怪盗の助手の非日常   作:九戸政景

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政実「どうも、宝探しは大好きな片倉政実です」
元気「どうも、神野元気です。宝探しか、謎解きが好きな奴からすれば楽しいだろうけど、そうじゃなかったら頭が痛い時間になるだろうな」
政実「だね。色々な人が楽しめる時間になってほしいけど中々そうはいかないからね」
元気「ああ。さて……それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・元気「それでは、第38話をどうぞ」


第38話 ホワイトフェイスとの再会

 医務室でのクイーンとの再会後、アリス達の元へ戻るために元気達が歩いていた時、クレールは不安そうな顔で元気に話しかけた。

 

「……元気、シャモン斎藤は大丈夫なのか?」

「心配ない。クイーンの事だから、どうせシャモン斎藤に成り済まして潜入するだけだろうしな」

「成り済ます……じゃあ、シャモン斎藤に危険が及ぶわけじゃないのか」

「そういう事だ。アイツはまだまだよくわからないし完全に信用してはいけないと思う。けど、不必要に相手を傷つけるとか殺すとかはしない。行動の裏には何かしらの理由がある。それだけはたしかだ」

「……へぇ、信用してはいけないって言うわりには色々理解はしてるんだな」

 

 

 クレールがからかうように言うと、元気は小さくため息をついた。

 

 

「……少なくとも、アリスが懐いてる相手だしな。それに、アリスの身の安全の確保もそうだけど、アリスは人懐っこいわりに相手が安全か危険かを感覚的に判断してる気がする。それでクイーンに懐いてるなら、俺は最低限信用したり理解したりしないといけない。クレール、お前だって同じ立場ならそうするだろ?」

「……否定はしない。アリスは感情が荒れてる相手を宥めたり相手からすぐ好意を向けられたりするから、目を離したらすぐに事件に巻き込まれそうだしな」

「まったくだ……だから、俺は基本的にアリスのそばにはいようと思ってるし、その場にいる相手が信用出来なかったらアリスは放っておかない。じゃなかったら、あの中にアリスは置いていかないしな」

「まああのメンバーならたしかに大丈夫そうだ──と、あそこにアリス達がいるみたいだぜ?」

 

 クレールの視線の先にはアリスを連れて歩く清志郎やビーストがおり、元気達が近づくと同時にアリスは視線を向け、元気の姿に安心したような笑みを浮かべた。

 

「元気、もう大丈夫なの?」

「ああ、心配かけた。少し休んだから問題ない。もっとも、ちょっとトラブルはあったけどな」

「トラブル? ゲンちゃん、何があったん?」

「ウチのシャモン斎藤が催眠術をかけてクイーンの居所を聞き出そうとしたんですよ。もっとも、突然現れたクイーンに返り討ちにされて、そのまま連れていかれましたけど」

「そうだったの!?」

「というか、クイーンがおったん!?」

「ああ。ところで、西園寺さんがいないようだけどどこに行ったんだ?」

 

 元気が辺りを見回すと、ビーストは少し心配そうな表情を浮かべた。

 

「会社からお電話が来たというので少し席を外してるの。声は聞こえなかったけど、なんだか怒られてる感じだったし、大丈夫かしら……」

「何かミスでも見つかったのかな?」

「どうなんだろう。教授はわかる?」

「わかるわけないじゃないか。でも、西園寺さんならそろそろ戻ってくると思うよ」

「え?」

 

 清志郎の言葉に亜衣が疑問の声を上げていたその時だった。

 

「皆さん、お待たせしました」

 

 申し訳なさそうな顔をしながら考太郎が近づき、それに亜衣達が驚く中で清志郎は得意気な顔をする。

 

「言っただろう? そろそろ戻ってくるって」

「そうだけど……教授、どうしてわかったの?」

「内緒。西園寺さん、会社の方からはなんと?」

「あはは……この前提出した原稿に少し誤りがあったみたいで、少しだけ絞られてました」

「そうだったんですか。記者さんって大変ですね」

 

 真衣が納得しながら言う中、アリスは考太郎を見ながら元気に耳打ちをした。

 

「もしかして、もう西園寺さんってクイーンさんじゃないのかな?」

「そうだろうな。さっき、シャモン斎藤を連れていったし、シャモン斎藤に変装してるはずだ。そうじゃなきゃ連れていく意味はないからな」

「そうなると……この西園寺さんは誰だ? まさか本物ってことはないだろ?」

「本物はないな。そもそも本物はここに来てないだろうし、本物だとしたら言動がおかしすぎる。だから、この西園寺さんはシャモン斎藤なんだろう」

 

 その言葉にアリスとクレールが驚く中、元気とアリスのイヤホンからRDの声が聞こえてくる。

 

『私も同意見ですよ、元気』

「でも、どうやって西園寺さんに?」

「催眠術だ。シャモン斎藤を目覚めさせた後、手早くシャモン斎藤に西園寺さんになるように催眠術をかけ、変装をさせたんだろうな」

「それで、シャモン斎藤さんは自分を西園寺さんだと思い込んで今私達の目の前にいるんだ……」

「そう考えると結構怖いな……」

 

 微笑みながら真里達と話す考太郎の姿をアリスとクレールが恐怖した様子で見ていたその時、そこに近づいてくる人物がいた。

 

「おや……君達、ここにいたのか」

「……団長」

 

 現れたホワイトフェイスが元気達を見回していると、亜衣達はその姿に驚いた様子を見せた。

 

