インフィニット・ストラトス The unsung love 作:チャーハン好き
「ヤッベェ!」
輝は現在進行形で焦っていた。ドラマやアイドルの仕事で疲れているミンメイを喜ばすために、勝手に訓練機を持ち出して土星遊覧飛行と洒落込んでいたら、連れ戻しに来た上司の美沙とミンメイのマネージャーであり彼女の兄『リン・カイフン』の 2人に説教され、おまけに敵と遭遇したのだ。
目視だけでヌージャデル・ガーが機近くはいる。すぐさま距離をとってガウォークに変形、ミサイルを定めてボタンを押し込むも何も起きない。
「いけねぇ!こいつ訓練用だった!」
「エェ⁉︎」
ミンメイですら亜然とする手抜きである。こうなったら美沙達の連絡艇を抱えて逃げるしかない。だが、今度は後ろから別働隊のヌージャデルガーが数機程現れ、輝達を取り囲もうとしていた。
もう危険を覚悟で土星の輪を突っ切るしかない。輝はスロットルを上げようとした途端、今まで後ろに張り付いていたヌージャデルガーが、機まとめて爆発した。
突然のことに驚いていると、輝の無線に聞き慣れた声が響いてきた。
『くおらぁ、輝~また面倒かけやがってぇヒックゥ!』
『よくもまぁ抜け掛けできたなぁ!』
無線からフォッカーとイチカの声が聞こえてくる。
「先輩!それにゲッイチカ大尉も!」
『ゲッとは何だ⁉︎ゲッとは!」
そうこうしている内にヌージャデルガー部隊の後ろから美沙が読んだ、フォッカーとイチカの機体が現れた。
『(まだ酔っぱらっているので、呂律がまわっていない )だけどよくやった男はそのぐらい積極的じゃなくっちゃ、女はものにはできんっヒックゥ』
「先輩、酔ってます?」
『俺が眠っている所を、無理矢理起こして来た』
『ばぁろ~!酒が恐くて戦が、できるかってぇ』
なんとフォッカーが酔っぱらったままで来たのだ。まぁ、本人は全くと言っていいほど気にしていないが…
その直後、ミサイルをヌージャデルガーに定めた 2機から、一斉にミサイルが放たれた。放たれたミサイルは輪の氷と岩石を器用に避けながら、ヌージャデルガーに着弾。リング内でもの火球が挙がった。
「すげぇ」
「あっ!」
「あっ⁉︎」
2機の見事なシンクロ技に見とれていた輝は、ミンメイの声で現実に引き戻される。ヌージャデルガーが3機、輝が乗っている機体を逃がさない様に、主翼や胴体部を掴んで抑え込んでいたのだ。しかも向こうでは美沙達の連絡艇も同様に抑えられていた。
「きゃあ⁉︎」
「ちっきしょう…!」
抑えられては何もできない。輝は毒舌する。
「「イィヤッホォォーー‼︎」」
攻撃しながら後退しようとするヌージャデルガーを追撃する 2機から歓声が飛ぶ。敵機と自機、互いに高速移動しているが、YF-3はマクロス兵器工廠が造り上げた、最高速度マッハ8を出せる最強の機体。イチカがバレルロールしながら両肩のキャノンを連射し、その後ろからフォッカーがミサイルとガンポットでヌージャデルガーを屠っていく。
「見たか、輝!」
「親父、大尉達が捕まった!」
「うおっ、しまった⁉︎」
状況は不味い方へ流れ出した。フォッカー親子の目の前には、鹵獲され運ばれていく輝と美沙達の機体が。
しかも奥では、ヌージャデルガー部隊を収容しようとハッチを開けるゼントラーディ艦までいる。
「まずい!」
「親父、行くぞ!」
ゼントラーディ艦が回収をしていく。もう時間がない。
2機はすぐさま、艦付近まで飛ばして人型のバトロイドに変形。右手にライフルを構えて、間一髪で閉じかけたハッチから中に侵入するとーー
「「「「「……………」」」」」
入ってきた 2機に大人数で銃を構える、ゼントラーディの一軍がいた。しかも全員、銃をいつでも撃てるように、引き金に指を掛けている。
「「ぐっ…⁉︎」」
多勢に無勢と見た 2人はライフルをラックに戻す。そして機揃って両手を上に上げる『降伏ポーズ』を取った。