無冠の王 アナザーライダー戦記 リテイク   作:カグ槌

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すれ違うもの

 

さてカリュブディスの脅威が去って暫く経ったある日のこと

 

 

「ふぅ……これで今日の仕事もおしまい…さて帰ってゆっくりしよう」

 

「は、ハルト様!」

 

慌ててドアを開けて入ってきたのは新入りだった最近、来客の応対を頼んでいるものだが

 

「どうしたの?」

 

「は…はい!実はハルト様の友人なるものがハルト様に会わせろと」

 

「友人……テンペストの人?」

 

「いえ、それが変わった衣装にハルト様の持ってる時計のようなものを「すぐに応接間に通せ危険だから誰も部屋に入れるな」は、はい!」

 

おいおいまさか堂々と真正面から来るとは予想外だぞと

 

慌てて玄関まで向かうとメガネをかけた知的で白い軍服を着た男が立っていた

 

「やぁ魔王久しぶりですね」

 

「堂々と来るとは思わなかったよネオタイムジャッカーのクジョー」

 

 

取り敢えず応接間に通して粗茶を出す、一応は客だ

 

「ありがとうございます」

 

「けっ、さっさと飲みやがれ」

 

と一息で迷いなく飲む姿に

 

「敵を出したのを一息か…毒とか警戒しないんだ」

 

「えぇ、貴方は食べ物を粗末に扱いませんから例え敵に出すものだとしてもね…良い茶葉ですね何処の銘柄です?」

 

「ドワルゴンから仕入れたもので出所は知らん淹れ方はヴィオレの部下にいる奴から習った…スゲェ入れる紅茶が美味いんだよ凄すぎてコーヒー派から転向したくらいさで何?今更宣戦布告でもしに来た?」

 

「まさか、ただ一つ面白い話をね」

 

何だよと警戒していると

 

「貴方の大事な錬金術師さんですが世界に宣戦布告しましたよ」

 

「っ!!……そうかい」

 

やるとは思っていたが早すぎるだろキャロル

 

「貴方の留守を見計らったように行動を初めましてね別れて直ぐに廃棄ホムンクルスと自称タイムリーパーの彼を追放したようですね追手を出しましたが無事奏者達に保護されたようですよ」

 

「やっぱりライダーシステムが現地世界に漏洩したか」

 

懸念していたが再現出来そうな技術者は向こうにはいないと判断してるが

 

「えぇ…まぁバースのシステムは向こうの技術者では再現出来ないので漏れても問題はありませんが」

 

「当然だな俺とキャロルが作ったライダーシステムだ、原案があるとは言えその辺の猿に模倣出来るかよ」

 

けど

 

「その情報を俺に渡して何が狙いだ?」

 

「貴方に止めて貰いたいんですよ彼女を」

 

「断る何でお前に命令されなきゃならん」

 

「私の知る歴史では彼女は立花響達に敗れます、ですが貴方がライダーシステムを提供した事で未来がわからなくなりました」

 

「そんなんで曇る未来ならたかが知れてるよそれにあの世界では冤罪でテロリスト認定するような屑の掃き溜めだ助ける義理はない」

 

「それに良いのですか?歴史に従えば彼女は死にますよ?愛する人を守りたいとは思いませんか?」

 

「俺がキャロルを止めに行くとでも?残念だな俺は彼女を応援するだけだよ、何ならあの世界の人間に御礼参りするまであるけど?」

 

「これを見てそれが言えますか?」

 

「ん?」

 

そう言われて出されたのは携帯の録画映像であった、何だこれ?

 

 

『そんな…キャロルどうして!』

 

映ってるのはエルフナインちゃんとキャロル、ナツキか

 

『そんな事したらハルトが悲しむぞ!』

 

説得してるんだなと見ていて分かるが

 

「一体何の映像「この後ですよ」は?」

 

するとキャロルは頬杖をついて偉そうに

 

『ハルト?誰だそれは?』

 

「……………は?」

 

え、ナチュラルに傷つくんですけど

 

『キャロル?ハルトさんの事を忘れたんですか!?』

 

『誰のことだ?オレはパパの命題を遂げるだけだ失せろ今なら見逃してやる』

 

それだけ言うとエルフナイン達はキャロルの元を離れ映像は終わった

 

「キャロル…何で?」

 

「私が聞きたいくらいですよ、貴方とキャロル・マールス・ディーンハイムは仲睦まじい夫婦と歴史に記されているんですから」

 

「取り敢えずその未来は凄い気になるな」

 

「なので私も驚いています、貴方のことを忘れるなんてね」

 

「はぁ……キャロルの所に行ってみる」

 

「感謝しますよ「ただし」はい?」

 

同時に周囲の温度が下がり野生動物や魔物が本能で危険を感じて警戒した比喩ではなく物理的にである、その原因の男はクジョーを絶対零度のような瞳で見て

 

