軽井沢某所、健二達と分かれた池谷は真子を隣に乗せた状態でドライブをしており、緊張しながらもどんな車が好きなのかと話題を振っていた。
「どっ…どう?真子ちゃんってどういう車が好きなの?」
すると返ってきた返答は、好きというか憧れていた車は1個前のRX-7(FC3S)らしく、それを聞いた池谷はそりゃ渋い趣味をしていると返答する。
「好きっていうか…憧れてたのは一個前のRX-7なんですよ」
「FCかぁ、へぇ~渋い趣味だよそりゃあ」
その後真子から池谷さんって走り屋ですよね?と尋ねられた池谷は照れくさそうにしながら普段は一般のドライバーと同じつもりにしてるんだけどさ…と話していく。
「池谷さんって、走り屋…でしょ?」
「あっえっ…いっいやぁ、わかっちゃう?普段は一般のドライバーと同じにしてるつもり…なんだけどさ」
ただ特段走り屋が苦手というわけではなく、むしろいいとは思っているようで、むしろ自分も車が好きだと答えると池谷はつい嬉し涙を浮かべた
「あっあのさ、真子ちゃんって走り屋の男…どう…思ってる?」
「いいと思いますよ、私も…車好きですから」
「へぇ…!?そう!?」
どうやら走り屋をやっている人は総じて普通の人よりも運転が上手いらしく、そこが彼女にとっていいと思うところのようだ。
確かにいい車はお金を出せば買えるもののテクニックは磨かなければ成長せず、つまりお金で買うことはほぼ出来ないと言っても過言ではない。
「やっぱり、走り屋をやってる人って普通の人よりも運転上手いじゃないですか。いい車はお金持ってたら買えますけど、テクニックは買えないもの」
なので外車を乗り回している人よりも、普段は庶民的な車に乗っていざっていう時にテクニックを活かせる人のほうが真子は素敵だと思っているらしく、それを聞いた池谷はええ子や…とステアリングを握りながら感動の表情を浮かべてい
くのであった。
「私は高い外車を乗り回してる人より、いざっていう時にテクニックを持っている人のほうが、ずっと素敵だと思います」
ー…ええ子や…理想の女の子や…!ー
池谷が真子とドライブデートをしている頃、軽井沢のアウトレットモールでは色んなお店をみて回りショッピングを楽しんだ羽南と祐也がベンチに腰掛けながらひと休憩を挟んでいた。
「いやー…!やっぱ来て正解だったよ、あっち(群馬)じゃ買えないようなものも買えたし♪」
「だな、由紀には感謝しておかないと」
そんなやり取りを交わしていると、ふと羽南がデートどうだった?と頬を赤らめながら恥ずかしそうに尋ねていく。
3人が配慮してくれたことで思いもしなかった買い物デート、それを聞かれた祐也は少し照れくさそうにしながら久しぶりに楽しい買い物が出来たと答えていく。
「…あっあのさ祐也…///どうだった…?今日の…///その…///デート…///」
「あー…///そうだな、久しぶりに…楽しい買い物が出来た…かな…」ポリポリ
「ふふっ…♪///そっか…///」
とは言えかなり買ってしまったしまったため流石にこの状態で出歩くのは色々と大変なので、一旦車に荷物を入れることにした2人は、ベンチから立ち上がると車を停めてある駐車場へと赴くことに。
「…っても結構買っちゃったかも(汗)とりあえず荷物車に入れておきたいんだけど…いいかな?」
「ん?まーそうだな、流石にこれを持ったまま歩くのも疲れるし」
そんな2人が向かっている頃、その駐車場では友奈たちが身を寄せるように停めてある5台の周囲を見慣れない少女、ソラ・ハレワタールは目を輝かかせながらキョロキョロと見回っていた。
「うわぁ…!ハチロクにMR2!スープラにランエボ、スターレットまで!!」
青い髪と青い瞳を持ち、後ろ髪は頭部黄色いリボンで右側にサイドテールに纏めているのが特徴的な彼女、隣に立っている虹ヶ丘ましろと呼ばれるピンクがかった薄い小豆色のロングヘアーの親友に興奮気味に話しかけていく。
「ましろさんみてください!この5台!特にスープラとかハチロクめっちゃカッコよくないですか!?」
「そっソラちゃん落ち着いて…」
まあ興奮する彼女の気持ちも分からなくもないが、何よりこの5台は自分たちの車ではなく身も知らない他人のもの。
本人が来られたら絶対気まずい雰囲気になってしまうため、ましろ的には見られる前に退散したい気分なのだが…
