スーパー英雄大戦ROBOT GENERATION   作:ゲーマーN

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第1話の序盤を先行公開です。第1話の投稿後、削除を予定しています。


試し読み

 ――アドラム帝国 民間軍事企業・魔王軍

 

 アドラム帝国は、多数の星系を支配下に置いていてる星間国家である。

 帝国、とは言っても皇帝が独裁している訳ではなく、地球に於ける日本のように皇室こそ残っているものの、その政治体制は代議制となっている。

 とはいえ、唯一の巨大国家という訳ではない。同規模以上の巨大国家など幾らでも存在しており、覇権争いの末に衰退した星間国家も幾らでも存在する。

 

 例えば、22世紀後半に地球を侵略しようとしたベガ星連合軍がその代表的存在だ。ベガ星の独裁者・ベガ大王を総大将としたベガ星連合軍を筆頭とする星間連合の侵略を受けた地球は、同時期に接触してきた複数の異星人と共にこれを迎え撃ち、鹵獲した技術から現在のワープドライブの原型になる超高速移動手段を発明した。

 この侵略的異星人との戦いは、今では『スーパーロボット大戦』と呼ばれている。

 

 以降は『第2の大航海時代』とされる開拓時代が始まり、貪欲なまでの開拓欲を発揮した地球人は宇宙の広い範囲に広がっていくことになる。

 人間勢力は一つの政府に纏まっていたものの、地球集権体制への反発、各開拓惑星の分権独立を経て、現在のように太陽系内を一つの国家とした『地球連邦』へと形を変えた。

 

 政府の形が変化する間にも地球人による宇宙開拓と移民は広がっていたが、人口の拡散による文化の停滞または後退と懐古主義が蔓延していくことになる。

 今でこそ、代議制という民主主義に程近い政治体制を取っているアドラム帝国であるが、『帝国』の名の通り、建国当初は皇帝の血統継承による専制国家であり、帝国主義を掲げた封建制というカビの生えた古臭い政治体制であった。

 

 アドラム帝国建国前後、地球連邦の代表が地球系宇宙国家群を訪問した際。

 巨大な農耕ステーションにわざと野生の兎と狐を放ち、馬に乗ってフォックスハンティングを楽しむという、古い貴族趣味に浸った他国の要人達を見て、文化の後退に心底恐怖したという話はあまりにも有名だ。それこそ、彼の有名な殺戮集団『ガイゾック』の言い分を認める者が地球連邦内部から出るほどである。

 翌年、文化の保護と発展を掲げた掲げた鎖国政策が、文化の衰退を憂いていた地球連邦の国民に圧倒的な支持を受けて成立した。

 

 それ以降、太陽系にある地球連邦は『文化保護』を国是としており、観光客と留学生、太陽系外縁部にある交易ステーションでの交易を残して鎖国を続けている。

 この宇宙に於ける、21世紀の感覚で言う『サブカルチャー』の八割が地球産、或いは地球のライセンス生産製品と言えば、地球連邦がどれほど文化保護に苦心してきたものかよく分かることだろう。

 

 地球の『文化的な品』は大衆的なものもあるが、評価の高いものは基本的に高級品扱いであり、21世紀で言うところのアンティーク品のように珍重されている。作品のライセンス生産権を入手するだけで、相当な利益を手にすることができるのだ。

 地球は生産権の一部を宇宙国家群に売ることで、その代価として資金以外にも軍事分野も含めて最先端技術を『輸入』している。

 

 輸入した各国の最先端技術を惜しげもなく投入して作られる地球の艦船や機動兵器は、他の国より数世代は先を行く性能と言われている。

 それを機動兵器の操縦に関しては宇宙有数の戦闘民族である地球人が操縦するのだから、数百年単位で鎖国を続けられている理由も納得が行くものだろう。今も尚、『スーパーロボット大戦』を戦い抜いた機体の系譜は残っているのだから。

 

 もし地球に侵攻する国や団体があったとしたら各国の最先端技術の結晶じみた高性能艦隊と機動兵器の数々が出てくる上に『地球守護』を掲げた周囲の国から袋叩きにあうので、軍事的・外交的に不干渉地帯となっている。

 むしろ、地球が鎖国をやめて積極的に外交を始めると影響が大きすぎるので、各国も地球連邦には鎖国していてくれた方が都合がいいほどである。

 

「ワープゲートに異常発生! ごく小規模な時空間嵐がジャンプゲート直近で発生した模様!」

 

『ジャンプゲート表面に歪曲発生、ジャンプドライブの設定座標が固定できません! 助けて!』

 

「直通回線経由でジャンプドライブに緊急停止信号を送信、失敗! 停止信号を受け付けません!」

 

「ジャンプフィールドの歪曲面急速拡大! 訓練艦オールドファーザーが飲まれるであります!」

 

 魔王軍はその地球出身であるイグサ・サナダが代表取締役を務める民間軍事企業である。対惑星用原子分裂弾により滅亡した惑星に魔王として召喚された彼は、同じく勇者として召喚された少女と共に民間軍事企業を経営していた。

 部下の育成に注力する魔王軍は士官学校……正確には職業訓練施設を経営しており、その生徒には魔王の実子である『アイル』も在籍している。

 

 そのアイルを含めた魔王軍傘下の学校の生徒、魔王軍に入社して間もない訓練生、そしてその教官達を載せた大型の準戦艦級訓練艦『オールドファーザー』と、随伴していた戦闘輸送艦『ダルタニアン』が消えていくのをイグサは静かに眺めていた。

 彼が居るのは強襲揚陸艦ワイバーンのブリッジだ。本来ならば、今直ぐにでもオールドファーザーを追いかけるように無茶な指示でも出すのが普通の反応だろう。

 

 しかし……

 

「……ふぅ」

 

 イグサは、ただため息を漏らすだけだった。

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