尾形と決着をつける。その前に邪魔になるだろう英作を殺さなければならない。
どさくさに紛れてレストランを出た。英作と謎の巨漢が組み合ううちに距離を稼ぎさえすれば、あとは私の独壇場だ。
いくらか離れたところでヤグラに登る。
目盛越しに店の前で取っ組み合う英作へ狙いをつけた。
あの獲物を仕留めるのならば一発でなければならない。
初めの一発を外せば、すぐさま対処してくるに違いない。それほどの相手でなければ、あの尾形がああも心を砕くはずもない。
狙いながら、そのときがやって来るのを待つ。確実に英作の眉間を撃ち抜ける瞬間を待つ。
「うわぁッ」
すぐ足元でバシャン、と水の溢れる音と英作によく似た叫び声。
「ッ!?」
何故ここに。思わず上体をそらしてヤグラの下を大きく確認すれば、ヤグラの柱に銃弾が沈み込んだ。
遅れて聞こえる銃声に、距離700と推測。すぐさま発砲場所を確認して撃ち返す。脳裏に浮かぶのは当然尾形だ。
そうだろう。おまえが私ならば、英作の隙をきっと逃さない。
「縺翫>蜷帙?ゅ◎繧薙↑縺ィ縺薙m縺ァ菴輔r縺励※縺?k繧薙□?」
「……ッ」
再び英作とそっくり同じ声が下から投げかけられる。それを無視して、照準を尾形の方へと……。
すでに尾形は場所を移ってしまったらしい。
この場所は尾形に捕捉されている。私も場所を移ろう。ヤグラを降りる。
そこに待ち構えていた人物に白目を剥いてしまった。
日本の将校服を纏う日本人としては大きな体躯。気品のある柔和な顔立ちに、口元には微笑みが……穏やかな笑みを浮かべる英作である。
さっきまでレストランの前で取っ組み合いをしていたはずであるのに……何故。人間がこんなにも早く移動ができるものなのか、ああでも英作なら出来るかもしれない。英作は恐らくだが杉元と同じくらい獰猛な生き物だ。
「繝ュ繧キ繧「莠コ?滓律譛ャ隱槭?隧ア縺帙k縺九>?」
「フンフン」
ニッコリと微笑みながら英作が何か日本語で問いかけている。日本語でなくロシア語で頼む、と冷や汗をかきながら首を横に振れば英作は眉を下げて困ったように笑うのみだ。
今まさにおまえを狙撃しようとしていたと、気づかれていない?
もしも気づかれたらすぐにでも殺されるだろう。
ならば狙撃しようとしていたことを知る尾形と何が何でも合流させないようにしなければ……。少なくとも尾形との決着以外で死ぬ気はない。
英作の袖を掴んで、尾形がいたのと真逆の方角へと引っ張る。
「縺医▲縺ィ窶ヲ?溘▽縺?※陦後¢縺ー縺?>縺ョ縺九↑?」
英作が困惑を隠さずに日本語で言う。どうやら意地でもロシア語を使わない気らしい。
何か怒っているのか?
そりゃ殺そうとはしたが、まだバレてはいないはず……。バレていたらこの距離で私が生きているはずがない。
とにもかくにも英作をここから離そうと、腕を掴んだまま移動した。英作が何かを日本語で言っていたが私に日本語は分からない。
しばらく歩いて街を出たところで、英作を振り返りようやく気がつく。
英作の右目にあった裂傷がない。前髪に隠れていたが、よくよく見れば額に銃痕がある。
「ふん、……ふん?」
「縺斐a繧薙h縲∽ス輔→險?縺」縺ヲ繧九?縺九o縺九i縺ェ縺?h縲」
もしかして、英作じゃない……!?