バレット、小説版だとエースを思いっきりディスってんですよね。
エドワード・ニューゲート。通称〝白ひげ〟。
この海における最高峰の大海賊の一人で、船長ロジャーの
そんな彼らと、ロジャー海賊団はある島で対峙していた。
「グラララララ……!! ロジャー、そこのじゃじゃ馬が噂の新入りか」
「おう!! ウチの紅一点であるクロエだ!! よろしくな!!」
三日月型の大きな白い口ひげを蓄えた、薙刀を携える屈強な体格の大男――白ひげは豪快に笑いながらクロエを見下ろす。
近頃その名を轟かす、ロジャー海賊団の紅一点――天竜人を平然と殺め、海軍の最高戦力とも渡り合った〝鬼の女中〟。今まで女を乗せてこなかったロジャー海賊団初の女性
対するクロエはというと……。
「……ロジャー、これお見合いじゃないだろう」
「わははは!! ニューゲートとは古い付き合いだ、前々から紹介したかったんだよ!! ほら、クロエ!! お前の口からも言えよ!!」
「……はー、ウザ……」
「おい、本気でウザいって言われてんぞ」
不愉快そうな顔を浮かべるクロエに、白ひげはジト目になった。
アレは本当に嫌がってる顔だ。
「……クロエ・D・リードだ」
『うわぁ……』
素っ気無く自己紹介したクロエに、白ひげ海賊団は顔を引き攣らせた。
ビックリするぐらい愛想が無いし、露骨に嫌がってる。
――可愛げもへったくれもないじゃないか!!
「おい、ロジャーのメイド」
「誰がメイドだ」
メイドと言われたのが癪に障ったのか、倍以上の体躯である白ひげを睨み上げるクロエ。
そんな彼女に、白ひげはニィッと笑って告げた。
「……お前、ロジャーが嫌ならおれの娘になれ」
「……ハァ?」
『ええええぇぇぇっ!!?』
白ひげの言葉に、一同は度肝を抜いた。
豪快な性格である白ひげは、仲間を「家族」として大切にし、愛を持って「息子」と呼んでいる。海賊達は白ひげの優しさ・信頼の中で孤独を癒し、その家族として彼を「オヤジ」と呼び慕っており、これが白ひげ海賊団の〝鉄の団結力〟の基となっている。
白ひげ自身、クロエを生意気な小娘扱いしているが、一目見て世間の悪評とは程遠い内面の持ち主と気づいていた。その証拠に、彼女の隣に顔馴染みとなった見習い二人がくっついている。
「おい、ニューゲート!! 勝手に人の仲間を引き抜こうとしてんじゃねェ!!!」
「グラララララ!! どうだ小娘、悪い話じゃねェだろ?」
「断る」
クロエは、白ひげの勧誘を秒で一蹴した。
そして一拍置いてから、その理由を口にした。
「私はロジャーに負けたんだ。お前の船に乗ることは、その事実から逃げることを意味する。そんなみっともないマネできるか。自由は無責任じゃない。そんなに欲しいなら、私とロジャーを倒してから言え。――海賊は奪い合うんだろ?」
クロエの言葉に、白ひげは「ハナッタレが……」と不敵に笑った。
「威勢は一丁前だな、小娘」
「威勢だけかどうか、試してみようか?」
ドォン!! バリバリィ!!
『!?』
瞬間、クロエの身体から強烈な覇気が放たれた。
その覇気を浴びた白ひげ海賊団の船員達は次々と泡を吹いて失神していき、古株の面々ですらも立ち眩みを覚えた。何より、あの白ひげですら驚きを隠せないでいる。
――これが、〝鬼の女中〟の覇気……!
