原作の方もようやく回想終わったので、神の騎士団がどうボコボコにされるのかがスゴく楽しみで仕方ないです。
クロエが己が夢である「人生の完成」の為に〝世界の王〟の討伐を決めた事で、クロエ海賊団はテロ組織化した。
今までは売られた喧嘩は買うスタンスだった昔気質の海賊が、明確な敵意を持って牙を剥くようになったのである。
「やめてください!!!」
「この寄付金は恵まれぬ人々の為の…」
「嘘つけ!! 渡してんならここに溜まらないよ!!」
修道女達の訴えをエマは一蹴し、札束がたんまりと入った袋を抱えながら覇王色で意識を奪う。
その間にも仲間達は次々と寄付金を強奪していき、建物を破壊し、なぜか手錠を掛けられた人々を誘導する。
傍から見れば悪逆極まりないが……この教会は世界政府の息がかかっている「世界慈善教会」という名の組織。慈善とは名ばかりの悪徳団体で、あらゆる人間から金をむしり取り、人身売買にも手を染めているのだ。加盟国からは天上金、それ以外からは合法非合法問わず別ルートで金を得ているあたり、流石は闇の深い世界政府である。
《地下に囚われた人達は全員上に行ったよ!!》
「ご苦労!! 引き上げるぞ!!!」
「とんでもねェ額だな!!」
「早くズラかるぞ!!」
教会に常駐する政府の役人達を蹴散らし、オーロ・ジャクソン号へ向かうクロエ海賊団。
しかし、そこは曲がりなりにも政府機関。ただの教会ではなかった。
「おのれ!! 海軍はまだか!?」
「大司教様、もうすぐ来ると…!!」
「よし、閉じ込めろ!!」
教会のトップである大司教の命令により、海楼石の柵が下ろされ出口を封鎖される。
地下も鉄の扉で閉じられ、階下のメンバーも出れなくなってしまう。
「海楼石の柵だ!!」
「参ったな、能力者対策も抜かりねェか」
「任せて!! 私の一発で吹っ飛ばす!!」
エマは片手用ライフル銃の銃口を向け、覇王色を込めた弾丸を放とうとしたが……。
「〝鳴鏑〟!!!」
ズドォン!!
『どわああああああ!!?』
何と地下からヤマトが衝撃波を射出。
床を豪快に突き破り、天井を貫通して上層階を破壊し、そのまま屋根ごとぶち抜いた。
そんな事しようものなら、当然建物が保つはずも無く……。
「やべェ、潰れるぞ!!」
「おいコラ、ヤマト~~~~!!!」
「お前アホかァァァァァァ!!!」
轟音と共に崩れ落ちる教会が、一味全員に襲い掛かった。
しばらくして土煙が晴れると、倒壊に巻き込まれた仲間達は瓦礫を押しのけながら起き上がっていく。
その中には、崩れ落ちてくる瓦礫を躱し切ったり予防策を講じた猛者もいる。
「その傘、結構丈夫そうだな」
「いや、武装硬化しただけだ。我の傘は民草が使うものと差して変わらん」
「成程……」
軽く言葉を交わすラカムとレッドフィールド。
一方、他の面々は一斉にヤマトを糾弾していた。
『殺す気か!!!』
「ご、ごめんなさいっ!!」
青筋を浮かべるエルドラゴ達に、ヤマトは両手を合わせ頭を下げる。
強引に力技で脱出しようとするあたり、
「おれァ
「てめェらこそ何をそんなに怒ってやがる」
「まァまァ、その辺にして…」
「黙れ貴様ら!!! というかエマ、なぜ貴様無傷なんだ!!?」
腕を組むクザンとガスパーデ、困った笑みで宥めるエマに、タンコブを頭につくったレッドアローが指を差して叫ぶ。
それを眺めていたクロエは、瓦礫の山の頂で呆れた表情をしていた。ちなみに彼女も瓦礫の倒壊に巻き込まれたが、普通に無傷である。
「全く……この程度でタンコブをつくるようだとイムとの戦争が心配だな。これは後で久しぶりに扱いた方がいいな」
「普通タンコブじゃ済まないわよ……」
クロエのズレた発言に、ステューシーはジト目になる。
そこへコル寿郎が声を掛け、海を見るよう告げた。
「クロエ、海軍の艦隊だ!!」
「! フフ…難儀だな、あいつらも」
「思ったより早いわね、情報漏れかしら?」
「おい、お前達!! お説教は後にしろ、
クロエは獰猛な笑みを浮かべ、奪った寄付金の三割を分けて囚われた人々を避難船へ退避させるよう指示。
全員が乗り込み、出航したと同時にオーロ・ジャクソン号も離岸。やってきた艦隊に突撃していく。
「沈めて道を切り開け!!!」
女王の号令を皮切りに、オーロ・ジャクソン号の大砲が次々と火を吹く。
それと同時に、甲板の船員達が「飛ぶ斬撃」と「飛ぶ打撃」で追い打ちをかけて次々と轟沈。そのまま逃走していった。
この年、結成から四半世紀が経ったクロエ海賊団は、海賊史でも類を見ない犯罪経歴を誇った。
襲撃事件――22件。
王族・天竜人死傷者数――
沈めた船――推定120隻以上。
