頭文字Dー歌姫の最速録ー   作:三坂

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第三十八話 ガムテープデスマッチ

 

 

秋名峠 頂上

 

 

 

「へっ冗談だろ?アレはお前が悪いんじゃねーか」

「なにィ…?」

 

 

 偶然にも自分のS13をスピンさせた張本人であるEG6のドライバー、妙義ナイトキッズの庄司慎吾と再会した池谷だったが、その口から出てきた言葉は謝罪ではなくお前が悪いというもの。

 というのもあまりにも下手すぎるせいであんな遅い突っ込みをするなんて思ってなかったようで、そのおかげでブレーキが間に合わずリアを小突いたというのが彼の言い分なのだ。

 

 …まあだからといってはいそうですかとなるわけもなく、あからさに挑発的な態度を見て思わず池谷が喰ってかかろうとして、健二に制止されていく。

 

 

「―前を走ってる奴が下手過ぎて予想出来なかったんだよ、まさかあんな遅い突っ込みをするとは思わなかったもんで。

 んでブレーキが間に合わずつい”コツン”とな」

「…なんだと!?」

「やめろよ池谷!!」

 

 

 そりゃ自分のプライドズタズタにされたうえに、危うく愛車がまたしても入院送りになりかけたのだ。池谷がそうなる気持ちも分からなくもない。

 

 

「ひでーなんて奴だ、あれじゃ池谷先輩のプライドズタズタだよ…!!」

 

 

 しかし謝るチャンスを与えないほど鬼畜では無かったようで、どうしても謝って欲しければ自分達のルール下でバトルをして、それで勝った場合には地べたに手をついて謝ってくれるそうだ(怪しいが)。

 

 

「…ふんっ、どーしても謝れってのなら。俺たちのルールでバトルして、勝てたら地べたに両手をついて謝ってやるよ」

「お前たちのルール…?どいうことだ」

 

 

 だがそのルールを知らない池谷はどういうことだと尋ねると、大したことではないが自分達はガムテープデスマッチと呼んでいることを明かしていく。

 しかしガムテープデスマッチを知らない池谷達は何のことだ?と首を傾げるが、羽南は知っているようでまさか…!という表情になる。

 

 

「大したことじゃない、俺たちはガムテープデスマッチって呼んでるけどな」

「へへっ」笑

「ガムテープ…デスマッチ?」

ー…ガムテープデスマッチ…まっまさか…!ー

 

 

 すると慎吾が説明するよりも先に割って入るように声を上げた羽南は、そいつらの挑発に乗っちゃ駄目だと論していく。

 とはいえガムテープデスマッチの意味をナイトキッズ側以外では羽南以外知らないため、由紀がそれは何なのか?と尋ねる。

 

 

「ふん…m」

「池谷先輩!!ソイツらの挑発に乗っちゃ駄目です!ガムテープデスマッチなんて自殺行為ですよ!」

「えっあっ…どっどういうこと…?羽南ちゃん」

 

 

 彼女曰くガムテープデスマッチというのは、右手をガムテープでステアリングに固定してバトルするという至ってシンプルなもの。

 だが右手を固定するとステアリングを持ち替えることが不可能になってしまい、実質的にコーナーを曲がる難易度が爆上がりになるのだ。

 

 

「ガムテープデスマッチってのは、右手をステアリングにガムテープで縛り付けて固定、その状態でバトルするっていう一見シンプルなものなんだけど…。

 そうなるとステアリングを持ち替えることが不可能になって、コーナーを曲がるために必要な切れ角を作れなくなるの…!」

 

 

 当然普通の感覚で曲がろうとすれば、曲がり切ることはほぼ不可能、下手すればそのままガードレールに突き刺さる危険性だって充分にあり得る。

 それを聞いた池谷と健二はようやくガムテープデスマッチの恐ろしさに気づいたようで、危険過ぎると険しい表情を見せていく。

 

 

「…えっと、左手はシフトノブ操作するからフリー…だから」

「……!確かにハンドルを持ち替えることが出来ねぇ…、これじゃ羽南ちゃんの言う通りコーナーを曲がれないぞ!」

「…マジかよ」

「…マジってどころじゃないぜ、ヤバすぎる…!」

 

