「友奈さんって、今話題のハチロク乗り。赤城の歌姫さんですか?」
一間開ける形でソラがそんなことを尋ねた瞬間、友奈は思わずえっという表情を浮かべながら一瞬固まる。
図星…と言わざるおえない反応に彼女はやっぱりそうなんですね…!と満面の笑みを浮かべながらそんなことを尋ねていく。
「…えっ…あっ…いやー…」
「やっぱり…!そうですよね!」
こりゃ隠せないな…内心そう思いながら別に隠すことでもないため、軽く咳払いをすると自分がその赤城の歌姫である旨を打ち明けた。
ーうーん…こりゃバレたな(汗)まあいいかー
「コホン…、まあそうですね。私が赤城の歌姫です」
するとそれを聞いたソラはさらに笑みを浮かべると、本物に会えた喜びからはしゃぎまくっており、握手をしてくださいと言いながらも既に手を握りながらブンブン振り回す。
「ですよね!会いたったんですよ!あっ握手いいですか!?」ブンブン
やっぱり高橋涼介に勝ったとなればただでさえ有名だったのがさらに有名になるよなー…とその光景を眺めながら祐也はそんなことを呟き、明日香が有名人だねーとうんうんと頷く。
「やっぱ高橋涼介に勝ったとなればさらに有名になるよなー」
「友奈ちゃん、有名人だねー」
とまあそんなやり取りを交わしていると、ふとソラがせっかく本物の歌姫に会えたということで1つお願いしたいことがある旨を伝える。
何ー?と尋ねる友奈に対して、間髪入れずにバトルを申し込みたいと打ち明けた。
「…あっ実は歌姫さんに会った際にどうしてもお願いしたいことが…」
「んー?何ー」
「……その、バトルを受けてもらえませんか!」
もちろんいきなり過ぎる展開なので流石にそれは不味いんじゃ…とましろが引き止めるものの、無理は承知で憧れていた歌姫とバトルがしたいんだとソラは説明していく。
「ええっ!?そっソラさんいきなり過ぎだよ…、もうちょい手順とか…」
「わかってますましろさん、でもあの歌姫さんとバトルが出来るチャンスなんてそうそうありません…!今の私で何処まで行けるか…試したいんです!」
いきなりきたわね…そんなことを呟きながら由紀がどうするのよと友奈に尋ねると、彼女は少し考えてから受けて立ちます!と真剣な眼差しで返答を返す。
「いきなりきたわね、んでどうするの歌姫さん。まっ答えは決まってるでしょうけど」
「…わかりました、その挑戦。受けて立ちます…!」
するとそれを聞いたソラはありがとうございます…!とビシッとした礼をしながらお礼を述べていき、ましろもいきなりですみません…と頭を下げていく。
しかしあげはは面白そうな展開になってきたわねーと呑気に笑みを浮かべており、明日香ともう打ち明けるように話していた。
「ありがとうございます!」ペコッ
「すっすみません…!いきなりで受けてくださって…!」
「いやー面白くなってきたわね、少年にも見せて上げたかったわ」
「少年?あげはさんの知り合いか?」
「まあそんなところねー」
ちなみにいつバトルするかについてだが、本人は今日でも問題なく峠の指定もこちらに合わせるとのこと。
流石に今日は…と止めるましろを横目に、友奈が峠はこちらで調整しても本当に問題ないのかと尋ねていく。
「あっバトルはいつでも構いません!ってか今日でも全然!峠の場所も合わせます!」
「あっえっ…さっ流石に今日はまずいんじゃ…」
「…ちなみに日程は一旦置いての確認なんですけど、峠はこちらで選んでも本当に問題ないんですか?」
どうやら彼女自身遠征を積極的に行っているらしく、ホームコース以外の峠を走ることが多いため、どんな場所でも数本走ればあっさりと適応してしまうとのこと。
するとそれを聞いた友奈が、なら今日の夜8時に秋名峠でバトルをしましょう!と思い切った提案を投げかけた。
「はいっ、私自身。いろんな峠を走ってるので!数本走れば大体は…!」
「なるほど…、わかった!なら今日やろっか!場所は秋名峠で夜の8時から!」
本当にいいのかと尋ねる羽南やましろに対して、丁度赤城以外でバトルをしてみたかったからむしろナイスタイミングだと口にしていく。
「あっえっ…いっいいんですか!?今日って」
「そうだよ友奈ちゃん…!ってか赤城じゃないのもそれで本当にいいの?」
