〝鬼の女中〟と呼ばれる女   作:悪魔さん

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イム様の顔が判明しましたね、原作。
くそ、思ったよりイケメンやんけ…。(笑)


第121話〝世界の真実〟

 五老星の集結という、かつてない緊急事態に陥るエッグヘッド。

 それを瓦礫の上に乗って上空を移動しながら眺めていたコル寿郎達は、クロエ達と戦う謎の怪物達が発する凄まじい覇気に冷や汗を流していた。

「何だありゃあ!?」

「五老星のおじじ様達だ!! まさか全員揃えるとは…」

「しかもあそこにいるの、ダグラス・バレットよ!! どうなってるのこの島!!?」

 世界政府最高権力との直接対決が勃発する、あまりに異常な状況。

 するとその内の一体――以津真天の姿になったマーズ聖が島内上層の研究層(ラボフェーズ)へ向かって飛び立ち、地上では人獣型になったナス寿郎聖が愛刀を振るって巨兵海賊団とクロエ海賊団を攻撃し始めた。

「皆が!」

「心配すんな、声は消えてねェ。それにあの程度で()られる(タマ)じゃねェよ」

「ああ、ひとまずは研究所内の「麦わらの一味」と「ベガパンクの分身」を保護せねば!」

 瓦礫が進む速度を上げ、マーズ聖よりも速く研究所へ向かう。

 すると、ステューシーがハッとなった。

「コル寿郎!! 雲より上は「フロンティアドーム」に囲まれてるわ、あの2本の線を越えると撃ち落とされる!!」

「ならこっちもバリアを張って強行突破する!! 〝隼人楯〟!!」

 半透明の黄金色の結界を自身と足場、そして仲間二人を包むように張り、さらに武装色の覇気を帯びさせて突撃。

 侵入した瞬間、轟音と共に大爆発するが、三人は無傷だ。

「あそこだ!」

 研究層(ラボフェーズ)の島雲に着地すると、麦わらの一味の面々とベガパンクの分身達が集まっていた。

「ひとまず無事らしいわね」

「クロエ海賊団!? 何でここに!!」

「ウチの怪物船長がお前らんトコの船長を助けに来たんだよ」

 タバコの煙を吐きながら言ったラカムに、ウソップ達は涙を流して喜んだ。

 世界最強の女の一味が、自分達を逃がしに来てくれたのだから当然と言えよう。

「……ここにいるのは、これで全員かしら?」

「いや、まだゾロとジンベエが来てねェんだ!!」

「それにバリアを解除せんとあかん!! あの船の加速装置を以てしても、間違いなく地面に激突するで!!」

「そこは解決するぞ? バショバショの結界で一度島を覆い、さらにあの海賊船にも結界を張って浮かせればいい」

 天才科学者を悩ませる現状が、コル寿郎の能力で万事解決すると発覚。

 ウソップ達は口をあんぐりと開けた。

「じゃあ、あとはゾロ達を待てばいいって事!?」

「やったぜ!! これで全員脱出可能だ!!」

「ヨホホホ!! 一時はどうなるかと思いましたよ」

 わいのわいのと騒ぎ始める麦わらの一味。

 だが、そこへラカムが「そんな場合じゃねェぞ」と言い放った。

「五老星の一人がこっちに向かってる。〝海賊狩りのゾロ〟と〝海侠のジンベエ〟がどこで道草食ってんだか知らねェが、さっさと脱出しねェと面倒な事になるぞ」

「五老星が!? マズいな…」

 (シャカ)はそう言うと、ラカム達に頼んだ。

「クロエ海賊団!! 申し訳ない、護衛を頼む!!」

「それが目的で来てるからいいが……早めに脱出しねェとこの島が海に沈んじまうぞ。それぐらい暴れるつもりだからな、あの船長」

『ハァア!!?』

 

 

           *

 

 

