ソロ以外は僕には苦痛です   作:S1nO

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二週間以内に投稿出来ればって言って次の話で破りました(笑)
言い訳するとテスト期間でした。専門学生なんでこの時期にテストと夏休みなんです
夏休みは前回のこと守れるようにします!
追記 誤字修正いたしました。一部修正を加えました。


足りない力

 今日は正式入隊日。これでしばらく僕の役目は休まるはずだ。彼らが玉狛の隊員として三雲君の隊に入るのは確実だろう。その前に三雲修の実力を見ておきたいけど。しばらく実戦に顔出してないから練習と慣らしを兼ねて一戦やろうと思う。

 

 

「よう若宮」

 

太刀川さんか。絡まれたくなかったな。この人、やると決めたらとことんやるし、我が強いから問答無用で押し通してくる。一番苦手かもしれない。なんとなく強引な感じがちょっと僕には合わない。けど強いやつに対しての興味は物凄いから、心は常に高揚感と倒すという意志で満ちている。僕や迅さんと違って物事をその場のノリで解決してきた感がする。

 

「俺と闘お(やろ)うぜ」

 

やっぱりそれか。

 

「良いですよ。ちょうど僕も誰かと一戦しようと思っていたので」

 

「じゃあ、決まりだな」

 

太刀川さんは僕との試合が確約されると歯を見せて笑った。

 この人には勝ったこともなければ同等までもいけてない。僕よりも確実に上で、SEのおかげでなんとか攻撃が避けられている。勝てる構図(ビジョン)が見えてこない。防戦一方の面白くない試合になると思う。

 

 来たか、会場に。ここに来るとあんまり良くないものが僕の心に映ってくる。見ないように下を向いてブースに一目散に向かう。

 

 

「どうした。この前みたいにグラスホッパー使わないのか?」

 

「この距離でのグラスホッパーは飛んだ瞬間太刀川さんの十八番(施空孤月)の餌食なので」

 

「ほぅ。ちゃんと考えてんじゃん」

 

「太刀川さんみたいな実力は僕にはありませんので」

 

「へぇー。ならどうやって俺を倒すんだい」

 

「太刀川さんの射程外しか無いですよね」

 

「正解かどうかは自分で確かめろ」

 

「それしか方法はありませんけどね」

 

太刀川さんは口角を上げて余裕なそぶりを見せる。内心余裕と思っている。総合一位に煽られている時点でほぼ負けだ。口に出したように太刀川さんの射程外からの攻撃じゃなければ多分ダメだ。詰まられてしまえば、約束の一撃必殺(施空孤月)で一発。距離を離してからが大事な部分だ。だからまず、

 

「メテオラ」

 

僕と太刀川さんのちょうど真ん中くらいを狙った。メテオラの爆発で視界が悪くなるのを利用して距離を取る。グラスホッパーを経由して建物の上に移動した。

 そろそろ爆煙が腫れる。けどもうそこにはいない。太刀川さんは僕の前のいくつか先の建物の上にいた。気だるそうに立って「普通だな」と思っていた。

 この距離なら弾幕で押せるか。試すしかない。

 

「アステロイド」

 

両手に出てきた2つのトリオンキューブ。これをどうにか当てられれば。

 両手から発射されるトリオンが太刀川さんに向かっていく。けど、

 

「どうした。そんなんじゃ当たんねぇよ」

 

簡単にかわした。想定内。いや作戦通り。だってこの弾は

 

「おっと」

 

バイパーだから。

 太刀川さんに軌道の変わった弾幕の一部が命中した。一本持っていくことは出来なかったけど、右腕は吹き飛ばした。だったらこのままグラスホッパーからの

 

「施空孤月」

 

黄色い斬撃が太刀川さんを真っ二つにした。これで僕が一本。

 相手は太刀川さんだ。同じ手が通じるとは思えない。どうしたらいいか。簡単なバイパーを素直に受けてくれるはずもない。手探りで対処していくしかない。

 もう次か。手探りにしても何も思い浮かんでない。無策で闘うことになる。仕方ない。もう一回。いや、応用しよう。

 

「バイパー」

 

ここで曲げる。せめて崩せればいい方だ。少しの時間があればいい。それで仕留められる。

 

「その技はもう俺には通用しない」

 

太刀川さんは曲がってくる弾幕をシールドで防ぎながら見切った。対応が早い。流石は個人トップ。

 このままだとまずい、距離をとらなければ。

 

「施空孤月」

 

一足遅かった。既に抜刀の準備がされていた。

 あの動きに迷いはなかった。アステロイドじゃないってどうしてわかったんだ。疑心暗鬼にならなかったのか。

 その後は7本連続で切られた。現在1対7。僕に勝ち目はほぼない。ならせめてあと一点。どうにかして迅さんのように奇襲をかけられれば......