 

 しかし慎吾もその辺にいる走り屋ごときじゃガムテープデスマッチができないのは分かっているようで、そのかわりに秋名スピードスターズで下り最速のハチロクがいるだろうと指摘。

 ドライバーまでは知らないようだが、そいつとバトルさせろと口にしていき、羽南もそれが拓海のことだと察していく。

 

 

「てめぇじゃ相手にならねーよ、そーだ。スピードスターズには下り自慢のハチロクがいるらしーじゃねーか」

「……」

ー下り自慢のハチロク…、拓海君のことか…ー

「どんなガキか知らねーが、ソイツを出せ」

 

 

 しかし当然ながらそんな危険なガムテープデスマッチバトルに、テクニックがあるとは言えど拓海を出すなんて選択肢があるはずもない。

 少しの間無言の膠着状態(樹は視線がオロオロしていたが)が続いていたが、この場にそのハチロク乗りドライバーがいないことを察すると、慎吾がソイツ宛の伝言を口にする。

 

 

「………」

「……ふっ、そのハチロクのガキに伝えておけ。次の土曜日の夜10時、ここで待ってるってな」

 

 

『…ガムテープデスマッチで決着だ…へへへへw』

 

 

 その後各自それぞれの愛車に乗り込むと、じゃあなと口にしつつガードレール目掛けてタバコをポイ捨てしながらそのまま走り去る。

 

 

ボムっ

ボムっ

「じゃあな、あばよ!」

ウォォォォォン

 

 

 しばらくその走り去る後ろ姿を見ていた池谷達であったが、すぐにあのガムテープデスマッチが拓海への挑戦状だと池谷は察していく。

 だが健二の言う通りこれだけ有名な秋名のハチロク、そのドライバーが拓海だということまでは知らなかったようだ。

 

 

「なんだアイツ…、拓海への挑戦状って訳か」

「…でも拓海の顔を知らなかったみたいだな」

 

 

 とはいえそんなこと関係ないと言わんばかりに、怒りで荒ぶってる樹が拓海に対してガムテープデスマッチを受けてくれと頼み込む。

 まあそりまゃ尊敬している先輩をコケにしたことが許せないのだろう、もちろん樹の気持ちも分からなくもないが、危険過ぎると池谷が忠告する。

 

 

「拓海ぃ!バトル受けろよ!ガムテープデスマッチなんでも…!!あーんなやつ!ぶっちぎって!土下座させればいいじゃないか!」

「ジョーダンじゃねーぜイツキ、ステアが切れないバトルなんて!」

 

 

 …がそれでも食い下がろうとしない樹に対して、見兼ねた由紀が上からのフルストレート拳骨をお見舞い。これには流石の樹も効いたようで、殴られた頭を抱えながら地面にしゃがみ込んだ。

 

 

「…だけど池谷先輩!拓海n…「ゴーン!」いってぇぇぇ!!?」

 

 

 せっかく黙らせようとしたのに別の意味で煩くなった…、と相変わらずやかましい樹を見ながら由紀はため息を溢す。

 とはいえ羽南の言う通り受けてもこちらにメリットがないどころか、危険過ぎるガムテープデスマッチの挑戦は相手にしないほうが吉と言ってもいい。

 

 

「…黙らせようとしたのに、別の意味で煩くなったんだけど……」

「…ってかあんなバトル受けたところで拓海くんにメリットあると思う?相手は自分達に有利だからガムテープデスマッチ申し込んだんでしょ、危険しかないバトルはシカトするに限るよ」

 

 

 池谷もそれに激しく同意のようで、拓海に対して何があってもガムテープデスマッチを受けるんじゃないぞ…!と念押ししていく。

 もちろん拓海も乗り気ではないので受けるつもりはないと答えていき、池谷もそれでいいと頷いていくのであった。

 

 

「羽南ちゃんの言う通りだ、拓海。こんな無茶なバトル、絶対に受けるんじゃないぞ」

「……俺、そんなバトル…受けるつもりさらっさらにないですよ…」

「あぁ、あんな奴。ほっとけ」

 

