紅茶のおかわりはいかがですか?りめいくっ!   作:橘田 露草

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こんばとらー!くーさんこと露草と申します。

猫になりたいなって唐突に思うことありませんか?露草くんはたまにあります(?)
猫が好きなのもありますが可愛いってめっちゃ撫でられるのいいですよねぇ。ツンツンした猫さんも好きですが、甘えてくれる猫さんも好きです。これなんの話だろ?笑

紅茶17話投稿します。


希とのゴールデンウィーク

ある日の休日。ある日の街中。

朝早くから出掛けて行った希からメッセージが来たのはお昼少し前のこと。

待ち合わせのカフェに着くと、小さく手を上げる希の姿に気付く。

 

「センパイ、お待たせしましたー」

「ううん、あたしの方こそ急に呼び出してごめんね」

 

緑のカーディガンにロングスカートという落ち着いた服装の希がいた。

前に手を合わせて狛犬に謝る希。

だが、狛犬には呼び出された理由が分からなかった。

 

「それで、どうしたんですか?今日は確か漫画の担当さんと打ち合わせって」

「う、うんそれなんだけどね。今あの人電話しに行ってて‥あっ戻ってきた」

「え?」

 

カフェの奥の方から来たのは薄桃色の髪をした背の高い女性だった。

サングラスにスーツという姿に何となく背筋がピンとなる。

 

「おまたせ‥彼が?」

「うん。雛森くんだよ」

 

大人の女性らしく落ち着いた声だった。

希に紹介され狛犬が口を開く。

 

「はじめまして、雛森といいます」

 

礼をしつつそう言うと僅かに口を綻ばせる女性。

 

「聞いていた通りしっかりした子ね。これなら任せられるわ」

「ほ、本気なの‥?」

 

女性の言葉に希が戸惑ったような声を上げる。

何のことか分からず困惑する狛犬に女性が口を開く。

 

「しっかりした自己紹介にはしっかりした自己紹介を返さなきゃね。はじめまして、雛森くん。私は少女漫画雑誌"チャーガレット"の編集者、波真野叶(なみまの かなう)よ。よろしくね」

「波真野って‥」

「うん‥あたしのお姉ちゃん。そして、担当編集さんなの」

 

お姉さんがいるとは聞いていたがまさか編集者さんだったとは。

同時にまだ13歳の希の部屋にあれだけの立派な漫画家道具があった理由がわかる。

 

 

 

「それで、雛森くん。君に来てもらったのはある事情があってね」

「ある事情?」

「そうよ。単刀直入に言うわ、雛森くん。あなたに希のアシスタントをお願いしたいの」

「アシスタント‥ですか?」

 

漫画業界には詳しくはないが、漫画家には原稿のサポートや世話をしてくれるアシスタントというのがいるのは知ってる。

だが、なぜ自分に?と狛犬の脳内がハテナでいっぱいになる。

 

「実はね、希が今度連載をすることになったのよ」

「えっ!?本当ですか、センパイ?」

「う、うん」

「すごいじゃないですかっ!おめでとうございます!」

 

希のことだ、身内が担当だからって贔屓させたりせずに自力で手に入れたのだろう。

まだ知り合って数日だが毎晩遅くまで頑張っていた希を知ってるし、それが実ったのが素直に嬉しい。

 

「ありがとう、雛森くん」

 

ニコリと微笑む希。

シンプルな感謝の中に、嬉しい気持ちが伝わる。

そんな2人を微笑ましそうに見ていた叶だったが、「さて話を戻すわね」と真面目な顔をする。

 

「嬉しいことではあるんだけど、ここである問題ができるのよ」

「問題‥ですか?」

 

なんだろう、と続きを待つと叶が口を開く。

 

「ええ、この子の描くスピードの遅さよ」

「あー」

「あーってなるんだ‥」

 

思わず同意してしまう狛犬と同意されたことに微妙な顔をする希。

あまりに散らかっている希の部屋を片付けるためにたまに部屋に入っているのだが、確かに一枚描くだけでもかなり時間が掛かっている気がする。

雑談しながらだからかと思っていたが元から遅筆だったらしい。

 

「でもこの子人見知りだし今いるのは寮でしょ?流石に外部の人を入れるのはまずいだろうし」

 

今でこそ狛犬と仲良くしてくれている希だが出会った頃は逃げられたのを覚えている。

もし寮の問題がどうにかなっても希の性格的に厳しい気がする。

 

「いいんですか?僕素人ですよ?」

 

漫画は好きだが描いたことはもちろんない。

そんな自分に任せていいのかと思うが。

だが、そう言われた叶は小さく笑う。

 

「大丈夫大丈夫。この子の生活のサポートが主だから。後はちょっと手伝ってもらえたらいいわ」

 

それにね、と叶が言葉を続ける。

その表情はまるで悪戯っ子のようなニヤリ顔で。

 

「雛森くんと知り合ってからこの子君の話ばか‥」

「わぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

叶の言葉を遮り大事を出しながら立ち上がる希。

だが周りのお客さんや店員さんに注文され真っ赤な顔で座る。

 

「ま、それは置いといて。どうかしら、給料もしっかり出るし悪くはないと思うけど」

「お給料は別に。むしろ、僕なんかでよければセンパイのお手伝いさせてください」

 

要はいつもの家事にちょっとだけ延長線が続くだけだ。

頑張る希を応援できるなら自分からやりたいまである。

 

「じゃあ契約成立ね。ほら、希。あなたからもなんか言いなさい」

「う、うん。雛森くんありがとう」

 

促されて希が狛犬を真っ直ぐ見る。

そして不器用ながらもニコッと笑った。

 

「その‥これから、よろしくお願いします♪」




〜希と叶の雑談〜
希:‥それでね、この前彼が気が付いたらお茶を用意してくれててね。
叶:希‥。もうその雛森くんの話をし出して1時間よ。そろそろ打ち合わせしたいんだけど。
希:へ?ほ、ホントだ!?もうこんな時間!?え、えっとね‥確かここに原稿が‥
叶:慌てなくていいから。それにしても、雛森狛犬くん‥ね。ちょっと気になるわね。
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