 そうか。

 まずはガレージのようなところに行く。そこからが作戦の始まりだ。

 

「どうした。逃げても無駄だぞ」

 

いいや。僕は無駄じゃないと思う。太刀川さんが喰らった技を見ていたから。初挑戦。ぶっつけだが、実戦では「いい技思いついたから試させてくれ」なんて馬鹿げた言語が通じるはずがない。だからやる。切られる覚悟と撃ち抜く覚悟。僕はできている。

 まんまと太刀川さんはガレージに入って来てくれた。ここまでは順調。太刀川さんの心は「追い詰められたぞ。さっさと斬る」と出ている。昨日の事を踏まえてはなさそう。これなら僕にも可能性が出てきた。

 

「自分からこんなとこに来るなんてな」

 

逃げるしか今はなかったんだ。という表情を作って演技する。

 

「施空孤げ

太刀川さんの腕が吹っ飛んだ。正確には僕が吹き飛ばした。先にガレージ入って設置しておいた。こうなったらこの一本は取れる。

 孤月で切り裂いた。

 これでもう本当に策なしだ。諦めたくないけど2対7だ。太刀川さんが3本取るまでに打開できる戦術はない。『奇跡が起こる』なんて都合のいいことはない。奇跡を望む時間があるなら次の策を練ることが当たり前。神頼みは死の淵の執着だ。そんな事を戦闘中に考えるのでは戦闘員として失格だ。勝ち目が見えなくたって諦めるわけにはいかない。少なくとも何かを。

 

 

 

 あえなく3本連続の返り討ちにあった。バイパーの軌道を読まれ、咄嗟に出た癖、グラスホッパー。飛んだ隙を逃さず施空孤月。後の2つもなす術なく切られた。

 やっぱ強いな。太刀川さんも。

 

「俺から2本取るなんてな」

 

太刀川さんは笑いながら言う。悔しくはなさそう。だって太刀川さん笑ってるし、切られたことに新鮮さを感じていそうだし。なんかそういうところがイラッとさせる。学力でもそういうことやれるようにして欲しい。僕がそんな事を口にしたら一刀両断にされる自信がある。

 

「対応できないかもしれない事をしただけです。実力で言えば太刀川さんの方が何倍も上です」

 

太刀川さんはニッって笑って「当たり前だ」って言う。本気でイラつかせにきているんじゃないかと思うくらい煽られている気がする。太刀川さん本人は「流石は俺」と思っている。幼稚園児で例えたら年中くらいか。それくらいに見えるほど純粋だ。

 

「お前、偽アステロイドの時、曲げようと思いすぎて手に力が入ってるのがバレバレだ。だから2発目からは効いてないんだよ」

 

そうなのか。僕が感じた違和感のようなもの。完全な死角なのに振り返ることもなく避けたり防いだりしたのはそういう事か。悔しいな。そういうところを見てるのか。上手いな。癖とか傾向とかあんな短時間で見抜けるなんて。自分の動きを通すことばっかりで、相手の動きを見切れていないし、利用できてない。1人だから自分の力だけでやっていた。周りを見る余裕がなかった。迅さんが任せきれないのもこういう事のせいなのだろうか。だとしてもしなくても改善して、向上すべき点だ。

 

「あの時のほうがよかったんじゃないか」

 

「そうですね。でも迷惑かけるわけにはいかないので」

 

