無冠の王 アナザーライダー戦記 リテイク   作:カグ槌

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福音事件 その裏で…前編

 

お待ちかねの臨海学校!だが…

 

「海だぁ…」

 

とハルトは海パンを履いて夏仕様であるが、熱気に当てられパラソルが出たがらずにいた

 

「暑い……目の保養は困らないが目のやり場に困るな」

 

水着を着た若い子が楽しんでる姿は目の保養になるが凝視はできない

 

「ハルト、大丈夫か?」

 

と心配そうに覗きこむ千冬は、俺が選んだ黒のビキニを着ている束は赤のビキニで箒ちゃん達と遊んでいた。

 

「おう千冬も大変だな生徒の監督もあるから遊べないとか」

 

「まぁお前や束と違って担任だからな私はその辺の忙しさもある」

 

「だな」

 

「しかし元気な事で」

 

「まぁ悪い事ではなかろう」

 

「そうだね〜……しかし暑い……」

 

インドアな俺には日差しと湿度は天敵である

 

「そうかキツイなら横になるか?」

 

「そうだなぁ、そうする」

 

「わかった、ほら」

 

「…………ん?」

 

千冬さん、何故自分の膝を叩いてるのです?

 

「何、膝枕だ構わないだろう?」

 

「今、自分が水着姿なの忘れてます?」

 

「忘れる訳ないだろう?ほら」

 

「………ん」

 

もう夏の暑さで頭も働かないので千冬の好意に甘える事にした…が生足の膝枕か目を開けた先の刺激が強すぎる!寝たいが幸せな感触を味わいたくて寝たくない!!俺はどうしたら良いんだ!

 

『笑えば良いと思うぞ?』

 

そっかぁ!

 

「ありがとう千冬……」

 

「ハルト?……寝てしまったか……ふっ」

 

寝顔を見ながら千冬はハルトの頭を撫でている

 

最初は束からの紹介を聞いた時にはどんな問題児かとヒヤヒヤしたが実際会ってみれば気さくな青年であった…まぁ時折ネジが外れたり身内周りで沸点が低すぎる事もあるが基本は善人だ、仲良くなるのも時間はかからなかったし人柄に惹かれていったのも事実だ…この感情が色恋絡みと気づくまでに時間はかかったが自分の思いにハルトは答えてくれた…が

 

 

「錫音の奴も言ってたが…本音を言えば私だけを愛してほしいんだぞハルト」

 

 

だがそれをしたら恐らくハルトは何処か壊れてしまうのは直感的に理解した

 

必要ならすると公言しており敵なら情け容赦ない彼だが身内関係となる途端に悩み始めるし人一倍苦しむ傾向にある

 

誰かを選ぶというのは選ばれなかった人がいるという事であり誰かが自分のせいで不幸になったと思ってしまうのだ

 

大切な人の涙や悲しむ顔が大嫌いなのだと本人が前に言っていたが

 

「まぁ、そんなお前が好きになったのだからな」

 

「「「「……………」」」」」

 

「チーちゃん?」

 

「…………は!」

 

生徒の面々がマジマジと見ていたのに気づいて赤面するのは少し後となる

 

 

 

その夜、食事を済ませるとハルトは束の元へと向かう明日、渡す予定の箒へのプレゼントの為に

 

「よっ、束」

 

「あ、ハル君!」

 

「紅椿、形になってきたな」

 

「でしょでしょ!後は箒ちゃんが乗れば完璧だよ!」

 

束の背には箒の赤い機体が鎮座していたのを見て

 

「けど良いのか?ライダー技術使わなくて別に箒ちゃんの機体なら文句ねぇよ?一夏もだけど」

 

 

前から疑問に思っていた事を聞いてみた束は白騎士以降の自作ISにはライダー関連の技術を搭載させていないクロエのアーセナルは俺と共同だったからビームエクイッパーや武装のデータは入れているが一夏の白式だって千冬の単一仕様が使える以外は足の速い暮桜のようなものだ

 

「うん!束さんは束さんの技術で最高を目指すんだ!確かにハル君のライダー技術は凄いけど下手したら戦争の引鉄になるかも知れないからね……」

 

