頭文字Dー歌姫の最速録ー   作:三坂

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第三十九話 ラブラブ作戦!?

 

 

 

 

 翌日

GSスタンドにて

 

 

「「ありがとうございましたー!!」」

 

 

 ナイトキッズの庄司慎吾から叩きつけられたガムテープデスマッチの挑戦状から2日たったある日、何時ものようにスタンドで働いていた池谷と拓海は給油を終えてスタンドを後にするお客さんを見送っていた。

 それが終わるとスタンド内に戻ろうとした2人だったが、ふと店内から顔を出してきた店長が樹のことについて尋ねていく。

 

 

「そう言えば、イツキはどーした?」

 

 

 しかし拓海達も洗車をしていたところまでは見ていたものの、それ以降の動向はさっぱり分からないようで何処に行ったのか…と辺りを見渡す。

 

 

「あれっ…さっきまで洗車をしてたと思うんですけど……」

「本当だ、何処行ったんだー?イツキの奴」

 

 

 すると新品タイヤなどを保管している倉庫近くで先ほどまで作業をしていてついさっき戻ってきた友奈が、そんな会話を耳にすると樹ならその倉庫の中で見かけたと小声で指差しながら案内していく。

 だがわざわざ小声で話す必要もないため不思議そうに池谷はその理由を尋ねるが、見れば分かると案内しながら彼女はそう答える。

 

 

「あーそれなら…あの倉庫の中でイツキ君見かけましたよー…」小声

「え?あの倉庫でか、というかなんで友奈ちゃんわざわざ小声で…」

「まー見ればわかりますよ…♪」小声

 

 

 ちなみに肝心の樹はというと、新品タイヤなどが保管されている倉庫の隅っこでしゃがんだ状態で何やら雑誌を手に読み漁っていた。

 その表情はいつになく真剣でありなるほど…と独り言を呟きながらしばらく読んでいたいたのだが、いつの間にか背後に現れて話しかけてきた拓海の声でハッとなっていく。

 

 

「…ふむふむ、なるh」

「友奈ちゃんの言う通りだな、こんなところでサボってたのか」

「!?」

 

 

 最初こそ動揺していたもののすぐに拓海達に向き直ると読んでいた本を背中に隠しながら平然を装うかたちで休憩していたと弁明。

 しかしその動きを見抜いていた池谷は樹が珍しく読書するとはなーと会話で意識を反らしながら背後に回り込むと、慣れた手つきで隠していた雑誌を取り上げた。

 

 

「あぁいや!その…ちょっと…きゅ休憩を…!」

「へー!珍しいな、イツキが読書なんてっ!!」 

 

 

 当然樹も気づいたもののその時点では時すでに遅しであり、彼の手が届かない位置に持ち上げながらページを開いた池谷がデカデカとした声で読み上げていく。

 どうやら樹が読んでいた雑誌は恋愛マニュアルのようで、雑誌の内容を通りかかった際にパッとだが内容を見ていた友奈もニヤけながらやっぱり…という表情を見せていた。

 

 

「あぁ!?ちょっと…!!」

「なになに〜?恋愛マニュアル、彼女の落とし方だとぉ!?」

「いやー、珍しくイツキ君が読書してたから気になってたんだよねー。まあ内容ちらっと通ったときに見えてたけど…やっぱり恋愛関係の雑誌でしたか」ニヤリ

 

 

 だがなんの理由もなしに樹がこういった本を読むことはないため、池谷がデートか?とニヤけながら問いただすと少し照れくさそうにしながら樹は変動していき、それを聞いた池谷は羨ましそうにボディーブロー?みたいなことをかます。

 

 

「あぁいや!…そのぉ…///」

「樹がこういう本を読むってことはぁ…」

「うひひ…///!」

「デートか?」

「はっはい!///」

「こんのー…!!」

 

 

 まあ相手は言わずがもな前に言っていた沙織ちゃんというなつきの中学時代の親友であり、年齢イコール彼女いない暦の池谷はうらやましそうな口調で話していく。

 ちなみに池谷先輩に相談する手もあったのだが女性経験がないことは樹に見抜かれていたようで、それを聞いた池谷は思わず悔しそうな表情を見せた。

 

 

「相手この前言ってた沙織ちゃんとかいう可愛い女の子かー!?ずるいぞー!俺を差し置いて!!」

「その沙織ちゃんって子を電話で誘った後、本屋で買って猛勉強してたってわけっす…!こういうのって先輩に聞いても分かんないじゃないっすか…!」

「にゃろー!はっきりと言うなぁ!!当たってるからしょうがないけど…!」

 

 

 するとその様子を見ていた店長が今はこういう雑誌があるもんなんだなーと池谷が手にしていた恋愛マニュアルの雑誌を手に取りながら興味深そうに目を通し、友奈が捕捉する形でそれ以外にも色んな雑誌があることを説明していく。

 

 

「…今は便利なものがあるんだなー」

「それ以外にも店長、今は色んな便利な雑誌があるんですよー。料理とかファッションとか…!」

 

 