「もしこの車のオーナーさん達来たら絶対気まずいから…(汗)」
しかし彼女は聞く耳を持たずに、相変わらず興奮気味な雰囲気全開で今度はハチロクやスープラを中心に隅々まで見渡している始末。
どうしよう…そんなことを思っていたましろだったが、背後から声かけられたことでハッとした表情を浮かべながら慌てて視線をそちらに向けていく。
「おぉー!車内もしっかり弄ってる…!こんな人滅多に見られませんよ!」
ーどっ…どうしよう…ここままじゃこの車の持ち主さんたちが戻ってきて…ー
「あのっ、どうかされましたか?」
「…!?」
ましろの視線の先、そこには買い物袋を両手に首を傾げながら尋ねてきている羽南と、自由奔放なソラを苦笑いで見つめる祐也が立っていた。
もちろん彼女たちが持ち主であることをには気づいており、慌ててましろがすみません!と謝りながら弁明する。
「……あっあっ…すっすみません!!別に変なことをしているわけじゃなくて…ええっとその…」
するとそこでようやくソラも気づいたらしく、オーナーかと尋ねていき、羽南がはいと答えるとハッとした表情を浮かべていく。
その後ビシッとした姿勢を見せると、すみません!と謝罪してきた。
「あっ!もしかしてこのハチロクとスープラのオーナーさんですか?」
「あっえっと…スープラは私が…」
「これは失礼しました…!すみません!」
意外に真面目で礼儀正しいんだな…とそんな彼女をみていた祐也はそんなことを内心思っていると、やっはろーという声と共に友奈達も合流してきた。
当然初対面のため、この人たちはー?と友奈が尋ねるとソラが経緯を説明していく。
ー意外に真面目で礼儀正しいんだな…、さっきの感じとは全然違うっていうか…ー
「やっはろー2人とも、あれ?この人たちは」
「あっ友奈、えっと…」
「それは私が、実は…」
話を聞いた友奈はなるほどーと納得の表情を浮かべると、断る理由もないし気になるならみせてあげようか?と提案。
羽南もなら私も…と答えると、ソラは満面の笑みを浮かべるとありがとうございます!とビシッとしたお礼で頭を下げた。
「なるほどー、ならせっかくだしみせてあげようか?ねっ羽南ちゃん」
「まあ断る理由もないし、別にいっか」
「本当ですか!?ありがとうございます…!」
そんなやり取りを見ながら本当にいいのかと由紀が尋ねていくが、別に減るもんじゃないしねーと2人は答える。
とまあそんな感じでやり取りしていると、そう言えば挨拶をしていませんでしたね…!とソラがハッとした表情で思い出すと、自己紹介をしていく。
「いいの?身も知らない人相手に」
「まあ減るもんじゃないし、礼儀正しそうな子だから」
「だね」
「あっそう言えば自己紹介をしていませんでしたね、コホン…私ソラ・ハレワタールと言います!」
名前の通り日本人ではなく山梨県 甲府市在住の在日イギリス人らしく、それを聞いた明日香がモノホンの外国人ってことかーと驚きの声を挙げると共に、外国人っぽくないよねと指摘する。
「名前の通り日本人ではなく、山梨県 甲府市在住の在日イギリス人ですね!」
「へーイギリス人、ってことはモノホンの外国人ってことかー。でも全然それっぽくないよね、日本語もペラペラだし」
日本に住んでそれなりに年数が経ってるので…、とソラは答えながら隣に立っているましろの自己紹介もついでに済ませていく。
ソラの下宿先の娘で同い年のましろも、彼女の自己紹介に続く形で挨拶をしつつ、先ほどは失礼しましたと謝罪をする。
「日本に住んでそれなりに経ってるので、あっこっちは同い年で私の下宿先に住んでる…」
「虹ヶ丘ましろって言います!先ほどは失礼しました…!」ペコッ
ちなみに歳は2人とも18歳らしく、それを聞いた友奈がなら同い年だねーと嬉しそうな表情を見せながらぴょんぴょんと跳ねながら、こちらの名前も名乗っていく。
「あっ歳は2人とも18歳です!」
「ってことは同い年ってことかー、よろしくねー(ぴょんぴょん)あっ!私は結城友奈っていうんだー、ハチロクのオーナーだからよろしくー」
もちろん羽南達もそれに続く形で自己紹介をしていき、一通りそれが終わったタイミングでおーいという声と共に一人の女性がこちらにやってきた。
「あっ私は焔羽南っていいうんだー、車はそこの80スープラちゃん!」
「降矢祐也だ、青色のランエボに乗ってるからよろしくだ」
