ラブライブ!〜幼馴染は新体操部〜   作:キングコングマン

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第6話

 

 「穂乃果ー、入るぞー」

 

 階段を登り、穂乃果の部屋のドアを2回ノックする悠一。しかし、返事が無い。確かに穂乃果のお母さんと雪穂は部屋に居ると言ってたはずなのだが……

 

 「……ちょっと待って下さい!アレは無しです!」

 

 「大丈夫だってー」

 

 「やめて下さい!何も知らない!」

 

 何だか切羽詰まった様なやり取りが中から聞こえる。声からして、焦った様な声を出してるのは海未だろうか?

 

 「……何してんだ?」

 

 よく分からないが、取り敢えず悠一は穂乃果の部屋のドアを開ける。

 すると、突然悠一の目の前にストレートの黒髪を長く伸ばした少女が現れた。

 

 「うおっ!!」

 

 「きゃあっ!!」

 

 一瞬の出来事で両者とも反応出来ず、思いっきりぶつかる。そしてそのままバランスを崩し、その少女、海未が悠一の上に覆い被さる様な格好になってしまった。

 

 「痛っつー……」

 

 後ろに倒れたので、後頭部にかなりの痛みを感じながら天井を見上げる悠一。

 

 「だ、大丈夫ですか?悠一」

 

 海未はそこまでダメージは無いのか、心配する様にそう聞いて来た。

 しかし、それよりも不味いのは今の体勢だ。

 

 「きゃー!海未ちゃん大胆!」

 

 語弊を恐れず言えば、海未が悠一を押し倒している状態。

 部屋の中に居た穂乃果が冷やかす様にそう言うと、海未の顔が一瞬にして真っ赤に染まる。

 

 「ち、違うんです悠一!これは事故です!!事故なんです!!!」

 

 「あわわわわ」

 

 尚も悠一の上に馬乗りになりながら、胸ぐらを掴んでブンブンと激しく上下に揺らし、必死に否定する海未。

 この時、悠一は初めて宇宙を体感した。

 

 「う、海未ちゃん!?ゆうくん壊れちゃうよ!!」

 

 そんな光景を見て、すぐさま慌てて海未を止めることり。

 

 「え?………あ……」

 

 ことりの言葉にハッと我に帰る海未。しかしもう後の祭りで、目の前には青褪めた顔でだらんと力無く項垂れている悠一の姿があった。

 

 

 ____________

 

 

 

 「まだクラクラする……」

 

 「も、もう!それについては先程謝ったではないですか!」

 

 やっと一段落し、未だクラクラする頭を抱えながら悠一は穂乃果の部屋で座っている。

 部屋に居るのは穂乃果、ことり、海未、悠一のいつもの4人。流石に一部屋にこれだけ集まると、多少の窮屈感を感じた。

 

 「で、俺まで呼び出してなんの話?」

 

 クラクラする頭を抑えながら、悠一は本題に入る。

 

 「あ、そうそう!作戦会議だよ!」

 

 「作戦会議?」

 

 胸を張る様にして穂乃果がそう言うと、悠一は首を傾げた。

 と言う事はスクールアイドルの具体的な活動内容を決めると言う事だろうか?

 

 「うん!色々!衣装でしょー?曲でしょー?サインを求められた時のための練習でしょー?変装の練習でしょー?」

 

 「……後半は置いといて、まだ色々決まってないから、作戦会議?」

 

 「そう!!ゆうくんー、何か良い案ないー?」

 

 期待の眼差しで穂乃果はそう聞くも、悠一は難しい表情を見せる。

 

 「って言ってもなぁ……やるのはお前らだろ?何をやりたいかは穂乃果達で決めないと意味ないんじゃないか?」

 

 「うっ、そりゃあそうだけど……」

 

 相変わらずの悠一の正論パンチに、たじたじとなる穂乃果。

 

 「……とりあえず、歌う曲は決めたの?」

 

 ともかく決めなけれならない事は沢山ある。悠一がそう聞くと、穂乃果は意地の悪そうな笑みを浮かべる。

 

 「それはまだだけど、作詞担当は決まったよ!」

 

 「ちょっと穂乃果!!」

 

 すると先程まで大人しくしていた海未が必死の形相で穂乃果に食い付いた。

 

 「作詞?誰がやるの?」

 

 悠一が首を傾げると、穂乃果はチラリと海未の方を見やり、更に口角を吊り上げる。

 

 「もちろんう「わー!!わー!!」

 

 穂乃果が皆まで言う前に、大声でそれを掻き消す海未。……必死に隠そうとしてるがバレバレである。

 

