岸辺露伴は走らない   作:ボンゴレパスタ

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岸辺露伴は走らない8

 

 

 

 

平行世界のトレセン学園。その造りは露伴たちがいる世界のトレセン学園とうり二つのものだったが、その二つの大きな違いといえば、平行世界の方の学園にはまるで「活気」がないということだった。学園の荘厳の造りの建築が、却ってそのわきあがる不気味な雰囲気を増長させていた。

 

 

学園内の一角にある部屋……部屋にはペンチや注射器といった器具が壁やパッドに無造作に配置されていて、中にはどんな用途で使用されるのか想像もしたくないような器具も散見される……そんな物々しい部屋の中央で、恭也は椅子に縛り付けられていた。

 

 

「まさかお前が……俺自身とはな」

 

 

椅子に縛り付けられ、身動きが取れない彼の前には本来その世界に存在する恭也が腕を組みながら彼のことを値踏みするような視線を向けていた……やがて彼はその視線を隙なく突きつけながら、言葉を口にした。

 

 

「……信じられないか……僕が瓜二つの人物だって?」

 

 

「……いや。信じるさ。何となくだが、心の底では理解している自分がいるんだ……やはり私たちは同位体故、かな?……まぁだからこそ、貴様を触れることなく生かしておいてやっているんだ」

 

 

「……?どういう意味………だ……?」

 

 

「貴様の口からは俺のスカイがどこに消えたのか、その秘密を答えてもらわなくちゃあならない……スカイは一体どこに行った?」

 

 

「答えるわけないだろ……君のスカイに対する指導は異常だ。君の元に今彼女を返しても、絶対に彼女のためにはならない。」

 

 

「……なるほどね」

 

 

平行世界の恭也はつかつかと歩み寄ると、途端に観測が急速に早まり、椅子に縛られている恭也は途端に苦しみだす……その額からは夥しい量の汗が浮かび、断末魔に似た悲鳴が喉から搾られる。しばらく苦しんでいる恭也の様子を見つめていた平行世界の恭也は満足したのか距離を取ると、酸素を求めて喘ぐ彼を見つめた。

 

 

「……ハァハァ、ハァ。」

 

 

「まぁいい……貴様が消えるにはまだ時間がかかる。それまでに吐いてくれればいいさ。なんたって、その方法を口にしない限り貴様はこの世界から抜けることなど叶わないのだから」

 

 

苦しむ恭也を尻目にそうつぶやき、平行世界の恭也はその部屋からでると入口に控えていたウマ娘に声をかけた。

 

 

「……逃げないように見張っておけ。口を割らせることができるんだったら、死なない程度に痛めつけても構わない」

 

 

誰もいなくなった部屋で、自分の荒い呼吸だけが響き渡る。どうしてあの時身体が動いたのか。それは自分自身にもわからなかった。

 

 

あの場で動かず、そのまま洞に帰ることもできたはずだ。元々スカイは向こうの世界の住人。あの場で捕まってしまうのもまた彼女の宿命と割り切ることも、あの場の判断でしようと思えばできたことだ。

 

 

だがそれでも、動かずにはいられなかった。気が付けば捕まっていた平行世界のスカイを助けてしまった……助けずにはいられなかった。

 

 

何があっても、どんなに辛いことがあっても僕はトレーナーだ。元の世界のスカイも、この世界のスカイも。僕にとっては大切な担当ウマ娘だ。例えこの世界で僕が朽ち果ててしまおうとも、彼女を守ることができたのだからいいと思わなければ。

 

 

恭也はそっと目を閉じると、静かに頭を垂れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「恭也君が………向こうの世界に?」

 

 

今しがた生還を果たしたばかりのスカイの口から放たれた衝撃の一言に、一同の顔は青ざめていく。この場に彼がいないこと、それが指し示す意味は一つだけだった。

 

 

「……彼はまだ、向こうの世界に?」

 

 