「うんっ!なんか面白そうな子だし、なにより赤城以外でバトルするには丁度いいかなって!」
という感じで早速バトルが決定した訳だが、双方本命は軽井沢観光が目的。せっかく出会ったということで一緒に楽しむことになった一同は、お昼を食べるために再びアウトレットモールへと足を運んでいくのであった。
「まあでも本命は観光だし!丁度お昼だからみんなでご飯食べに行こっ!」
「賛成です!いきましょう!」
その頃碓氷峠を訪れたあとスタンドで給油をしつつ休憩していた健二たちは、そこのスタンドの店員から今話題のシルエイティがいることを告げられていた。
「シルエイティ?」
「そうっブルーのシルエイティが今碓氷峠で一番速いって噂だよ」
しかも驚くことなかれ、そのシルエイティのドライバーが女の子であると告げられたことで健二は思わず一瞬驚きを露にする。
「おまけに驚くなよ、そのドライバーは女の子なんだ」
「女ぁ!?」
…がその後よくよく考えれば自分の知ってる範囲に女性の走り屋が結構いたよな…と思い出しながら、驚くことでもないか…と割り切っていく。
「ってよくよく考えれば群馬エリア女の走り屋結構いるから驚くものでもないか…」
「言えてますね」
すると話を聞いていたスタンドの店員がそんなにそっちは女性の走り屋が多いのかと尋ねていき、健二ははいと答えながら自分達の地元である群馬には多いと説明
「ほー、そんなに女性の走り屋多いのか?あんたらのとこは」
「ええっまあはい、俺等群馬の走り屋なんですけど…結構今流行ってるのか多くて…」
もちろん群馬といえば今話題なのが赤城の歌姫であり、そういえばおたくらのとこも女性のハチロク乗りが有名だったよなーとスタンドの店員はそんなことを口にする。
「群馬かー、群馬っていえば赤城の歌姫だよな今話題なの。確か女性の走り屋で結構若いとも言ってたなー」
しかし碓氷のシルエイティに乗る女性の走り屋も負けてはいないようで、いくら赤城最速とは言えどうちにくれば叶わないよ…と自信満々に話していく。
「でも、いくら速くても碓氷じゃそのシルエイティには叶わないよ。地元のエースを舐めてもらっちゃ困る」
そんな話を聞きながら健二は、うちの歌姫はなかなかにやばいんだけどな…とスタンドの店員に内心突っ込みを入れていくのであった。
ーいや…うちの友奈ちゃんはそれ以上にやばいんだけどな………まあ、でも碓氷ならわんちゃんはあるかもしれないが…ー
とまあそんなやり取りを健二達が交わしている頃、真子とドライブデートをしていた池谷は、ふと彼女から女の走り屋はどう思うかについて尋ねられる。
「あの池谷さんは…、男のひとからみて峠が好きで走り屋のまねごとをしている女の子が居たら…どう思います?」
尋ねられた池谷は少し考えたものの、別に女性の走り屋自体抵抗はないため、全然オッケーな旨やむしろ最高だと言わんばかりに答えていく。
「女の走り屋かぁ…、いっいいんじゃない?そんなの全然オッケーだよ!むしろ最高!女の子の走り屋なんて返って話せるっていうか…!」
「本当ですか!?」
まあそもそも自分の知り合いに女性の走り屋がかなりいるため、今時女性が走り屋やってて当たり前の時代になってきてるんじゃないかなと池谷はそんなことを口にする。
「ってか俺の地元女性の走り屋結構いるからさ、今時女が走り屋やってても気にならないっていうか…」
「そうなんですか…、いいですね…私のとこなんて全然いなくて」
とそんなやり取りを交わしている中、池谷は真子が走り屋になりたいんだと察した表情を浮かべていくのであった(既にになっているが)。
ーそうか…分かったぞ…、真子ちゃんは走り屋になりたいと思ってるんだ!だから憧れの車がFCなんだ…ー
「にしても女の子走り屋のシルエイティかぁ…」
その頃スタンドで給油ついでに休憩をしていた3人は、スタンドの店員に言われた例のシルエイティに関して話し合っていた。
だがシルエイティという名前に聞き覚えのない2人は、頭にはてなマークを浮かべながら健二へ尋ねていく。
「あの…シルエイティって…」
「外車ですか?」
「いや、そうじゃないよ」
