怪盗の助手の非日常   作:九戸政景

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政実「どうも、マジックの種を中々見破れない片倉政実です」
元気「どうも、神野元気です。そういう人の方が大多数だと思うけど、見破れたら良いなとは思うよな」
政実「その方がカッコいいからね。まあ見破るには色々努力が必要だろうし、ゆっくりやっていこうかなと思うよ」
元気「わかった。さて……それじゃあそろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・元気「それでは、第40話をどうぞ」



第40話 種明かしと黒田の誘い

 リングの上でジョー・セサミとプリズムプリズムのショーが行われる中、元気とアリスがつけているイヤホンからはRDの声が聞こえ始めた。

 

 

『元気、アリス、聞こえますか?』

「RD、どうかしたのか?」

『そろそろ岩清水刑事を返そうと思っているのでその連絡です。今は美味しそうにおでんを食べていますよ』

「わあ、良いなぁ。具は何ですか?」

『岡山牛の牛スジと大根、あとは餅入り巾着などで岡山牛の牛スジは岡山農協で購入し、大根は岩清水刑事の実家で栽培している物です』

「そういえばこの前、岡山に行くとクイーンが言っていたけど、狙いはそれだったのか」

 

 

 元気の言葉に続いてアリスが口を開く。

 

 

「おでん、良いなぁ……でも、岩清水刑事行きつけのラーメン屋さんのラーメンセットも気になるし……」

『大根も牛スジもまだあるので近い内に作りますよ。クイーンもアリスがそう言うと思っていたのか少し余分に大根は盗んでいたようですし、カードも残していきましたから、後日大根の味を伝えるためにお礼の手紙などを書いて置きに行きましょうか』

「はい。楽しみだね、元気」

「……そうだな。因みにRD、他に具はリクエストしても良いのか?」

 

 

 元気のその言葉にRDは微笑ましさを感じた。

 

 

『もちろん、何が良いですか?』

「玉子と昆布」

「私ははんぺんがいいです」

『わかりました』

 

 

 そんな会話が行われる中でリングの上では次々とショーが進んでいき、マイクを持ったホワイトフェイスが現れると同時にリング上には人体切断マジックの道具が運び込まれ始めた。

 

 

「プリズムプリズムのマジックもいよいよ大詰め! 次は人体切断マジックをご覧にいれましょう。どなたかにご協力頂きたいのですが、希望される方はいますか?」

 

 

 観客席を見回すホワイトフェイスの腕をジョー・セサミとプリズムプリズムが掴むと、ホワイトフェイスが驚く中で二人はホワイトフェイスを木のベンチに寝かせた。

 

 

「おっ、人体切断マジックやん。そういえば、ゲンちゃんにこのマジックの種明かしはしてもろうたけど、亜衣ちゃん達はわかる?」

「わかりませんけど……」

「え? 元気君はわかってるの?」

「ああ。夢水さんもわかるんだろ?」

 

 

 その言葉に対して清志郎は頷く。

 

 

「うん。ニュースで流れた映像でしか観てないけどもうわかってるよ。亜衣ちゃん達もよく見てたらわかるよ」

「よく見てたらって……まあ良いや。それじゃあ三人でしっかりと観て、教授の鼻を明かそう」

「オッケー」

「任せて」

 

 

 真衣と美衣が答え、リング上で人体切断マジックの準備が少しずつ進む中、元気とアリスのイヤホンからは再びRDの声が聞こえ始めた。

 

 

『元気、アリス、岩清水刑事を眠らせたので今から送ってきます』

「わかった。クイーンからは何か連絡はあったか?」

『たった一言だけ。“忘れないようにしたまえ”と元気に伝えるように言ってきましたよ』

「忘れないように……? 元気、何かクイーンさんから頼まれてるの?」

「いや、なにも。ただ、その言葉の意味はわかってる。もちろん、忘れるつもりは無いけど、やっぱりそこまでお見通しか」

『私もその言葉の意味はわかっていますよ。なので、もしも元気が忘れそうな時には私も言いますね』

 

 

 その言葉に元気が頷いていると、リング上では人体切断マジックが始まり、プリズムプリズムは箱で頭と足以外を覆われたホワイトフェイスに日本刀を振り下ろした。

 

 切断されたホワイトフェイスが派手な悲鳴を上げ、リングにポタポタと赤い血が垂れる光景に観客席がざわつく中、切り離されたベンチが元通りにくっつけられた。

 

 すると、プリズムプリズムは黒い布を被せ、箱と布が取り除かれると、ホワイトフェイスは勢いよく立ち上がった。

 

 

「あー、ビックリした! 皆様、見て頂いている通り、私は無事でございます。見事にマジックを成功させたプリズムプリズムにどうか盛大な拍手を!」

 

 

 その言葉と同時に観客達からは割れんばかりの拍手が送られた。

 

 

「スゴーい!」

「あれ、本当に切断されてたよね? どうやってるんだろ……」

「でも、元気君と教授はもうわかってるんだよね? 何かヒントはあるの?」

「そうだな……強いて言えば、プリズムプリズムはホワイトフェイスをどう切断してるか、だな」

「切断の方法……あ、もしかして!」

 

 

 マジックの後片付けがリング上で行われ、ホワイトフェイスが次の演目がシャモン斎藤の催眠術ショーである事を告げる中、亜衣は何かを思い付いたように小さく声を上げる。

 

 そして、それに対して真衣と美衣が驚く中で亜衣は清志郎に視線を向けた。

 

 

「さっき、マジックでは足の方を切断していたよね。もちろん、普通だったらあんな風に勢いよくなんて立ち上がれない。それじゃあどうして斬られた足も戻って、あんな風に立ち上がれたのか。ズバリ、団長さんの足は義足だから、でしょ?」