 一方、地上では。

「カハハハ…!! 骨があるじゃねェか、そうこなくちゃ面白くねェ…!!!」

 ズタボロになった軍服を破り捨て、笑みを深めるバレット。

 隣に立つクロエは、所々に生傷を作っているが、十二分に余力を残して五老星の3人を見据えている。

「やはり覇王色を纏う攻撃は再生が遅い……それに細かくやるより、一気に抉る方が足止めの時間も稼げるな」

「的がデカい分、攻撃も当てやすいが……あの豚は硬そうだ。あいつはおれが殺す!!」

「それじゃあ、私とルフィは虫けらで我慢――」

「わーっ!!」

 クロエが構えた直後、ルフィは地面から飛び出てきたサンドワーム――ピーター聖に飲み込まれてしまう。

 するとそこへ、二人の巨人族がそれぞれ斧と長剣を構え、挟み撃ちにするように横薙ぎに一閃した。

「「〝太陽鋸(タイヨウノコ)〟」」

「あっひゃっひゃっひゃ!! 危ねェ~…って、あれー!? 巨人のおっさん達!!」

「ガババババ!! 久しぶりだな麦わら!!」

「ゲギャギャギャギャ!! たまらず会いに来た!!」

 2年ぶりの再会に、互いに喜び合う。

 それを見たサターン聖とウォーキュリー聖は、忌々し気に目を細める。

「よし、全員に知らせるぞ!!」

 ドリーは笛を吹き、島中の全巨人に対して脱出の準備をするように号令を出した。

 すぐさま逃亡の為の合図を送ったと見抜いたウォーキュリー聖は、「困るな…」と呟いた。

「私も警告音を鳴らそう。「逃げるな」と…!!」

 

 ヴォオオオオオオオ!!

 

「こいつァ…!!」

「覇王色の咆哮…!! 金縛りさせる気か」

 クロエは覇王色で応じる。

 覇者の気のドツキ合いが始まり、周囲に衝撃と稲妻状の覇気が迸り、島が波打つ。

 彼女のおかげでウォーキュリー聖の覇気の威力はある程度殺せたが、沖の軍艦では海兵達が泡を吹いて倒れ始めているのは言うまでもない。

「!! 来るぞ、構えろ」

「クロエ、ここは任せろ!! ブロギー!!」

「おうっ!!」

 突如として牙を刃に変化させ斬りつけてきたウォーキュリー聖を、ドリーとブロギーは〝太陽の盾(スヴァリン)〟で応戦。

 腕に装備した盾で防御し、力技で吹き飛ばした。

「よし、今だ!! 全員合わせろ!!」

 クロエはウォーキュリー聖がひっくり返った隙を見計らい、化血に覇王色を纏った。

 バレットも武装硬化させた拳に覇王色を纏わせ、ドリーとブロギーも得物を振りかぶり、ルフィは高速回転を始めた。

「ガバババ!! 行くぞドリー!!」

「ゲギャギャギャ!! おうともよ!!」

「〝ゴムゴムの〟ォ~~!!」

「くたばれ!!」

「おおおお!!」

 各々が連携し、不死身の怪物達に集中砲火した。

 

「「〝覇国〟!!!」」

「〝白星銃(スターガン)〟!!!」

「〝無敵の一撃(インビンシブル・ブロー)〟!!!」

「〝神避〟!!!」

 

 ドドドドン!!

 

 クロエ達の猛攻は怪物達の肉体を穴だらけにする。

 刹那、雷鳴の如き轟音と共に覇王色の覇気を伴った特大の衝撃波が発生。地上の建物を粉砕し、島だけでなく周辺海域をも震わせ、周囲を漂う雲をも吹き飛ばした。その上、クロエとバレットの放った覇王色に当てられ、海兵達はおろか巨兵海賊団の面々すら泡を吹く者が続出し、戦場は文字通り阿鼻叫喚となった。

 しかし、そんな凄まじい攻撃を受けながらも、五老星はゆっくりと肉体を再生させていく。

「ほう…タフだな。それとも攻撃が効かねェのか?」

「いや、覇王色を纏った攻撃は再生に時間を要する。あとは()()だろうが…」

 クロエとバレットは互いに目を合わせると、ルフィ達を庇うように前に出た。

「クロエ!!」

「行け、ルフィ…お前はまだ早い」

「てめェは失せろ…()()()()()()にガキがしゃしゃり出るんじゃねェ」

 ゴールド・ロジャーが遺した伝説達は、無愛想にそう告げた。

 ルフィはその言葉の真意を察し、ドリーとブロギーらと共に撤退を始める。

 その場に残った二人は、五老星と対峙する。

「……久しぶりの共闘と行こう、弟よ」

「不本意だがな……だが不死身の怪物との戦争は悪くねェ。この後はどっちがそのイムって奴を殺すか競うか?」

「生憎だが、あのガキは私と縁がある。他は譲るからそれで我慢しろ」

 軽口を叩きながら、同時に拳を突き出すクロエとバレット。

 大海賊時代前史に名を刻んだ、伝説の「ロジャー海賊団の双鬼」の復活であった。

 

 