 

 

 

 

翌日

渋川GSスタンドにて

 

 

 相変わらず夏の暑い日差しが照りつける中、拓海は何時ものようにバイト先のスタンドで、お客さんから預かったであろう黄色の軽自動車に水をぶっかけながら洗っていた。

 その近くでは友奈が車用の石鹸で泡立てたバケツからスポンジを取り出すと、洗い流した箇所から順番に洗っていく。

 

 

ジャバー

 

 

 そんなせっせと洗っている2人から少し離れた先、スタンドの給油機近くでは池谷と樹が昨日起こったことを祐一に報告しており、それを聞いた祐一も驚いた表情で声を上げていた。

 

 

「何…!?ガムテープデスマッチ?」

「えぇ…」

 

 

 どうやら祐一もガムテープデスマッチのことは知っているらしく、当然ながら無謀過ぎるとバトルに関しては否定的な意見を述べる。

 もちろん他人がどーのこーの言ったところで、受けるか受けないかは本人次第、拓海は何と言っているかと尋ねていく。

 

 

「そりゃ無謀だよ、それで拓海は?」

 

 

 しかし拓海自身はガムテープデスマッチ以前にバトルを受けるつもりはないようで、相変わらずのノリの悪さというが…池谷曰く特に気にせずいつも通りに過ごしているらしい。

 

 

「あぁ…、いつもとおんなじで冷静というか…ノリが悪いというか…。あんまりやる気ないみたいですよ」

 

 

 だが樹だけは昨夜由紀から鉄拳制裁を喰らった割に反省していないのか、自分的にはバトルを受けて欲しい気持ちのようだ。

 まああんな挑発的な態度取られたら、一回バトルで締めて土下座させないとスッキリ出来ないのは分からなくもない話ではあるが…

 

 

「オレは拓海に走って貰いたいですけどね、あんな奴ぶっちぎって土下座させりゃ、スッキリするじゃないですか…!!」

 

 

 するとそんな話をたまたま聞きつけたのか、乾拭き用タオルを取りに来た友奈が興味深そうにガムテープデスマッチについて尋ねていく。

 どうやら彼女もガムテープデスマッチのことはよく知っているどころか、実際にやったことがあるようで、それを聞いた祐一達は驚きの表情を見せる。

 

 

「ガムテープデスマッチですか?」

「んぅ?あぁ、友奈ちゃんは知っているのか?」

「はい、…というか実際にやったことがあるので」

「何!?それは本当か…!」

 

 

 もちろん公道ではなくサーキットではあるが、貸し切った状態でお母さんに特訓名目として過去に数回ほど右手をハンドルに固定した状態でやったことがあるらしい(流石にガムテープまでは巻かなかったが)。

 実際どうなのか…と尋ねる池谷に対して、友奈は首を振りながらFR車でやるにはリスクが大きすぎると返していく。

 

 

「…といってもストリートじゃなくて貸し切ったサーキットでですけど…、お母さんに特訓名目で右手を固定した状態で1周走るっていう。まあガムテープまではやりませんでしたけど…」

「そっそれで…!実際どうなんだ、ガムテープデスマッチを峠でやるとなると…」

「……はっきりいってFR車でやるとなるとリスクしかないですね、特にぶっつけ本番となると…」

 

 

 そもそもガムテープデスマッチ自体ステアリングが左右いずれにも180°程度までしか切れない(=ステアリングではほぼ曲がれない)。

 なのでドリフトで曲げるしかないのだが、ステアリングはあくまでドリフトのきっかけにしか使えず、カウンターをロクに切ることもできないので軌道の修正が非常に難しいとされているのだ。

 

 まあアンダーステアぐらいなら、サイドブレーキでリアを滑らせればなんとかなるかもしれないが、問題はオーバーステアの方。

 

 FF車などの前輪駆動ならならアクセルを踏み込めば解消できる(加速でフロントタイヤの荷重を抜いてオーバーステアを解消可能)のだが、FR車となると修正する手は無いに等しい。