「まぁな」

 

というより実際に戦争が起こったからなビルドで

 

そもそもビルド本編の北都編はスクラッシュドライバーのデータや実物が流出した事から端を発しているから、ビルドやゼロワンなど科学要素の強いライダーに影響された束とも話したが今の人類がライダー技術に手を伸ばすのは早すぎる 平和利用される日までは隠蔽すると…そこだけベルトさんみたいな思考だが気にしないでおこう

 

「喜んでくれるかなぁ〜」

 

「喜ぶさ束が一から手がけたんだから」

 

「そうだと良いなぁ〜」

 

「大丈夫だって安心しろよ」

 

束の頭を撫でながらハルトはカラカラ笑うと

 

「も、もう!ハル君は!!それよりも!」

 

「わーってるよツマミ持って千冬の部屋な」

 

「うん!宴会だぁ!」

 

「明日に響くから酒は程々にな」

 

勢いよく飛び出た兎の背を見送るとハルトはやれやれと溜息を吐きながらついていくのであった

 

 

千冬の部屋の前にて

 

「お前等何してんだ?」

 

「箒ちゃんもクーちゃんも混ざってさ」

 

何故か一夏を好きな5人とクロエがドアの前で聞き耳を立てていたがクロエはどちらかと言うと不安そうな顔でオロオロしている、よくある光景だが側から見るとシュールな絵面である静かにと指を立てられたので何聞いてんだと思い束と一緒に耳を傾けると聞こえるのは千冬の嬌声と一夏の声である……ん?

 

 

「あ〜コレかぁ」

 

「チーちゃん…声抑えようよ誤解されちゃってるよ」

 

偶にして貰うからこそ理解した千冬は俺や束と違って声に出やすいからなと頷くとクロエが恐る恐る

 

「父さん…一夏さんは…」

 

「大丈夫、多分皆が思うような展開じゃないから」

 

「え?」

 

「まぁ見てな、千冬!入るぞ」

 

「いや、ちょっ!ハルトさん!!」

 

鈴ちゃんが止めるがお構いなしにドアを開けると、そこにはうつ伏せの千冬にマッサージをしている一夏の姿があった

 

「あれハル兄、何でここに?」

 

「明日の打ち合わせだよ…んで来たら部屋の前にな」

 

指を刺した先にはドアが空いた事で前のめりで倒れた5人の姿があった

 

「千冬、声出すのは構わないが程々にしろよ多感な子は勘違いするからな」

 

「ほぉ…盗み聞きしてたのはそう言う理由か」

 

「だろうな…まぁ俺も知らなければ同じリアクションしてたろうけど」

 

「それはそれで見てみたいな」

 

「ハル君の初々しいリアクションかぁ〜」

 

「辞めとけ辞めとけ、多分だけどショックで凄まじき戦士に覚醒するだろうから」

 

「恐ろしい事をサラリと!?」

 

「いやそれで覚醒したらウォズ達が何というか」

 

「喜ぶだろうな」

 

笑いながら答えるハルトと千冬と束、その真意を理解出来るのは一夏や箒、クロエなど少数である

 

「マッサージは良いぞ、だいぶ解れたな…よし一夏、汗かいたろうし風呂にでも入るといい」

 

「へ?いや俺は別に」

 

「良いじゃねぇの学園じゃ大浴場は使えないんだから、偶の贅沢だよ」

 

「え…んじゃ入ってくるよ」

 

「んじゃ俺は菓子だけ置いてくよ…クロエも夜更かしは程々にな……折角だし俺も入るか」

 

「はい」

 

「すまないなハルト」

 

「良いって事よ。んじゃな」

 

手をヒラヒラ振って部屋を出て戸を閉めると

 

 

「何してる貴様等、座れ」

 

千冬がそう言うと皆思い思いの場所に座る

 

「どうしたいつもの元気がないな」

 

「へ、いや」

 

「こうやって話すのも久々で」

 

「そうか…なら飲み物でも買ってやろう、ほれ好きなのを選べ」

 

と言われたので皆、思い思いの飲み物を手に取り飲んだのを確認すると

 

「呑んだな」

 