「罠なら潰す…それとお前等がキャロルに何かしてるんなら潰す」

 

「何を今更、私達が敵など今更でしょう」

 

「情報提供に免じて今は見逃してやる、だから早く去れ」

 

「はいはい、では期待してますよ魔王…錬金術師の運命を変えるのか否か高みの見物をさせて頂きます」

 

と言うなりクジョーはオーロラカーテンで消えた

 

「ウォズ」

 

「はっ」

 

「少しあっちに帰る……その間の内政はフィーニスに外交はブランに任せる」

 

「お待ちを我が魔王、帰還は時期尚早ですテンペストやドワルゴン…それにブルムンドやユーラザニアとの会談が「後にしろ」え?」

 

「俺にとってはキャロルに原因を問い詰める方が優先だ」

 

「っ!我が魔王お待ち下さい!!」

 

「大丈夫ウォズ…アレが嘘か本当か確かめるだけ……って待てよ…おい何であの世界で裏工作していた筈のお前がキャロルの急変を黙ってた?」

 

「…………」

 

「答えろウォズ、今すぐに」

 

「それは……」

 

吃るって事は何か知ってやがるな、なら

 

「命令だ」

 

「お答え出来ません、例え我が魔王であっても」

 

「これでも言わないか…何か理由があるなら言ってくれよ」

 

「我が魔王とキャロル殿の為です」

 

「その答えで俺が納得すると思ってんのか?」

 

「してもらう必要があります」

 

ウォズがアナザーギンガウォッチを取り出したのを見てハルトも臨戦態勢に移行する

 

「へぇ……そう言えば本気でお前と喧嘩した事なかったな」

 

「そうですね…今しますか?」

 

「そ「ちょっと待って魔王ちゃん!」ん?」

 

現れたジョウゲンとカゲンに止められたので舌打ちをしてウォッチを懐に戻す

 

「ウォズも落ち着けハルト様に武器を向けるとは何事だ!!」

 

「どうしたのさウォズちゃん、らしくないよ!それに議事堂で暴れるなんてダメだよ魔王ちゃんも!!」

 

「キャロル殿と我が魔王の為です」

 

「だからって戦う必要ある!?」

 

「それ以外言わないんだよ、俺は答えが知りたいんだ…早く言え、でないと反乱罪に問うぞ」

 

「っ!ハルト様、ウォズもハルト様を思っての忠言…何卒寛容な処置を!」

 

カゲンの言葉に頭が冷えて冷静になったハルトは頭を掻きながらバツの悪い顔で

 

「わかった…悪かったなウォズ言いすぎた、カゲンもありがとう諫言感謝する」

 

「はっ!」

 

「いえ申し訳ありません、我が魔王の望みに添えられず」

 

「ただ一つ確認したい…キャロルが俺を忘れているのは本当か?」

 

「…………はい」

 

「そうか…ゴタゴタが終わったらチフォージュ・シャトーに帰るぞ、そん時にキャロルを問いただす」

 

「承知しました」

 

「これまでの労に転じて罪は問わん、だがな肝に銘じろウォズ」

 

「はっ!」

 

「もしキャロルに何かあれば俺はあの世界にいる猿共を鏖殺して滅ぼす、お前の進言を取り入れて俺を後悔させるなよ預言者」

 

その時、ハルトの黒い感情がウォッチに吸い込まれ新しいアナザーウォッチが生まれようとしていたのを彼はまだ知る事はない

 

 

「あーダメだな、少し考えれば分かるのに俺の馬鹿…多分未来の俺もあぁ怒るんだろうなぁ」

 

『そうだな貴様もウォズも馬鹿ダ』

 

「っせぇ検索エンジン……そだあの人に頼むか」

 

 

ハルトはそう呟くとアナザーウォッチを押し現れたオーロラカーテンを超えたのであった

 

 

ウォズ達3人は一室に集まるとカゲンが口を開く

 

 

「何があった?貴様がハルト様の命令に背くなど余程の事だ」

 

「そーだよ、それに俺達に魔王ちゃんがあんな怒るなんて滅多にないよ俺達を罪に問うとか正に未来の魔王様だし」

 

「えぇ貴方達まで巻き込んで悪いと思います…ですが」

 

「何があったのか?」

 

「聞きます?」

 

ウォズが聞いたキャロルの真意を聞くと

 

「それはーー」

 

「不器用だねぇ」

 

「まったくですよ」

 

翌日ハルトはウォズに真摯に謝罪し和解、一段楽するまでは現状の世界に留まる事を決定した

 

 

 

 

数十日は問題なく公務も進んでいるのだが

 

「何かがおかしい」

 

「そうだよね、ハル君がキャロりんの事を忘れたように仕事するなんておかしいよ」

 

