頭文字Dー歌姫の最速録ー   作:三坂

59 / 63
第五十七話 デート日和?

 

 

 翌朝

 

 

 

 群馬県から長野県を経て新潟県を結ぶ、全長約204キロメートルの高速道路(高速自動車国道)上信越自動車道。

 そんな高速道路を見慣れたツートンカラーのS13シルビアが走っており、ステアリングを握る池谷は上機嫌な表情を浮かべていた。

 

 

「…♪」

 

 

 そのS13シルビアの少し後ろ、尾行するように走っている180SXの車内ではステアリングを握る健二は噂の真子ちゃんとやらが大したことないことを口にする。

 

 

「へへっ、どうせ本人が言うほど可愛い筈ねえけど」

 

 

 というのも昔からの付き合いのある健二曰く、池谷昔から大袈裟な思い込みが激しいがあるとのこと。

 なお助手席にはなんだかんだいだってついてきたのか拓海の姿が、後部座席には当然のようについてきた樹の姿があり、健二の言葉に確かにと頷いていた。

 

 

「あいつ大袈裟なことがあっからなぁ、思い込み激しいからなぁ」

「言えてますね」

 

 

 実際中学の時に、2人で秋名湖へ釣りに行った際。やっとこさで釣れた魚に池谷がオーバーリアクションで反応したことで、知らないおじさんたちが見に来るという健二にとって恥ずかしい出来事があったのだとか…

 尚釣れた魚の大きさはそこまで大したことはなく、小さめの魚であったことを彼は指で表現しつつ説明する。

 

 

「中学の時だったと思うけどさぁ、あいつと秋名湖に釣りに行ったことがあったんだよ。二人ともちっとも釣れなくて帰ろうとした時、やっと俺が小さいの釣れたんだ。そしたら池谷の奴興奮して」

『うわーっ!!でけえーっ!!』

「って大騒ぎ、確かこれくらいのサイズだったかな。知らない親父とかもわざわざ見にに来るしさっ、あの時は死ぬほど恥ずかしかったぜ…」ヤレヤレ

「へー」

 

 

 まあ確かにそのエピソードを聞く限りでは池谷が大袈裟なリアクションを取る性格だというのは充分に伝わり、今回の真子ちゃんの兼でも同様と思うのは無理もない。

 そんなことを聞きながら窓の外の景色を見つめていた拓海であったが、ふと何かに気づいたのか慌てて健二に横と指摘していく。

 

 

「本当大袈裟な奴なんだよ、池谷って奴は…」

「あっ…!健二先輩、ヨコっヨコっ…!」

「へ?」

 

 

 何事かと横に視線を向けた健二であったが、見慣れたS13シルビアに何とも言えないジト目でこちらを見つめる池谷と目が合ったことでやべっという顔を浮かべる。

 どうやら話に夢中になり過ぎてアクセルを踏む右足の力が入ってしまい、尾行のはずが追いついてしまったらしい。

 

 

「……」

「げぇ…!?しまったぁ!!…走るんに夢中になってたら足に力が入ってた……、尾行するのに追いついちまったぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 上信越自動車道、高崎ICと軽井沢ICの間に存在するサービスエリアの1つ横川SAでは、夏休みということもあってか家族連れはもちろん。物流を支えるトラックドライバー達で賑わいを見せていた。

 そんなサービスエリアの駐車スペースに何処か見覚えのある5台のスポーツカー(スターレット、MR-2、ハチロク、80スープラ、ランエボ)が入ってくると共に、空いていたスペースに車を停めていく。

 

 

ゴフッ!!

