〝鬼の女中〟と呼ばれる女   作:悪魔さん

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時系列的には、ちょうどルフィとローの海賊同盟がドレスローザに上陸した頃です。


第112話〝最善の決断〟

 海軍本部G-11支部。

 〝偉大なる航路(グランドライン)〟の海の平和を守る軍事基地は、異常な静けさに包まれていた。

 無理もない話だ。なぜなら、本来ならあり得ない人物が侵入し、この支部に配属する全ての海兵を覇王色であっという間に征圧していたのだから。

「ひとまず、これでいいか」

 通信室の連絡システムを破壊した侵入者――クロエは化血を納刀すると、悠然と部屋を後にする。

 海賊島を一人で出航し、遭遇する海賊船や海軍の軍艦を破壊しながら、わざわざ遠い海軍支部へと向かった理由。それは、自らの家系(ルーツ)を知る為だった。

「ここか」

 クロエは記録室を発見すると、ドアを開けて中へと入る。

 室内は膨大な数の軍の記録が保管されているが、クロエは迷う事無く部屋の入り口から一番遠い奥のドアへ向かい、化血を抜刀して破壊して侵入した。

 記録室の奥にある別室は、海軍の極秘任務に関する資料が多く保管されている。それは機密文書の中の機密文書――海軍の上層部や政府中枢の人間しか把握していない、内容が内容で公にできない「真実」が隠された場所でもあった。

 クロエは部屋の資料棚を漁りながら、目的のモノを探し始める。

「…………あった」

 どれ程の時間が経過しただろうか、ようやく彼女は探し求めていた記録を発見した。

 冊子の表紙には「ゴッドバレー事件」と題されていた。

 クロエはそれを片手に持ちながら、まるで何事もなかったかのように記録室を後にし、そのまま基地の外に出た時だった。

 

 ズゥン――

 

 砲声と共に轟音と爆音が響き渡る。

 もしやと思って沖を確認すると、そこには海軍の大型軍艦が10隻も迫っていた。どうやらG-11支部の海兵は、征圧される前に緊急信号を出していたらしい。

 そしてすぐ近くでは、一隻の海賊船が大破沈没していた。クロエが侵入時に使った海賊島の船を、先に沈めて逃がさないようにする気なのだろう。

「バスターコール…じゃないようだな。まぁ、あの程度の軍事力で殺せると思われるのも心外だが」

 クロエは至って落ち着いた様子で海軍の艦隊を見やると、軍港に停泊していた中型艦――船首に大砲がない海軍船――へ向かう。

 それを軍艦の甲板から目撃した、オールバックとヒゲがトレードマークのステンレス中将は声を荒げた。

「あの中型艦を撃て!! 撃沈させろ!! 他の軍艦もだ!!!」

「了解!」

 ステンレス中将の命令通り、軍艦は船首に搭載した三門の大砲でクロエが奪おうとする中型艦に砲撃。

 他の軍艦も、軍港に停泊する全ての海軍船を沈めるべく照準を合わせたが……。

 

 ――ズパァンッ!

 

 クロエは化血を一閃。覇気を纏った斬撃を飛ばし、砲弾を全て一刀両断した。

 そのまま桟橋に向かい、係船柱(ボラード)に固定する係船索(ホーサー)を斬って乗艦。畳んであった帆を広げ、舵を回して離岸した。

 一人海賊だった頃から身に染みている出航までの迅速さもまた、大海賊〝鬼の女中〟が神出鬼没である所以の一つでもある。

「〝(かむ)(そぎ)〟!!!」

『うわああああああ!!!』

 出航したクロエは、中型艦の船首に飛び乗って高質量の覇王色の覇気を飛ばした。

 世界最強の女が繰り出す凄まじい衝撃波は、軍艦の砲塔に直撃。メインマストをへし折り、船体を大破させ、甲板上に集った全海兵を吹き飛ばした。その一撃は他の軍艦にも影響を与え、直撃時の覇気の拡散で乗艦していた海兵達を昏倒させる。

