インフィニット・ストラトス The unsung love 作:チャーハン好き
ブリタイ艦に地球人捕虜達と捕虜達の機体を乗せた連絡艇が入ってゆく。
輝、未沙、ミンメイ、フォッカー、イチカ、カイフンはひとつのカプセルのなかに入れられていた。一行は何処かの部屋に移送されて待たされていた。すると唐突にカプセルに足音と振動が伝わり、やがてブリタイとエキセドルが姿をあらわす。その身長は普通の成人男性の 7 倍はある。ブリタイが、カプセルの中を覗き込んできた。
「「「「!?」」」」
「きゃあ!」
「なんだこいつは!?」
「デブランの言語はすでに変換可能だ。ゼントランの質問に答えよ!」
ちっぽけな地球人捕虜の叫び声を気にも留めず、エキセドルは尋問を開始した。
「なぜ男と女のマイクローンが、一緒にいられるのだ?」
「男と女のマイクローン?」
「なんだあ?」
「「??」」
「なにが訊きたいのかしら…?」
ブリタイの質問はある意味初歩的であり、ある意味理解しづらいものだった。
「男と女がひとつのダカンにいられることは、調査済みだっ!」
「そんなこと調査して、なんになるんだ?」
「文化形態がちがうみたいね」
「デブランはなぜ戦わん。なぜマイクローンになった?」
声を荒げても効果がなかったのか、ブリタイは質問の観点を変えてみた。
「私たちは、あなたがたのような巨人とちがって、生まれたときからずっとマイクローンです。なったわけではありません」
「『ウーマレタトキカラ』? 生まれるとは製造されることか?」
「製造ですって…?」
「ちがうのか?」
イチカ達の疑問も大きくなっていく。そもそも巨人族は何を知りたがっているのか。
「ま、男と女が協力してつくることにはちがいないがな」
「男と女が協力!? ヤック デ カルチャー!」
フォッカーが答えるとエキセドルが混乱し始めた。だが、ブリタイは平静を保つ。
「なぜ戦わん?」
「戦う? 冗談じゃない。女は喧嘩するよりも抱くほうがいいに決まってるだろうが」
「ダ〜ク」? 抱くとはなんだ?」
「こうすることさ!」
そう言うとフォッカーは美沙と輝を抱き合わせる。
「「⁉︎⁉︎」」
「[ 驚愕 ]うおおお…!」
「[ 驚愕 ]おおお…!」
「(プルプル)」
輝と美沙は突然の事に面食らい、ブリタイ達は驚愕し、イチカは笑うのを堪える顔になった。
「おまえたちは男と女でそのようなデカルチャーをしておる」
「ああ、キスだってなんだってしてる」
「『キスウ』? キス〜というものをしてみろ!」
「あ、ああ、それは…」
これには全員困惑した。キスしろと言われて平然とキスする人間がこの場にはいない。
「ム!」
ブリタイが突然、手でカプセルを破りミンメイを掴み出す 。
「きゃあ、きゃあ!」
「「ミンメイ(ちゃん)‼︎」
「なにするんだ!」
「ああっ! う、うう…」
突然の事にイチカ達は声を荒げる。
「キ〜ス〜 マーカ ウケイ」
「ああ…」
握られた状態で不安げな表情を見せるミンメイ。それを見て、兄のカイフンが立ち上がった。
「俺がキスする。降ろせ!」
「よろしい、マーカ ウケイ」
カイフンの宣言にブリタイはゆっくりとミンメイを降ろした。カイフンはミンメイが降ろされたなり駆け寄って、耳元で小声で話す。
「はやく演技するんだっ! 殺されるぞ!」
「ええ!?んっ!?」
渋々両名キス。と思わせて実はキスしていない。よく見れば唇は離れているが、巨人族のブリタイ達は見事に騙された。
「[ 恐怖 ]あ、ああ…!」
「[ 恐怖 ]ああ、キ〜ス〜、おおっ…!」
その光景を見たブリタイ達の顔には何故か驚愕ではなく、恐怖の表情が浮かび上がっていた。
再び地球人捕虜たちが移送されてゆく。捕虜は輝、未沙、フォッカー親子組と、ミンメイ、カイフン組のふたつにわけられた。ミンメイは離れてゆく輝を見る 。
「ミンメイ!」
「輝…」
「「ミンメイ(ちゃん)…」
「やつら、なんでキスぐらいで驚いたんだろうな」
「男と女が戦ってるみたいだったけど…」
イチカと輝の後ろでは、フォッカーと美沙が疑問点を確認しあっていた。
今の所の認識としては、男と女が戦っている。文化形態そのものを知らないと言う点だった。
そう要点を待めていると、突然閃光と共に衝撃が走り移送車が傾く。
「うっ! ああ〜!!」
「はっ、ああ!」
「おうっ! 」
「うおっ!」
次の瞬間、前方から見た事もない機体が次々と現れ、銃撃戦が始まった。その銃撃戦に移送車が巻き込まれて、ガラスが割れると同時にイチカ達が床に投げ出される。
「うわあ!」
「どわあ!」
投げ出された側に、移送車の護衛をしていたゼントラーディ兵が 1 人、体を蜂の巣にされ倒れ込む。
「みんな、無事か!?」
「あぁ!」
「ええ!」
「なんとか!」
「今のうちに逃げるぞ!」
無事を確認し、急いでその場から逃げようとした途端、
「ガアアアァァァ!?!?」
銃撃戦で最後まで残ったゼントラーディ兵が体を撃ち抜かれ、イチカとフォッカー達の間に倒れ込んだ。
「イチカ⁉︎」
「親父達は先に行け!」
「っ…死ぬなよ!」
「当たり前だ!」
こうして地球人によるビッグエスケープが始まった。