「世界法」違反及び「世界平和に対する罪」――28件。
特殊犯罪案件――6件。
後にゴール・D・ロジャーに続く二人目の〝海賊王〟となるモンキー・D・ルフィがいる海であったが――「世界」の覇権争いが勃発した時代において、名実共にクロエが海の覇者であった。
そして、時代のうねりは運命の地を「未来島」エッグヘッドに定めようとしていた。
*
新世界、とある海域。
「五皇」赤髪海賊団の帆船レッド・フォース号の甲板で、シャンクスは樽に腰掛けながらどこかソワソワしていた。
「どうしたの? シャンクス」
「いや、な……ちょっと厄介な事になってな……」
ウタに話しかけられたシャンクスは、微妙な表情をする。
赤き覇王をここまで困らせている原因は、ただ一つ。姉貴分のクロエだ。
シャンクスと赤髪海賊団は海のバランサーとして君臨しており、他の大海賊達の動きを牽制する事が度々ある。時には自ら大きく動く事もあり、それを邪魔しようとする「敵」には容赦しない。
ただ……相手がクロエになると話は変わる。同じ元ロジャー海賊団というのもあるが、シャンクスは彼女に色々とお世話になった身であり、見習い時代の周りに知られたくない情報も知っている。なので〝鬼の女中〟と揉めるのはシャンクスとしては絶対避けたいのである。
しかし、その姉貴分が世界政府に対して明確な敵意を向け、思うがままに悪行を重ねている。堅気に手を出す事はしないというスタンスは変わらないようだが、今まで以上に凶暴化しているのは火を見るよりも明らかだが……。
(クロエ姉さん、化け物みたいに
世間では五皇として同格扱いであるが、実際はクロエの方が断然強い。
たとえシャンクスが全力を出しても、戦闘の達人である彼女を止める事はほぼ不可能。むしろ弛まず心技体を鍛え続けている分、未だに成長の余地があり、戦闘力の上限が見えない彼女を抑える為には数が足りなさすぎる。
そういう事情もあり、ルーキー時代以上に凶暴性を増した海の女王が声を掛けてこないよう心の中で祈っているのだ。
「お頭! あんまり姉貴にビビってるとシメシがつかねェぞ!」
「そうだぜ! キャプテン・キッドの時の威厳はどうした?」
「新入りにまで笑われたら世話ねェよな」
「うっせーなてめェら!!! クロエ姉さんは別なんだよ!!!」
ヤソップ達にからかわれ、シャンクスは反論する。
先日、ユースタス・〝キャプテン〟・キッドが雪辱を果たすべく、〝海鳴り〟スクラッチメン・アプーと〝魔術師〟バジル・ホーキンスと海賊同盟を結成して戦いに挑んできた。当初は幹部達だけでまた相手しようとしたが、キッドに傘下を皆殺しにされ、アプーがウタを攫おうとした未来を視たシャンクスが単騎出撃。ロジャーから受け継いだ〝神避〟とクロエから受け継いだ〝神威〟で秒殺し、海賊同盟を一人で壊滅させたのである。
その時こそ五皇に相応しい強さを見せつけたが……それでもクロエには頭が上がらないのが現実なのだ。
「…ったく、こっちの気も知らねェで……」
「アハハ……確かにクロエおばさん、怒るとね……」
愚痴をこぼすシャンクスに、ウタも苦笑いする。
すると、電伝虫の鳴る音が響いた。
「ま、まさか…!!」
「お頭……腹ァ括れ。奢ってやる」
ベックマンに肩を叩かれ、覚悟を決めたシャンクスは恐る恐る対応する。
「……もしもし?」
《――久しぶりだな》
「……バレットか!?」
電伝虫越しの野太い声に、シャンクスは驚愕。同時にわいわいと騒いでいた幹部達も顔を強張らせ、ウタも息を呑んだ。
あの〝鬼の跡目〟が、何の前触れもなく連絡を寄こしてきたのだ。いくら兄弟分とはいえ、彼の危険度を熟知してるシャンクスは只ならぬ雰囲気で対応する。
「何の用だ」
《今すぐこっち来い。赤鼻の面倒は得意だろ》
「バギーの?」
意外な言葉に、シャンクスは怪訝な声をあげる。
どういうわけかバレットは、末の兄弟分・バギーを預けたがっているようだ。
――何だか、とてつもなく嫌な予感がする。
「なァ、バレット…バカな質問をして悪いが、お前何が目的だ?」
《〝世界最強〟だ》
「ああ…だと思った」
その一言で全てを察したシャンクスは、諦めた表情で幹部達にカライ・バリ島へ進路を変更するように指示した。
同時刻、新世界・ワノ国では国の存亡をかけた大抗争が勃発していた。
ロジャーとしのぎを削った伝説の大海賊〝金獅子のシキ〟が、かつての部下達や新たな海賊達を集めて「金獅子大海賊団」を結成・バスターコール顔負けの海賊艦隊を率いて侵攻してきたのだ。目的はワノ国を軍事拠点の一つとし、世界征服への足掛かりとする事であった。