キキッ

 

 

 その後運転席ドアが各々に開くと、私服姿の友奈達がそれぞれの愛車から姿を現し、友奈と羽南のコンビはそこそこ長いドライブの疲れを解すように息の合った背伸びをしていた。

 

 

ボムッ

「「んん〜!」」背伸び

 

 

 由紀の奢りで軽井沢のアウトレットモールに行くことになった道中、休憩も兼ねて横川SAに立ち寄ったらしい。

 トイレ休憩ついでにお店も見て回ろうかーそんなやり取りを明日香達と交わしていると、祐也が何かに気づいたのかん?という表情を浮かべる。

 

 

「ここでトイレ休憩も兼ねてお店とかも見て回ろっかー、なんか面白そうだし」

「さんせーい♪…って祐也どうしたの?なんか明後日の方向見つめてるけど…」

「あーいや、ちょっとな」

 

 

 というのも彼の視線の先に、何処か見覚えのあるツートンのS13シルビア、白色のワンエイティが止まっており、それが気になって仕方ないらしい。

 

 本当だーと友奈も見ていると2台の運転席や助手席が開くと共にこれまた見慣れた池谷達が降りてくるのに気づき、彼女もあっ!という顔を見せた。

 

 

「あのシルビアとワンエイティ…どっかで見たことあるなーって思って」

「あっ本当だー、見覚えしかない2台だ…ってあっ!池谷先輩たちじゃん!拓海君や樹君もいるっ!」

 

 

 すると彼女の言葉を聞いた明日香や由紀もえっという表情を見せながらそちらに視線を向けていくと、丁度何やら話し込んでいる光景が…

 …しかしよく見てみると健二が両手を合わせながら謝っており、池谷もいつもの表情ではなく険しそうな表情を見せている。

 

 

「えっ!?拓海君とイツキ君が!?」

「あっ本当だ、池谷先輩や健二先輩もいる…ん?ってか健二先輩謝ってない?」

「確かに…池谷先輩もなんだか表情険しそう…」

 

 

 出来ればあんまり干渉しないほうがいいのだが、流石に放っておけない雰囲気なので声をかけてみようということで、5人は池谷たちの元へと向かっていく。

 

 

「どうする?話しかけていい雰囲気じゃないけど…」

「うーん…でも放っておけないし…私行ってみるよ」

「あっなら私も…!」

 

 

 友奈たちが池谷達に気づいたのと同時刻、尾行がバレた健二は説明(もとい弁明)をするために横川のサービスエリアに訪れ、両手を合わせながらまずは謝罪の言葉を述べていた。

 もちろんイツキもそうだと必死で弁明しており、健二も次のインターで帰るから勘弁してくれと話していく。

 

 

「すまん池谷…!!勘弁してくれ!真子ちゃんがどんな子か見たかっただけなんだ…!」

「ホントそれだけっす。デートの邪魔するつもりは全然ないっすから!」

「なぁ怒るなよ。俺達、次のインターでUターンするからさ」

 

 

 そんなやり取りをしていたタイミングで友奈達がどうしたのかとやってきて、見慣れた5人に気づいた樹はどうしてここにいるのかと驚きの表情を現す。

 もちろんその経緯を話しながら何があったのかと尋ねた彼女たちに対して、健二が実は…と訳を説明する。

 

 

「どうしたの?なんか謝ってるけど…」

「えっ!?友奈ちゃん!?それにみんなまで…なんでここに」

「実はこれから軽井沢に遊びに行くんだけど…、それよりもこれは一体?」

「いやー、実はな…(経緯を説明中)」

 

 

 それを聞いて何故こうなっているのか理解した由紀は、樹や拓海に対して何やってんだか…と呆れた表情を見せながらやれやれと首を振る。

 樹も必死で弁明するものの、こうなっては何を言っても駄目というものなので、軽い鉄拳制裁をお見舞いされて頭を抑えながらしゃがみ込んでしまう。

 

 

「なるほど…、池谷先輩が出会った子がどんな娘か見たくて尾行してたらバレたと…」

「まあそんなところだ」

「はぁ…、2人も揃って何やってんだか」

「そっそんなつもりは…!ただどんな子か気になってちょっと見て帰るつもr…いてっ…!?」

 