「おい、ロジャー!! てめェ何てモン拾ってんだよい!!」
「わっはっはっは!!」
見習いと言えどクロエの覇気を耐えたパイナップル頭――マルコが声を荒げた。
白ひげ海賊団はロジャー海賊団の倍以上の船員がいるが、その半数近くがクロエの覇気に
「そういう訳だ、おれの目が黒い間は諦めな!! ニューゲート!!」
「グララララ!! 残念だが、確かに好きにやるのが一番だ。それよりも――」
白ひげは愛用の薙刀・むら雲切の切っ先をロジャーに向け。
ロジャーは愛刀・エースの切っ先を白ひげに向け。
互いに口角を上げてから、同時に言い放った。
「「身ぐるみ置いてけ!!」」
それを皮切りに、海賊達は得物を掲げた。
「やっちまえーーー!!!」
「奪い取れーーー!!!」
開戦の合図。
ロジャー海賊団と白ひげ海賊団の戦闘が勃発した。
*
戦闘開始から一時間後。
戦況は、ロジャー海賊団の優勢が続いていた。
「おおおおっ!!」
「ハッ」
白ひげ海賊団きっての巨漢・ブレンハイムはバレットを狙うが、紙一重で躱されてしまい、豪拳によって殴り飛ばされてしまう。
すかさず重火器のスペシャリストであるクリエルがバズーカをぶっ放すが、砲弾を拳で殴り返され、瞬時に距離を詰められてぶん殴られる。
「〝ブリリアント・パンク〟!!!」
そこへ、身体をダイヤモンドに変化させる「キラキラの実」の能力者であるジョズが、バレットにショルダータックルを見舞う。
怪力とスピードは一味屈指であるジョズのブチかましの直撃を受け、バレットは吹っ飛ばされて地面に倒れたが……。
「カハハハ……!! 今のがとっておきか?」
手を使わずブリッジで起き上がり、お返しと言わんばかりにバレットもショルダータックルを仕掛けた。
ジョズは自らを超えるスピードとパワーでかまされた攻撃を食らい、何度も地面を跳ねながらぶっ飛んだ。
「ジョズ!!」
「……気を付けろ、こいつとんでもねェ化け物だ!!」
警戒する海賊達に、バレットは「簡単に死ぬなよ……!」と笑った。
同じ頃、クロエはバレットと引けを取らぬ暴れっぷりで白ひげ海賊団を圧倒していた。
「うわあああああっ!!」
「どわあああああっ!?」
強大な覇気を纏った剣術を駆使するクロエを前に、次々と薙ぎ倒されていく白ひげ海賊団。
そもそもガープやゼファーとも
(……思ったよりタフだな、連携もしっかり取れてる)
刀を構えつつ、立ち上がってくる白ひげ海賊団を見やる。
流石はロジャー最大のライバルが率いる一味、と言ったところだろう。
「お前の相手はおれだ、〝鬼の女中〟!!」
「!」
威勢のある声と共に、クロエに斬りかかる男。
クロエは真っ向から受け止めて鍔迫り合いをするが、相手の刀身が炎を纏っていることに気づいた。
「燃える剣か……」
「フォッサ!! 気を付けろよ!!」
燃える剣の使い手――フォッサは「わかってんよ!」と叫ぶ。
クロエは目を細め、刀身に覇気を流して弾き返す。
――ギィン!
二人はそのまま、真っ向から衝突した。
覇気を纏った、斬撃のぶつけ合い。奮闘するフォッサだが、剣の腕と覇気の強さは明らかにクロエの方が上であり、徐々に追い詰められていった。
「待ってろ、フォッサ!! そのまま耐えてろい!!」
フォッサを助太刀すべく、能力を解放して両腕に鳥の翼を模した青い炎を纏う。
マルコは
「隙ありだよい!!」
マルコは凄まじい速さで低空飛行し、足を不死鳥の鉤爪に変化させ、覇気を纏った蹴りを見舞うが……。
「狙いはいいが……ダメだ」
ドォン!
「いっ!?」
クロエは燃える剣を受け止めつつ、覇気を左腕に流してマルコの蹴りを弾いた。
すかさずフォッサの鳩尾に八衝拳の衝撃を叩き込んで悶絶させると、無防備になったマルコ目掛けて覇気を纏った飛ぶ斬撃を放った。
「ヤッベ!!」
咄嗟に回避しようにも、飛んでくる斬撃の方が断然速く、避けようにも避けれない。
覇気で相殺しようにも、クロエの覇気の強さから考えれば今のマルコでは不可能。
本気でマズいと覚悟した時、何者かが現れて〝神殺し〟の斬撃を受け止めた。
「!」
「ふん!!」
斬撃を頭上へと弾く。
マルコを助けたのは、青い服とマントが特徴の二刀流の若き剣士――ビスタだ。
「ビスタ!!」
「ここはおれに任せろ、マルコ」
「ああ、ありがとよい!!」
マルコは撤退し、仲間の援護に入った。
「……二刀流か」
「お初に、〝神殺しのクロエ〟。お手並み拝見と行こう」
そしてお馴染み、シャンクスとバギーの見習いコンビはというと。
「おい、普通ここまでするか!?」
大の大人に囲まれ、バギーは悲鳴に近い叫びを上げた。
無法の海賊稼業だ、覚悟ある海賊は「卑怯」などという女々しい言葉は使わない。二人はロジャーやレイリーからそう学んできた。だが、いくら一端の海賊だからとはいえ、ガキ二人に対して大の大人が包囲するのは納得できない。
しかし、そんなバギーに対し、シャンクスは嬉しそうだ。
「シシッ! いいじゃんか、クロエから学んだ覇気を試すいい機会だし!」
「てめェは何でそんな能天気なんだ、このスットコドッコイ!!」
戦場でも口論する二人に、業を煮やした男が襲い掛かった。
次の瞬間!
