紅茶のおかわりはいかがですか?りめいくっ!   作:橘田 露草

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こんばとらー!くーさんことつゆくさです。
今日は珍しい時間に投稿してみます。珍しいオブザイヤーです。なんか受賞しました。
前より中々時間が取れなくてストックは相変わらずスカスカですが、まあ頑張ります(?)
眠たいから挨拶これぐらいで笑

紅茶18話、投稿します。


風羽とのゴールデンウィーク

いつもの休日。いつもの街中。

やっぱりと言うか、何となくと言うか。

GW最終日、狛犬を外出に誘ったのは風羽だった。

今回は荷物付きで、右手に洗面器とタオルと着替え。

目的地は。

 

「ワンちゃん、着きましたよ〜」

 

商店街でも一際大きな場所、銭湯だった。

昔ながらの外観と"月の湯"という行書体の看板がいい味を出している。

 

風羽に銭湯に誘われたのは今朝のこと。

なんでも、こどもの日の今日は中学生以下は無料らしい。

寮に共同のお風呂があるから今まで来たことなかったが、せっかくならと来てみたのだ。

 

「風羽ちゃんは常連なんだよね?」

「そうですよ〜、3日に1回は必ず来ます」

「へぇー」

 

朝早くからやっているとのことで、風羽はよく学校前に行っている。

今日は朝に用事があった狛犬のためにお昼過ぎまで待ってくれていた。

さっそく中に入ると受付のおじさんが顔を出す。

 

「いらっしゃ‥おっ、風羽ちゃん!今日は遅かったな!」

「こんにちはです〜、月村のおじさま」

 

受付のおじさんに気さくに話しかけられ笑顔で答える風羽。

 

「おっ、風羽ちゃんがきたのか」

「珍しい時間に来たなぁ」

 

周りで座っていたお客さんが風羽に近付く。

頭を撫でられたりお菓子をもらったり、ホントに大人気といった感じだ。

 

「ん?兄ちゃんは風羽ちゃんの知り合いか?」

 

狛犬に気付いた番頭さんが声を掛ける。

 

「あ、はい。雛森です」

「おぉ、兄ちゃんがあのワンちゃんか!」

 

と、番頭さんが大声を出した瞬間みんなが狛犬の方を向く。

 

「ほう‥お前さんがのぅ‥」

「コイツはちょっと顔貸してもらわなきゃなぁ‥」

 

ゆらりと狛犬の方に近付くお客さんたち(おじさんたち)に思わず恐怖で震える。

慌てて番頭さんの方を向く。

 

「ど、どういうことですか?」

「あー、みんな風羽ちゃんのことを娘や孫みたいに大事にしてるからなぁ。んで、4月からいきなり名前が出るようになった兄ちゃんにみんな敵意バチバチってこった」

「敵意って」

「風羽ちゃんが気付いとるか分からんが、あの子毎日3回以上兄ちゃんの話してるからな」

 

風羽が自分の話をしてくれていたのは嬉しい。

すごく嬉しいが、いつの間にか知らないところで怒りを買っていたことに焦る狛犬。

ジリジリと近付いてきた彼らはやがて狛犬に手を伸ば-----。

 

「こらーっ!ケンカしちゃダメですよ〜!」

 

ーーーーそうとしたところで、怒った風羽が間に入る。

狛犬を守るように両手を伸ばすと。

 

「ワンちゃんに意地悪しちゃダメです!痛い痛いになっちゃいますよ〜!」

「で、でもよ風羽ちゃん‥」

「でもはナシです〜!」

 

ひとりが言い訳しようとするが、風羽にバッサリと切られる。

今まで見たことがない風羽の雰囲気に、お客さんたちが後ろに退く。

 

「はいはい、ケンカはやめとけ。おいアンタら、午後からはこどもの日限定の中学生以下貸切だ。そろそろ帰れ」

「わ、わかった‥」

 

慌てて出て行くお客さんたち。

あっという間に全員居なくなる。

 

「ほれ、風羽ちゃんと兄ちゃん。入るなら行っといで。なんならウチは10歳まで混浴おっけーだぞ」

「は、入りませんよ!?」

「え‥一緒にお風呂入らないです〜?」

「風羽ちゃん!?」

 

 

 

 

「ふぅー」

 

騒がしい出来事を終え、ようやくお湯に浸かる。

ちょっと熱めだがこの程度ならなんとか大丈夫だ。

タイル地の一個しか無い浴槽に壁には富士山の絵と、まさに昔ながらの銭湯って感じがしてくる。

まだ時間が早いからか狛犬以外誰にもいなかった。

思い掛けない貸切にちょっとわくわくする。

 

「ワンちゃ〜ん、居ますか〜?」

「風羽ちゃん?」

 

急に風羽の声が聞こえてあたりをキョロキョロするが、当然ながら誰もいない。

 

「ワンちゃ〜ん、こっちですよ〜」

 

と、声が壁の向こうから聞こえるのに気付く。

 

「風羽ちゃーん」

「あっ、ワンちゃんです〜!そちらも貸切ですか〜?」

「うんそうだよー。そちらもってことは」

「はい〜、こちらもフゥしかいませんよ」

 

この広いお風呂に狛犬と風羽しかいない。

なんとも言えない初めての空間に、不思議な気持ちになる。

 

「ワンちゃん、ホントに一緒に入っちゃダメです?」

「ダメです」

「ぶぅー」

 

きっぱり断ると珍しい不満そうな声を上げる風羽。

狛犬自身は別に気にしないが、もし風鈴にバレたらなぜか怒られそうな気がした。いや、多分怒られる。

だから断ったのだが、風羽の声は不満そうなままだ。

どうしようかと考えてると。

 

「じゃあ、寮のお風呂ならいいです〜?」

「え、同じじゃない?」

「ねぇさまの許可は取っておきます〜」

「それならいい‥のかな?」

 

なぜか流されている気がしつつも了承する狛犬。

まあ多分風鈴が許可することは無いだろうから大丈夫だろう。

言い聞かせるような自分の言葉に自分で疑問に思い、少し不安になりつつ体を洗い、さっぱりしてロビーに戻るのだった。

 




〜風呂上がりの至極〜
風羽:ワンちゃんワンちゃん、牛乳飲みましょ〜。
狛犬:じゃあ僕はフルーツにしようかな。
風羽:フルーツもいいですね〜。ワンちゃんよかったら半分ずつにしませんか?
狛犬:いいよー。

こうしてまた風羽のファンのみんなには見せられない秘密ができたと思う狛犬だった。
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