当然ルフィ達はおでん達と共闘してシキに立ち向かったが、海の皇帝達と互角に渡り合う程の実力者としての強さは老い衰えてなお圧倒的。修行の末に覇王色を纏えるようになったルフィだったが、空中戦を制する事ができず、〝声〟が消える程の致命傷を受けて惨敗を喫してしまった。
だが、勝負はそこからが
「ハァ…ハァ……小僧ォ……フザけた奴だとは思ってたが、強さまでフザけてるとはな……!!」
「はは……おれは真剣だぞ、シキ……!!」
地面をトランポリンのようにして跳ねる全身真っ白のルフィに、シキは悪態をつく。
見るも無残な敗北を晒したかと思えば、突如「ドンドットット♪」というドラムのような心音が鳴り響き、腰巻き以外の着用していた服を含めて全体が白く染まって変身。周囲の物体や自然物にゴムの性質を与え、腕力が凄まじく向上して反撃してきたのだ。
シキは長年の経験から悪魔の実の能力の「覚醒」と判断し、弱点が変わってない事を見抜いて義足の斬撃を主軸とした戦法に変更したが、覚醒したルフィは想像を遥かに超える程にパワーアップしていた。
これはシキはおろかルフィ自身も知らない事だが、ゴムゴムの実は名称が二つある悪魔の実で、そのもう一つの名前――正確には本来の名称――を隠す為に名付けられたものである。
ゴムゴムの実の真の名は、「ヒトヒトの実 幻獣種 モデル〝ニカ〟」。「太陽の神〝ニカ〟」に変身し、ゴムの体に更なる〝腕力〟と〝自由〟を与える、「世界で最もふざけた能力」なのだ。
「ルフィ!! 何だその姿!?」
「大丈夫か、麦わら屋!!」
そこへ、深手を負いながらもシキの兵力を撃破したゾロ達が駆けつける。
ルフィは仲間達と友人達に目を向けると、「心配すんな!!」とニカッと笑った。
「あいつはおれがぶっ飛ばすからな!!!」
『ウオォォォォォォォォ!!!』
ルフィの打倒金獅子に、一同はドッと沸く。
しかし、皇帝に数えられなくても生ける伝説に名を連ねるシキは、孤軍になってもこの善戦を無意味にできるチカラを秘めていた。
「ゴミ共が、調子に乗るな!!!」
ドクンッ!!
『!!?』
シキは覇王色を放つ。
その一喝で、侍や海賊達も次々と意識を失っていく。
「伝説と呼ばれた海……たとえどんな嵐に見舞われようとも、おれはロジャーとクロエ以外の海賊には一度だって負けた事がねェ!!」
シキは思い返す。
ロックス海賊団崩壊後――在りし日のロジャーや全盛期の白ひげが君臨し、クロエが一人海賊として暴れ回っていた頃を。
エッド・ウォー沖での〝海賊王〟になる前のロジャーとの最後の激突を。
フールシャウト島での、クロエとの最大の激突を。
「もしも天があいつらを選ばなかったら……!! おれァ、クロエだけじゃなくロジャーにだって勝っていた!! これがどういう事かわかるか、麦わらァ!!!」
「いや、全然」
「だったら、教えてやる!!」
シキが言いたい事は、たった一つだった。
「〝海の王者〟じゃなきゃおれは倒せねェって事だ!!! わかったか!!? てめェみたいなヒヨっ子とは、そもそも住む世界が違うってこった!!!」
そう豪語するシキに、ルフィは静かに覇気を漲らせた。
「そうか……だったら…………」
「ああ?」
「お前を倒して……〝海賊王〟におれはなる!!!」
伝説をも下し、海賊にとっての最高の称号へと駆け上がる。
その宣言に、シキはますます怒りを露わにした。
「宝目当てのミーハーの分際で口にしていい言葉じゃねェぞ!! そして何より…ガキであっても、〝
互いに覇王色を纏い、両雄は再び激突。これまで以上の激しい戦いが始まった。
そして……その場にいた全員が、見届ける事になる。
ルフィとシキの決着――「太陽の神」と「空を統べる獅子」との最終決戦と、新たな伝説を。
本作ではルフィがニカに目覚めるのは、「「STRONG WORLD」より強いシキに致命傷を負わされたから」という設定です。
クロエとの戦いを経てリハビリしたシキは、覇王色を纏うわフワフワの実を駆使した技に武装色の覇気を纏うわで、とんでもなく強いです。カイドウとビッグ・マムの代役に相応しい設定かと。
そして前半に出た世界慈善教会。あれはフットコロニーの残党が創立に関わってます。やっぱり腐ってましたね。(笑)
クロエの罪状に関してですが、「世界平和に対する罪」は、簡単に言うと「三大勢力の均衡を破壊あるいは未遂の大犯罪」で、要するに五皇の戦争案件です。本作オリジナルの罪状となってます。
彼女の特殊犯罪案件は、まァ政治的な影響力に関係してます。ロジャーの遺体を盗んだ事とか。
次回、待ちに待ったエッグヘッド事件へ。
やりたい放題やりますので、乞うご期待。