ウルトラマンレオ - ウルトラマンのいない世界 作:桂ヒナギク
獅子座にあるL77星は、崩壊の一途を辿っていた。
レオは、双子の弟アストラを炎に包まれた瓦礫の下から助け出そうとしている。
「兄さん、僕はもうダメだ。兄さんだけでも逃げてくれ」
「アストラ、諦めるな!」
だが。
アストラは炎の海に消えた。
「アストラ!」
青年は夢から目を覚ます。
(またあの夢……)
彼の名は
健太が見ていたのは、この世界には存在しない、ウルトラマンという巨人が出てくるというもので、いつものことながら、とてもリアルだった。
もちろん、特撮番組にもそのような名前のドラマは放送すらされていない。
毎回のように見るその夢に、健太は精神的に疲弊していた。
ふと時間を見る。
時刻は午前九時を回っていた。
「遅刻だー!」
健太は大急ぎで支度をして会社へ向かう。
と、会社が火事になっていた。
「社長!」
「ここだ。遅刻してきてよかったな」
「社長、一体なにが?」
「ガス爆発だよ。悪いが建て直すまで休業だ」
健太はまっすぐ帰ることにした。
帰宅中、健太は金色の獅子を象った指輪を拾った。
「落とし物?」
指輪をポケットにしまい、真っ直ぐ家へと帰った。
「ただいま」
と言っても誰もない。
男の一人暮らしも寂しいものだ。
健太はベッドに腰掛け、体を後ろに倒して仰向けになった。
眠りに就き、夢を見始める。
夢の中で、ウルトラマンレオが巨大化したウルフ星人と戦っていた。
レオは圧倒的なパワーで星人を倒し、空へと飛び立つ。
「……………………」
夢から覚める健太。
「ウルトラマンレオってなんだよ?」
健太は思い出し、指輪を取り出す。
(そういえば、これって夢に出てきた指輪にそっくりだ)
健太は指輪を左手の薬指にはめてみた。
「レオー!」
夢で見た変身ポーズを取るが。
「なわけないか」
その時、窓の向こうで爆音が鳴り響いた。
「なんだあ!?」
窓を開け、外を見ると、一箇所だけ地面に巨大なクレーターができていた。
「マジかよ」
クレーターの中心には、外星人の姿が。
外星人は動き出し、街を破壊し始める。
「やばいって!」
健太は家を飛び出し、外星人から離れようと走り出す。
そこへ、赤い光の球が上空より飛来した。
「今度はなんだってんだ?」
光の球はものすごい速度で落下してきて地面に突っ込んだ。
健太は風圧で吹っ飛ぶ。
「うわああああ!」
地面に叩き付けられ、意識を失う健太。
光の球は赤い巨人へと姿を変える。
赤い巨人は外星人と接近戦を繰り広げ、追い詰めて撃退した。
彼は健太を見下ろした。
健太は瀕死だった。
赤い巨人は光の球となり、健太の体に入り込んだ。
健太は目を開け、起き上がる。
「痛……」
頭を押さえる健太。
「あれ?」
外星人がいたところを見るが、そこにはなにもない。
「夢……?」