「呑んだよチーちゃん、さぁ!レッツパーティ!」

 

千冬と束は黒い笑みを浮かべると冷蔵庫から缶ビールを取り出し飲み始めた

 

「へ!いや大丈夫何ですか?」

 

と箒が訪ねたが千冬は事前に口止め料を払っていると話すと皆がアッと言う顔になる

 

「千冬さんも姉さんもハルトさんに似てきましたね」

 

「そうね…この抜け目のなさとか特に」

 

普段の千冬なら絶対にしないだろうと皆が頷くが

 

「そうか?まぁ…付き合いが長いからな…それに教師も大変なんだ適度に息抜きしないとやってられんさ」

 

「そうだよね〜」

 

「しかしお前等、アイツの何処が良いんだ?」

 

千冬は酔った勢いで弟に思いを寄せている者達に理由を聞いてみる、箒と鈴は幼馴染としてしっかりして欲しいと答える素直でないので伝えると言うと強めの語気で否定した

 

セシリアとシャルロットは優しいところと

 

シャルロットは自分の悩みを真摯に向き合ってくれた事、家族問題解決の糸口を作ってくれた事、セシリアは一夏に思いを寄せたのはハルトの恐怖から助けてくれたからである…ある意味で吊り橋効果であろうが

 

そしてラウラは

 

「強い所ですかね」

 

「そうか?アイツは弱いぞ私や束やハルトから言わせればまだまだだ」

 

「それ比較対象からダメだよチーちゃん、武力設定がおかしい3人だからさ」

 

「ん?それはどう言う意味だ束?」

 

 

「いいえ……心がです」

 

 

「あ…因みにクーちゃんは気になってる人いたりする?」

 

「いえ私は特にそう言うのは」

 

「良かったー!もしいたら先ずは拳で語らないと行けなかったよー!」

 

束が笑顔なのは酔っているからだと思いたい

 

「まぁ一夏の奴は家事回りは基本得意だな、ハルト仕込みだから色々とやりくりも出来る…それに今時珍しい位に真っ直ぐだ…まぁ世間知らずと言えばそれまでだがな……なんだ欲しいのか?」

 

 

「「「「「くれるんですか!!」」」」」

 

 

「まぁあのバカが振り向いたら検討してやる惚れた男なら自分の魅力で振り向かせてみろまぁ頑張れ小娘共」

 

「そう言う教官は常葉講師とどうなんですか?」

 

「んなっ!」

 

「あ、僕も気になります」

 

「そうですわね、お昼も膝枕されてましたし…まるで熟年の夫婦ですわ」

 

「色々と気になるわね…振り向かせた話も聞きたいし」

 

「姐さんもキリキリ話してもらいましょうか?」

 

 

「私も!?」

 

まさかの教え子達の反撃で赤面した千冬と束であった

 

 

ーーーーーーーー

 

 

露天風呂に浸かり夜空を見ながら一息…何て贅沢だろうかと思うがこの場は野郎だけだから聞いてみるか彼方は彼方でガールズトーク中だろうしな

 

「ふぅ……そういやぁ一夏」

 

「ん?何だよハル兄?」

 

 

「あの子達の中で好きな子はいるか?」

 

「は?」

 

「いや何、好奇心だよ弟分の色恋事情に興味津々ってね」

 

「色恋って何だよ皆、友達だろ?」

 

「友達がいきなり人前でキスするかよ」

 

「いや、それって海外とかなら挨拶じゃ…」

 

「それなら手の甲とか頬だよバカ」

 

「え?」

 

「はぁ……俺もそうだったがお前は俺よりも酷いな」

 

実際、未来の俺が嫁自慢した時に言われなければキャロルの好意に気づけなかったからな

コレを鈍感と言わず何と言うのか、ハルトを弁護するなら初対面が迷子認識だったし大人モードあるとか知らなかった、懐くのも子供が親戚のお兄さんに懐くようなものだろうと

 

「へ?ハル兄も?」

 

「ん〜つーか俺の場合は色恋よりも趣味だからなぁ…だから気づかなかったと言うか…何というか…」

 

『はっきり言えや前の世界ではモテなかったって』

 