「滝沢明日香、車は赤色のMR-2だからよろしくな」
「私は飯田由紀、白のスターレットだからよろしく…」
「おーい、お待たせー」
栗毛のロングヘアーとマゼンタの瞳を持つ明らかに自分たちのり年上とわかる雰囲気の彼女は、会話を聞く限りどうやらソラとましろの知り合いらしい。
だが友奈たちとは初対面なため、この人たちは?と尋ねる彼女に対してソラが説明していく。
「いやー、ちょっとお手洗い混んでてて…。ってお?2人ともこの人たちは?」
「あっえっと…」
彼女から事情を聞いた女性、聖あげははなるほどねーと納得しながらも勝手に覗いたりしちゃ駄目でしょー?と指摘。
それに対してすみません…とましろが謝ってるところに、友奈がこの人は知り合いなんですか?と尋ねる。
「なるほどねー、でも駄目でしょー?人の車、勝手に覗いちゃ」
「すっ…すみません…(汗)」
「ソラさん、この人は知り合い?」
するとそれを聞かれたソラはそうですと答えながら、彼女の自己紹介をしていき、あげはも友奈に負けないほどの元気いっぱいの口調でよろしくー!と答えていく。
「はい!ましろさんの家に最近居候してる聖あげはさんです!」
「聖あげはですー!よろしくねー♪」
その後友奈達も再び自己紹介をしていき、ようやくこれで全員分の自己紹介が終わると、ふと友奈がそう言えば3人はどうやってここまで来たのかと聞いていく。
すると聞かれたソラはあそこに停めてある車で来ましたとベイサイドブルーの日産・スカイラインGT-R V spec Ⅱ(BNR34)を指差しながら説明する。
「あっそう言えばみんなってどうやってここまで来たの?」
「あっそれならあそこに停めてあるGTRで、アレ一応わたしのなんで」
まあ高校生がRを所有しているというのはかなり珍しい…というかほぼ持てないため、すごいねーと羽南が驚きの表情を浮かべてると、ソラが実はアレ元は自分の車じゃない旨を打ち明けた。
「えっ!?GTR!すごー、私らの歳でアレに乗ってるって…」
「よく言われます、でも実はアレ。元は私のじゃないんですよ」
「というと?」
詳細な情報は伏せるものの、イギリスで有名で憧れていたレーシングドライバーが交通事故によって患った後遺症でレーサーを引退した際、彼女から修理した愛車を譲り受けたものらしい(これには由紀も驚いた表情を見せていく)
「実はあのR、元はわたしの地元で有名だった有名レーシングドライバーの奴で…交通事故によって患った後遺症でレーサーを引退した際に、修理したやつを譲り受けたんです」
「とある有名レーシングドライバー…から?」
そんなことがあるんだねーとソラの説明に驚いていた友奈に対して羽南はこのRどっかで見たことあるような…と首を傾げながら唸っていた。
「へーそんなことがあるんだ」
「うーん…このR…どっかで見たことあるような……気のせい…?」
しかし話題が各々の車に行ってしまったことや、思い出せないため羽南はまあいいか…と割り切りながら混じっていく。
「あっせっかくですしエンジンルーム見てもいいですか?このハチロク凄く気になってて」
「うんっいいよー♪」
「うーん…まあいいか」
その後エンジンルームを友奈は慣れた手つきでオープンさせると、覗き込んだソラはハチロクに搭載されているレース用エンジンを目の当たりにするとおぉ!と目を輝かせていた。
ガコッ
「おぉ!みてくださいよましろさん!あげはさん!このハチロクレース用エンジン載せてますよ!」
「れっ…レース用エンジン…?」
「うわー凄いわね、ゴリゴリに改造してるわこれ」
しばらくそんな感じで見ていたソラだったがふと何かハチロクから感じ取ったのか、先ほどの表情が嘘のように真剣な目つきに変わる。
どうやら見覚えがあるようで、少しの間ハチロクを見つめていたソラは少しいいですか?と友奈に視線を向けがら尋ねていく。
ー……ん?そう言えばこのハチロク…なんか見覚えがあるような…ー
「あの友奈さん、ちょっといいですか?」
もちろん彼女もどうしたのかと聞いていくが、ソラは間違ってたらすみませんと付け加えながら、一間開ける形でもしかして貴方が今有名な赤城の歌姫ですか?と質問を投げかけていくのであった。
「ん?どうかしたー?」
「あっいえ…間違ってたら申し訳ないんですけど…」
「友奈さんって、今話題のハチロク乗り。赤城の歌姫さんですか?」