 つまりFRだけが一方的に不利になるルールなのであるともいえる。

 

 

「…まあざっと説明するとこんな感じですね。…もちろんFFだから誰でも出来るかと言われるとそうじゃないですけど…、練習なしでしかもFRで挑むとなると…」

 

 

 実際色んな小道具を使い様々な形式でバトルをしたことがある祐一も特にガムテープを使ったバトルだけは、恐怖を感じたらしい。

 しかし樹だけはピンと来ておらず、そんなにヤバいのか…?と不思議そうにしていると、池谷がハチゴーの運転席に座って試してみるか?と提案していく。

 

 

「…あぁ、俺たちも若い頃小道具使ったり…制限したりして色んなバトルをしたけど…。友奈ちゃんの言う通りガムテープデスマッチはその中でも一番危険なバトルだ」

「…ガムテープデスマッチってそんなにヤバいんですか?俺イマイチピンと来ないっすけど…」

「樹、車に乗って試してみるか?よーくわかるぞ」

「え?」

 

 

 確かに説明よりも実践した方がわかりやすいのは紛れもない事実であり、樹も言われた通り見慣れたハチゴーの運転席に腰掛けるように座る。

 その隣では池谷が右手を固定したままどちらかの方法に目一杯切るように指示、樹も言われた通り限界まで苦しそうな声を出しながらステアリングを切っていく。

 

 

「いいか?右手を固定したままステアリングをどっちかに目一杯切るんだぞ」

「あっ…はい…、んぎぃぃぃ…!!」

 

 

 これでもかと目一杯切りこれ以上は限界だと樹が苦しそうに口にしていくと、ステアリングをそのままにした状態で降りるように指示。

 そう言われるとステアリングをそのままにした状態で樹は降りていき、どれだけハンドルが切れているか確かめたのだが…。

 

 

「こっ…これ以上は…!!」

「よーし、ステアリングをそのままにした状態で降りてこい」

「あっ…はい…!」

「どれだけ切れているか見てみな」

 

 

 結果は池谷達の予想通り、目一杯切ったつもりでもタイヤは対して曲がっておらず、流石の樹もこれには驚きを隠せないようだ。

 

 

「うぇぇ…!!?全然切れてない…目一杯切ったのに……」

「な?」

 

 

 当然このタイヤの切れ角でコーナーを曲がることは不可能…、いやドリフトさせながら曲がれば出来ないことはないが、それが峠となると常時ドリフトしないといけないことになる。

 しかし友奈の言う通りそのドリフトをしようにもカウンターを当てなければならず、当てたとしてちょっとでもバランスを崩せば取っ散らかるのがオチだ。

 

 

「これじゃどうやってコーナー曲がるんです…?」

「…一応ドリフトさせれば出来ないことはないよ、でもそれをするにもカウンターが切れないからそれすらも難しい…。仮に出来てもコントロールを少しでもミスればあっという間に…」

 

 

 EG6みたいなFFならオーバーステアをアクセルで止められる上に、サイドを引けばアンダーも消せるならまだ勝機はあるが、ハチロクみたいなFR車となるとサーカスの綱渡りをするようなもの。

 実際やらない方が吉ではあるのだが、ふとこちらにやってきた拓海の気配に気付くと、この手の話をすればやる気になってしまう…と一瞬焦りを見せていく。

 

 

「向こうはEG6だろ、FFならオーバーステアをアクセル踏めば消せるしコーナーも突っ込めるし…サイドを引けばアンダーも消せる。だがハチロクでやるとなるとサーカスの綱渡りのようなことになりかねん、まっやらない方がいいだろう」

「……」

ー不味いな…拓海にこの手の話を聞かせると逆にやる気になっちまう…ー

 

 

 だがそのタイミングでクラクションが鳴ると共に聞き慣れたエンジン音が聞こえてきたため、一同はそちらに視線を向けると健二のワンエイティが滑り込むようにスタンドへとやってくる。

 運転席と助手席ドアが開くと、健二とスピードスターズのメンバーの1人が降りてくるのだが、どうやらあのムカつくEG6のドライバーについて調べてきたようだ。

 