ドンッ
『!?』
抜刀と同時に、宙を舞う男。
その身体には刀傷が刻まれ、さらにシャンクスの剣の刀身は黒光りしていた。
「ちょ、おい! シャンクス! いつのまにそこまで強くなってやがった!?」
「ヘへッ!」
「おい、お前ら!! ガキだからって容赦すんなよ、その二人は
そこへ金髪のドレッドヘアー・ラクヨウが鉄球を振り回し、豪快に投げつけた。
「「ギャアアアアアッ!!」」
紙一重で回避する二人。さすがに体格的に食らったらヤバいと判断したようだ。
すると、シャンクスの背後に回り込んだ金髪のおかっぱ頭・キングデューが攻撃を仕掛けた。が、完全に背後に回り込めたのに躱されてしまい、そこへバギーが飛び蹴りをかました。
「あの赤髪……見聞色を……!」
これは一筋縄じゃあ行かない――そう感じ取ったラクヨウは、キングデューを呼んだ。
「……連携で行くぞ」
「ああ……新入り連中は下がってろ!」
そんな若輩達の活躍を、ロジャーは白ひげと鍔迫り合いをしながら見ていた。
「あいつら、やるじゃねェか!!」
「グラララ……将来有望だな、おい……!!」
クロエ達の奮闘ぶりに、白ひげは敵ながら大したモンだと笑みを深めた。
しかし、若輩達が頑張ってるのだから、船長たる自分が後れをとる訳にはいかない。
白ひげはロジャーを強引に押し返すと、むら雲切の刃にオーラを纏わせた。
「ウェアアアアッ!!!」
咆哮と共に、豪快に振るう。
放たれたオーラを、ロジャーは覇気で硬化した愛刀で受け止めた。
ズゥン!!
受けた途端、凄まじい衝撃波が発生し、地面がグラグラと大きく震えた。
白ひげは「グラグラの実」の能力者――あらゆるものを揺り動かし、海や大地を震動させる程の規格外な強さを誇る「地震人間」だ。
そんな彼と真っ向から渡り合うロジャーもまた、規格外の実力者である。
「っ……うりゃあああっ!!」
強引に弾き返し、打ち消す。
ロジャーは体勢を立て直すと、刀身に覇王色を纏わせて斬りかかった。
白ひげもまた、薙刀の刃に覇王色を纏わせ迎撃する。
ドォン!!
黒い稲妻が迸り、火花が散る。
海賊界の頂点と言える二人のドツキ合いは、一撃一撃が絶大な威力を誇っていた。
「ぬうぅん!!」
バックステップで距離を置き、白ひげは飛ぶ斬撃を放った。
ロジャーは両手持ちに替えて愛刀を振るい、斬撃を明後日の方向へと弾き返したが……。
「うおおぉぉ!?」
「あっ」
聞き慣れた声と共に、ドパァン! という轟音が鳴った。
「おい、ロジャー!! 少しは周りを見ろ!!」
そう声を荒げたのは、
どうやら弾き返した斬撃の軌道上に、たまたまレイリーがいたようだ。
「わはははは!!
「よくねェよ!!」
怒り心頭のレイリーだが、ロジャーは相変わらず爆笑。
「昔っからそういう奴だったな、おめェは」と白ひげは呟き、再び薙刀に覇王色を纏わせる。
「目の前の相手に集中しろ、ロジャー!!」
「こいつァ余裕ってヤツだよォ!!」
ドォン!!
覇王色同士がぶつかり、天地を揺るがす。
海賊界の頂上決戦に、二人は笑みを浮かべたままドツキ合った。
*
戦闘は丸一日休まず続き、翌日の日暮れまで続いた。
そして、三日後の朝。。
――この酒、美味そうだな! どこで手に入れた!?
――待て待て!! 等価交換だ。
――この服全部くれよ。
――じゃあ干し肉5箱で交換だ!!