 たった一撃で軍艦を三隻も戦闘不能にさせられ、あまりの損害に誰もが恐れ戦くが、海賊の女王は無慈悲に二発目を構えた。

「悪いな、ごちゃごちゃしてるから道を開けるぞ!」

「全艦、退避行動ーーーっ!!!」

 クロエが放つ必殺の二発目に対し、兜を被った長髪糸目の将校・オニグモ中将は叫ぶ。

 しかし、時すでに遅しだった。

「〝(かむ)(そぎ)〟!!!」

 再び高質量の覇王色の覇気が発射され、軍艦四隻が轟沈。他の軍艦も、全乗組員が倒れたり膝を突いたりと被害を受けた。

 それによって生じた空白地帯を、中型艦が突っ切って艦隊を突破する。

「お前達との戦争も悪くはないが……今はその時じゃない。サカズキによろしく言っといてくれ」

 大破炎上する艦隊を尻目に、クロエは帆走した。

 

 

 三日後、ハチノスに帰還したクロエは呆然とした。

 あの海賊の楽園が、まるで野戦病院のような有り様になっていたからだ。

 傷付いた海賊が多数おり、ラカムが慌ただしく治療に当たっている姿が見られる。

「おい…どういう事だ…!? 私のいない間に何があった!?」

「船長、来たか」

 困惑するクロエに、ガスパーデ達が姿を現す。

 包帯で身体をぐるぐる巻きにされ、点滴を打ったり松葉杖を使ったりしている姿は、満身創痍という言葉を具現化したような痛々しさを感じさせる。

(明らかに奇襲だが……一体どこの馬の骨だ……?)

 クロエは思考をフル回転させる。

 カイドウとバレットは()()()()()()()は嫌うし、ティーチやリンリンも王直とマーロンを同時に相手取ってまでクロエ海賊団殲滅に動くのはリスクが高すぎる。当然、弟分のシャンクスは論外。シキは可能性としてはあり得るが、計画を狂わせる不安要素をわざわざつつきに来るとは思えない。王下七武海程度ならばクロエ抜きでも十分返り討ちできるし、革命軍や海軍大将の関与もあり得ない。

 海賊島とクロエ海賊団を同時に相手取って、大きな損害を与えられるとすれば――

「〝神の騎士団〟か」

「ご名答…」

「エマ!!」

 忌々し気に敵の正体を口にすると、背後から包帯まみれのエマが歩いてきたので、クロエは反射的に駆け寄った。

 クロエが最も信頼を置く仲間で、懸賞金が30億を超える大海賊ですら追い詰められる程、相当激しい戦闘をしたのがよくわかる。

「お前ですら、そのザマか……シャムロックか?」

「違う……でも、悔しかった」

 エマはギュッと拳を握って歯噛みする。

 ふと、クロエは気づいた。自分の仲間達の中で、唯一姿を見せてない者――コル寿郎の姿がない事に。

「エマ…まさかとは思うが、コル寿郎は?」

「……」

 静かに尋ねると、エマは海賊島で起きた事件を語った。

 

 

           *

 

 

 昨夜、ハチノス。

 海賊の楽園は突然の夜襲に遭い、戦火に包まれていた。

 突如襲来した三人の天竜人に、クロエ不在の海賊島は荒らされていたのだ。

「虫けらが…」

 三日月と十字架を重ね合わせたような髪型と髭が特徴的な、サングラスをかけた老人――フィガーランド・ガーリング聖が剣を納刀すると、ドーマやマクガイをはじめとしたクロエ海賊団古参の面々は倒れた。

