「1着はーーーー。栄光あるURAファイナルズを制したのは、○○です!」
いまこの瞬間。歓声が鼓膜を振動させ、歓喜に満ちた観衆を見渡しながら、彼女は今この瞬間、3年もの間自身が文字通り死力を尽くして走り続けた努力が実ったことを、五感を通じて感じ取っていた。観衆たちは、たった今終えたレースで先頭で戻ってきた彼女を出迎えるように、彼女が顔をあげそのまま観客席の方へと向けると、そのボルテージは瞬く間に湧き上がるのだった。最も彼女は、観衆に応えるために顔を向けたわけではないーーーー何万も煌めく、まるで星屑のような観衆の中から、彼女は無意識にある人物を探し出そうと視線をせわしなく動かしていた。砂浜からコンタクトレンズを探すような途方もない作業であることに変わりはないのだが、彼がこの会場の何処かにいることはわかっている。この三年間、私は彼と共に走り続けた。今日この場も、きっと彼は私のことを、私の集大成を見届けているはずだ。
――――いた。
レースをもっとも近くで見届けることができる最前列。柵にもたれかかるようにいた彼だったが、その興奮が冷めやらないのか、その柵に片足をかけて乗り越えると、真っすぐこちらに向かってくるのだった。
「トレーナーさん!」
早く彼に駆け寄って、抱きしめたい。この胸に秘めた衝動を、彼に打ち明けたい。
そのために私は走りつづけてきたんだ。きっと彼も、きっと彼も…
あと数歩進めば、彼女の悲願は成就するはずだった。しかし次に一歩踏み出した時、彼女の視界に広がっていたのは、ありえない光景だった。
「ここは…」
そこはいつも自分が日常を送っているはずの、トレセン学園だった。たった今競技場にいたはずの自身が、一体どうしてトレセン学園にいるのだろうか?凡そ人智を超えた自身に訪れた現状に戸惑いながら、僅かに数歩、夢遊病者患者のようにふらふらと歩みを進めるが、その時自分はしかし自身が認知しているはずのトレセン学園とは、聊か違和感を抱かざるを得ない乖離が生じていることに気が付くだった。
どうして桜が……?
彼女の視界には、そこらかしこに植樹されているソメイヨシノがその腕を一杯に広げるかのように力強く枝を広げ、そして目覚めするようなピンクの花がそこらじゅうに咲き誇っていた。今は2月の後半、桜が満開となるには時期があまりにも尚早であり、今朝競技場に向かう前に寮で目覚めた時には、桜など咲いてはいなかったはずだ。
心に抱いた疑念は一切払拭されることがないまま、彼女はあてもなく校舎の中をさまよい歩いた。低解像度の世界の中でも、彼女は自身が今歩いているトレセン学園の様子が、いつもの様子と何処か乖離し、その度に彼女の疑念を増幅させていることに気が付いていた。
…どうして旧校舎が?
視界の端に映った凡そ前時代的な木造建築の校舎。3階建てのその建築物は、自身が入学して数か月で校舎建て替えのために取り壊され、その場所には新たなトレーニング施設が建設されていたはずだが…ちょうど校舎の前には首に来客用のカードをぶらさげた、見ない顔のスーツ姿の人たちが数人、機材を片手に話し合っているところを見ると、ちょうど校舎の建て替えについて業者の人たちが話し合っているようであった。
…なぜ校舎が今?
かつて戦国時代に武将の羽柴秀吉が、僅か一夜で敵に攻め入るための城を建築したという逸話があるが、それにしても自身が朝から出払っていた間にその場にあったトレーニング施設を取り払い、かつて存在していた旧校舎と寸分違わぬ建築物を建築したというのか?ますます目の前の光景が信じ難く首を傾げた彼女であったが、その時背後から声を掛けられるのだった。
「おや、○○。」
自身の名前を呼びかけられその方向へと首を向けると、そこには一人のウマ娘が立っているのだった。彼女は自身が慕っていた先輩で、在学中はよくかわいがってもらったものだ。先輩は去年トレセン学園を卒業したが、その先輩が、どうしてここにいるのだろうか?