 「海未が作詞やるんだ。……まあ中学の時、俺たちに何度かポエ「黙りなさい!悠一!!」

 

 そして悠一が何かを言い終える前に、海未は再び悠一の胸ぐらを掴んだ。

 

 「あれはもう忘れなさい!!と言うか今ここで私が忘れさせてあげます!!!」

 

 「あわわわわ」

 

 そして先程と同じく激しく悠一を揺する海未。

 本日2回目の宇宙体験だった。

 

 

 _________________

 

 

 

 東照大学附属高校

 

 都内のど真ん中に立つこの私立高校は、部活動が盛んだ。

 特に運動部。

 スポーツに力を入れている高校ともあって、広さも設備も十二分に揃っている。

 その高校の第二体育館では、新体操部員がチラホラと見える。その中に、柔軟体操をしている悠一の姿も見えた。

 そんな彼に、人影が近づく。

 

 「おはよ、悠一くん、最近朝練来ないよね」

 

 悠一に話しかけたのは、首元まで伸びたストレートの黒髪に、高校2年生としてはかなり幼さが残る顔立ちの、男子新体操部の一人だった。

 

 「おっす幸人(ゆきと)。うーん、やっぱ出た方が良いかな?」

 

 対して悠一は、柔軟体操をしながら少々申し訳なさそうに返す。この悠一に話しかけた線が細く少し気の弱そうな少年の名は、高町幸人(たかまちゆきと)。悠一と同じく、東照大学附属高校2年の男子新体操部員だ。

 

 「ううん、朝は強制じゃ無いから良いんだけどね。でも、最近めっきり来なくなったから、どうしたのかなーって思って」

 

 幸人がそう言うと、やっぱり申し訳なさそうに悠一は後ろに手を当てる。

 

 「まあ、コーチみたいな?」

 

 「コーチ?悠一くん、誰かに新体操教えてるの?」

 

 首を傾げて幸人がそう聞くと、悠一は軽く首を振った。

 

 「ちょっと違うな。なんて言うか、ダンスの仕方?って言えば良いのかな?幼馴染がスクールアイドルやりたいって言い出したから、それの手伝い」

 

 どんな立場なのだろうかと、言葉を選びながら悠一はそう説明する。対して幸人は"スクールアイドル"と言う単語が耳に入った途端、食い気味に悠一に詰め寄った。

 

 「え!?スクールアイドル!?悠一くん、スクールアイドルになるの!?」

 

 目を輝かせて興奮気味にそう聞く幸人に対し、鬱陶しそうに悠一は片手で幸人の顔を遠ざける。

 

 「話聞いてたか?やるのは俺じゃ無くて俺の幼馴染だよ」

 

 そして再度説明すると、幸人は少し残念がる様な表情に変わった。

 

 「あはは、ごめんね。スクールアイドルって聞いて、ちょっとテンション上がっちゃって……でも悠一くん、スクールアイドルに興味無かったよね?」

 

 「あれ、そんなこと言ってたか?」

 

 「うん、この前僕が持ってたA-RISEの曲聴いてもらったけど、ずっとボーッとしてたじゃん」

 

 「……まあ、興味が出たんだよ」

 

 まあ悠一の中ではスクールアイドルに興味があると言うよりかは、スクールアイドルをやる穂乃果たちに興味があると言った方が正しいのだが。

 そんな事もつゆ知らず、幸人は感慨深く頷く。

 

 「そっかー……遂に悠一くんも"こっち"に来たかー。僕で良かったらなんでも教えてあげるからね!!」

 

 「お、おう。そっか……」

 

 満面の笑みを浮かべる幸人とは対照的に、引き攣った笑いを返す悠一。何か凄い勘違いをされている気がするが、悠一はスルーする事にした。

 

 「で、その悠一くんが手伝ってる子って、ソロでやるの?」

 

 「いや、なんか複数人でやるみたいだけど……」

 

 ぼかす様に、悠一は曖昧にそう答える。そもそも何人でやるかも決まってない状況なのだが。

 

 

 「グループかー、って事は、"ラブライブ"にも出るつもりかな?」

 

 

 すると、幸人の口から聞き慣れない言葉が悠一の耳に入る。

 

 「ラブライブ?」

 

 「え?悠一くん知らないの?ラブライブって言うのは__「こら!!そこ!!!もう始まるぞ!!!!」

 

 

 すると、怒鳴る様な声が聞こえてくる。おそらく新体操部の部長さんだろう。

 

 「「は、はい!!!」」

 

 二人して慌てて返事を返すと、話題も中途半端なまま、新体操の部活動が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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