ちなみにシルエイティとは健二曰く、ワンエイティにシルビアの顔をくっつけた車の事を指しているらしい。
「シルエイティはワンエイティにシルビアの顔をくっつけた車の事なんだ」
そのためシルエイティと呼ばれているのも2台がくっついているから掛け合わせてそう呼ばれているとか…
「シルビアとワンエイティだから、シルエイティって呼ぶんだ」
「へー」
まあそれはいいとして、気になるのはその碓氷峠最速のシルエイティのドライバーが女の子だということ。
もちろん速い女性のドライバーは何人か知っているものの、それでもどんな走り屋なのか一回は見てみたい気持ちがあるようだ。
「そのドライバーが碓氷峠最速でしかも女の子ってんだから、見てみたいよなー。友奈ちゃんとは何が違うのかとか」
するとそれを聞いた先ほどのスタンドの店員が夜まで待っていれば、碓氷峠で見られると思うよとアドバイスをしてくれる。
「夜まで待っていれば碓氷峠で見られるとは思うけどねぇ」
しかしその後警告するように間違ってもバトルを挑もうとしちゃ駄目だよと告げながら、その場を後にしていくが、拓海は無意識に真剣な目つきでシルエイティに関して一人考え込んでいくのであった。
「でもさ、間違っても勝負を挑もうとしちゃ駄目だよ。地元でも誰も勝てないんだからさ」
「……」
場所はかわり軽井沢某所、とあるお店でひと休憩していた池谷は、真子に対して自分が作ったチームに秋名最速の走り屋がいることを話していた。
「秋名スピードスターズ、オレが作ったチームなんだけどさ。今や秋名最速って言われてる走り屋がいるんだ、オレの後輩で」
ただその表情は明らかに浮かれており、完全に調子に乗りながら自分はその次に速いことを打ち明けていく(まあ間違ってはないが…、その間がでかすぎるだけで)。
「まあ速さで行ったら、次はオレかなぁ」
しかしその話を聞いていた真子は何処か浮かばれず、それに気づいた池谷がどうしたのかと尋ねると慌てて何でもない旨を伝える。
「ん?どうかした」
「あっいえ…なんでもないんです」
流石に車のことばっかり話しすぎたか…そう思った池谷はもうわけなさそうな表情を浮かべながら謝罪を口にするが、真子はそのことはないです…と答えていく。
「ごめん、なんか車の話ばかりでつまんなかったかな?」
「いえ、そんな訳ないです…!」
どうやら彼女も車が大好きらしく、それを聞いた池谷はそうか…!と答えながら安心した表情を浮かべる。
「私も車大好きなので、凄く楽しいです!」
「そっ…そっか!なら良かった!」
その後飲み物を一口飲みながら、ふと池谷は真子に対してドリフトとか憧れてたりする?と尋ねていき、彼女もはいと答えた。
「あのー、真子ちゃんももしかしてドリフトのかっこよさに憧れてたりする?」
「ええっ」
するとそれを聞いた池谷はドリフトは俺ぐらい走り込んでないと危ないからなねー、と自信満々な表情で話していく(←貴方まだドリフト出来てないですけど)。
「あれはねぇ、俺ぐらい走り込んでないと使いこなすのは難しいよ。危険な技だからね」
もちろんドリフトが出来ると思い込んでいる真子に得意なのかと聞かれた池谷は、まあ…と少し濁す形でできるようなことを口にしていくのであった。
「池谷さんもドリフト得意なんですか?」
「えっ…まあ…」
それから時間が経ち、あたりが夕暮れに包まれつつある軽井沢駅舎前では、デートを終えた池谷が真子を送り届けていた。
「ありがとう、今日は楽しかったです」
後はこのまま見送るだけ…なのだが、池谷は気になっできることがあるのかこの際思い切った質問を投げかける。
「あ…あのさ真子ちゃん」
「はい」
「真子ちゃんってその…、今付き合ってる人とかって…その…いるの…かな?」
すると少し考えた真子は彼氏はいないんですと告げていき、それを聞いた池谷はハッとした表情で真子を見つめていた。
「私…彼氏いないんです」
「…!」
今ばフリー宣言であり、また電話してくださいね…と話しながら一礼しつつ駅舎の方へと歩みを進めるように立ち去っていき、その後ろ姿を見つめながら池谷はショックのあまりかうれし泣きながら意識がとんで行くのであった。
「だから…また、電話してくださいね池谷さん♪」
ーうぉぉぉぉぉ!!!ー泣