インフィニット・ストラトス The unsung love   作:チャーハン好き

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前日章 青い星の記憶
01 地球へ


ゼントラーディ第5018艦隊司令ブリタイ・ブリタニクは、記録参謀のエキセドル・フォルモからもたらされた情報に驚愕の声を上げていた。

 

「ダスダカン デ メルトラン チャーツ!?(あの艦が、女共の物でないだと!?)」

「サ。ミ プロトガドラス プレギルツ ミ デブランダカン デカンチャーツ マイクラーンズカラ オ チャーツ ザルグ エスケスタ(これまでの戦闘で捕獲した敵艦の残骸に、マイクローンサイズの物体を多数確認しました)。ウート ミスケス(表示します)」

 

エキセドルがそう言いながらコンソールを操作する。するとモニターにはお店や、車などが表示された。

 

「マイクラーンズカラ…(マイクローンサイズか…)。エスケスト オ メルトランチャーツ デ ダンツ ラスカス(確かに女共の物ではないようだ)」

「タルニ ニルケ デブランダカン メナ デ カルチャ エルケルザーン ギルテスタ デ ガドラス テルネスタ ゼントラン メーナエスケスタ(しかも、敵艦付近で奇妙な音波信号を受信し、戦闘不能に陥った兵士が何人もおります)」

 

これにはブリタイも思わず驚愕する。

 

「デ ガドラス テルネスタ!?(戦闘不能だと!?)。ミ デブランダカン ヤット デ アルケス?(あの艦に一体何があるというのだ?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土星宙域第4衛星タイタン。そのタイタンの影の部分に所々、光を発しながら進む物体がいた。やがて影を抜けた物体は太陽光を浴びながら、鋼鉄でできた船体を現し始める。そして舟全体が太陽光の前に晒された。

 

 

時に西暦2009年2月、地球は遥か50万年もの昔から闘争を繰りかえしてきた「男=ゼントラーディ」と「女=メルトランディ」の二大勢力による大規模な宇宙戦争に巻きこまれた。

 

事の発端は、1999年に宇宙から1隻の宇宙船が落着したことから始まった。

国連はこの1.4キロもある宇宙船を調査した結果、人類の7倍以上の大きさを持つ巨人の存在と、星間規模での争いが行われている事を確認。

すぐさま、この宇宙船の改修を開始。それと同時に改修時の調査からもたらされたオーバーテクノロジーを基に、可変式マルチロール人型機動兵器『VF—バルキリー』を開発。そして2009年、改修と改造を終えた宇宙船は『SDF-1(Super Dimension Fortress-1 / 超時空要塞)マクロス』として、地球統合軍宇宙艦隊に編入。

だがその直後、南アタリタ島にて停泊中にメルトランディと誤認された事で、ゼントラーディ軍の襲撃を受ける。直ちにフォールド航法(ワープ)で月基地に向かおうとするも、フォールド装置の暴走により、月ではなく冥王星まで南アタリタ島を巻き込んで飛ばされてしまう。この暴走事故でフォールド装置が消失してしまったため、マクロスはフォールドに巻き込まれた南アタリタ島の住民を、街ごと艦内に収容。

この官民併せて約5万6千人が艦内に生活する状態で、マクロスは冥王星軌道から、ゼントラーディ軍の追撃をかわしつつ通常航行によって、地球への帰還を余儀なくされる。

 

そして、地球から遠く太陽系の末端まで跳ばされたフォールド事故からかぞえて5ヶ月を経過した2009年8月初旬、マクロスは土星の衛星タイタンに到達した。

 

 

 

 

『ASK。接触推定ライン確認。デルタ1よりアームド1へ。スカル、エンゼル、アポロ各小隊、発進スタンバイ』

 

マクロスブリッジから司令が下る。土星宙域に到達してもなお、ゼントラーディは追跡を続けていた。

これに対し、マクロスはいつもの様に迎撃することしか出来なかった。

敵接近の報により、マクロス両側に連結されていたアームド級宇宙空母の格納庫では、急ピッチでVF-1バルキリーにスーパーパーツを装着させて出撃させていた。

 

『All system is green. Good luck !』

 

管制官の誘導でVF-1とは違った形をした機体が1機、アームで船外に挙げられる。

アームド級は大気圏内とは違い、真空ではカタパルトが使えない。そのため、アームで船外に挙げる方式が使用されていた。

 

「サンキュー!」

 

発進準備を終えたパイロットのイチカ・フォッカー大尉の掛け声でアームが外れ、機体はタイタンの重力に惹かれて一時的に落ちていく。その直後、機体全てのスタスターが点火し、重力を振り切って発進した。このイチカ専用にVF-1sに、改造に改造を重ねた機体『YF-3 ストライク・ワイバーン ストライクパック装備型』。イチカはYF-3の持ち味である抜群の加速力で、先に出ていたスカル小隊の集結地点へと向かう。

 

 

 

 

『デルタ1より、スカル、エンゼル、アポロ小隊各機へ。コース修正308、プラスA15。30秒後に射程圏内に入る。迎撃態勢に移れ!』

 

戦闘宙域に到達したバルキリー隊にマクロスから細かい情報が入る。先鋒がスカル小隊、その後ろをエンゼル、アポロ小隊が左右に布陣している。

 

『スカル・リーダーより各機へ。聞いてのとおりだ! これより迎撃フォーメーション17に移る、いいな!』

「「「「了解!!!!」」」」

 

隊員の応答と共に各機からミサイルが発射された。ミサイルは白い尾を曳きながら虚空に消える。その直後、遠くに閃光が灯った。

 

