インフィニット・ストラトス The unsung love 作:チャーハン好き
「これで2日か…」
マクロス艦内のラウンジで、復興されていく艦内市街地を眺めながらフォッカーが呟く。
あれから2日経ってもなお、輝が見つからないのだ。
「とにかく、まだ死んだと決まった訳じゃない」
「はい」
「分かってます」
カウンター席にもたれかかる様に言うフォッカーの言葉に、後ろに座っていたマックスと柿崎が答える。
「今日は西のブロックを探してみます」
「あぁ、頼む」
マックスの意見にフォッカーが頷き、マックスは柿崎と共にラウンジを後にする。
2人がラウンジから出て行くのを横目で見つつ、フォッカーはカウンター席に居るイチカ、オペレーター兼愛人のグローディア、それと非番でラウンジを訪れていた早瀬美沙大尉の話に耳を傾けた。
「あの坊や、まだ見つからないようね」
「あれからもう3日よ。軍に入ってはみたけれど、恐くなって逃げだしたんじゃないかしら」
「まさか」
グローディアの呟きに美沙はネガティブな返答をする。
「あの子、軍人向きじゃないと思うわ。男の子は仕事を誤ると一生不幸よ。いまからでも仕事を変えたほうが、かれのためって思っただけよ」
「あいかわらず厳しいのねえ。そんなことだと…」
「いつまでたっても、お嫁のもらい手がない」
「あっははは」
「いいのよ。わたしはもう女の子だなんて気持ち、とっくに捨てちゃったんだから。
「また、オバンみたいなこといって。でもだいじょうぶよ、あたしが保証する。未沙はまだいけるわよ」
美沙が語尾を濁しながら酒を飲み始める。すると横から、ビール瓶を片手に持ったフォッカーが会話に加わってきた。
「大丈夫だ早瀬!いざって時はイチカを嫁がせてやるさ!」
「「ブッフッ⁉︎」」
「AHAHAHA‼︎」
フォッカーの大胆な発見に、コーラを飲むイチカと酒を飲む美沙が驚いてむせたのは言うまでもない。
輝遭難から3日が過ぎた。これにはフォッカーも焦り出し、イチカと共にブリッジに聞き込みに来ていた。
「あらロイどうしたの?こんな非番の日に」
「輝のバカが見つからなくてな…」
「貴方の部隊の子達はヤンチャばかりね」
フォッカーが頭を掻きつつ苦笑いで答えると、グローディアは困った様な笑みを浮かべながら艦内マップを映し出した。
「あの子が確か、艦内の敵機を迎撃するって言ってたから…」
キーボードで戦闘記録を更新していくグローディアは、突然ハッとした顔を浮かべた。
「そうだ美沙。タイタンの時、敵機はどこから侵入した?」
「え?確か第3管区の方から侵入したけど…」
「第3管区ね?それだとその後、重力制御が不調になったから…」
美沙の答えを元にグローディアはシミュレーションを施していく。
「もし墜落したのなら、今はエンジンブロックの中ね」
「そこか…」
「確かにあそこなら装甲が厚い分、通信ができませんね」
イチカも納得した声で答える。
この時のグローディアの予想は完璧に当たっていた。あの後、マックス達がエンジンブロックの隔壁を開けると、そこから行方不明になっていた輝が出てきた。これで事件は終わったかに思えたが、これには続きがあった。
隔壁が開いた時、出てきたのは輝だけでなく、もう1人一緒に出てきた人物がいた。
その人物が、つい最近マクロスでデヴューしたばかりのアイドル、リン・ミンメイと言う少女だったのだ。
この出てきた 2人は互いに落下しない様に肩に手を置いた状態。しかもこの時、隔壁に面した道路でミンメイを探す記者達に、その状態をカメラで撮られたのだ。
なお、この様子をブリッジで見ていた、イチカを含めるオペレーター達が大爆笑していたのは言うまでもない。
「以後、気をつけるように。いいですね!」
数時間後、輝への注意を言い渡した美沙が輝の部屋から出て行く。その光景を通路の角で見ていたイチカ達は、美沙が通路から見えなくなるまで待ち、静かに輝の部屋の前に配置に付く。
「(3…2…1…)」
ドアの前にフォッカーがIDカードを構え、その後ろでイチカ、マックス、柿崎が無言のカウントする。そして0になり、フォッカーがIDカードでドアを開錠し、イチカ達が輝の部屋になだれ込んだ。
「やったな、やったな、輝!」
「うわあ、先輩⁉︎」
「すげーな輝!」
「この、この色男。うまいことやっちゃって!」
「いやぁ(´∀`=)」
「一条先輩、事の真相を」
輝が挟む間もなく、イチカ達が矢継ぎ早にミンメイ騒動の事を話しだす。
「どうだった、われらがアイドル、ミンメイちゃんのお味は?」
「ええっ?」
フォッカーがニヤけながら輝に聞くと、輝が赤面し、更に騒動が大きくなった。
「まさか部下に先を越されるとはな」
「一条先輩はそんな人だったんですか…残念です」
「くわしく教えろ!」
「ぼ、僕はなにもしてないですよ」
次々と挙がる誤解認識にたまらず輝が弁明するが、それが更なる波紋を打った。
「このっ、嘘つき!」
輝が嘘を付いていると誤解したフォッカーがデコピンをかまし、輝への受難が勢いを増した。
「ほんとほんと。とぼけちゃって」
「絶対、責任をとるべきです」
「責任とって同棲しろ。そして子供コロコロ産んじゃって末永くお幸せに暮らしてろ」
「ほんとに、なにもしてないよっ!」
輝の正直な弁明に部屋がシーンッとなった。その直後、柿崎が騒ぎ始めた。
「じゃ、3日もふたりっきりで、なにもしなかったのか!?」
「しない」
「なんだあ、おまえそれでも男か!?」
「う…」
輝の襲ってない発言は、フォッカー達の火に、盛大に油を注ぐ結果となった。
「「「「バ~カ」」」」
「えぇ…?」
終始、呆気に取られる輝だった。