その問いに答える者は、その場にはいなかった。そんな重苦しい雰囲気が支配する中、平行世界のスカイは震えながら言葉を口にした。

 

 

「洞に飛び込む直前、誰かに助けてもらったんです。煙で顔が見えなかったから誰か分からなかったんですが……あの時の人がまさか……」

 

 

「……」

 

 

「……のせいだ」

 

 

ぽつりと呟かれた一言。あまりにも小さく呟かれたせいでその言葉の全てを聞きとることができなかった一同が声のした方へと振り向くと、そこには今担当トレーナーが捕まってしまったことを告げられたセイウンスカイの姿があった。

 

 

「………?」

 

 

「……お前のせいだ!お前のせいでトレーナーさんは捕まったんだ!」

 

 

急にスカイは大声を上げると、平行世界のスカイに掴みかかろうとする…その手が彼女の襟に掛かる直前、ルドルフが彼女の身体を抑えて何とか大事は免れた。

 

 

「……セイウンスカイ君。気持ちは痛いほどわかるが、冷静さを欠いてはならない。露伴先生……少し彼女と二人で話す時間が欲しい」

 

 

「……!何も話すことなんて……!」

 

 

「話をさせて欲しい」

 

 

スカイの抵抗は、皇帝のその短くも強い意思を孕んだ一言によって瓦解する。スカイがかろうじて無言で頷いたことを確認すると、ルドルフは彼女の手を引いて一同に話が聞き及ばない位置まで歩いて行った。

 

 

「……彼女、どうなるかねぇ」

 

 

「……分からない。いずれにしても恭也君は向こうの世界に居続けることはできないし、奴らは平行世界のスカイ君を血眼になって探しているはずだ。恭也君を助け出して、スカイ君を元の世界に戻さなければならないだろう」

 

 

「……しょうがない。それじゃあその二つを成功させるための作戦を練るとするかねぇ」

 

 

「……あのっ!」

 

 

平行世界のスカイの呼びかけによって、一同の動きがぴたりと止まる。そんな一同の様子に一瞬怯えたような素振りを見せていたスカイだったが、やがて覚悟したように向き直ると一同の一人、露伴に向き直り声を掛けた。

 

 

「露伴先生……お願いがあります」

 

 

その瞳の中には、確固たる意思が宿る。その輝きを見た露伴は彼女の言葉を聞き届けるために彼女の方へと向き直った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルドルフは二人だけで話ができる場所へと移動すると、彼女の方へ視線を向ける。如何にして彼女の憤りをほぐすべきか。頭の中で考えを巡らせながら、ルドルフは徐に口を開いた。

 

 

「……君の気持ちは痛いほどわかる。私も……」

 

 

「……あなたに分かる訳がありません。私の気持ちなんて」

 

 

彼女の慰めに、スカイは短くそう切り返す。彼女の憤りの根底はより根深く複雑なものだ……ルドルフはそう勘繰ると、腕を組み静かに彼女のことを見つめ始めた。

 

 

「………?」

 

 

怒りは次第に鳴りを潜め、その心の中には疑念が立ち込めていく。ルドルフはしばらく彼女の感情の潮が引くまで沈黙を貫きとおすと、徐に口を開いた。

 

 

「………私はかつて、過ちを犯してしまった。露伴先生を、自分の欲望のもとで傷つけてしまった……反省しているし、二度とそんなバカげたことをするつもりはない……思い返せばそんな私の行動は、彼を想って起こしてしまった故だ。先程の君の怒りもきっと……恭也君を想ってのことなのだろう?」

 

 

「……」

 

 

「……確かに私は君の心の中まで覗き込むことはできない。その点で言えば、確かに君の言う通り、君の気持ちなど私にはわかるはずないという指摘は至極当然なものだろう。だが、ある点で言えば……そう、トレーナーという存在を思う身として、私たちは同志だ。君の気持ち、痛いほどわかるよ」

 

 

「……」

 

 

「そんな彼が今、囚われている。だとすれば、君のなすべきことはたった一つじゃあないか?」

 