「あれ、先輩!?お久しぶりです!今日はどうしたんですか?」
その言葉に、先輩はうん?と少し眉をひそめながら首を僅かに傾げた。どうやら私の言ったことに少し齟齬があったようだ。一体何が?内心彼女が焦っていると、先輩は子供の冗談を諫める母親のような口調で彼女に話しかけるのだった。
「久しぶりも何も、昨日食堂であっただろう?君も中々奇妙なジョークを言うね…」
その言葉に、彼女の脳内にはますます疑念が沸き上がることになった。先輩は一体何を言っているのだろう?昨日は日曜日で、食堂は休みじゃあないか。それにどうして先輩は制服を着ているのだろうか?彼女が思わず返事に窮していると、先輩は言葉を続けるのだった。
「そういえば今日は君に新しくついた担当トレーナーとの初めての顔合わせだろう?いかなくていいのかい?」
先輩の言葉に、益々彼女の首を疑念によって横に曲げられることになった。いよいよ先輩は頭がおかしくなってしまったのか?そんなわけがないと思いながら、ひとまず自身のトレーナーに相談しようと彼女がポケットに入っている携帯電話を取りだすと、彼女の背中に悪寒が走ることになった。
「20○○年、4月15日…?」
それは自身が先ほどまでいた競技場の日時から、およそ3年前。そしてトレーナーと初めて契約を結んでから顔合わせをした日であると記憶していた。脳裏をよぎる、およそフィクションの類と一蹴されてしまいそうな、そんな可能性がよぎった彼女は、何とか先輩に頭を下げ、冗談の礼を詫びると自身が3年間苦楽を共にしたトレーナーがいるトレーナー室へと駆け出していった。ペース配分も度外視した、ゴールを目指して懸命に繰り出した走り……しかし、その走りは先ほど競技場でレースを終えたとはいえ、満足できるようなキレやスピードのある走りではなかった。まるで、入学した時のころのような……
恐怖と焦りが胃を締め付け、胃液が口から出そうになるのを懸命に抑えながら彼女はその部屋の前へとたどり着いた。何とか呼吸を整えて扉を開く……そこには一人の人物、三年間二人三脚で走りつづけ、彼女を支え続けたトレーナーがいたのだった。彼は彼女を見据え、目の前まで近づくと徐に口を開くのだった。
「やぁ、僕は○○!今日からよろしくな!」
―――自身に降りかかった状況は、神様の気まぐれと宣うにはあまりにも絶望に包まれた代物であった。全てを悟った彼女にできることは、せめて目の前の彼に不信感を抱かれることがないように、絶望に押しつぶされた心から発せられた涙を必死に押し殺して、歪んだ笑顔でその問いかけに応えることだけだった。
「栗原恵美」
赤山大学経済学部を卒業し、集英社に就職。幼いころから漫画が好きだったようで、入社当時から編集部に配属されることを希望していたようだ。「恵美」という字は、両親から自身の優しさを人に分け与えて欲しいという願いを込めてつけられたと自分で語っていたが(もっとも僕から尋ねたわけじゃあなく、勝手にペラペラと話し始めたわけだが)、やはり親というものは、自分の子供には過度な期待をして、幾分かその性格や振る舞いなどに補正をかけて見てしまうものだという感想を抱かざるを得なかった。
彼女はたった今自身が告げた言葉を、期待を込めながら自身の向かいの席に座る男に投げかけ、そのやかましいほど光り輝く瞳でその男を見つめると、男は単純にいい迷惑だと言わんばかりに間延びした口調で、彼女がたった今口にしたセリフを反芻させるのだった。
「トレセン学園に取材ぃ~~~?」
その男…岸辺露伴は眉をひそめてしかめっ面をつくることで彼女への抗議の意を示しながら、テーブルの上に置かれているティーカップに手を伸ばし、彼女の依頼とそのついでと称して続いた取るに足らない世間話によってすっかりぬるくなってしまったカモミールティーをすするのだった。