 神の騎士団の最高司令官が、直々の降臨。その強さは想像以上で、世界最強の女に扱かれた海賊ですら窮地に立たされる程だった。

「うぬ…何て強さじゃのし…!!」

「それだけじゃないど!! 武装硬化した剣で斬っても再生するど!!」

「シャムロックや軍子も、ああいう再生力を持ってるのか…!? でもフールシャウトの時はこんな能力なかったぞ…!?」

 ナグリとデラクアヒ、ラカムは混乱する。

 神の騎士団との交戦経験はあるが、あの時はこんな異常な再生能力は持ち合わせてなかった。覇気を纏った攻撃も効果が薄い能力など、聞いた事もない。

 その疑問に答えるように、ガーリング聖は口を開いた。

「当然の事……貴様らがフールシャウト島で戦ったのは〝神の従刃〟。神の騎士団の懐刀だが、私にとっては見習いのようなものだ」

「そいつらで手古摺ったぐらいだ、騎士団はその上…ってか!!」

「いかにもそうだ」

 ラカムは右足を振り上げて〝嵐脚〟を放つが、ガーリング聖は剣を振るって容易く切り払った。

 すかさず距離を詰めて神速の刺突を叩き込むが、それは武装色の覇気を纏った戦鎚で受け止められた。

「くっ……!!」

「流石は〝神殺しの左腕〟…少し骨が折れるな」

 老齢とは到底思えない剣の「重さ」に、ラカムは押されていく。

 ガーリング聖は再び剣を振るってラカムを押し退け、そこから怒涛の連続攻撃を仕掛ける。鍛え抜いた剣戟が容赦なく斬撃を浴びせ、ラカムは防戦一方になる。

 しかし、その隙をついてデラクアヒが武装硬化した剣で斬りつけ、ナグリが覇王色を纏った槌で思いっきり殴りつけ、ガーリング聖を吹き飛ばした。

「少しは効いたか…?」

「じいさん、デラクアヒ、悪い」

「やれやれ、老体に鞭を打つのにも限度があるんじゃのし……」

「……それよりも、あれはどういう事だ? 我も長く生きたが、あのような能力は聞いた事も見た事もない」

 援軍として駆けつけたレッドフィールドは、パキパキと音を立てながら再生するガーリング聖に目を向けながら呟く。

 一方、クザンとヤマトの氷結能力者コンビは、別の神の騎士団の構成員と対峙していた。

「いい加減にしてくれねェかね…せっかくダラダラしてたかったってのに」

「でも覇王色を纏った攻撃の手応えは、武装色よりもいい……!! 突破口はやっぱりそこだと思うけど……」

「畜生、片っ端から凍らせやがって……!! ソマーズの奴、憶えてろよ……!!」

 首から上が幻獣の麒麟になっている天竜人――キリンガム聖は、〝青キジ〟と〝鬼姫〟を同時に相手取るハメになったのを恨めし気に愚痴を零した。

 キリンガム聖の能力は「リュウリュウの実 モデル〝麒麟〟」。神獣の麒麟に変身できると同時に、他人の夢や空想を具現化できる動物(ゾオン)系幻獣種だ。

 彼の能力の恐ろしさは、〝MMA(ムーマ)〟と呼ばれる存在だ。眠っている人の悪夢を通じて〝悪夢穴(ナイトメアホール)〟と呼ばれる場所から出現する存在は、夢に住む存在のため死の概念を持たず、倒されてもキリンガム聖の合図でいつでも蘇生可能という理不尽すぎる性能を持つ。その為、下手すると際限無く膨れ上がる軍勢として利用可能で、敵にとってこれ程恐ろしい「数の暴力」を使った攻め方はない。

 しかし、そのMMA(ムーマ)達はことごとく氷漬けにされてしまい、その上ヤマトが覇王色を纏った攻撃を仕掛けてくるので、キリンガム聖としても厄介な状況になっていた。膠着状態といえば膠着状態だ。

「〝拳砲(ハンドキャノン)〟!!!」

「プギャアーーー!!?」

「ソマーズ!?」

 刹那、物凄い断末魔の叫びと共に明るいオレンジ色の髪と髭が特徴の壮年男性・ソマーズ聖が真横を吹き飛んでいった。

 何事かと思って振り向くと、そこには右手の拳から覇王色を漲らせるエマの姿が。

「エマ・グラニュエール…!!!」

「ハァ…ハァ…これが神の騎士団の本気か…」

 エマは息を荒げながら、方天戟を構えるキリンガム聖を見据える。

 一方、ボコボコにされたソマーズ聖は「クソッタレ…!!」と身体を大の字に寝転がらせながら毒づく。どんなに激しく身体が欠損するダメージを受けても再生する肉体を持つ彼でも、エマの覇王色の猛攻は手酷いダメージとなったらしい。