 

 そんな樹を横目に明日香がこう言っているんだし勘弁してやってくれないか?と池谷に話していくが、当の本人は紹介するだけなら全然構わないと告げていき、それを聞いた健二と樹は本当か!?と喜びを露わにする。

 

 

「まあこう言ってるし勘弁してあげたら?別にまだ害を与えてるわけじゃないし」

「いや、いいよ。わざわざ帰らなくても、紹介するぐらいなら別に構わないし」

「本当か!?」ワチャワチャ

 

 

 ただしそれ以上ついてくると本気で怒る旨を伝えながら、ついてこいと言わんばかりの足取りで愛車の元へと戻っていく。

 

 

「ただし…!!それ以上はついてくるなよ、本気で怒るからな」

「よしゃ!」

 

 

 その様子をみていた祐也は俺たちはどうする?と女子メンバーに尋ねると、どんな子か気にはなるもののあんまり大勢の人が行くわけにはいかないため、自分たちはここで御暇することに。

 

 

「…ところで俺たちはどうする?」

「うーん…、池谷先輩の言ってた子は気になるけど…あんま大勢で行くわけにはいかないから…ここで御暇しよ?」

「だな…」

 

 

 一応わかってはいるものの邪魔をしないようにね!と由紀と明日香が健二たちに念押しつつ、自分たちはここで失礼する旨を伝えながらその場をあとにしていくのであった。

 

 

「んじゃ私らはここで失礼するけど、池谷先輩の邪魔するんじゃないわよー?」

「わかってるよー…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…てなわけで、コイツら俺の友達なんだ」

「初めまして…佐藤真子です」

 

 

 その後池谷についてくる形で訪れた健二たちであったが、紹介された真子が想定以上の美人だったということもあってか、3人とも驚いた表情を浮かべ、ただ挨拶をするのが精一杯な状態になっていた。

 

 

「……どうも」

「…こんにちはっす」

 

 

 そんな3人を横目に池谷が行こうかと真子に告げながら、愛車のS13の助手席にエスコートするかたちで乗り込ませると、自身は運転席に乗り込んでいき、唖然とした健二たちはその走り去る後ろ姿を見つめていく。

 

 

「それじゃ真子ちゃん、行こうか」

「ええっ」

ボムッ

ブロロロ

 

 

 それから3人は互いのほっぺをつねりながら夢でないことを確認すると、健二がどうして池谷にあんな可愛い子が出来たんだ…とショックな表情を見せながら凹む。

 

 

「夢じゃないみたいっすね」

「信じられねぇ……、すげーショック…なんで池谷にあんな可愛い子が…」

 

 

 走り屋に女はいらない、一緒に泣きましょうやと樹がフォローするように話しかけるものの、それが返ってイコール彼女が出来ないことだと誤解された健二に問い詰められてしまう。

 

 

「走り屋に女は要らないっすよ健二先輩、…一緒に泣きましょう」

「なんだそれは?俺には彼女ができないってことかぁ!?」

「いやジョークっすよジョーク!!」

 

 

 とまあそんなやり取りをかわしたあと、これからどうするかと樹が2人に問いかけていく。 

 せっかく軽井沢に来たんだからウロウロして帰ればいいのに…と思いそうだが、この時期の軽井沢はもれなくリア充のオンパレード。

 

 どう考えても男3人でウロウロするような場所ではない。

 

 

「それよりこれからどうしますかぁ?」

「そうだなぁ…男三人でウロウロするような場所じゃねーよなぁ…この時期の軽井沢って」

 

 

 だがせっかく来てみたんだし何処かへ寄らないと損というもの、なので碓氷峠に行ってみるかということになったらしく、健二は拓海や樹を連れて碓氷峠へと車を走らせていくのであった。

 

 

