それに横乗りという形になればより実践的になると考えているらしい。

 

 本人は至って真面目なのだが、先輩の大事な車を出来ればあまり運転したくないのと、少し面倒くさいという気持ちが入り混じる拓海は参ったな…という表情を見せるのであった。

 

 

「俺、お前の運転するのを見て参考にしたいんだ!!頼む…!!」

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 池谷達が働くガソリンスタンドから少し離れた先、幹線道路沿いには他のお店と並ぶ形でファ○レスみたいなレストランの建物が立っていた。

 その店内、夏休みということもあって平日にもかかわらず多くの学生やら家族連れでにぎわっている中、道路沿いのテーブル席には見慣れた4人の姿が…

 

 

「……えっと…なんで急に呼び出したか理由聞いてもいい?」汗

 

 

 片方のソファーみたいな席に腰掛けていた羽南は、向かい合うように腰掛けていた友奈、明日香に対してそんなことを質問していた。

 どうやら彼女は急に2人(主に友奈から)呼び出しを喰らったようだが、その理由を聞かされていないらしい。

 

 そんな羽南の隣に座っていた由紀は、一足先に頼んだ冷たいジュースを飲みながら、雰囲気で察したのか自分は関係ないと言わんばかりに視線をそらしている始末。

 

 

「電話で友奈に呼び出されたときに、理由聞いてもはぐらかされたっていうか……」

「……」ニヤニヤ

「……」ワタシハナニモシラナイ

 

 

 すると少しして友奈が最初に口を開き、どうしても聞きたいことがあったから急ではあったが、羽南を呼び出したのだと説明する。

 だがだとしても女子4人を集める理由が分からないため、その訳も尋ねながらと苦笑いで運ばれてきたジュースに刺さっていたストローに口をつけ、すすっていたのだが…

 

 

「いやー、ちょっと羽南ちゃんにど聞きたいことがあったから、急で申し訳なかったけど呼び出したんだ♪」ニヤニヤ

「そっ…そっかー、でっでも私に用があるならこのメンツを呼び出した理由も分からないっていうk…」

 

 

 突然爆弾発言のように単刀直入に祐也との関係を友奈から問われた瞬間、驚いたのか思わず飲んでいたジュースを吹き出しそうになりながらつい咳き込んでしまう。

 

 

「単刀直入に聞くけど、祐也とはどんな関係なの?」

「ぶっ…!?ゲボ、ゲホッ…!」

 

 

 まあそりゃそうだ、いきなりそんなことを聞かれるなど誰が予想したのだろうか?ましてやラッキースケベからの意識してしまったなど自分以外誰も知らない話。

 慌てて弁明しようとした羽南だったが、返って口を滑らせてしまい一瞬そのことを喋りかけてしまった。

 

 

「なっ!?なんで友奈がそれを知っ……ぁ゙…///」

 

 

 その後すぐに口を閉じた羽南だったが時すでに遅しと言わざる終えず、それを聞いた友奈と明日香がなるほどーと更にニヤニヤしながらジワジワと言葉で詰め寄る。

 

 

「…ってことはその気があるってことかー、なるほどー♪」ニヤニヤ

「それをってことはそういうことだよねー」ニヤニヤ

 

 

 もはや完全に言い逃れ出来ない状況に、頰をどんどん赤らめていた羽南はそのままオーバーヒートしたエンジンのようにぷしゅ~と音を立てながら頭を抱えていく。

 何となくそんな気はしていたがまさか自分から墓穴を掘った彼女に対して、単純過ぎない?と由紀な内心ツッコミを入れた。

 

 

「あっ…///いや…///その……えっ……///」プシュー

「……」ジトー

ー何となくそんな気はしてたけど…そこで自分から墓穴を掘るとは……、単純過ぎない?アンタ…ー

 

 

 だがそんな他人事のように見ていた由紀を巻き込まんと言わんばかりに、貴方にも彼女の恋に関して協力してもらうから…と明日香に流れるように言われたことで、思わず声を上げてしまう。

 

 

「あー、そこで他人事のようにみている由紀にも手伝ってもらうからね。この人たちのカップル誕生に向けた…ね?」

「あーはいはい、わかりm……はいぃぃ!!?」

 

 

 …ちなみに言っておくが今は家族連れやら夏休みの学生で賑わっているレストランなので、当然ほとんどのお客さんやスタッフが驚いて由紀をついガン見。

 それにすぐに気づいて何事もなかったように咳払いをすると、勝手に巻き込まないで貰えるかと呆れた表情で指摘する。

 

 

「……ぁ…(コホン)あの、勝手に巻き込まないでもらえる?アタシにも拒否権h…」

 

 

 だがそうなることを予想していたと言わんばかりに由紀の大好物なアイスクリーム、その中で高級なものを対価として奢ると明日香が提案。

 するとあっさり陥落したようで、すんなり羽南を売ってしまいこれには彼女も思わず二度見してしまう。

 

 

「君の好きなアイスクリーム、その中で高級なビエ○ッタを奢r「やります(即答)」」

「ゆっ由紀ちゃん!??」

 

 

 いつの間にか逃げ口を塞がれてしまった羽南は、またしてもほほを赤らめながら頭を抱えてしまうが、そもそもカップル誕生ってなにするつもりなのかと諦め気味に質問を投げかける。

 

 

「あーもう…///…ってかそもそもなにするつもりなのさ……///」

 

 

 もちろんと言わんばかりに2人は悪笑みを浮かべると、祐也と羽南をくっつけてカップルを成立させるためだと自信満々で口にしていく。

 ちなみにまだ具体的にどうするかは決まっていないようで、そこからはここにいるメンバーで考えて決めるということ。

 

 