「そうです!前回の短期連載が非常に好評でしたので!またウマ娘に関連する題材で一本描いていただけないでしょうか?」
「なんで僕が君らの指図をうけなくちゃあならないんだ?」
およそ職人気質の人間は、偏屈で頑固であるというイメージが定着されてはいるが、露伴はその最たるであった。自身の漫画家としての食指が動かされたものだけを描き、リアリティを追求する。そこには何者も介入を許さず、その高慢さ故に彼にしか描くことができない世界観があり、物語やキャラクターがあり、それゆえに多数の読者からの支持を獲得していることは事実であった。
「もう!そんなこと言っていると、友達いなくなっちゃいますよ!」
「……」
口をへの字に尖らせた彼女が、当てつけのようにそんな陳腐な台詞を口にする。一体どの口が言っているんだろうか?漫画家という職業は、普通の職種の人間に比べればコミュニケーション能力や社会常識を求められる必要は格段に低いが、そんな僕から言わせてもらってもそ彼女の言動は一体なんだと言うのだろうか?相手への礼節を軽んじ、自身の言いたいことをズバズバと言い放つ。それを体よく言えば「正直」であると言えるが、彼女はデリカシーがなく、図々しい人間であると銘打ちざるを得ない。
それに僕にだって友達はいる。決して多くはないが。露伴はまじまじと彼女の顔を見つめる…なんというか彼女のふてぶてしさ、何処か覚えがある。あぁ、そういえばあの阿呆の億康に通ずるものがある。あの頭の悪そうなブルドックの顔と彼女の顔がイメージとして重なると彼はますます不快感を掻き立てられ、無言で彼女のことを睨みつけた。
一刻も早くこんな徒労と言わざるを得ないこの時間から解放されたい。彼女は予想がつかない。いつ、次はどんな台詞で彼女が自身の神経を逆なでするような不快な言動をするのか全く想像がつかない以上、彼女の側にはいたくないというのが正直なところであった。今度漫画を描く際、彼女をモデルにした人物を描くというのも悪くないかもしれない。これほど癖のある人物ならば、読者の喉にも釣り針として引っかかるかもしれない。そんなことを思いながら露伴がその席を立とうとすると、彼女はこちらを見据えながら徐に口を開くのだった。
「それに彼女……漫画の題材にした彼女にもお礼、言ってないんですよね?」
彼女……
その言葉に露伴はぴたりと席を立つためにテーブルに添えた右手を止めるのだった。彼女…キタサンブラックの動向は、あれからもしばらく追っていた。確か彼女は、先日のクラシック路線の最後の一冠、菊花賞で見事1着を収め、世間でも注目されていたはずだ。彼女には自身の漫画家としての食指を動かすような漫画を描かせてもらった原動力である以上、また顔を合わせてもいいかもしれない。
露伴の意図をくみ取ったのか、栗原はにやっと笑みを浮かべながら露伴の顔を見つめる。彼女の狙い通りに事が運ぶことは何とも癇に障る出来事であったが、露伴はせめてもの抵抗として取材には一人で向かうので付いてこなくていいことを伝えると、彼女から顔を背けながらティーカップの中の液体を口に呷るのだった。
数日後、露伴はさっそく約束を果たすためにトレセン学園へと向かった。久方ぶりのトレセン学園は何とも言えず、露伴の興味をそそるものであった。これも自身がウマ娘という題材で漫画を描き、その造形を深めるために様々なことを勉強したからであろう。物事に興味を抱くには、そのことについての解像度を上げることが肝要であることは漫画家として鉄則だ。露伴が校門をくぐり歩みを進めると、とある人物が待ち構えているのだった。
「トレセン学園へようこそ!お久しぶりです、露伴先生!」
「あぁ。駿川さんもお久しぶりです」
