元気「どうも、神野元気です。今回も前書きは省略で良いのか?」
政実「うん、そうだね」
元気「わかった」
政実・元気「それでは、第44話をどうぞ」
「……と、いうわけだよ。諸君」
クイーンが話を終えると、その場は水を打ったようになったが、すぐに岩崎三姉妹は不安そうな表情を浮かべた。
「なんか……本当に私達が踏み込んじゃいけないような話だったよね」
「うん……神様を作ろうとしてる団体とか普通に考えて手に終えないし、警察にも捕らえられないだけの自信があるようだからね……」
「それに、演技中のクレール君の身体能力は本当にスゴかったし、同じようにスゴい能力を持ってる人を作ろうとしててもおかしくないのかも……」
「教授でも流石にどうしようもないんじゃない?」
亜衣が不安そうな表情のままで聞くと、清志郎は静かに頷いた。
「そうだね。普通の事件の謎解きなら僕がしてあげられるけど、これは僕達の管轄害だ。もちろん、上越警部にとっても」
「うむ……だが、何故警察に捕まらないという自信があるんだ? ここにはクレール君もいるわけだし、その証言を元に秘密裏に調べれば……」
「それは警察関係者にも神製教団の息のかかった人間がいるから、もしくは怪盗クイーン達のように普通では見つけられないところにアジトがあるからですね。クレール君、アジトの場所はわかるのかな?」
「……わからない。アイツらのとこに着いた時もここに来させられた時も道中は眠らされていたし、何か無いかと思って調べようとしても検査だの特訓だのでその時間すら取れなかったからな」
「本当にわからない事ばかりやね……でも、本当に何か手がかりはないんです? 誰かその神製教団について知っているとか」
「一応、少し前に二人ほど知ってる人間は警察に捕まえさせましたよ。まだ物心ついていなかった元気を拐って親と偽っていた上にアリスさんにも危害を加えようとしていた
クイーンの言葉に上越警部はハッとする。
「奴らか……! それぞれの部署が長い間追っていたのに中々捕まらないと嘆いていたが、クイーン達が関わっていたのか」
「二人が夫婦を演じて住んでいた家の構造を元気がカメラアイでしっかりと覚えていてくれましたからね。RD、それからあの二人はどうしてる? 捕まってから長いこと経つし、そろそろ神製教団についても何か話をしてるんじゃないかな?」
『……それなのですが、クイーン達に話していなかった事があります。それを話したいので、スピーカーにしてもらっても良いですか?』
「ああ、構わないよ。少し待っていてくれたまえ」
外したイヤホンをクイーンが軽く触ると、イヤホンから流れてくるRDの声がテント中に響き渡った。
『皆さん、初めまして。私はRD、超弩級巨大飛行船トルバドゥールの制御をしている世界最高の人工知能です。どうぞよろしくお願い致します』
「よ、よろしくお願いします……それでRDさん、どうして私達にも声を聞かせてくれるんですか?」
『私自身、皆さんに声を聞かせたところで困る理由はありませんし、ここまで話を聞いた以上、先程クイーンが名前を挙げた二人についても聞いてもらおうと思ったのです』
「なるほどな……」
「RD、早速話してくれるかな?」
『はい。まず、結論から言いますが……強田刀二並びに鷺宮飛李その両名は既に死んでいます』
RDの言葉にクイーンと清志郎を除いた全員が絶句した。
「し、死んでる……?」
「……やはり口封じはされたんだね」
「やはりって……教授はわかってたの?」
「何となくね。その二人が逮捕されたニュースは新聞やニュース番組で知ってたし、警察が調べた感じだと二人以外にも誰かが住んでいた形跡があったようだから、夫婦でもなかった二人以外に住んでいたとしたら共犯者かその二人が拐ってきた誰かだと察しはついたよ。そして口封じの件もクイーンの話を聞いて今頃されていてもおかしくないと感じたんだ。その二人はおおよそ神製教団に深く関わっていない人間だろうし、神製教団の事を黙っているだけの理由もないだろうからね」
「RD、二人が死んだのはいつだい?」
クイーンの問いかけに対してRDは淡々と答える。
『一ヶ月前です。二人は獄中で不審な死を遂げていたようで、警察はそれを公には出来なかったために今日まで世間には公表していなかったものと思われます』
「たしかに警察の目をすり抜けて強田刀二と鷺宮飛李の二人を殺してみせたとなれば、警察は何をしていたんだと世間からバッシングを受けるからな……」
「警察関係者に神製教団に関わっている人間がいて、その人が強田刀二達を殺したって可能性が高い事になるけど、どうして捕まった時にすぐ殺さなかったんやろ?」
「すぐに殺してしまっては口封じを疑われるから、そして捕まったところで困る存在でもなかったからでしょうね。強田刀二と鷺宮飛李の両名は神製教団のメンバーでもなかったのでしょうし、たとえ神製教団の事を話したところで荒唐無稽なホラ話だと思われたり警察内部の関係者に握り潰されたりするのがオチですから」
「たしかに……私達は実際にクレール君の身体能力を見てるからそうなんだと思えるけど、そうじゃない人達からすれば神様を作ろうとしてる団体があるって言っても一笑に付されるだけだからね……」
「驚異的な力を持つ人間を育成しようとしているという言い方をしない辺り、向こうもだいぶ考えているよ。その言い方だと興味を持つ人は少なからずいるだろうけど、神様を作ろうとしてると言ったら頭のおかしい宗教団体か何かと思われて終わりだからね。それで、怪盗クイーン。今回の貴方の獲物はなんですか?」