「団長って……え? この人がここの団長さんなの!?」

「どうして団長さんがここに?」

「もう話は聞いているかもしれませんが、この子達とはある勝負をしているのですよ。それで、もう少しで開演なので調子はどうかと様子を見に来たんですよ」

「ビクビクしながら来てたんじゃないのか? 俺達が既に見つけてる可能性はあるからな」

「くくっ、たしかにそうだな。それで見つかったのかね? 例の“宝石”は」

 

 その言葉にアリスが驚く中、真衣は不思議そうに首を傾げた。

 

「宝石? 元気君達、宝石を探してるの?」

「……ああ。だけど良いのか? この件に関係ない真衣さん達にも探し物が宝石だってバレても」

「別に構わないとも。今更ではあるからな」

 

 ホワイトフェイスはクツクツ笑うと、亜衣達を見回しながら口を開いた。

 

「事情を知らない方々に改めて説明すると、私と彼ら、そしてここにはいない愉快な怪盗達でこのサーカス全体を使ったゲームをしているのですよ。ルールは至って単純で、その宝石を終演までに見つけられたら彼らの勝ちで宝石は彼らの物。単純でしょう?」

「たしかに……」

「それじゃあ見つけられなかったら?」

「彼らとその怪盗達には私の願いを一つ聞いてもらう。ただそれだけですよ」

「その願いって……何ですか?」

「それはその時が来るまでのお楽しみですよ」

 

 ホワイトフェイスは口を三日月のように曲げながら笑うと、元気に視線を移した。

 

「さて、元気君。宝石のありかはわかったのかね?」

「……ここだなと思えるところはなんとなくわかった」

「ほう」

「たしかにそう言ってたもんね。それで、その場所って?」

 

 アリスがワクワクした様子で聞き、全員の視線が元気に集中したが、元気は残念そうに首を横に振った。

 

「……残念ながら見当違いだった」

「……え?」

「げ、元気……?」

「ここだなと思えるところはあった。けど、見当違いだった。それだけだ」

「な、無かったって事!?」

 

 アリスが驚く中、元気は静かに頷いた。

 

「そういう事だ」

「けど、いつ確認したんだ? 俺と一緒にいる間に確認したにしてはそれらしい素振りはしてなかったぞ?」

「お前だってずっと俺を見てたわけじゃないだろ? 確認したタイミングとお前が目を離したタイミングが偶然一緒だったんだよ」

「け、けど……」

 

 クレールが納得のいっていない顔をする中でホワイトフェイスは元気を見ながらニヤリと笑った。

 

「このままだと俺の勝ちのようだな。だが、まだ諦める気はないんだろう?」

「当然だ。勝負を受けた以上、簡単に負けるわけにはいかないからな」

「そうだろうな。なら、終演までじっくり探すと良い。もっとも、開演まではもう少しだ。そんなに時間はないぞ?」

「わかってる。それまでにはしっかりと見つけてみせる」

 

 元気が挑戦的な視線を向けていると、アリスは顔を覗き込むようにしながら元気に声をかけた。

 

「因みに、ここだと思ってたのはどこだったの?」

「服の中、正確には俺の服のポケットの中だな」

「…………」

「ポケットの中? どうしてそう思ったの?」

 

 美衣が問いかけていると、亜衣はハッとしてから口を開いた。

 

「そっか! たしかに灯台下暗しだもんね」

「どういう事ですか?」

「亜衣ちゃん、説明してくれる?」

「はい。それじゃあ……」

「亜衣ちゃん、その前に」

「……はいはい」

 

 清志郎の言葉に呆れた様子で答えた後、亜衣は全員を見回してから再び口を開いた。

 

「さて、まずどうしてそこなのかだけど、これは団長さんと教授のヒントを合わせると納得出来るからなの」

「ヒント……たしか一度立ち止まる事も大切っていうのとか今はどこかを歩いているの、それとさっきの灯台下暗しっていうのだよね?」

「そう。灯台下暗しは身近な事はかえってわかりづらいという事、でもサーカスの中って別に元気君にとっては身近じゃないでしょ? クレール君は訓練をしながら団員さん達と一緒にいるけど」

「そうなると俺にとって身近なところはどこか。もちろん、アジトは身近だけどホワイトフェイス達が隠せるようなところじゃない。そうなると残るのは」

「元気自身……」

 

 アリスの言葉に元気は静かに頷く。

 

「そうだとすれば他のヒントも納得がいく。一度立ち止まって身辺を確認すれば見つかる場所ではあるし、歩き回っているというのもその通りになる。俺自身がそれを探すために歩き回っているわけだしな」

「そうだね……でも、無かったんだよね?」

「……残念ながらな。だけど、簡単には諦めない。ここで諦めたらクイーンにも笑われるからな」

「元気……うん、そうだね。もう少し色々考えてみよう。私も精いっぱい考えるから!」

「ああ、そうだな。頼りにしてるぞ、アリス」

「うん!」

 

 アリスが嬉しそうに頷いていると、ホワイトフェイスは愉快そうに笑い始めた。

 

「はっはっは!その諦めない姿勢、俺は嫌いじゃないぞ。では、見つけたという報告を待ちながら俺は待つとしよう。頑張って見つけてくれたまえ」

「ああ」

「クレール、時間が来たら戻ってくるように」

「わかってる」

「それならよし。では皆さん、本日のショーをお楽しみに」

 

 優雅に一礼するとそのままホワイトフェイスは去っていき、その姿を見送った後、元気はアリス達と再び歩き始めた。一人楽しそうな笑みを浮かべながら。




政実「第38話、いかがでしたでしょうか」
元気「もう終盤になってきたな。ここからの流れはだいたい原作通りになるのか?」
政実「そのつもりだけど少しはオリジナル要素も交えるつもりだよ」
元気「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さてと、それじゃあそろそろ締めていこうか」
元気「ああ」
政実・元気「それでは、また次回」
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