その人物は、初めてこのトレセン学園で出会った時と同じように朗らかな笑みを浮かべながら、15度こちらに向かって頭を下げるのだった。露伴は彼女…トレセン学園理事長秘書・駿川たづなに会釈で応えると、社会人としてあるべき社交辞令として挨拶を一言二言交わすと、たづなは案内する方角へと手をかざしながら自身の一歩半先を歩き始めるのだった。露伴は出遅れないように、彼女の案内に従ってその背中を追うように校舎内に歩みを進めるのだった。
「―――露伴先生が描かれた、新作のウマ娘を題材にした漫画、校内のウマ娘にもすごく人気なんですよ!」
「それは嬉しい限りです」
たづなと時折雑談を交えながら、露伴は歩みを進めていく。露伴は基本的に沈黙を嫌がるようなタチではなかったのだが、たづなはこちらが不快感を抱かないほどの、「ちょうどいい」という他ないほどのタイミングでこちらに話を振りながら、こちらの受け答えにさらに会話が自然に続く様に返答を返していく。どっかの編集者とは大違いだな、と心の内に沸き上がった感想を引っ込めると、露伴は先ほどたづなに言われた賛辞の言葉に口角を緩めながら答えた。本来ならばこういった類の言葉はおべっかを使っていると思う他ないのだが、実際彼女と歩いているさながら生徒たちに時折呼び止められ、サインや写真を求めれることがしばしばあったので、あながち誇張しているわけでもないのだろう。別にプロバガンダのつもりで描いているわけでは決してないが、より多くの人が自身の漫画を手にし、心を掴まれたという事実は聞いていて悪い気はしないというものだ。そのような生徒が来ると、たづなは「失礼ですよ」と彼女たちを追い払おうとしたが、その度に露伴は気にしなくていいことを伝え、ほんの数秒で彼女たちが持参した色紙にサインとちょいとしたイラストをしつらえてやるのだった。
「さぁ、こちらで彼女が待っています」
とある一室の前で立ち止まると、たづなはこちらを向いて露伴にそう告げた。この部屋の中で、彼女が待っている。柄になくはやる気持ちを抑えつつ、露伴はたづなに礼を言うとゆっくりと扉の前に立つのだった。
コンコン。
短く、一定のテンポを刻むように握りこんだ手を扉に軽くたたき発したノック音が辺りに響き渡ると、ワンテンポおいて室内から「どうぞ」という声が聞こえてきた。露伴は入室を許可されたことを確認すると、ゆっくりとドアノブを捻り室内へと足を踏み入れるのだった。
「お久しぶりです!露伴先生!」
彼女はこちらの姿を認めると、椅子からガタっと立ち上がり、笑みを浮かべながらこちらに近づいてきた。露伴は久方ぶりの交流の喜びを分かち合うために彼女…自身の漫画のモデルとして採用したウマ娘、キタサンブラックにその手を差し出し、固い握手を交わすのだった。
久方ぶりに出会った彼女は僅か数か月の間というのに、身体が見違えるほどに筋肉が隆起し、競技者として仕上がっている身体に成長していた。ウマ娘という種族は、非常に人間と似ている容姿はしているが、いくつかの点において人間との相違が見受けられる。その一つとして挙げられるのが、「本格化」が挙げられ、彼女の身体的な変化の原因もそれであろう。本格化というものは、ウマ娘が幼少期に突然、人間とは比較できないほどのスピードで身体的に成長が促進されるというものである。これも彼女を題材にした漫画を執筆するにあたってウマ娘の生態に関する文献を読み漁った影響であり、露伴はその分野の知識に関しては一介のトレーナーに勝るとも劣らないほどになっていた。
