勇作殿の片割れは即断即決裏目ボーイ   作:あん仔

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幕間:ヴァシリ2

 尾形と決着をつけるには、英作を先に殺さなければ邪魔をされる。そして英作を殺そうとしても、動きを読んだ尾形に邪魔をされる。

 正直、詰みでは?

 

 

「縺阪∩縺ッ蜈?&縺セ繧定ソス縺」縺ヲ縺?k縺ョ縺?繧医?? 繧ゅ@縺九@縺ヲ騾比クュ縺ァ闍ア菴懊↓縺ッ莨壹▲縺ヲ縺?↑縺?°縺ェ窶ヲ窶ヲ縲」

 

 

 英作とよく似た顔の……けれど纏う雰囲気は真逆な青年がどこか不安そうに日本語で何かを呟いた。

 眉を下げて、思案するように黒目を泳がせる。顔のパーツを一つ一つ並べて記憶の中の英作と見比べてもほぼ同じであるはずなのに、今では何故見間違えたのかと首を傾げたくなるほど印象は異なる。

 

 

 彼は名を勇作というらしい。英作とは双子の兄弟で、同じように日本軍の士官を務めているのだろう。

 

 

「フンふ〜ん?(どちらが兄なんだ?)」

「縺ェ繧薙※險?縺」縺ヲ縺?k縺ョ縺句?縺九i縺ェ縺?h窶ヲ縲」

 

 

 雑談のつもりで話題を振るも、勇作は困ったように微苦笑を浮かべるだけだ。本当に似ているのに似ていない。

 英作であれば、嫌な笑い方でなんと言っているか分からないふりをするか。もしくはわかった上で適当な嘘を吐いているだろう。

 

 尾形は英作に執心していたが、私は勇作の方がいいな。どんなときでも優しそうだ。フンフン。

 納得したように頷くと、また勇作が困ったと眉を下げる。

 日本人にしては大きな体格である割に、仕草や表情がどうにも闘争本能の低い小動物のようだった。

 

 

『尾形と英作少尉とは出会ったのか』

「ふ〜ん?」

 

 

 樺太でも出会った月島という軍人にロシア語で問われたが、答える義理はないと首を横に振る。すると褐色肌の若造が変な形の眉を吊り上げギャンギャンと何かを捲し立てる。

 

 

 あいにくだが、私には日本語はわからない。とさらに首を横に振る。若造が私の襟首を掴もうと手を伸ばすのが見えた。

 

 

「蠕?▲縺ヲ縺上l縲?浹荵矩?イ縲よ垓蜉帙?繧医¥縺ェ縺??」

「蜍?ス懊←繧薙?逕倥☆縺弱k繝?シ」

 

 

 すると勇作が私を庇うように若造の前に立ち塞がった。

 ……?

 彼はなにをしているんだ?

 

 私に背を向ける勇作の顔を覗き込む。

 先ほどまでの小動物然とした様子はたち消え、力強い意志を感じさせる真っ直ぐな目で若造を見つめていた。

 若造はそんな視線をまっすぐに浴びせられ、ぐぬぬという顔をして口を結ぶ。

 

 

「縺吶∪縺ェ縺???ッ臥匳蟆大ー峨?縺セ縺?闍・縺??縺?縲ゅ←縺?°險ア縺励※縺上l縲√Ο繧キ繧「縺ョ譁ケ縲」

 

 

 勇作は私を振り返ると、同じまっすぐな目で何かを伝えている。穏やかな声音から、おそらく悪いことではないだろうと予想して、とりあえず頷いておく。

 するとまた柔く微笑み、今度は月島へ視線を向けた。

 

 

「譛亥ウカ霆肴峪縲∝スシ縺ォ繧ゅ@遘√?蜈?シ溘◆縺。縺ィ莨壹▲縺ヲ縺?◆繧芽ゥア繧定◇縺九○縺ヲ谺イ縺励>縺ィ莨昴∴縺ヲ縺上l縲ゅ≠縺ョ莠御ココ縺ォ髯舌▲縺ヲ菴輔°縺ゅk縺ィ縺ッ諤昴o縺ェ縺?¢繧後←縲√←縺?@縺ヲ繧ょソ??縺ェ繧薙□縲」

『……勇作少尉殿が「もしも私の兄弟たちと出会っていたら教えて欲しい」と仰っている。「どうしても心配なのだ」そうだ。ここでいう“兄弟たち”とは尾形と英作少尉殿のことだ』

 

 

 兄弟…!

 そうか、だから尾形はあれだけ英作に執着していたのか!

 新たな尾形の情報にウンウンと納得とともに頷く。そして英作と双子である勇作もまた尾形と兄弟ということであり──勇作も尾形を釣る餌たり得るだろうか?

 

 

 ──『ヴァーシャぁ、ダメだぞう』

 

 

 ふと例の春の陽気のような朗らかな声音が蘇った。ブワリと同時に英作の圧も思い出してしまい、全身に鳥肌が広がっていく。

 途端に寒さを感じて、両腕で自分を抱きしめブルブルと震える。

 

 

「螟ァ荳亥、ォ縺九>?溷?蜷医′謔ェ縺??縺九↑窶ヲ」

 

 

 心配そうに勇作が私の肩に手を置いた。本当に似ていない兄弟だな。

 ……餌には英作がいればいいだろうし、勇作は殺さなくてもいいかもしれない。

 獲物の生死を決めるのは狙撃手である私なので、私が決める。

 

 

 花火の光に照らされて櫓にいる尾形を見つけた。視線の先に工場の中を歩く双子の兄弟の姿がある。

 どうやら勇作は英作と合流したようだ。遠目からだとどちらかが英作で勇作なのか分からない。

 雰囲気の穏やかな方が勇作だろうが……今はそんなことはどうでもいい。

 とにもかくにも尾形だ。尾形フンフン尾形尾形。銃を構えて狙いを定める。

 

 一拍。呼吸を止めて引き鉄を引く。

 

 

「……」

 

 

 突如尾形は背後を振り返る。外した……!

 しかし銃弾は銃を掠った。物陰に隠れた尾形を続く二発目を撃つべく狙い澄ます。

 

 

 銃さえあれば、狙撃手は負けはしない。ならば銃を失った狙撃手は新たな銃を求めるはずだ。

 先ほどの両頬におかしな刺青を彫った兵士の落とした銃はまだ、あそこにあるだろう。

 

 尾形が私であればどうするか。当然、銃を拾いに向かうだろう。

 次の動きを予測できれば、それに備えることができる。相応しい狙撃位置を探し、工場の屋根を移動しよう。

 

 

 

 ポンチョを被った人物が道に転がる銃を拾いに走るのが見えた。引き鉄を引く。

 人は倒れて、ボトルを操作する合間に軍服の男が銃を拾い上げ、駆けていく。

 尾形だ。

 

 割れた窓に尾形が飛び込んだ。続けて放った二発目も外れた。……。そうでなければ面白くない。

 

 

「ふん、ふん」

 

 

 流石だ、尾形。必ず殺す。

 

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