 

「………わかりました」

 

 

スカイはその激情を一旦鞘に納めると、二人は一同のもとへと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さてこうなった以上、もう一度あの世界に行くしかねぇなぁ。作戦はどうすンだよ?」

 

 

「ふぅむ。とりあえず作戦を練って彼を連れ戻す手段を考えなくちゃあねぇ……」

 

 

「その前に君に……スカイ君に聞きたいことがある。あの「委員会」とか言う連中は何者なんだ?それにあの「指導」ってやつは何なんだ?」

 

 

露伴の質問によって、一同の視線は一斉に平行世界のスカイに注がれていく。彼女はその身体を震わせながら、露伴の問いに答えるために口を開いた。

 

 

「………私たちの世界で行われている現行の制度……トゥインクルスタークライマックスはその制度上、出場するためには3年間の間に限りなく多くの重賞に出場することが求められます。その制度が発足した当初は、反対するウマ娘も学内に多くいて……その反対勢力を抑え込むために生まれた、いわば反逆因子の鎮圧のために学内で創設された武装組織、それが「委員会」なんです……そして委員会によって拘束されたウマ娘たちは、「指導」という名目でその思想の矯正が図られます……」

 

 

「……そんな……ひどいことが」

 

 

「聊か気分の悪くなる話だねぇ」

 

 

「……チッ」

 

 

スカイの口から発せられた衝撃的な事実に、一同は水を打ったように静まり返る。この世界の基準では、にわかには信じがたい話だった。その重々しい空気のなか、会話を切り出したのは意外にも平行世界のスカイだった。

 

 

「……多分あの人が捕まっているとしたら、その指導室に拘束されていると思います。」

 

 

「……彼に残された時間もあまりない。あと数時間で彼は「観測」によってその存在が消失してしまう。なんとしても助け出さなければ」

 

 

 

 

 

やがて一同が円になってテーブルを囲んだことを確認すると、タキオンはその上に巻物のように丸めていた大きな紙を拡げた。彼女は一同の顔を一瞥すると、徐に口を開いた。

 

 

「さて、それじゃあこれから向こうの世界に囚われた恭也君の奪還作戦、そしてスカイ君を無事に送り届けるための作戦を説明しよう……2回目の鬼ごっこと洒落こもうじゃあないか。」

 

 

意気揚々と説明を始めるタキオンをよそに、露伴は先程自身に頼み事をしてきた平行世界のスカイの方へと視線を向けた。彼女の顔には最早、恐怖や苦しみはない。そこにあるのは、覚悟だけだった。

 

 

……本当に君はいいのかい?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……夜のトレセン学園

喧騒からはかけ離れたその静かで広い空間は、普段の圧政も相まって非常に重々しい空気を醸し出していた。その学園の一角にある大樹の洞から、一目を避けるように続々と人たちが出てくると、周囲に目撃者がいないことを確認してから周囲に散会した。

 

 

作戦における第1の要。それは平行世界への行き来を可能にする大樹の洞の秘密が、この世界の住人たちに露呈しないこと。その関門は何とか突破したようだ。

 

 

夜とはいえど、自分たちが恭也を連れ戻そうとしていることは既に相手も予想していることだろう。昼に比べるといくらか人数は少ないが、ただの警備巡回と呼ぶには聊か多すぎる人数が校内をうろついていた。露伴は校内を必死に駆け巡り、そして周囲の人々の目に触れることがないように細心の注意を払いながら、彼は校舎の一角にある茂みの中にその身を潜めた。

 

 

……本当に、これをやらなくちゃあいけないなんて

 

 

数時間前にタキオンから聞かされた計画はまさに突拍子もない代物と呼ばざるを得なかった。それでも、こうなってしまった以上……この世界に囚われてしまった彼を助け出すにはこうするしかないというのならば、やるしかないだろう。

 

 

正直なところ、タキオンから聞かされた計画は露伴にとって気が進むものではなかった。露伴はタキオンから手渡された薬物を取り出すと、そのガラス瓶の中に閉じ込められた液体を静かに見つめる。その色は胸やけするような蛍光色を放っていて、とてもじゃあないがこれから口を付けようという気にはならなかった。

 

 

「……やるしかないか」

 

 

露伴は口からそう覚悟たる言葉を漏れ出すと、そのガラス瓶の蓋を開け、ティーンエージャーがコーラを飲み干すときのように、中身を一気に喉の奥の奥に流し込んだ。

 

 

……!

