アヤベさんとの日常の一コマ 短編集   作:トマリ

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下書きの奥深くで眠ってたヤツです。
先のネタが思い付けなかったのと、ぶっちゃけ後書き部分にある『ウマ娘のギャルゲールートにありそうなこと』を書きたかっただけで書き始めたようものだったのですぐにボツにしてました。
このまま下書きの中で埃被るだけかと思ってましたが、最近pixivで「かきかけギャラリー」というコンテストがあって(未完の作品を放出してみませんか?的なコンテスト)それで射出したところ、5つくらいブクマつけばいいなと思ってたのが、タイトルに釣られてくれたのか何故か30くらいついたので、せっかくなのでこっちにもポイ捨てしときます。

なんだかんだでこの話におけるトレーナー二人のやり取りは個人的に気に入ってた部分もあったので、完結させられなかったのが惜しい……。
たぶん読まなくてもなんの支障もありません。



アヤベさんとギャルゲー(未完のボツネタ)

 

そろそろ紅葉が起きるかという日。僕はトレーナー室にてオペラオーTと電話で話していた。

 

 

『突然だがアヤベTよ』

 

「どうした、オペラオーT」

 

『俺、ゲーム作ってみたんだ』

 

「ホントに突然だな」

 

飲んでいたコーヒーが少し喉に詰まった。

 

『てなわけで、テストプレイよろ』

 

「待てや。さっきまでの話と『てなわけで』の間には本来もっと言葉が入るハズだろ。僕の意思は完全無視か」

 

『いいじゃん、俺とお前の仲だしさぁ~』

 

「なんの仲だよ。今すぐそのゲームディスクを叩き壊せばいいのか?」

 

『やめろよ二時間かけて作った力作だぞ!?』

 

「あんま時間かけてねぇじゃねぇか」

 

コーヒーに砂糖を追加しつつため息を吐く。

……とはいえ、まぁコイツには今まで世話になったのも事実だ。

特にアヤベさんを担当して間もなかった頃。『追い込み』のイロハもわからなかった僕に練習法やスキルを伝授してくれたのはこのオペラオーTである。その件自体は一応後にカツ丼をおごって相殺したが……コイツがいなければ今の僕とアヤベさんはいなかった可能性もあるわけで。

そう考えると……。

 

 

「……まぁ、仕方ないな。テストプレイぐらいならするよ」

 

『おおっマジかアヤベT!』

 

「てか、もう僕のトレーナー室に届いてるし……」

 

数分前のことである。

たづなさんが突然『すみません、オペラオーTさんから「届けてほしい」と言われたんですけど……』と一つの段ボール箱を持ってきたのだ。

なんだろう、と思いながら開けてみると、

 

 

『ウマ娘ギャルティーダービー!恋の一着は譲らないゾっ☆』

 

 

と書かれたゲームのパッケージが入っていた。

題名がふざけているのもそうだが、パッケージに写っているウマ娘たちは明らかにオペラオー、ドトウ、トップロード、そしてアヤベさんの四人だったので、どういうことだとオペラオーTに電話した、ということである。

 

『いやー大変だったぜ。シナリオ、原画、音楽、ほとんど俺一人でやったからな』

 

「もっとしかるべきとこで活かせよその技術……」

 

『やだね。こういうスキルはどうでも良いことに使うのが一番楽しいんじゃないか』

 

「さいですか……」

 

ツッコミを放棄し、僕はさっさと終わらせたい一心でディスクをPCに挿入した。

 

「うわっ、やたらダウンロード長いんだけどコレ……。てか本当に突然だな、ギャルゲー作るなんて」

 

『いやそれがさ、こないだ部屋漁ってたら引き出しの奥から「CLANNAD◯」が出てきてさぁ』

 

「なっつ久々に聞いたわそのタイトル」

 

『んでちょっとプレイしてみたんだけど、やっぱ面白くてさぁ。俺もこういうの作ってみたいなって思ったんだよ。ちなみに俺はことみ派な』

 

「だからってお前……ウマ娘を、それも担当を攻略対象にしたゲーム作る奴がいるか。あとあのゲームは渚一択だろいい加減にしろ」

 

ダウンロードの片手間、流し読んだ資料によると、攻略可能ウマ娘はオペラオー、ドトウ、トップロード、アヤベさんがいて、『評判によってヒロイン昇格検討』にはアグネスデジタル、ハルウララが並んでいた。