 まあ今でこそそういった様々な分野で役に立つ雑誌やら本があるわけだが、店長が若い頃にはそういった便利アイテムが一切なかったようで、デートスポットやらなんやら手探りでしていたらしい。

 

 

「そうかー、俺たちの時代は全部手探りだったけど。どれどれー」

 

 

 そんな店長も興味があるのか恋愛マニュアルの内容を丁寧に読み上げており、読み上げを聞いていた樹もテンションがアゲアゲになっていた。

 ちなみにもう行動決行日は決まっているようで、前々から話していた通りその日は休みを取らせてもらえないかとお願いする。

 

 

「女は3回目のデートで決めるのが鉄則、初キッスはロマンチックな雰囲気を作っt…」

「うへへぇ…!もうバッチリっすよ店長、というわけで!こないだ言ってたその日…!休み取らせて貰います!」

 

 

 店長もそれでようやく樹のテンションがいつにもなくおかしい理由を理解したようで、特にその日は人手が足りないというわけでもないためまあいいかという感じで許可していく。

 それを聞いた池谷は相変わらず樹を羽交い締めにしながら羨ましそうな表情を見せており、樹はそんな状況でもニヤけが止まらず、気持ちが完全にデートへ行っていた。

 

 

「そういうことだったのか、まあいいだろう」

「くぅー!羨ましいぜこの野郎ー!!」

「うへへぇ〜!」

 

 

 すると店長が手にしていた恋愛マニュアル本を友奈が少し貸してくれないかと、持ち主の樹へと頼み込む。もちろん普段友奈がそんな本を読むわけがないため、それを聞いた池谷がまさか好きな男でもいるのか…!?と食い気味で質問していく。

 

 

「あっ樹君、ちょっと今日この雑誌借りていいかな?」

「へぇ?…まあ今日だけなら問題ないですけど」

「まっまさか友奈ちゃんも好きな男がいるのか…!?というか絶対そうなんだろ!?」

 

 

 だが友奈は全然自分はそんなんじゃないことを弁明しながら、明日友達が気になっている相手への告白を少しでも成功させるためのデート作戦でいい案がないか情報収拾するためだと説明する。

 それを聞いて少し安心した池谷だっだが、今度はその親友が誰なのか…相手はどんな人なのかと興味本位で尋ねてきた。

 

 

「全然違いますよ(汗)。私の友達が気になってる人がいるみたいで…、明日のデート作戦で告白を少しでも成功させるために…ね?」

「…なーんだ、それなら安心したよ。というかその子はどんな奴なんだ!?好きな相手とかは…」

 

 

 しかしすんなりと友奈が話すわけもなく、それはそのデート作戦が成功してからのお楽しみに…ということで上手くはぐらかされてしまう。

 だが同じくデートを控えている樹はいつもなら気にするであろうことに興味を示さないどころか、お互い頑張ろうと珍しく労いの言葉を投げかけていく。

 

 その様子を見ていた拓海は、一瞬なつきのことを思い出すと少しうずうずしたような表情を見せていくのであった。

 

 

「それは秘密です♪上手くいってからじゃないと♪」

「…流石に教えてはくれねーか」

「お互い頑張ろうぜ友奈ちゃん!デートが成功するようようにさ!」

「うん!」

「……」

 

 

 

 

 

 

 

翌日

関越自動車道にて

 

 

 東京(練馬IC)から新潟(長岡JCT)までを結ぶ高速道路であり、首都圏と日本海側(新潟)を繋ぐ重要な大動脈とされる関越自動車道。

 なので平日にも関わらずそ多くの車が流れており、走っている車もファミリーカーやトラック、高速バスといった多種多様な車種となっていた。

 

 そんな車に紛れる形で先頭から赤色の80スープラを始めとして、それに続く形で青色のランエボ、最後に青みがかったシルバー系のスターレットという見慣れた3台が走っていた…。

 

 

 

 先頭を走る赤色のスープラの車内にはステアリングを握る羽南と助手席に腰掛ける友奈の姿があり、話の内容から察するに今日が羽南のデート作戦当日のようだ。

 

 

「…でそのデート作戦が海デート…ねぇ…///」

「やっぱデートって言ったら海デートでしょ!ロマンチックな雰囲気に水着姿…!男なんてそれでイチコロなんだし!」

「…それはそれで色々大丈夫…?///怒られたりしない?///」

 

 

 ちなみに今はその海デートのために新潟県新潟市にある某海水浴場に向かう道中のようで、後続のランエボにはもちろん祐也が、その後ろのスターレットには由紀と明日香が乗っているらしい。

 

 とはいえ今回のメインは羽南と祐也であり、現地に着いたらそれ以外の三人はデートが上手くいくようにバックアップに徹するそうだ。(まあデートの様子をみられるのは確実だが)

 

 

「まあそれはさておいて…!現地着いたら私と明日香ちゃん、由紀ちゃんは別れるからね?あくまで2人が主役なんだし…!」

「…まあそりゃそう…だけど…///」

「あっでもバックアップはちゃんとするから安心して♪」

「…それは安心していいの…か?///ってかそれってデートの様子見られるってことじゃ…///」

 

 