奪い合いのはずが、いつの間にかプレゼント交換になっていた。
二日に及ぶ激闘は何だったのかと、レイリーは呆れ半分に笑った。
ロジャー海賊団と白ひげ海賊団の戦闘は、結果的には引き分けに終わった。
一日目はロジャー側の猛攻で白ひげ以外が軒並みダウンしていったのだが、休戦の時間を設けず続行したことでクロエが一気にバテ始め、さらに白ひげに挑んだバレットが返り討ちにあった事で白ひげ海賊団は勢いを取り戻し、最終的には船長同士の一騎打ちの末に手打ちとなったのだ。
ただ、その壮絶な一騎打ちもロジャーの「ちょっとトイレ行きたい」の一言で幕切れとなったのだが。
「……どうしたバレット、ボロボロじゃないか」
「ハッ……てめェこそ、何だそのザマは。どこかで転んだか?」
岩に腰掛けるバレットとクロエは互いに軽口を叩くが、実際はかなりの深手である。
バレットは白ひげに単身突撃した際、本気の一撃を叩き込まれてノックダウンしたが、クロエは船長を除いた白ひげ海賊団に属する能力者と覇気使い
現に数では勝っていた白ひげ海賊団も、この二人を戦闘不能にさせるのにかなりの兵力を削った。ロジャー海賊団の中でも抜きん出た実力者には、マルコ達も相当骨が折れたようだ。
「おーい!! クロエーー!! バレットーー!!」
「「!」」
そこへ、頭に包帯を巻いたシャンクスとバギーが駆けつけた。
二人も相応のケガを負ったようだ。
「大丈夫かよ!? スゴい囲まれてたぞ!!」
「バレットも、白ひげの本気の一発食らったって聞いたぞ!!」
「余計なお世話だ。人間はそんなにヤワじゃない。そもそも私達はロジャーと真っ向から戦った者達だぞ」
そこらの腕自慢とは次元が違うんだ、とクロエは溜め息を吐きながらボヤく。
しかし二人のことを心配しているのは本心であるのは、見聞色を使わずとも察したので、何となくだが二人の頭を優しく撫でた。
「……クロエ?」
「お、おい、やめろよ……!」
目を丸くするシャンクスに対し、女性への耐性がそこまでないのか恥ずかしがるバギー。
クロエは剣呑な眼差しで二人を見つめる。
「小言を言いたいというのなら、私も同じだ。よくその程度の怪我で済んだものだな」
「クロエから覇気を教わったからな!」
えへへっと笑うシャンクスに、クロエはきょとんとした表情を浮かべる。
数秒経ってから、クロエは大きな声を上げて笑った。
「アッハッハッハッハッハッハッ!! 私から覇気を教わったと言う割にはコテンパンにされたな!! 全くお笑いだ!!」
「わ、笑うな!! クロエとは違うんだぞ!?」
「囲まれたのはお互い様だ、お前らはまだガキだから手を抜かれたんだろ?」
目を細めながら「自分を省みろ」と笑うクロエに、シャンクスは顔を真っ赤にする。
その様子を眺めていたロジャー達も、ニヤニヤしていた。
「クロエの奴、随分と感情が豊かになったな」
「シャンクス達の面倒も見ているあたり、アレが本来の性格かもしれんな」
「わっはっはっは!! 出会った直後からヒドい女だったからな、おれも驚いているぜ!!」
ドクンッ!
「うおっ!?」
「聞こえてるぞ、ロジャー……」
地獄の底から響くような威圧感マックスの声と共に、覇王色がロジャーを襲った。
声の主は、クロエだ。
「出会った直後からヒドい女か……そうか、仲間の私をそう見ていたのか……」
「ま、待ってくれ!! ヒドいってのは無愛想すぎる性格がって意味で、カラダとかそういう意味じゃねェぞ!!」
「ロジャー、それ逆効果だぞ」
弁明しているつもりが煽っているようにしか聞こえないロジャーの反論に、白ひげは「ダメだこいつ」と頭を抱えた。
一方のクロエはクスクスと笑っているが、目が笑っていない。ロジャーを長く支えているレイリーやギャバンですらも、クロエの圧迫感に顔を引き攣らせている。
「あぁ、そうか……ロジャー貴様、一度は許す女だからと私を舐めてるな?」
青筋を浮かべながら徐に愛刀を抜くと、刀身を武装硬化した上で覇王色を纏わせた。
怒気と殺意を迸らせるクロエに、さすがのロジャーも危機感を覚えた。
「ク、クロエ!! ちょっと落ち着――」
「分を弁えろ、この痴れ者がァァァァ!!!」
ドゴォン!!!
「ギャーーーッ!!!」
『船長ォーーーーーーーー!!!』
手遅れだった。
怒り心頭のクロエが暴れ始めたことで、両勢力は大混乱に陥った。
「うわーっ!! クロエがご乱心だーーっ!!」
「誰か〝鬼の女中〟を止めろーーーー!!」
「って、おいロジャー!! こっち来るんじゃねェ!!」
覇気と斬撃が飛び交う修羅場に、海賊達の叫び声が木霊したのだった。
クロエは前世で無能な同僚の面倒を見ていたりしたので、基本的に人に何かを教えるのが上手です。
なので、本作ではシャンクスとバギー、バレットは原作よりも強くなります。
そう言えば、バギーって覇気の知識とかあるのかな?
見聞色とか向いてる気がする。逃げるの速いし。