元の彼女らから名前を変えておらず、顔もそのまんまである。

たぶんコレ訴えられたら負けると思う。

 

 

『だから、あくまで個人で楽しむんじゃねぇか、さすがの俺もコイツを公共に出す度胸はねぇぜ。だが、こうしたゲームのノウハウをちょっとずつ積み立てていけば……やがて俺はあらゆるウマ娘をこのギャルゲーに組み込んで、トレセンのトレーナー共に売りさばくような大作を作れるようになれる……!くひひっ、そうなりゃボロ儲けのチャンスだぜ』

 

「…………」

 

 

ひょっとして今僕は、とてつもない野望欲望の片棒を担がされてるんじゃないだろうか。

降りようかとも考えたがその方がめんどくさいことになりそうだし、ちょうどダウンロードが完了したというのもあり、僕はちゃっちゃとテストプレイを終えて後は知らぬ存ぜぬを突き通すことにした。

 

テストプレイは善意の第三者だ。

 

パソコンの前に椅子を置き、傍らにコーヒーカップを置いて完全に遊ぶ体勢になると、やがてゲームが起動される。

 

 

『ウマ娘ェ!プルトゥィーギャルシュミュレェーションンンンン!!』

 

 

「タイトルコールのクセがすごいなオイ。PS2時代の傷ついたディスク音声みたいになってんじゃん」

 

 

第一歩目から頭痛くなってきた。

 

 

『いやー、何テイクも重ねて試行錯誤した末の発音だからな。自信作だ』

 

「力入れる部分おかしいだろ……」

 

『ちなみに、そろそろ「PS2」と言われて何のことかわからない若者が出てきてるらしいな』

 

「唐突な精神攻撃はルールで禁止スよね」

 

 

 

とりあえずさっきのコールは完全に不意打ちだった。思ったよりデフォルトで音声が大きかったため、イヤホンを装着してゲームに臨むことにする。

 

 

 

『名前を決めてねっ☆』

 

 

 

「お。今時のギャルゲーにしては珍しく任意で名前を決められるのか」

 

『ああ。ま、どんな名前にしようとウマ娘からの呼び方は「トレーナー」で統一されるんだけど』

 

「じゃあ意味ないじゃん……」

 

『まぁ、こういうのは形から入るのが大事だろ?』

 

「ギャルゲーの形ってなんなんだろう……」

 

とはいえ他に名前も思い付かないので、どうせテストプレイだからと本名を打ち込む。……そろそろ本名でギャルゲーをプレイするのはキツく感じる年齢なんだがな……。

ちなみに、今こうして実況動画の如くオペラオーTと通話しながらプレイしている理由は「リアルな反応を俺に教えてくれ!」と彼に言われたからである。

 

しばらく待つと、やがて爽やかそうなBGMと共にゲームが始まった。

 

 

 

『俺の名は○○!今年トレーナーになったばかりの、どこにでもいる普通の青年だ!俺はこのトレセン学園で、一流のウマ娘を育ててみせる!!』

 

 

 

「お、設定は無難にトレーナー物なのな」

 

『そりゃ、このゲームのメインターゲットはトレーナーだからな』

 

 

 

『だがそんな俺は今、入学式早々に遅刻しちまって大ピンチ!早く学園に行かないと……ん?』

 

『まったくっ、入学式の日に目覚まし時計の電池が切れてしまうだなんて……!目覚まし時計に自害を選ばせてしまうほど、ボクの眠りは神聖なモノというわけか……おや?』

 

 

ガンッ!

 

 

『いっ、いたた……』

 

『ああすまない!ボクとしたことが前を向いていなかっただなんて……立てるかい?』

 

『あ、ありがとう……。……君は?』

 

『ボクかい?』

 

 

『ボクはテイエムオペラオー!いずれ「世紀末覇王」となるウマ娘さ!』

 

 

 

 

 

 

「プロローグは意外と王道なんだな……」

 

『まぁ所詮は個人製作だし、変なとこで凝っても仕方ないだろ』

 

「変なとこでわきまえてるな。てか、この手を差し伸べるオペラオーのイラストも全部お前が描いたのか?だとしたらすごいな。ウマシブに投稿すれば普通にランキング狙えそうだ」

 

「まぁ、アメリカに留学してたときにちょっとな」

 

「(アメリカとイラストがどう結び付くんだろう)ふーんそっか。……あ、OP入った」

 

『OPは自信作だぜ!メロディのアレンジとかCGとか……!』

 

「アレンジしなきゃ著作権云々で死ねるからな……ま、お手並み拝見っと」

 

 

 

『う一一ー!(すきだっち) うーーー!(うまぽい)うまうまうみゃうみゃ3、2、1、Fight!!