「この王直様の愛娘を侮るからそうなるんだよ、ゴミクズめ…!!」

「どうする? ロックスを殺した奴らだぞ」

「ここから逃がさないよ……!! 提督命令だ、クロエが来るまで食い止める!!!」

 王直とマーロンに問われたエマの宣言に、キリンガム聖は顔を強張らせた。

 自分達の任務が達成する条件は、クロエがいない時。逆を言えば、彼女が戻ってきたら敗北する事を意味する。

 だからこそ、早々に目的を果たさねばならない。

「ちっ…」

 クロエ海賊団とハチノスの海賊達の奮戦に、優勢だった自分達がじわじわと押し込まれつつある事を察し、苦虫を嚙み潰したような表情をした時だった。

 

 ――何をグズグズしている?

 

 不意に、キリンガム聖とソマーズ聖は声を聞き取った。

 それは、世界を支配する真の最高権力者――唯一無二の〝世界の王〟の御言葉だ。

(イム様!?)

「コル寿郎はムーに必要な存在だと言ったはずだぞ…!!」

 凄まじい覇気が放出されたかと思うと、ガーリング聖の目がサングラス越しに三重の同心円の赤い瞳に変化した。

「何だありゃあ!?」

「さっきと様子が違うぞ!!」

「同じ老いぼれ、だよな…?」

 その禍々しさと異様さに、海賊達は警戒を強め、戸惑い始めたかと思うと…。

「騒がしい……!!」

 

 バリバリッ!!

 

『!!?』

 ガーリング聖に憑依したであろう謎の存在――イムが覇王色の覇気を放出するや否や、ハチノス中の海賊達が意識を失い、倒れ伏した。

 その覇王色は桁違いのレベル。それこそ、覇気を極めたクロエを上回らんとする程の莫大な威圧感を備えていた。

「おい、お前達!!」

「ダメだ、完全に持ってかれてやがる…!」

 クロエ海賊団もその覇気に当てられ半数以上が膝を屈し、一味の主力や余力を十二分に残す者だけが立っていた。

「そんな……何て威力……!!」

「ちっ!! やるしかねェか!!」

 ラカムは戦鎚に膨大な覇気を込め、大技を仕掛けようと試みる。

 しかし、既に彼らの眼前にイムが憑依したガーリング聖が接近していた。

「っ!!」

 すかさず防御に体勢を切り替えるが、ガーリング聖の剣技が迫る。

「やめろっ!!!」

 刹那、両者の間に割って入るように現れたのは、毛皮のコートを羽織ってより海賊らしさが増したコル寿郎だった。

 彼が二人の間に割って入ると同時に、ガーリング聖の剣がピタリと静止。間一髪のところで斬撃は停止した。

「コル寿郎…遅いぞ。ムーを待たせるとは」

「っ…!!」

 目を細める世界の王に、コル寿郎は歯を食いしばりながら跪いた。

「ドンキホーテ・R・コル寿郎……ここに」

「うむ…」

 イムはどこか満足げに頷くと、コル寿郎に告げた。

「ヌシアの聖地での〝奇行〟の数々…そして()()()()・リードに従属した〝暴挙〟…。神に対して大罪を犯したヌシアに、ムー自ら贖罪の機会を与えてやろう。――悔い改めよ」

「……丁重にお断りします、と言ったら?」

「無論、この島にいる全ての命を消す。異論は認めぬ」

 王の言葉に嘘偽りはない事を肌で感じ取り、コル寿郎は戦慄する。

 しかしそれを黙って見過ごす程、クロエ海賊団は甘くない。

「何様のつもりで言ってるの」

「エマ…!!」

 片手用ライフルの銃口を向け、覇王色を込めていくエマ。

 それをイムは一瞥すると、一瞬で距離を詰めて剣で斬りつけた。

「がっ…」

「提督!!」

「副船長!!」

 脇腹を斬られ、エマはその場で膝をついた。

 それを見たイムは、どこか感心した様子で「致命傷は避けたか…」と呟いた。

 どうやら見聞色の未来視のおかげでかろうじて致命傷を回避できたようだが、それでも深手は深手だ。

「っ……!! ガードは間に合ってるのに……!!」

「ヌシアの覇気は中々だが、ムーには及ばぬ…」

「やめろ!! やめてくれ、御大!!!」

 コル寿郎は嘆願するが、イムは赤い瞳で睨みつけた。

 まるで、口の利き方がなっていないと言わんばかりに。

 