この話は一番嫌いだ。太刀川さんが苦手な理由の一番はこれだ。あの時、アイツらと......。そんなことばっかり。僕はもうあの輪の中の人間じゃない。ただの浮浪者だ。任務に赴いて成果を上げて戻ってくる。楽しい、感謝なんて感じなくなった。あれ以来1人になった。自己的に1人になった。仕立て上げられたのではない。関わることの喜びを感じたのはあの時期だけかもしれない。同時に、不安や恐怖をさらに感じた。『我慢させていたかもしれない』この感情が拭えない。永遠と僕を蝕み、『関わり』を「隔たり』へと侵蝕していく。でも彼らは僕を受け入れてくれようとしている。どちらの感情が僕の一方的な思い込みかはわからない。もしかするとどちらも違うということもあれば、どちらも正しいことかもしれない。ただその2つの感情が拮抗しているから少ないけれど関わりが持てているのかもしれない。

 

「おい、おい。険しい顔すんなって」

 

「すみません。あの時のことを......」

 

「いつまで頭抱えるつもりだよ」

 

「......」

 

 太刀川さんは「はぁ」とため息をついてその場を去った。俯いて何もいえなくなってしまった僕を気遣ったのか。どうしようが僕があのことから目を背けることはできない。

 

 

 太刀川さんとの10本勝負から時間はたった。C級の訓練が終わり辺りは真新しい白色の隊服に身を包んだ者たちが訓練の不満や、理想の隊員、実戦について喋ったり思っていたりする。

 そんなところを転々としていた時だ。「B級の三雲修がA級の風間さんに引き分けた」と。三雲君は迅さんが特に期待の星と思ってる人物だ。迅さんの目に狂いがないならそんなこともあるかもしれない。僕も彼の成長の一コマになってあげよう。

 そう思えばすぐそこに。

 

「三雲君。君、風間さんと引き分けたそうですね」

 

「は、はい。そうですが」

 

「僕ともやってもらいたいんだけれど。いいかい?」

 

「は、はい」

 

 

 

三雲修君。A級3位風間隊隊長、攻撃手3位の風間さんと引き分けた玉狛の隊員。風間さんと引き分けたという情報はさっきちらっと聞いた話だ。同じ射手として実力を見ておきたい。迅さんが気に掛けている存在だ。何かあるはず。

 

「三雲君。一応お聞きします。君はハンデが欲しいですか」

 

「いいえ。本気でお願いします」

 

「正直者ですね。ではやりましょうか」

 

彼はSEを持っていない。たがら風間さんを封じることのできる技か、上回る機動力のどちらかを持っていることになる。機動力に関しては負ける気はしない。ましてやバイパーで追っていくこともできる。なら技か。技なら射手の腕と閃き次第で無限の戦術を生み出せる。三雲君のアイデアを拝見させていただこうか。

 まずは仕掛けてみるか。多分風間さんも攻めばっかりだと思うから、引き出せるはず。だから突っ込んで間違いはない。

 

「っ!」

 

そういうことするのね。そりゃあ風間さんがやられるわけだ。

トリオンキューブを極小の弾丸にして何個も戦場に飛ばす。カメレオンは起動中は他のトリガーを使えない。隠れていれば蜂の巣。姿を表せば攻撃が当たる可能性がある。中々考えたじゃないか。でもその程度の攻撃は僕には有効じゃない。

 空中にグラスホッパーを出現させ、メテオラを飛ばす。

 彼の倒れた姿が確認できた。次いで三雲君の名前とともにベイルアウトが告げられた。まずは一本。

 あとは何をしようか。彼の風間さん対抗策は見れた。引き分けは一回だけだと思うから他の策が出てくるとは思えない。だから僕は今倒し方についての動きを考えてほうがいい。

 いつも通りのやり方は飽きた。現状維持。成長がない。それは衰退と同義。だから新しいことを生み出す。

 

「バイパー+バイパー。夢幻変則弾(プラネット)

 

両手に出現したトリオンキューブを一つに合成する。そして放出する。縦横無尽に、軌道さえも不均一で放物線を描いたり角をつけていたりする。避けられる場所はない。集中シールドでさえ潜り抜ける弾丸。追尾弾(バウンド)のようでもあり、通常弾(アステロイド)のようでもある。宇宙に漂う無数の星たちがそれぞれ独自の軌道を辿るように、一つ一つの弾が異なる動きをする。

 

「2本目」

 