 

 

 

「OPにうまぴょい伝説を持ってくるのか」

 

『まぁな。すげぇのはこっからだぜ!』

 

「はぁ……?」

 

 

 

 

『おひさまぱっぱか快晴レースゥ☆(はいっ)

ちょこちょこなにげにそーわっ So What☆

だいいちだいにぃだいさんしーごーっ☆(だんだんだんだん出番が近づきっ☆)』(歌手・オペラオーT)

 

 

「あああああああああ!!!」

 

 

 

 

 

『どうだ、すごかっただろ?メロディのアレンジにCG……そして歌唱にこだわったからな!!』

 

「ああ、すごかったよ。すごすぎて耳が腐った」

 

『へへっ、やめろよ照れるぜ』

 

 

ゲームを開始して五分。僕は早くも満身創痍となっていた。

 

……まさか二十ナン歳の野郎が熱唱する『うまぴょい伝説』がこんなにもキツイものだったとは思わなかった。

しかもイヤフォンしてるから歌声がダイレクトに鼓膜に来るし、ところどころ無駄にイケボだしで、感性がぐちゃぐちゃに絡まる。

 

たぶんどっかの国なら拷問に使えると思う。

 

 

『歌手使う暇も無かったからな。歌は全て俺が担当してるぜ』

 

「それだけでこのゲームの価値だいぶ下がったぞ……」

 

 

砂糖なしのコーヒーをがぶ飲みしてなんとか気を取り直し、僕はゲームを再開した。

ぶっちゃけ今のでかなり気力を削がれたんだが……。

 

 

 

 

───ある日のこと。廊下にて、見覚えのある顔と出会った。

 

『おや、君は朝に出会った……』

 

『確か、朝にぶつかった変なウマ娘……テイエムオペラオー、だっけ?』

 

『ふむ、トレーナー君か……ちょうど良い!少し、ボクに付き合ってくれないか?』

 

『えっ。えーと……』

 

 

・従う

・断る

・「そんなことより俺と一曲踊りませんか?」

 

 

 

 

「おっ、ついに選択肢来たか」

 

『ちなみに、ここの選択肢で結構ストーリーが分岐するぜ』

 

「それは楽しみ……ってアレ?ちょ、『従う』以外選べないんだけど」ポチポチ

 

『ああ、一応それ体験版のつもりだからな。オペラオールート以外には進めないようになってる』

 

「なんだそれ!?」

 

『仕方ないだろあくまでテストプレイなんだから。愛しのアドマイヤベガのルートをしたけりゃ、製品版を待つんだな~』

 

「いやまぁいいけどさぁ……同期の担当ウマ娘を攻略するのって何とも言えない気分になるんだが……」ポチッ

 

 

 

 

『それで付いてきたけど……どうしたんだ?』

 

『突然だけど君、ボクのトレーナーになってくれないか?』

 

『えぇっ!?』

 

『朝君を見たときに直感したんだよ……!君とボクが組めば、きっと最強のウマ娘とトレーナーになれるってね!』

 

『い、いきなり言われても……』

 

『よしじゃあ決まりだ!行こうトレーナー君!』

 

『ええええええええ!!』

 

 

 

テイエムオペラオーのトレーナーになった!

 

 

 

 

 

「……えぇ!?これでイベント終わり!?」

 

『そうだが?』

 

「いや、さすがに適当すぎない?もっと色々描写を積み重ねるとか……」

 

『うるせぇな。こんときの俺はさっさとトレーナー編を書きたくてウズウズしてたんだ。出会い編にそこまで時間かけてられなかったんだよ』

 

「それでもお前……出会いパートは大事じゃないの?」

 

『出会い編って物語的には大事な部分なんだが、作者的にはさっさと終わらせたいめんどくさい部分なんだぞ』

 

「そ、そういうものなのか……?」

 

生憎僕は物書きの経験がないのでわからない。まぁ人によりけりなとこはあると思うが……とりあえずオペラオーTはそういうタイプなのだと思うことにしよう。

 

