インフィニット・ストラトス The unsung love   作:チャーハン好き

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05 父と子と

それから数日後、輸送艦隊も無事に本隊と合流した事で少しゆとりができた頃。イチカは自分の部屋に引きこもっていた。

 

「イチカ」

「フォッカーさん…」

 

息子になったイチカが心配だったらしく、フォッカーが様子を見にきた。

 

「親父でいい。家族なんだからよ」

 

優しげな笑みを浮かべ、フォッカーがイチカの隣に座る。しかし、イチカの表情は暗い。

 

「何か心配な事でもあるのか」

「…まだ怖いんです…あの時の事が…」

 

イチカは、自身の胸の内を言った。

一通り聞いた後、フォッカーは口を開く。

 

「そればっかりはお前自身が解決しないといけない問題だからな。俺がどうこう言える物じゃない」

 

イチカは再び俯く。

 

「偶然うまくやれたただけなんです。無我夢中で…俺は、褒められも感謝されるようなこともやってないのに…」

「……確かにな、そこにバルキリーがあったのは偶然だろう。だが、バルキリーに乗ったのは偶然じゃないはずだ」

 

顔を上げたイチカは、フォッカーと目が合う。

 

「お前は何故バルキリーに乗った」

 

「……ただ、死んでほしくなかっかったから……」

 

そっと、フォッカーがイチカの頭に手を添える。

 

「それでいいんだ」

「え…」

「確かに人を殺したことに変わりはない、例え相手がテロリストだとしてもな。

だから殺した責務から逃げるな。

奪った命の重さを絶対に忘れるな。

そして、その殺しの罪悪感を絶対に忘れるな。

それを忘れた瞬間、言葉通りの本当の人殺しになる」

 

統合軍に長く所属し、今のイチカよりも沢山の人間を殺してきたフォッカーのその言葉には、言い様の無い[重み]が感じられた。

 

「それと……これだ」

 

フォッカーは、ポケットからドッグタグをイチカに手渡す。

 

「お前が未来の人間だと言う事はわかっている。だがな…お前は逃げても良かった状況で、自分から他人を守ったんだ。だから…」

 

イチカはドッグタグを手に持ち、茫然と眺める。

 

「お前が守った命も、忘れるな」

 

 

 

 

イチカは両手で握りしめ、涙を流した。

 

自分は許されないことをした、それでも自分に感謝してくれた人がいる。

 

イチカは一つの決意をする、バルキリーに乗ろうと。

 

これからも沢山の人を殺すことになるだろう、守り切れずに涙することもあるだろう。

 

助けた人達から罵られることだってあるだろう。

 

それでも、自分が守った[命]は、こんなにも

 

   暖かいのだから。

 

 

あの日から、4年。

今だからこそ、胸を張って言える。

 

迷った時や辛い時、ただ励ますんじゃなくて自分なりの手がかりをくれる人だから

 

疲れ切って帰って、「ただいま」って言えば、「おかえり」って言ってくれる場所だから

 

変わり者で厳しいけど…優しい、尊敬できる人だから

 

俺は、あの人の息子になれたことを…誇りに思っている。

 

この世界であの人に会えたのは何かの縁かもしれない。

 

もりかしたらまた、鈴に会える日が来るだろう。

 

なら自分は、その日まで生き抜くまでだ。

 

 

 

 

そう前向きな思いを抱いてイチカはいざ、寝ようと布団を被った途端ーー

 

『プルルルル…プルルルル…』

 

眠りを妨げる電話の呼び出し音が鳴り響いた。

 

ええい、誰だ俺の眠りを妨げるのは?

 

イチカはそう思いながら壁に据え付けられている受話器を取った。

 

「はい、こちらスカル2のイチカです。…あぁシャミーか、どうした………何ぃ!?」

 

ブリッジからの電話の内容に、イチカは思わず大声で飛び起きた。

 

「輝のバカがミンメイちゃんとのデートのために、訓練機を無断で借りて土星の輪に向かったぁ?…分かったすぐに親父を起こしてそっちに向かう!」

 

そう言うなりイチカはベッドを飛び出して、着替えながらフォッカーの部屋に向かう。

 

この事件が、後々に響くことも知らずにーー

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