 だがいくらバックアップ?があるとはいえ祐也はそういった類に関しては鈍感と言っていいもの、本当に自分なんかが付き合ってもらえるのか…羽南は頰を赤らめながらそんな事を呟く。

 しかし友奈曰くその心配はないようで、幼馴染で付き合いの長い経験を元に、彼女が好きだという本気の気持ちとロマンチックな環境なら上手くいくと励ます。

 

 

「……まあそれはいいけど…///本当に私なんかで上手くいくのかなぁ…///だってほら…アイツそういうの鈍感だし…///」

「うーん、そんなことはないと思うよー?祐也とは付き合い長いけど、そう見えるだけでロマンチックな雰囲気と羽南ちゃんの本気度があればいけるよ!きっと♪」

 

 

 そんな事を話している間にも移動時間はあっという間に過ぎ去っていき、気づけば目的地である新潟県新潟市の某海水浴場駐車場へと到着していた。

 とはいえ着いてからすぐに別行動というわけではないようで、女子組は更衣室で着替えてから作戦の最終確認をしてから行動に移すらしい。

 

 

「んじゃ、祐也!あとでここに集合ね!」

「うい、あとでな」

 

 祐也と別れた女子組は更衣室に足を運ぶと、身に着けていた服やら下着を脱いでいき、それぞれ袋から取り出した着慣れた水着を身に纏う。

 羽南はもちろんのこと友奈と明日香もプライベート用の水着は持っているようで、友奈は赤色のスカート付きビキニに対し、明日香は同じ赤色でもスポーツブラタイプのビキニとなっている。

 

 …が由紀だけはプライベート用の水着を持っていなかったらしく、部活で使っている競泳水着を何事もないように着ていくが、その様子をみた明日香が思わず突っ込みを入れていく。

 

 

「…っと」

「あんたそれ部活用の奴じゃない(汗)結局プライベート用の奴用意しなかったの?」

 

 

 もちろん本人も最初はそうしようと思ったが変に水着を選ぶより着慣れた競泳水着のほうが泳ぎやすいので、最終的には買わなかったと答えていく。

 それに今回の主役はあくまで羽南ということで、自分がわざわざ水着を選ぶ必要はないという判断に至ったらしい。

 

 

「最初はそうしようかと思った、でも今日の主役は羽南ちゃんでしょ?なのに私がわざわざ選ぶ必要もないし、着慣れてるほうがいいから」

「…相変わらずだねぇ」

 

 

 2人がそんなやり取りをしている合間にも一足先に着終えていた羽南は、鏡の前でくるりと回りながら身嗜みを入念に整えていた。

 やはりデートということもあり本人も何だかんだ言って気合いが入っているのだろう、その様子を見ていた友奈が気合いはいってるねーと背後から話しかけながら茶化していく。

 

 

「……」

「気合いはいってるねー、まんざらでもなかったり?」ニヤニヤ

「…!?///びっびっくりした…、もう友奈ちゃんそんな事わざわざ言わないでよ…///」

 

 

 その後全員着替え終わったため友奈達は更衣室を後にすると、先に着替えて待っているだろう祐也との待ち合わせ場所へと向かうことに。

 夏休みということもあって集合場所となっているところも多くの人で賑わっており、人混みをかき分けるように女子組は男子と問題なく合流することに。

 

 

「うわー人混みが多い…、やっぱ夏休みなのもあるのかなぁ…」

「かもね、私たちぐらいか家族連れが多いもん」

「由紀ちゃんの言う通りだねー、それぐらいの年齢が…あっいたいた!お~い祐也!」

「よーやくきた、こっちだこっち!」

 

 

 だがすぐに別行動へ移すようで、友奈がちょっと私用で用事があるから明日香と由紀を借りていくと伝えながら、2人で先に楽しんできてと告げながら、駆け足で由紀達とその場を後にしていく。

 もちろんいきなり過ぎる展開なので、祐也が止めようとした頃には3人は人混みの中へと消えていくのであった。

 

 

「よーし、みんな揃ったし早速…」

「あーそれなんだけど、ちょっと私私用で用事があるから由紀ちゃんと明日香ちゃん借りていくね?すぐ戻るから!」

「えっあっ……、言っちまった…」

 

 

 2人っきりになってしまったためどうしたものかと頭をポリポリとかいていた祐也だったが、すぐに戻るなら一足先に海水浴楽しむか…と羽南に提案していく。

 もちろん羽南もそれに従う形で彼の後に続くように歩き出したのだが、ふと建物の影から別行動したはずの友奈達が見つめていることに気づいた。

 

 

「…まあいいか、んじゃいくか?すぐに戻るって言ってたし…」

「うっうん…!///行こっか…」

ーあっ…友奈ちゃん達…///ー

 

 

 まあバックアップするとなれば祐也に気づかれないように尾行するのは当たり前であり、目線があった友奈が頑張れという言葉のかわりにグッドサインを送っていく。

 そんな親友の応援に答える形で同じようにそっとグッドサインを返した羽南は、そのまま祐也の後を再度ついていくように人混みへ紛れ込むのであった。

 

 

ーガンバ!羽南ちゃん!ー

ー…うっうん…!///頑張る…!///ー

 

 

 

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