『ともかく、よかったな!これでめでたくトレーナーになれたべ』

 

「……こっから、僕とオペラオーの二人三脚が始まるのか……」

 

『んーなしょげんなよ。攻略ヒロインにならないだけで、ちゃんとアドマイヤベガだって出てくるから』

 

「そういう意味じゃないんだけどな……さっきも言ったけど、同期の担当ウマ娘攻略すんのって変な感じなるよ……。友達の母さんと恋愛してる気分……」

 

『どんな気分だよ……。わーったよ、製品版の時は、体験版よりもアドマイヤベガの出番増やしとくから』

 

「いやいいけど……。別に僕の側には本物のアヤベさんがいるし……」

 

「……私がどうかしたの?」

 

「あーアヤベさん。それがさ、オペラオーTの奴が変なことを言っててさ」

 

「……それ、このパソコンに映ったものと関係あるのかしら?」

 

「そうなんだよなんたって……ってどわぁアヤベさん!?」

 

心臓が止まりそうになった。

通話状態のスマホが置いてある方と反対方向を見ると、いつの間にやらそこにアヤベさんが座っていた。

『えっアドマイヤベガが?』と発しかけたスマホの通話を慌てて切りポケットにしまう。

 

「……急に驚かないでよ。驚くじゃない」

 

「ご、ごめん……てか、アヤベさんトレーナー室に入ってたなら一声かけてよ……」

 

「……かけてたわよ。『コーヒー淹れていい?』とも聞いたでしょ?」

 

「ホントかえおい?」

 

アヤベさんのところにコーヒーカップが置かれているあたりどうやら本当らしいが……なに?僕はアヤベさんと話すときだけ限定で記憶が残らないようになるというK◯y作品みたいな設定でもあるの?

僕がそんなことを考えていると、『というかそんなことよりも』とアヤベさんが目を細くして詰め寄ってくる。

……え?なんか怖いんですけど……。

 

「……あ、アヤベさん?」

 

「……なんで、あなたのPCにオペラオーが映ってるのかしら?」

 

「え。あ、いや。それは……えーっと……」

 

ヤバいとこを突かれた。

オペラオーTが本人に無許可で作ったなんて言うわけにはいかないし……。かといって誤魔化そうにも、どう言えば……。

 

「……ねぇ、なんでなの?」

 

「いや、えっと……」

 

「……事情によっては沈めるけど」

 

(何を?どこに?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





『製品版:ウマ娘ギャルティーダービー!恋の一着は譲らないゾっ☆』



オペラオールート……メインヒロインだけあってストーリー諸々の完成度が高い。他のウマ娘も巻き込みながら進行していき、世界の核心にも迫るなど実質グランドルート的な物語となっている。
最初にこのルートをクリアしてしまい、間接的に他ルートのネタバレを喰らってしまった人が多い。


ドトウルート……イチャイチャ多めで脳が溶けそうになる。ただ、所々不意打ち気味に重い展開があり、最後の選択肢を間違えると見れる壮絶なバッドエンドは多くのプレイヤーにトラウマを与えた。なお、このルートのライターはゲームが全年齢対象であることに奥歯を噛み締めたとか。
CGによって胸の大きさに若干のブレがある。


アヤベルート……全体的に暗い鬱展開が多いが、それら乗り越えた先に見れるエンディングは評価が高い。しかし、ストーリーにこだわりすぎたせいでイチャイチャが少なくなったのは賛否両論となっている。
早い内にフラグ立てしとかないと炎症を起こして物語から離脱してしまう。
ピアノを使ったテーマ曲の評価が高い。
また、追加DLCにて妹さんのルートが実装された。


トップロードルート……他のヒロインと比べるとやや短いが、本人のキャラが明るいのもあり比較的肩の力を抜けるルート。フラグ立てが少しめんどく、間違えるとオペラオールートに行ってしまう。
他と比べるとCGの枚数が若干少ない。


ハルウララルート……色々とキッツい展開が多い。今作の涙腺破壊ルートだとネットで評判。
製作時に脚本回りで少しトラブルがあったらしい。


デジタルルート……トゥルールートをクリアした二週目から入ることができる、完全なるギャグルート。基本的に全キャラふざけまくりで、声優ネタや、二次創作ネタ、誰もわからないであろうマイナーネタまで余さずぶちこまれている。それでいて根っこは王道展開のため脳がバグること請け合い。
モブのCVが異様に豪華。
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