 

 

咥内を不快と表現する他ない味が満たし、それを必死に呑みこんでからしばらくすると彼の身体に変化が訪れた。身体の胃の内に注ぎ込まれた液体が身体に染み込み、血流と混ざり全身にいきわたっていくのを感じる。すると薬品が達した身体の箇所から異常といえる熱を発し、煙が彼の身体から生じていた。

 

 

「~~~!」

 

 

強烈な痛みが身体を襲う。その場でしばらく痛みに耐えるために蹲っていた露伴だったが、やがてしばらくすると痛みの波は徐々に引いていく。彼は完全に自身に薬の変化が訪れたことを確認すると、ゆっくりと立ち上がって自身の手に視線を落とした。

 

 

……これは

 

 

わかってはいたことだったが、その変化は顕著だったようだ。自身の身体を確かめるため、露伴は月明りだけが頼りとなる学園を壁伝いに歩く。しばらくすると、校舎の廊下に据え付けられている窓が視界に入る。それを認めた露伴は急いでその前に躍り出ると、窓に映った自身の姿を確認した。

 

 

自身の目のまえに広がる景色に、露伴は驚きのあまり口を開ける。自分の身体と窓を交互に見比べたり、頭の上についたそれを引っ張ってみたり、自分の頬をつねってみたりする。しばらくその変化を確かめた後、露伴は自身が油を売っている場合ではないことを思い出すと、タキオンから手渡された紙袋の中身を確認した。

 

 

……これを着なくちゃあならないのか。

 

 

全く気が進まない。なんでこんなことを僕がやらなくちゃあならないのか。ともあれ、根底の理性の部分ではこの服に着替えることは至極全うな理屈な行動であることは理解していたが、沽券にかかわるとして男のプライドがそれを拒んでいた。

 

 

「……ちくしょう」

 

 

露伴は一言そう毒づくと、袋の中身を乱暴につかみ取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トレセン学園の一角にあるトレーナー室で、平行世界の恭也は真っ暗な室内で椅子に腰を掛けながら、その首をもたげて天井を仰いでいた。

 

 

……あいつはもう時間がない。

 

 

自身と同位体である奴の身体の消失は既に始まっている。見立てが正しければ、奴の消失のタイムリミットはあと2時間がいいところだろう。スカイをわざわざ連れ戻しに来るような連中だ。このまま指をくわえて何もしないとは思えない。

 

 

その時、机の上に置いていた携帯が着信し、小刻みに震える。

 

 

……来た!

 

 

携帯をつかみ取り、それを耳に押し当てる。それはまさに彼が待ち望んだ連絡そのものだった。

 

 

「……こちら4番隊!『セイウンスカイ』をポイントDで発見!追跡します!」

 

 

「……了解した。捕縛後、トレーナー室に連行するように」

 

 

彼は満足そうに微笑むと、その携帯電話を机の上に置いた。連中がどんな策を弄したとしても、このトレセン学園で捕まらず、指導室に囚われた自身を連れ戻すことなど不可能だ。連中の内の一人を捕まえて口を割らせようと思っていたが、彼女が自ら足を運んでくれたのであればその手間は省けそうだ。満足そうに机に脚を載せ、背もたれを前後揺らしていた恭也だったが、その意識は再び鳴った携帯電話によって削がれることになった。

 

 

「……おい。二度は連絡する必要は……」

 

 

「……こちら2番隊!『セイウンスカイ』を発見しました!ポイントはG2です!」

 