清志郎の言葉にクイーンとホワイトフェイスを除いた全員が驚く。
「きょ、教授……?」
「今回の件、貴方が盗めるものは無いように思えます。怪盗というのは少なくとも獲物があるからこそ動くものだと思いますよ」
「ふふ、わかった上で聞いているんだろう?」
「ええ。貴方の今回の獲物、それは……」
清志郎はふわりと笑いながら口を開いた。
「元気君やアリスさんの未来、そして神製教団によって産み出された神候補の子供達の未来ですね」
「ああ、そうだよ。良からぬ欲望を持った大人達によって産み出された上にそれのために一生を棒に振らされるなんて良くないからね。それに、元気やアリスさん、そしてクレール君はもう私達の友達であり身内だ。それならそんな彼らのために行動するのは決して間違いではないよ。謎の団体を相手取って戦うというのも中々ワクワクするしね」
「クイーン……」
「さて、それではそろそろ伊藤さんや上越警部にお願いしたい事についてお話をしましょうか」
それを聞いた真里と上越警部がゴクリと唾を飲み込む中、クイーンはニヤリと笑いながら話を始めた。
「伊藤さんには神製教団によって派遣されたと思われる子供達の情報を集めてもらい、上越警部には神製教団が関わっていると思われる事件があればそれを教えて欲しいんです。そのために後程RDには内密に連絡をしてもらい、その時にこちらの連絡先を教える事にします。なので、各自何かわかったらそれを使って教えてください」
「それはええけど……」
「警察官でありながら怪盗と連携して物事にあたるとは思わなかったな……」
「事実は小説より奇なり、ともいいますからね。さて、協力してもらうからにはそれに対しての対価も提示させてもらいます」
「え、ええの?」
「別にそんな物は求めてないが……まあくれると言うなら貰っておくか。それで、対価としてお前は何を提示してくるんだ?」
上越警部が警戒しながら聞くと、クイーンは上品な笑みを浮かべながら答える。
「まず伊藤さんへの対価ですが、今日一日ご一緒させてもらって伊藤さんは金品や魅力的な異性よりは特ダネの方が喜ぶのだと再確認出来ました。なので、私の師匠であり宇宙一の怪盗を自称する
「え、ホンマ!?」
「ええ。相手が男性では良い顔をしないと思いますが、伊藤さんのような見目麗しく魅力的な女性ならば喜んで取材に応じると思います。まあ……個人的にはあまり会いたくない相手ですが、伊藤さんには様々な危険の中で情報を集めてもらいますからそれくらいは我慢しましょう。取材出来たとしても記事に出来る事は少ないかもしれませんけどね」
「そんな事あらへんよ! ウチでも怪盗クイーンには師匠がいるらしいって事しか調べられへんかったんやからその本人に会って話が出来るだけでも素晴らしい対価やわ!」
「それは良かったです。さて、上越警部ですが……」
「ワシも別に金品はいらないぞ。家族もいるから魅力的な異性というのにも興味はないしな」
「ええ、それはわかっています。それならば、私を逮捕する権利でも差し上げましょうか?」
その言葉に清志郎やジョーカーを除いた全員が驚く中、ホワイトフェイスは可笑しそうにクックッと笑った。
「それが本当なら破格の対価になるが、その気はないんだろう?」
「ええ、もちろん。私が上越警部に捕まれば上越警部は一躍時の人となり、多くの賞賛の言葉が送られるとは思いますが、私からすればちょっとした休暇程度にしかならないのですぐに抜け出してしまいますし、怪盗クイーンキラーという重すぎる異名を背負わせるのも酷ですからね」
「そ、それじゃあ何を対価としてくれると言うんだ?」
「まあスケール自体はもっと小さくなりますが、仕事に煩わされる事がない纏まった休暇と家族と行く世界一周旅行辺りが良いのかなと思っていますよ。もちろん、旅費などはこちらで負担するので安心してくださいね」
「たしかにスケール自体は小さくなったが、それくらいがワシにはちょうど良さそうだ。仕方ない、元気君達のためでもあるが家族との旅行のために一肌脱いでやるとするか」
「ありがとうございます。さて……お話はここまでです。そろそろ夢のような時間も終わり、それぞれの現実に帰る時が来ました。お帰りの際は十分に気を付けてくださいね」
クイーンの言葉に真里や上越警部が頷く中、亜衣は首を傾げた。
「あれ? 教授は手伝わないの?」
「さっきも言ったようにこれは僕達にとって管轄外。上越警部や伊藤さんが手伝うなら僕達の出る幕はないよ」
「意外。教授なら目を輝かせてそういう謎に挑みそうなのに」
「もちろん、クイーンが何か謎を持ってきてくれるならそれは喜んで解かせてもらうよ。けど、今はその時じゃない。僕達にも色々な知り合いがいるし、その人達にそれとなくそれらしい情報がないか聞くくらいで良いんだよ」
「ふふ、頼りにしているよ。夢水君。では、私達も帰ろうか」
その言葉に元気達が頷いた後、クイーン達はホワイトフェイスや清志郎達が見送る中を静かに歩いていった。
政実「第44話、いかがでしたでしょうか」
元気「伊藤さんや上越警部からの協力が得られた回になったな。次回は少し休憩する回になるのか?」
政実「一応はそのつもりかな」
元気「わかった。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さて……それじゃあそろそろ締めていこうか」
元気「ああ」
政実・元気「それでは、また次回」