「そりゃもちろん!ねっ明日香ちゃん♪」 

「あんたらをくっつけてカップルにする以外方法があると思う?まあそれもこれからこの場にいるメンバーで考える訳だけど…!」

 

 

 まあ羽南自身も気になっているのは嘘ではなく、祐也と付き合ったらどうなるだろうか…とまんざらでもなさそうに考えている様子。

 …とはいえそうでなくても四方八方固められている以上拒否出来るわけもないため、どっちに転んでも結果は変わらないが……

 

 

「……///」

ーでもまあ…///祐也と付き合ったらどうなるか…///ってのは気になる…かも、嫌じゃ…///ないし…///ー

 

 

 だが今まで車友達として付き合ってきた上に、性格上男っぽいところもあるため、女の子らしくない自分と付き合ってくれるのだろうか…という不安がふと過ぎる。

 しかしそれも親友の友奈にお見通しだったようで、そのへんをサポートするのが私たちだと言いながら、最終的に落とすのは羽南次第だとも口にしていく。

 

 

ー…あっでっでも…///男っぽい私なんかと…///付き合ってくれるんだろうか…、女の子っぽいスタイルじゃ…///ないし…///ー

「…ご心配なく!そのへんは私達がサポートするからっ♪けど最終的に落とせるかは羽南ちゃん次第だからねっ!」

 

 

 とまあそんな感じで話が盛り上がってきた女子グループは、羽南がどうすれば祐也と付き合えるかという話題で更に熱中していき、気づけばお昼過ぎまで真剣に話し合っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えばさ…///友奈はなんでそうだと感じたの?///」

「んー?だって明日香ちゃんとのバトルのとき、祐也がきたらあからさまに動揺してたからっ!」

「…マジか…///ってか明日香ちゃんや由紀ちゃんも知ってるのって……」

「もちろんっ!私から広げたから☆」

「……デスヨネー」

 

 

 

 

 

 それからしばらく時間が経ち、あっという間に日が落ちた群馬県内某所。その中で幹線道路沿いには道の駅のようなお店が構えるように立ち、駐車場にはトラックやら車が何台と止まっており、仕事終わりということもあって多くの人で賑わいを見せていた。

 

 だがその中に混じるようにナイトキッズのステッカーが貼られた180SXやS13 シルビア、更には池谷をスピンさせたあのEG6が連なるように止まっており、近くでは仲間としながらタバコを吸う慎吾の姿が…

 

 

「……」ふぅ

 

 

 何やら話しているようだが、会話を聞く限り慎吾は秋名のハチロクとバトルをするつもりのようだ。心配そうな表情で本当にするのか…と尋ねるメンバー仲間に対し、慎吾はまあ見てなと言わんばかりに自信ありげな表情を浮かべる。

 

 

「慎吾、マジかよ?秋名のハチロクとバトルするっていうのは」

「ふっ…まあ見てなって」

 

 

 その後吸っていたタバコを地面にポイ捨て(リアルでは駄目絶対)をして足で火を消すように後始末をすると、そろそろ行くぞと仲間を促しながらその場を後にするように車へ乗り込む。

 

 

「ふぅ〜…、さっ行こうぜ」

 

 

 それから慣れた手つきでエンジンを始動させると、慎吾のEG6を先頭にナイトキッズの面々は次々と出発。もちろん目的地は秋名のハチロクがよく出没するとされる秋名峠であり、ステアリングを握りながら不適な笑みを慎吾は浮かべていくのであった。

 

 

ブォォォォ

ー早く出てこいよ…秋名のハチロク、お前に会うのが楽しみだぜー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 デンジャラス慎吾の魔の手が迫っていることを知る由もない秋名峠の頂上では、見慣れたS13や180SX、ハチゴーやスターレット、スープラが止まっておりその周辺には池谷達の姿があった。

 

 どうやら昼間の件で拓海に自分のS13をどうしても乗ってほしいようで、あまり乗り気ではない拓海に対して池谷はなんとか乗ってもらおうと頼み込む。

 

 

「本当にやるんですか…?」

「頼む拓海!軽く流してくれるだけでいいんだ、すごく勉強になると思うから」

 

 

 ちなみに由紀は樹から今夜先輩達と秋名行くから一緒に走らないか?と誘われて、昼間の件で色々と振り回されひとっ走りしたいと思っていたので難なく誘いに乗り、そんな由紀に気分転換にどうかと誘われて羽南もついてきた形になる。

 

 アイスでつられてあっさりと乗ってしまったとはいえ一応罪悪感はあるようで、男組に聞こえない声で由紀は申し訳なさそうに謝罪していた。

 

 

「……昼間はごめんなさいね、私アイスを奢るって言われると断れなくて…」

「あっいや…全然…大丈夫だから…///」

ー絶対明日香ちゃん、それ狙ってたよね…ー

 

 

 その間にも一生のお願いと先輩に頼み込まれた拓海は、乗り気じゃなさそうな表情で自分の車じゃないから上手く乗れるか分からないと保険をかけるように本当にいいのかと尋ねる。

 

 

「……俺、他の車に乗ったことがないですから…うまく乗りこなせるか分かんないですよ?」

 

 

 しかし健二や樹が後を押すように池谷が乗ってほしいとこれだけ言ってるんだから引き受けて上げたらいいんじゃないか?と言われると、仕方ない感じで一度だけなら…と最終的には引き受けることに。

 

 

「池谷がこれだけ頼んでるんだからさー、乗ってやったら?」

「そうだよ拓海!先輩に悪いぜ!!」

「…じゃあ一度だけですよ、あまり期待はしないでください」

 

 

 だが受けてくれると聞いた池谷は嬉しそうな笑みを浮かべると、思わずガッツポーズをしながら喜びを身体全体で露にしていくのであった。

 

 

「本当か!?いえーい!ひゅー!!」

 

 

 

 

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