 

「……了解した。捕縛後、トレーナー室に……ってなんだって?誰を発見したって?」

 

 

「……ですから『セイウンスカイ』です!追跡します!」

 

 

混乱のまま恭也はその携帯電話を切る。その事態の分析もできないままに、彼は3度鳴った携帯電話を手に取った。

 

 

「『セイウンスカイ』を発見!こちら1番隊!繰り返す!『セイウンスカイ』をポイントFで発見!」

 

 

恭也は切れた携帯電話をぶらんとそのまま下げると、自身の脳内で常識を超え錯綜する事態の収拾に図った。

 

 

……スカイが3人?

 

 

この学園内で、同時に3人もの同一人物が発見され、逃走を続けている。この事態は一体どういうことなのか。この世界のスカイと、今捕らえている奴の世界にいるであろうセイウンスカイ。二人が同時に存在することはわかるにしても、3人ものスカイがこの学園にいるとは、全くどんな了見なのだろうか?

 

 

ブー。ブー。

 

 

「……」

 

 

自身の手に握られている携帯電話が鳴る。4度目の来電の内容を予見した恭也は、今度は電話に出る気にはなれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……この薬は正直なところ、本来別の目的で作られたものなんだ」

 

 

タキオンの口から発せられたその一言。一同に薬を手渡しながら放たれたその言葉にルドルフは首を傾げると、いぶかし気に口を開いた。

 

 

「……それはどういう意味だ、アグネスタキオン?」

 

 

ルドルフが口にしたその一言に、タキオンはその顔をしかめながら声を発した。

 

 

「……本来は特定の身体の部位を強化させるために作っていた薬だったんだがね。実験の段階で全くの別物になってしまったんだよ。研究者としては、それは「敗北」というべき事実ではあるが、まぁその薬がもたらす作用が非常に奇怪で興味深いものだったからこうして作り方等を記録しておいたわけさ。まさかこんなところで役に立つことになるなんてねぇ」

 

 

「……奇怪?この薬はどういう作用なんだ?」

 

 

質問を投げかけた露伴を一瞥すると、タキオンはさも愉快そうにその顔をニヤニヤと歪めながら平行世界のスカイにつかつかと歩み寄ると、動揺する彼女を余所にその髪の毛を何本か引き抜くと、その薬の入った瓶の中に入れてしまった。

 

 

「……!」

 

 

あまりのタキオンの起こした行動の不可解さに一同が茫然としていたが、タキオンは自身の手元にあるその髪の毛が入って泡が発生しているガラス瓶を自身の喉に流し込んだ。

 

 

「……さ、さすがに味はもう少し改良の余地があるねえ……」

 

 

口の端からその薬が垂れ、タキオンは苦悶の表情を浮かべていたが、やがてタキオンの身体に変化が訪れる。身体から煙が漏れ出、その煙に全身が包まれていく。やがてその煙が収まると、一同の前に広がるその奇怪な現象に、驚きに包まれた。

 

 

「こ、これは……!」

 

 

「……どういうことだ?」

 

 

葦毛の髪に、青い瞳。

 

 

煙の中から現れたウマ娘。そこから現れたのは紛うことなきセイウンスカイその人だった。

 

 

「……ごらんのとおり。これは人の姿形をそっくりそのまま変えてしまう、そんな薬さ。あまりにもピーキーすぎる作用だから面白半分で作り方だけ記録しておいたものだったが、まさかこんなところで役に立つとはねぇ」

 

 

このアグネスタキオンというウマ娘、わかっていたことではあったが狂人であることに変わりはないが、正真正銘の天才であることは疑いようのない事実のようだ。

 

 

その光景に舌を巻く他ない一同を余所に、すっかりとスカイへと変貌を遂げたタキオンは、その口角を引き上げながら言葉を放った。

 

 

「……さぁ。今回の作戦「セイウンスカイ鬼ごっこ作戦」を開始しようじゃあないか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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