常日頃、あまり人間に対して好意を抱くことがない露伴であったが、キタサンに関しては珍しく、好意的な印象を抱いていた。他者を思いやる気持ちがあり、困っている人がいたら助けずにはいられない。夢に向かってひたむきに努力する彼女は、何処か杜王町に住む親友、康一君と共通点を見出すことができた。だからこそ、日ごろミステリー・ホラー、アクションといった題材を取り上げる自身にとっては異色ともいえる「青春スポコン漫画」に手をつけようと思ったわけだが。
露伴はキタサンにお礼を言うつもりでここまで足を運んだわけだが、結果的にその話の殆どは、彼女の近況を尋ねる世間話と、自身の漫画家としての食指を動かした彼女について、トレーニングやそのマインド、そしてレースをする際のゲートに収まった時の緊張感。観客からの声援を受けた時にどう思ったのか。そして並み居るライバルに打ち勝って勝利を手にした時、どんな気持ちだったのか。漫画家としてより「リアリティ」を求め、より洗練された作品へと昇華させるために、彼女に対して少々しつこく、そして回りくどく、時には答えにくいような質問をいくつか投げかけてしまったが、その際にも彼女は真剣なまなざしで、露伴の質問に的確に受け答えするのだった。
――――やはり彼女をネタにしてよかった。
露伴にとって新たな扉が開かれるたび。彼女の口から発せられる言葉が、露伴の心を強く打ち付けるたびに。露伴はそれを一語一句取りこぼすことがないように時には文字で、時にはイラストとしてノートに漏れなく記録していく。やがて取材にある程度区切りをつけると、露伴はノートの切れ端を千切り、キタサンに手渡すのだった。
「本当にありがとう。これでますますいい作品を描くことができそうだ。それは僕の電話番号だ。漫画を描くときに聞きたいことがあったら電話をしたいから、よければ交換してくれないかい?」
「いいんですか!?」
そういえば彼女、僕の漫画の読者だと言っていたな。彼女からしてみれば、憧れの存在と連絡先の交換をすることはいくらか嬉しいものだろうが、彼女のことだ。無闇に僕に電話を掛けてくるような無粋な真似はしないだろう。露伴が切れ端に書いた番号を携帯に入力している彼女を尻目にしていると、キタサンは徐に口を開くのだった。
「露伴先生、一つ頼み事をしてもいいですか?」
彼女の真剣な面持ちに眉をひそめながら露伴は話を聞いてやるという意を示すために机に前のめりなる…彼の意をくみ取った彼女は携帯を机の上に置くと、言葉を続けるのだった。
「露伴先生は、URAファイナルズってご存知ですか?」
「あぁ、競技者として3年間の間、優秀な成績を収めることができたウマ娘たちがそのキャリアの集大成として出場するURA主催のオールスターレース、だったかな?」
「はい…そのレースに出場する私の先輩がいるんですけど、何だか最近元気がなくて…理由を聞いても誰にも解決できるわけないって言い張るばかりなんです。」
「…それを僕に何とかしろと?」
同意の意を示すため、キタサンはゆっくりと首を縦に振る。その様子を見つめた露伴は、かぶりを振りながら言葉を口にするのだった。
「キタサン君…僕は漫画家だ。僕は別に人助けが仕事ってわけじゃあない。君には光るものがあって、それに僕は漫画家として心動かされたまでだ」
そう露伴が告げると、キタサンの耳は折れ、見るからに落ち込んでいるのが分かった。彼女の様子をしばらく見つめていた露伴だったが、やがて短くため息を一つつくと言葉を続けるのだった。
「……話くらいは聞こうじゃあないか。もしもそれが僕の漫画家としての琴線に触れるようなら、取材ってことで調べてやってもいい。さぁ、その彼女を連れてきてくれ」
先ほど彼女には、くたびれるほどの質問を投げかけてしまった。これくらいの要望は聞いてやらなければ、対等ではないだろう。喜びながら渦中の人物を呼びに行った彼女を見据えながら、露伴は机に肘をつき、その手を頬にあてがうのだった。