「私もそう思う彼は良く言えば愛が深い、悪く言えば独占欲の塊だ、そんな彼がキャロルの異変に何もしない筈がない」

 

食堂の一室で昼食を食べていた千冬、束、錫音の3人は最近の疑問を話し合う、内容はハルトの最近の態度である

 

自分達と同じ位、愛しているキャロルの異変に何もしないなどおかしいと言うのが彼の意見である。仕事で現実逃避してると言えばそれまでだが同じ男を愛する身として不思議の違和感を感じているのだ

 

「そう言えば今日は久しぶりのハル君手料理日だ」

 

「そうだね最近は王様業で忙しかったから久しぶりだ……ん?何だろう…何かが足りないような」

 

「だね…ハル君調子悪いのかな?」

 

「顔に出さないだけで心配なんだよきっと」

 

 

「やはりおかしい…考えろ…私達の知るハルトならどうする………っ!!」

 

考えながら味噌汁を口に含むとピクリと反応し立ち上がり走り出した

 

「チーちゃんどうしたの!?」

 

「ついて来い!」

 

3人は慌ててハルトのいる部屋に入った

 

「ハルト!!」

 

「え?どうしたのさ皆揃って…何かあったの?」

 

「あぁある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛する男の偽者が目の前にいる事だ」

 

「「っ!」」

 

千冬の言葉に仰天する二人を見てハルトがヘラヘラと笑う、束も錫音も良く知る笑みだ、よく困った時にするから見覚えがある

 

「え〜酷いなぁ偽者とか俺は俺だよ」

 

「そうか……なら何故味噌汁に出汁を入れていない」

 

「「ん?……あぁ!」」

 

「出汁なんて味噌汁に入れてたか?」

 

「「っ!!!!!」」

 

その言葉で確定したと言わんばかりの目線がハルト?を射抜いた

 

「料理に妥協をしないハルトが、そんな初歩的なミスをする訳がない!貴様は何者だ!」

 

『カチドキ』

 

「誰だよお前、ハル君を何処へやった!!教えないなら新開発したロックシードの的にしてやる!」

 

『ドラゴンフルーツエナジー』

 

「事と次第によってはお前を」

 

『ドライバーオン…ナウ…』

 

と3人の圧に怯えたハルト?は

 

 

「わーー!ちょっと待って下さい!分かった分かりましたよ、そうです!俺は影武者なんです!お願いだから殺さないで!!」

 

 

土下座して許しを乞う、偽者と確定したと同時に

 

「束!」

 

「はいな!ハル君追跡だね!」

 

「錫音」

 

「わかってる彼から情報を吐かせれば良いんだよね?」

 

「ハルト様ならウォズ殿に謝った直後からキャロル殿に会いに行きました」

 

「尋問せずにアッサリ吐いたよ!って君は一体何者なのさ何でハル君にそっくりなの!」

 

「バレたらそうカミングアウトしろと…あ、そうでしたね私はこう言うものです」

 

指を鳴らすとハルトだったものは別の姿に変わる、その姿は端的に言えば人型のカメレオン

 

 

「お初にお目にかかります、私はカメレオンデッドマン…元デッドマンズという組織で幹部をしてまして…今は魔王ハルト様に忠誠を誓う者です」

 

「それでカメレオンデッドマンとやら何でハルトに入れ替わった?」

 

「王様業とキャロル殿に真意を問うという二重の問題を解決する為に私を影武者にとハルト様からスカウトされました…本来でしたら仕事完遂後に皆さまへのサプライズを予定が…まさか味噌汁の味ででバレるとは」

 

 

「それだけ我が魔王の料理スキルが高いという訳ですよ自分を責めないで下さい、カメレオン」

 

新しくウォズ達が入ってくるとカメレオンデッドマンは感動したような顔で

 

「ウォズ殿!」

 

「何気ない一挙手一投足、口調全てが我が魔王とそっくりです…年単位いた我々でも見抜けない程の擬態、天晴です…貴方は我が魔王の影武者に相応しい!」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「しかし…見抜けないとは…我等も従者失格だ」

 

「てか忘れてたね魔王ちゃん若いからフットワークが軽いんだった…」

 

「やはりキャロル殿の事は一段楽するまで伏せておくべきだったか」

 

「誰がこの異変の情報を漏らしたか知りませんが……我々は我が魔王の援護にあの世界に向かいます!フィーニスはブラン、ジョーヌ、ヴィオレ殿と一緒に留守居を頼みます」

 

「はい!」

 

「千冬殿達は?」

 

「ハルトの所に行く、あの馬鹿とキャロルには説教が必要だ」

 

「そうだね寛大な束さんでも怒り心頭だよ!!ウサギは怒ると脚で首を刎ねるんだぞ!」

 

「うん…彼は少し頭冷やしてもらう必要があるかな」

 

 