 無慈悲な惑星(弾丸)が三雲君の胸を貫通する。対応すらできていなかった。反応するだけだった。何が起こったのかわからないのは当然だと思う。だって誰もやっていない技だ。那須さんや出水さんのようなバイパーを自分で制御できる人でも難しいと思う。僕にしかできないこと。僕の強み。それを生み出していかなければいけない。1人の先輩として。1人の隊員として。そして......「うぉーー!!」

 復帰してたのか。だが、油断していたとしてもそこから持ち直せば大丈夫。けどそれは今までの僕だ。ここは相手の動きを利用して。

 

「グラスホッパー」

 

「うぉっ!」

 

三雲君の身体が宙に浮いた。すかさず施空孤月で3連続を決める。

 さっきはグラスホッパーを三雲君に踏ませて飛ばした。三雲君は僕が気づいていないと思って真っ直ぐ正面を見ていたし、「今がチャンス!」となっていたのが丸わかりだった。視界の端に映っただけでも見えている。感情が。だから対応できる。あとは僕が彼に気づいていないようにすれば簡単に引っ掛けることができる。

 さぁ。じゃあ次は僕の方から決めに行こう。

 

「アステロイド」

 

太刀川さんにやったのと同じ技だ。だが、変わったことが何点かある。それは太刀川さんとの時に気付かされた『力のこもり』と全弾曲げるんじゃなくて、何発かはシールドやスラスターで防いでもらって、こぼれた弾を曲げて後ろから。ということ。だから

 

「四つ」

 

落とすことなど造作もない。

 

 

 

 後はもはや説明不要だ。簡単な撃ち合いや奇襲、グラスホッパーを使ったアクロバティック施空孤月や偽装バイパー。これだけだった。見どころなんてない。僕に蹂躙(じゅうりん)される三雲君が無慈悲にうつしだされるだけだろう。誰も、好き好んで圧倒的実力差を見せつけられることをやろうとは思いたくはないはず。目立ちたくもない。それが「すごい」や「教えてください」のような憧れの眼差しでも、「容赦ねぇ」、「なんなのあのやり方」のような卑下の目で見られたりしても。

 

「若宮先輩」

 

白髪の少年。空閑君?だったかな?迅さんが気にかけてる人のうちの1人。彼も玉狛の新しい隊員だったはず。そんな彼が僕に何用だろうか。

 

「どうしましたか」

 

「どうして修にあんなことしたの」

 

「あの玉狛支部の新人の実力をみたかったからですよ」

 

「ふーん。つまんない嘘つくね」

 

「嘘をついたつもりはありませんが、気分を害してしまったのなら申し訳ございません。何かお詫びをしましょうか」

 

「じゃあ俺と戦ってよ」

 

「待ってくれ空閑。その人は僕に射手として見本を見せてくれただけなんだ」

 

「そうなのか修。じゃあ俺は別にいいや」

 

「そうですか。では僕はここで失礼させていただきます」

 

「よぉ、幹斗、遊真、メガネ君」

 

「「「迅さん」」」

 

なんて絶妙なタイミングで登場するんだいつもこの人は。まぁでも今回は僕に関係ないみたいだし、退散するとしよう。

 

「どこ行くんだ、幹斗」

 

「どこでもいいと思いませんか。迅さん僕に用件ないですよね」

 

迅さんの引き止める言葉を受け取らずに背を向けてその場を後にした。

 三雲修君。射手としてまだまだ甘い。さらにトリオン量が少ない。だが射手はその欠点を技力で補うことの可能である役割だ。彼のスタイルはそっち方面になるのが好ましい。なんならさっきの模擬戦でその片鱗は見えた。あとは鍛えるのみだ。彼1人できなくても、空閑君やもう1人の女の子達で突破していけると思う。1人じゃないってことをわかって......

 

(むな)しいな......」

 

廊下で1人こぼしていた。戻れないし、やり直せない。いや、やり直すことも戻ることも僕が断っている。迷惑になるから。

 

「みんなのおかげで完成する射手(シューター)か」

 

できたらどれほどよかったかな。わからなければよかったのかな。ぼくにそんなことができたのかな。ぼくにそんなことができるのかな。

多分できないや。だって、人に怯えて生きてきたんだから。人が信じれないんだから。




戦闘描写まじで苦手です(すみません)
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