ー皆!アナザーWがジープの特訓したいらしいから付き合ってやれー

 

『い、いやちょっと待て!謝るから許してくれ!ってお前等何ノリノリでジープ出してんダァ!』

 

最早、我らの中で恐怖の対象であるジープ訓練である

 

『すまんなアナザーWよ我等が王の命令とあれば断る訳にもいかんのでなぁ』

 

『チクショウ楽しんでやがる!この…跳ねられてたまるかぁ!ルナメタルでぇ!』

 

『逃さんぞ!追え!』

 

『『おおー!』』

 

よし制裁完了だなと黒い笑みを浮かべるハルトであったが気を取り直し

 

「気づいた時が楽しみだな一夏、式には呼べよ」

 

「へ?お、おう」

 

「言ったな」

 

「てかハル兄も式とかどうすんだよ」

 

「おっと反撃か……そうだなぁ先ずは関係者の挨拶回りからだし俺の方の仕事が片付いてからだな」

 

「逃げた」

 

「そう言われてもしゃあねぇか…んじゃ出るとしますか」

 

ハルトは温泉から出て浴衣を着ると団扇を持って涼む為にベンチに腰掛けたのであった

 

 

「はぁ……明日かぁ」

 

福音事件 無人機だったか有人機が日本目がけて爆走し一夏達が鎮圧した事件である…確か原因は束が絡んでるとか言ってたが

 

 

「無人機と言い束がするとは思えねぇんだよなぁ」

 

となればネオタイムジャッカーか亡国企業だろうと思考を切り替える連中の狙いだ

 

IS側が狙われる可能性としては

 

紅椿の奪取、一夏の殺害と

 

「束と千冬のライダーシステムかなぁ」

 

戦極ドライバーとゲネシスドライバーだ、ラウラの事件で衆目に晒して以来篠ノ之製作所にも発注の声がかかるが束はガンと否定している……まぁドライバーだけあっても意味ないロックシードがあって初めて成立するのだそのロックシードはヘルヘイムの森にしか生えていない

 

「まぁ戦極ドライバーとかロックシードを軍事利用するとかの悪意あって森を侵略する馬鹿がいたとしても師匠が許す訳ないだろうけど」

 

特にネオタイムジャッカーの事は師匠にも話を通しているし俺のいる世界の人間の愚かさも話しているが

 

「そう言えばセイヴァーの事を話してなかったな…本編だと邂逅してないライダーだし…」

 

ハルトはアナザー鎧武の力でヘルヘイムのクラックを開くと

 

「よいしょっと」

 

スタッグフォンにセイヴァーの情報を吹き込んだフロッグポットを抱えさせて師匠の元に飛ばしたのであったクラックを閉じ、ふと思い出した

 

「そういやぁウォズ達何してんだ?」

 

軍資金でフランス旅行をしてるだろうけど、音沙汰ないなぁ

 

 

 

 

その頃、ウォズ達は

 

「うおおおお!見てよエッフェル塔だよウォズちゃん!」

 

「えぇ素晴らしい、写真に撮りましょう!」

 

「そうだな…む?フィーニスどうした?」

 

「あの…魔王様の元に戻らなくて大丈夫なのかなと」

 

「大丈夫だよ魔王ちゃんにはアナザーライダー達や王妃様もいるんだから」

 

「ですが…」

 

「まぁフィーニスの心配も分かりますがね…この本によれ……ば!!」

 

久しぶりに逢魔降臨歴を開いたウォズは見た内容を見て大声を上げた

 

「どうしたの!」

 

「私とした事が!時差を忘れていた!明日ではないですか!我が魔王が覚醒を始める日は!」

 

「「っ!!」」

 

「覚醒?」

 

「こうしてはいられません!お前達、タイムマジーンで飛びますよ!」

 

「「了解!」」

 

「えぇ!そこはワープじゃないんですか!」

 

 

「あれは距離が遠すぎると使えないのですよ!」

 

と慌ただしくタイムマジーンの方向へと走るのであった。

 

 

 

 

覚醒

 

 

それは後にオーマの日と呼ばれる事になる

 

 

常葉ハルト アナザージオウの新たな力が目覚める日である

 

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