「……余は、あなた様に従います…」

 

『!!?』

 コル寿郎は、クロエ海賊団を離脱するともとれる発言をした。

 それは、〝神の末裔〟でありながら〝神の天敵〟の仲間になった海賊の、苦楽を共にした仲間達を「神の支配」から逃がす為の決断だった。

「コル寿郎君!!」

「許してくれとは言わん……だが、これ以外の選択肢がない……!!」

 悔しさを滲ませるコル寿郎に、クロエ海賊団はかける言葉が見つからない。

 不本意極まりない離反。しかし、それが最善である以上は……。

「コル寿郎……聖地へ戻り、ヌシアはムーと契約を交わすのだ」

「……」

 イムの宣告に、コル寿郎は深々と頭を下げた。

 その場に立ち尽くすエマ達を置き去りにして、彼は神の騎士団と共にハチノスを去っていった。

 

 〝孤高の少数精鋭〟の異名で海に君臨し続ける、伝説の女海賊〝鬼の女中〟が率いる無双集団――クロエ海賊団の敗北であった。

 

 

           *

 

 

「そうか……」

 全てを聞き終えたクロエは、眉根を寄せて表情を険しくさせた。

「ごめん、クロエ……私達が及ばなかったせいで、コル寿郎君が……」

「過ぎた事を悔いても仕方あるまい。今は休め」

 謝罪の弁を述べるエマに、クロエは諭すように告げると、他の仲間達やハチノスの海賊達を労った。

 その言葉や声色は優しいが…彼女の顔はあからさまに憤怒に染まっていた。

 仲間を屈服させて奪った事と、自分を警戒して不在時を狙った事に、彼女は心底怒りを覚えていたのだ。

「……」

 クロエは煮えたぎる怒りを抑えながら港へ向かい、オーロ・ジャクソン号の隣に停泊しているスループ船へと歩を進める。

「今年は4年に一度行われる〝世界会議(レヴェリー)〟のある年。一週間に及ぶ会議期間中、聖地及びその付近の防衛にCPー0や海軍大将が配備され、出席する王族達の護衛も並の海賊よりはるかに強い手練れ揃いだ」

 クロエの背後から声――戦鎚を担いだラカムが、紫煙を燻らせながら前髪から薄赤の瞳を覗かせる。

「おれも一緒に行くぜ」

「……お前は制止する側だと思ってたが?」

「バーカ。あんたと何年の付き合いだと思ってんだ。それにこんなフザけたマネされて黙ってる程腐っちゃいねェよ」

 一味の参謀であるラカムの珍しい喧嘩腰に、クロエは微笑んだ。

 彼もまた、神の騎士団と世界の王の横暴に怒りを覚えているようだ。

「ちょっとちょっと、いくら何でもたった二人は無茶じゃないの?」

 さらにそこへクザンがやって来て、会話に混ざった。

「聖地ならおれの方が土地勘がある。それに撤退時はヒエヒエの能力が役に立つだろ?」

「……よし、じゃあこの三人で殴り込むか」

「母さん!!」

 いざ聖地へ向かおうと決意した時、ヤマトがクロエに呼びかけた。

「僕も行くよ!! あいつらは覇王色の攻撃に弱い!! 使い手は多い方がいいよ!!」

「……ヤマト、お前はレッドフィールド達とこの島を護れ。エマが手負いである以上、主力の一角であるお前が頼りだ。――できるな?」

 ハチノスを自分に代わって死守しろ――その命令に、ヤマトは強く頷いた。

 クロエは穏やかに微笑むと、ラカムとクザンを連れて海賊島を出航した。




イム様、どうもコル寿郎を是が非でも神の騎士団に入団させたい様子。
その真意とは、一体……?

次回以降はイムとクロエの初邂逅に向けて進めて参ります。
それはそうと、アニワンのジョイボーイの覇気、とんでもない描写でしたね……。
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