「義足って……事故とかで足を無くした人がつける物だよね?」

「うん。たぶんだけど、結構取り外しが簡単な義足か何かをつけていて、それがマジックのタネなんじゃないかな?」

「なるほど……」

「ねえ、どうなの? 教授、元気君」

 

 

 美衣が問いかけると、元気と清志郎は揃って頷いた。

 

 

「どうやらそうみたいだ」

「流石だね、亜衣ちゃん。大正解だ」

「やった! それにしても、スゴく考えられたマジックだよね。あんなに自然に歩いていたら義足とはわからないし、まさかそんな人が義足だとは思わないところを逆手に取った感じなんだろうね」

「言われてみれば……でも、教授はどうしてわかったの? 教授だって団長さんが歩いてるところはあまり見てないよね?」

 

 

 プリズムプリズムとホワイトフェイスが通路に向かい、シャモン斎藤が現れてプリズムプリズムとすれ違いざまにハイタッチを交わす中、清志郎は静かに答える。

 

 

「亜衣ちゃんが言った事もそうなんだけど、歩いてくる時の音がその靴の音にしては少し違って聞こえたんだ。それを聞いてあれ? っと思った瞬間にこれだと思ったよ」

「流石は夢水さんやね。さて、種もわかってスッキリしたところで、ここからは素直にサーカス見物しよか」

「そうだな」

「はーい」

 

 

 元気とアリスが答えた後、元気達は順調に過ぎていくサーカスの演目を楽しみ始めた。そしてその中にはクレールの姿もあり、その見事な身体能力を活かして披露された軽業に観客達は沸き、アリスはその誰よりも大きな拍手をして歓声を上げていた。

 

 

「わあ……! 元気、クレールスゴいね! 教会にいた時から本当に運動が得意だったけど、ここで訓練してもっとスゴくなってるね!」

「……そうだな。これで、クイーン並みに格闘が出来たり相手と知能で渡り合えるようになったら、それを見て俺ももっと強くなれそうだ……!」

「元気、クイーンさんだけじゃなくジョーカーさんにも負けてる事を結構気にしてるからね。でも、それにはクレールが私達の仲間にならないとだけど、クレールはそれを嫌がるんじゃないかな?」

「たしかにな。ただ、その気になったらクイーンならどうにかしそうな気もするな……」

『私も同感です。元気の成長並びにトルバドゥールを賑やかにするという目的のためならば、ホワイトフェイスと交渉をしそうです』

「あはは、たしかに……まあでも、私はクレールも一緒に来てくれるなら本当に嬉しいよ。しばらくは元気と衝突しそうだけど、賑やかになるのは良い事だし、クレールも来てくれたらそれに続いて他のみんなも見つかったり仲間になってくれたりすると思うんだ」

「アリス……」

 

 

 嬉しさと寂しさを半分ずつ表に出して笑うアリスの姿に元気が軽く唇を噛んでいると、RDが話しかけた。

 

 

『現在、元気達から聞いた情報を元にしてそれらしい子供がいないかを探しています。目立った行動をしていないのかまだ情報はキャッチ出来ていませんが、見つけられるように努力していますのでもう少し待っていて下さい』

「……ありがとう。だけど、俺にも出来る事があったら遠慮無く言ってくれ。俺のカメラアイがあれば色々な情報を記憶していつでも出力する事は出来るからな」

『ええ、その時は頼りにさせてもらいます。ですが、無理だけはしないようにして下さいよ? 私やジョーカーも心配ですが、何よりアリスが一番心配して今度は自分が倒れかねませんから』

「わかってる。俺もアリスを心配させたり悲しませたりする気はないからな」

 

 

 そう言いながら元気はリングから軽く視線を外した。すると、視界には黒田の姿が入り、それに元気が驚いていると、黒田は元気達の姿を認め、ゆっくり近付いてきた。

 

 

「探しましたよ」

 

 

 冷たい声で言うと、黒田は考太郎に視線を向けた。

 

 

「ちょっと一緒に来て頂けますか、東亜新聞社会部の西園寺考太郎さん。そして、夢水清志郎さん」

 

 

 考太郎と清志郎の二人に黒田が視線を交互に向け、その雰囲気と視線の冷たさに岩崎三姉妹とアリスが怯える中、元気はアリスを背に隠し、真里は迷惑そうな視線を黒田に向けた。

 

 

「なんやの、黒田さん。ウチらの可愛い子達を怖がらせんといてくれます?」

「怖がらせたつもりはないですよ。ただ、最低でもお二人についてきて頂きたいだけですよ。皆さんもどうですか? サーカスの演目よりも面白い物が見られると思いますよ?」

「へえ、えらく自信ありそうやないですか。ウチはええですけど、ゲンちゃんたちはどないする?」

「……行ってみる」

「元気が行くなら私も」

「私達も行くよ。教授は?」

「呼ばれてるなら仕方ないね。では、案内をお願いしますよ、黒田さん」

「はい」

 

 

 黒田が返事をした後、元気達は他の観客の邪魔にならないようにしながら立ち上がり、黒田の案内に従ってゆっくりと歩き始めた。




政実「第40話、いかがでしたでしょうか」
元気「最後に黒田の後についていったわけだけど、この後の展開は原作通りになるのか?」
政実「おおよそそうだね。ただ、そのまま過ぎても面白味がないと思うから少しはオリジナル要素も加えたいなと思ってるよ」
元気「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さてと、それじゃあそろそろ締めていこうか」
元気「ああ」
政実・元気「それでは、また次回」
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