『やったぁ!』

 

スカル5の柿崎から歓声が挙がる。

 

『喜ぶのはまだはやいぞ。相対速度をあわせ、迎撃態勢に移る。全機散開して、逆加速に移れぃっ!』

 

フォッカーがすぐさま指示を出しながら両足のフットペダルと手元のサイドスティックを操作し、足と腕を出したガウォーク形態で敵との速度を合わせながら、逆加速を開始する。その後ろにイチカのYF-3が配置に着いた。

 

『ようし、イチカ。おっ始めるぞ!』

「おう!」

 

その途端、フォッカーのvf-1sからミサイルが放たれ、第一波攻撃を逃れた敵戦闘ポッド『リガード』に次々と当たる。その攻撃を切り抜けたリガード部隊に今度は、イチカのYF-3の背中に装着していた左右併せて、4門のマウラービームキャノンが襲い掛かる。イチカの攻撃で乱れたリガード部隊に今度はフォッカーが突撃を仕掛け、次々とリガードを屠っていく。

これが世に名高い、フォッカー親子のスカル・ダンシング。

また1機、フォッカーがガンポットで撃破し、イチカが特注で造らせたイオン粒子収束型サーベルで一刀両断。その後ろにフォッカーが入り込み、リガードをガンポットでまとめて撃破する。

粗方リガードが減った事で一息ついていると、マクロスから通信と共に新たな情報が入る。

 

『デルタ1より各機へ。エリア108に大型戦艦出現。艦載機多数、本艦へ向けて接近中。至急迎撃に向かえ!』

『えっ、こっちの敵はおとりか!』

 

驚くイチカの目の前のモニターに、マクロスと敵艦の位置が表示される。

バルキリー隊は見事に出し抜かれたのだ。その直後、フォッカーから指示が入った。

 

『聞いた通りだ!全機、マクロスに戻るぞ!』

 

 

 

その頃、マクロスは敵艦隊とリガード、リガードの上位機種『ヌージャデル・ガー』の襲撃を受けていた。これに対し、マクロス各所に配置していたデストロイド・ファランクス が、トマホークが、アーマードバルキリーが、ミサイルや弾幕を張りながら接近を阻止する。雨あられの弾幕の中、リガード部隊の後ろから小型砲艦が 2隻、艦首を光らせながら近づく。次の瞬間、 2隻の内の1隻が、艦首砲をマクロス目掛けて撃ち込む。しかし、放たれた艦首砲は照準がブレて、マクロス側には掠る程度の損害しか与えられなかった。だが、マクロス側も負けている訳ではない。

ブリッジ付近に陣取っていた背中に4門の大砲を背負うデストロイド・モンスターが、マクロスから離脱しようとしていた砲艦を1隻、主砲で撃ち抜いて撃沈する。その脇を縫う様に残った砲艦が、艦首砲をマクロスに撃ち込む。数秒後、マクロス左舷の一角から閃光が挙がった。着弾した光景を見届けた砲艦は、最大船速でマクロスから離脱しようとするも、そこで運が尽きた。

砲艦が離脱した先には丁度、マクロスへ戻ってきたバルキリー隊がいたのだ。数十秒後、マクロス左舷の宙域の向こう側で、大きな閃光が灯った。

 

『バルキリー隊は直掩に回れ!全艦トランスフォーメーション始動!』

 

バルキリー隊が戻った事で、マクロスが変形を開始する。船尾が展開し、艦中央が迫り出し、両腕が開く。スラスターで制動を掛けながら徐々に、人間が起き上がる様に艦が直立形態になった。

先のフォールド事故により、主砲のコンデンサーがシステムと一緒に消失したため、マクロス自体を無理矢理変形させて主砲のエネルギーコンデンサーを胸部の中央反応炉と接続させる。これによってマクロスは、その攻撃能力の真価を発揮する事が出来るのだ。

 

『Enemy ship is approaching course a 107.』

「コース確認。自動追尾装置作動」

「エネルギー・レベル上昇。砲撃スタンバイ」

 

先に出ていた偵察機が、敵旗艦を発見した。その報せを受け、マクロスの背中に連結されていた2門の巨大な砲塔がゆっくりと傾き出す。やがて敵旗艦を正面に捉える様に、砲塔が固定される。すぐさま中央反応炉から砲塔にエネルギーが供給され、両肩の砲塔の間に蓄積されていく。

 

「エネルギー充填120%」

「最終安全弁解除」

「撃てぇっ!」

 

その途端、両肩の砲塔から莫大なエネルギーが閃光と共に弾き出された。発射の反動でマクロスは少しだけ後ろに下がる。だが、マクロスキャノンのエネルギーはタイタンの重力を物ともせず、そのままの勢いで敵旗艦を貫通。敵旗艦は周りのリガード部隊を巻き込んで爆散した。

マクロスに取り付いていたリガード部隊が逃走を始めたのは、敵旗艦撃沈の直ぐ後の事だった。

 

 

 

「輝がいないだぁ〜!?」

「どうしたんだ親父?」

 

アームド 2に着艦したイチカの耳に、フォッカーの怪訝な声が入る。

 

「輝のヤツが居ないってよ!」

「え?輝のヤツなら早瀬大尉の静止も聞かないで、艦内に入った敵の迎撃に向かったぞ」

 

イチカからの情報で、フォッカーは思わず顔に手を当てる。

 

「と言う事は変形の時に、どっかに落ちたって事かよ〜」

 

こうして後々に影響を与える事になる、一条輝遭難事件が発生した。

 

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