 

「あの店長…」パパーッ

「あれ?健二先輩じゃねーか」

「池谷、昨日のムカつくやつ。ちょっと気になって調べてみたんだ。アイツ妙義ナイトキッズの庄司慎吾らしーぜ」ボム

 

 

 健二が調べてきた情報曰く一応ナイトキッズではナンバー2の立ち位置のようで、実際下りに関してはかなりテクニックがあるらしく、下り最速だと自分で自称しているとか…

 

 

「ナイトキッズの庄司慎吾…?」

「…一応ナンバー2ってことだけど、ダウンヒルに関しちゃ自信あるみたいで、自分でもナイトキッズ下り最速を名乗ってる」

 

 

 しかし出会った時の第一印象通りというか目的のためなら手段を選ばないことで有名らしく、同じナイトキッズのメンバー内でもあまり人望がないとか…

 特にナイトキッズリーダーであり常識枠でもある中里とは、仲が悪いそうだ。

 

 

「でも目的のためなら手段を選ばないってことで他のメンバーからは人望がないらしいぜ、特にリーダーの中里毅とは仲が悪いとか…」

 

 

 それを聞いた池谷は道理で拓海にバトルを申し込んだわけか…と納得したような表情で腕を組んでいく、というのも拓海は以前秋名のバトルでナイトキッズのリーダーである中里を倒している。

 つまりその拓海とバトルして勝てば、自身がナイトキッズの主導権を握れるという思惑があっての行動だろう。

 

 

「そっか…それで拓海にバトルを仕掛けてきたんだな、ナイトキッズで主導権を握るために…」

 

 

 だがそれに加える形で健二に同伴したスピードスターズのメンバーが、慎吾が例のバトルに関してもう変な噂を流していることを明かした。

 どうやらスピードスターズが慎吾のバトルをグルって逃げ回っているというのだ、しかもガムテープデスマッチに関しては一切触れず。

 

 

「アイツ、今度のことでもう変な噂流してるぞ」

「え?噂…?」

「あぁ、スピードスターズはグルって慎吾の挑戦逃げ回ってるってさ。しかもガムテープデスマッチには触れないで」

 

 

 これではスピードスターズが弱腰というメンツ丸潰れと言わんばかりの状況、祐一の言う通り相手は意地でも拓海をバトルに出させるつもりのようだ。

 …がふと拓海がバトルに興味を持ったような雰囲気を感じたのか、店長は慌てて拓海の方に視線を向けていく。

 

 

「なんだそりゃ、それじゃ俺たちのメンツ丸潰れじゃないか…!」

「くぅー…!!嫌な奴!」

「…意地でも拓海をバトル引っ張り出すつもりだな。おぉ…!」

 

 

 当然池谷の健二も拓海のほうに視線を向けるが、ボーとするように考え事をしていた拓海は視線が集まったことで我に返ったのか、自分は受けるつもりはないと明言していき、それを聞いた一同は安堵した表情を浮かべる。

 

 

「拓海…!」

「…えっおっオレ?…関係ないっすよ、そんなの受けるつもりないですし…」

「はぁ…」

 

 

 確かに挑戦されたからといって無謀なバトルを無理に受けるまでもないのは事実、気にするなと池谷はフォローするように話しかけていく。

 それに今回の件に関しては羽南がナイトキッズと交流のある明日香にガムテープデスマッチに関して情報を共有するとのこと。

 

 なので放っておけばリーダーの中里と彼女がしばいてくれ、外堀は冷めるだろう…そんなことを誰もが思っていた。

 

 

「そうだよな、いくら挑戦受けたからって無謀なバトルまで受ける必要はないんだ。気にすんな」

「…あはい」

「それに今回の件羽南ちゃんがナイトキッズと交流のあるMR2のドライバーに話してくれてる、放っておけばその子とリーダーの中里がしばいてくれるさ」

 

 

 …が友奈だけは違ったようで、妙な胸騒ぎを感じる胸元を右手で軽く押さえながら、1人心配そうな表情を見せながら雲一つない青空を見あげていくのであった。

 

 

「……」

 

 

 

 

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