 その頃、北東の海岸。

「……ボルサリーノ…悪いな、あんまり時間かけられねェのよ」

「……」

 大の字に倒れるボルサリーノに、クザンは割れたサングラスをかけ直す。

 ゼットを除いた海軍中将達を制圧され、海軍の布陣は崩壊手前だった。

「ゼット、ボルサリーノ連れていけ……」

「……」

 ゼットは無言でボルサリーノを背負い、撤退していく。

 心身が限界を迎えた海軍大将は、戦線復帰は難しいだろう……。

「……大丈夫か?」

「…まー、計算の内だ。今のあいつじゃ、おれを()れる元気ァねェと踏んだのよ」

 レッドアローの言葉に、普段通りの調子で返答するクザン。

 すると、どこからか馬が駆けてくる音が聞こえてきた。

「……な、何だアレは!?」

「ケンタウロスのジジイだ!!」

 クロエ海賊団の面々は、居合の構えで接近するナス寿郎聖に気づいて迎撃態勢に入る。

 しかしナス寿郎聖の速度は神速とも言うべきものであり、一気に間合いを詰めて刀を抜いた。

「〝雷鳴八卦〟!!」

「ん!?」

 そこへ雷の如き速さでヤマトが割り込み、金棒・建で殴りかかった。

 クザン達を斬り捨てようとしたナス寿郎聖は、ヤマトの不意打ちを防ぐ。

「貴様…〝鬼姫〟…!!」

「っ……!!」

 互いに弾かれ、距離を取る両者。

 するとヤマトは人獣型に変化。肩から背中にかけて羽衣のような冷気のオーラを纏い、建に覇気を纏わせナス寿郎聖を睨む。

 冷気を操る者同士が一触即発になった時、バァン! と一発の銃声が鳴った。

「〝黒閃(ブラック)砲火(ホーク)〟!!!」

 

 ドォン!!

 

「ぐっ!!?」

 黒い稲妻を迸らせる弾丸が、ナス寿郎聖の左胸部に炸裂。肩まで一気に吹き飛んだ。

 こんな芸当ができる人間など、戦場と化したこの島ではただ一人だ。

『副船長ォ~~~!!!』

「どうやら間に合ったね…とんだ大物だ」

 バリバリと覇王色を発するエマは、紙製薬莢を銃口に詰め込み次弾装填する。

 一方のナス寿郎聖は、身体を再生させながら一歩下がった。大海賊〝魔弾のエマ〟まで相手取るとなると、流石の五老星でも骨が折れるようだ。

「貴様らに構っている暇はない…!!」

「だろうね。ベガパンクの配信、相当ヤバい案件らしいし」

 苛立ちを露わにするナス寿郎聖に対し、エマは一歩前に出て愛用する片手用ライフル銃の撃鉄を少し起こし、ニップルへ雷管を取り付けた。

「久しぶりに全力で行かせてもらうよ……()()()()()エマ・グラニュエール、参る!!!」

 

 

           *

 

 

 同時刻、研究層(ラボフェーズ)

 ベガパンクの配信が改めて始まり、自分の死あるいは心肺停止を引き金に発信されるプログラムと紹介される最中に、牛鬼の姿となったサターン聖がラカム達の前に現れた。

「どけ!! 貴様らに構ってる暇はない!!」

「来たぞ、サターン聖だ!!」

 コル寿郎が叫び、一斉に身構える。

 するとラカムが得物のハンマー・衝角を振るい、武装色の覇気を纏わせた。

「だったら吹き飛ばしてやる!! 〝撃退鎚(アイムール)〟!!!」

 

 ズドォン!!

 

 強力な「飛ぶ打撃」を放ち、サターン聖を攻撃。

 その衝撃に島雲から落ちそうになるも、ギリギリで耐えて爪で猛攻を始める。

「うおォ!?」

 ラカムはサターン聖の攻撃を的確に防ぐ。

 一味きってのガードの堅さを誇る彼は、ハンマーを振り回す際の遠心力を利用し、回転しながらサターン聖の爪攻撃を弾き、さらに回し蹴りの要領で〝嵐脚〟の斬撃を浴びせる。

 その手数と器用さで、不死身の怪物の足止めをたった一人でこなして見せた。

「うおー!! スッゲー!!」

「たった一人で!!」

「あんな鈍重な武器を、まるで手足のように……!! 何という御仁……!!」

 ウソップ達はラカムの戦闘力の高さに、驚きを隠せない。

 するとコル寿郎は、慌てた様子で告げた。

「今の内だ!! 早く船に乗れ!!」

「コル寿郎、早く能力を!!」

「まだだ、全員来ていない!!」

 麦わらの一味の撤退を援助するクロエ海賊団。

 そんな中でもベガパンクの配信は進み――

《結論から話そうか………!!!》

 

 ――この世界は……海に沈む!!!

 

 天才科学者が発信した「世界の真実」は、あまりにも衝撃的なものだった。




ついにクロエ&バレットの無愛想コンビが再結成。
ロジャー海賊団時代とは比べ物にならない圧倒的強さを持つ二人が、五老星をどこまで追い詰める事ができるのか……。

次回は久しぶりにエマの新技とか出したり、ベガパンクの配信で「あの女」について触れたりする予定です。
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