「……碓氷峠にでもいってみっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 軽井沢・プリン◯ショッピングプラザ、それほ長野県軽井沢町のJR軽井沢駅南口側にある、国内最大級のリゾート型ショッピングモール(アウトレットモール)。

 自然豊かな広大な敷地を利用しているのはもちろんのこと、有名ブランドのアウトレット、インテリア、雑貨、アウトドア用品などが揃っていることでも知られている。

 

 そんなショッピング・モールへやってきた5人、特に羽南は目を輝かかせながら当たりをを見渡していた。

 

 

「うわぁー!いろんなお店がある…!!」

 

 

 流石は国内最大級のリゾート型ショッピングモールということも相まって多くの人たちで賑わいを見せており、やっぱ多いわね…と当たりを見渡しながら由紀がそんなことを呟く。

 

 

「にしてもやっぱ多いわね…流石は国内最大級のリゾート型ショッピングモールっていうか…」

 

 

 とまあそんなことを話していると明日香が立ち話も何だから入っちゃいましょうと提案していき、羽南もさんせーいと元気いっぱいの返答を返す。

 

 

「んまあここで立ち話も何だから入っちゃいましょうか」

「さんせーい♪」 

 

 

 だがそこに友奈が待ったをかけて、明日香と由紀を一旦連れて行くと何やらひそひそと話し始める。

 もちろんその枠に入っていない羽南と祐也は頭に?を浮かべながら首を傾げながらその様子をただみていた。

 

 

「あっちょっと待って!明日香ちゃん、由紀ちゃんちょっと…(手招き)」

「ん?どうかしたの友奈ちゃん」

「あーなんか予想ついたかも」

「?」

 

 

 しばらくすると話を終えた3人だったが、友奈と明日香はニヤニヤした表情を浮かべており、それを見た羽南は察したような表情を浮かべていく。

 祐也は相変わらずわかってないないが、由紀がお金を渡しながら2人で楽しんできてと告げられたことで、ことでようやくその意味を理解した。

 

 

「……(ニヤニヤ)」チラッ 

「あっ……///」

「ん?なんでアイツらニヤニヤして」

「はいこれ、2人で楽しんできて」

「……あー」

 

 

 その後集合時間や場所を一方的に伝えた友奈は、ちょっと待ってと制止を試みる羽南をスルーする形で、明日香や由紀を連れてその場をあとにする。

 

 

「んじゃお昼になったらここに集合でっ!んじゃ明日香ちゃんと由紀ちゃんは借りていくねー」

「あっちょ…///!…行っちゃった…///」

 

 

 完全に置いていかれた2人はしばらく何とも言えない雰囲気を浮かべていたが、いつまでもここに立っているわけにはいかないため、そろそろ自分たちも行くか…と祐也が照れくさそうに呟く。

 

 

「……その…なんだ、せっかく配慮してくれたんだ…そろそろ俺たちもそろそろ行くか…」

「そう…///だね…///」

 

 

 もちろん羽南もそれに頷きながらも、せっかく付き合ってるんだし手を繋がないかと頬を赤らめながら提案していき、祐也もそれもそうだな…と口にしながら彼女の右手を優しく握りしめる。

 

 

「あっあのさ祐也…///」

「ん?なんだ?」

「その…手を繋がない…?///せっかく…付き合ってるんだし……///ね?」

「それも…そうだな…」ぎゅ

 

 

 既に手を繋ぐこと以上のことをしているのにこれぐらいで恥ずかしながるなんて変だよね…と照れくさそうにしながら話す羽南。

 そんな彼女に対して、内心くそかわいいな…と思いながらそれもそうだな…と祐也は平然を装う形でエスコートしつつ歩き出していくのであった。

 

 

「えへへ…///なんか…手を繋ぐこと以上のことをしてるのに…///恥ずかしながるなんて変だよね…///」

「まあそう…だな…」

ーくそっ…めっちゃかわいい…!付き合ってよかった…!ー 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。