「「「ふふふ…ははははははは!!!」」」 

 

 

 

「「「…………………」」」

 

ウォズ達は互いに震えた体を抱き寄せるほどの恐怖であったというのは言うまでもない

 

ーーーーーーーーーーーー

 

シンフォギア 世界

 

「へっくしょい!」

 

『風邪か?』

 

「知らね……けど背筋が寒いのか震えてるよ」

 

『だろうな、しかし大丈夫だろうかカメレオンの奴』

 

「大丈夫でしょ、バレたらカミングアウトしろって言ってるし」

 

『しかし良かったのか?誰にも言わないで飛び出すなど危険だろ?』

 

「動かないで後悔したくないから、怒られるなら後で潔くだよ」

 

『そうだな…しかしまさかチフォージュ・シャトーのポータルが閉鎖されてたとは』

 

「そうだね驚いた…まさかオーロラカーテン経由で行くとは…それに久しぶりだな1人で動くの」

 

『昔を思い出すか?』

 

「だね……けどまずは…」

 

ハルトは後ろに感じた気配の主に声をかける

 

「何でキャロルが俺の事を忘れたと思う?ガリィちゃん?」

 

そこにいたゴスロリの自動人形 ガリィは笑顔で

 

「それはハルトさんの浮気癖にマスターが愛想つきたんじゃないですか〜あはははは!」

 

「無いな、それだったら千冬と束がきた段階でとうの昔に尽かされてるよ」

 

「あ、その辺の自覚あったんですね」

 

「そうだけどキャロルはそんな俺を愛してくれるんだ…俺には勿体無い良い女だよ」

 

「ですねマスターは勿体無いです」

 

「いや納得しないで……ガリィは俺を覚えてて何でキャロルは忘れてんだよポータルの機能まで停止させてる徹底ぶりときた」

 

「まぁハルトさんが知る必要はありませんよ」

 

「それで納得出来ないから、此処に来たんだよ会うのを邪魔するってなら」

 

「やりますか?私と?」

 

「あぁ意地でもキャロルに会いたくなって来たんだよ……なんてね」

 

『テレポート』

 

ハルトはアナザーウィザードの魔法で転移したのであった

 

「あ…まぁ良いでしょう、せいぜい絶望して下さいな」

 

とガリィは空を見上げるのであった

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

チフォージュ・シャトー

 

そこの玉座に君臨する金髪の幼女、キャロルは目を開けた先にいる男を見て一言

 

「誰だ貴様はどうやって此処がわかった?」

 

最初に会った時と同じような目をしているな懐かしみと寂しさを感じてしまう

 

「ここは俺の家でもあるんだよ、そんな事も忘れたのか?」

 

「知らん、この城はずっとオレのものでオレ以外が住んだ事などない」

 

「へーマジで俺のことまで忘れてるのか…やっぱり」

 

クジョーには腹正しいが早めに動けて正解だったかな…お労しいな

 

 

「年齢的にボケたんだなキャロル!」

 

「……………は?」

 

「いや皆まで言うな、知ってるよ途方もないほど長い年月を生きてるって事…だからってずっと一緒にいた俺を忘れるまでボケるとか酷いよ!それだったら俺と一緒にいてくれればボケ対策も一緒に考えたのに…ってのわあああ!」

 

最後まで言い切れずハルトは錬金術の光弾を慌てて回避したのであった

 

「殺す気か!!」

 

「当たり前だ!それと誰がボケ老人だ、オレの前で年齢の話題を出すとは命知らずだな本当にお前は何者で何故オレの事を知っている」

 

「知ってるよ、ずっと長い年月一緒にいたからなキャロルにとっては瞬きのような短い一瞬かも知れない…けど一緒に此処で暮らしてたんだ」

 

「………………」

 

「キャロルが思い出を燃やして力にするのは知ってる…だからって俺の…俺達との思い出を全部燃やす程、嫌なものだったの?」

 

「さぁな燃やす前のオレが何を思ってたか等知る由もない事だ」

 

「なぁキャロル「くどいぞ人間」いやそっちも人間だけど?」

 

「黙れ…覚えてないが過去のよしみで見逃してやる…オレの前から失せろ」

 

「……あぁそうかいそうですかい!!そんなに俺が嫌いになったのか今まで無理に付き合わせたならゴメンよ!なら最後の思い出だ!」

 

とハルトは迷わずガンガン前に進み彼女の前に立つとキャロルの唇を強引に奪った

 

「んぐ!!……お、お前な!!」

 

「忘れたいなら俺の思い出なんて全部焼き捨てろ!じゃあなキャロル……好きだよずっと」

 

オーロラカーテンで転移して消えたのを見ると

 

 

「……………ハルトすまない」

 

 

その頬に涙を流す錬金術師がいた

 

 

此処はシンフォギア世界のハルト宅、最初の拠点にしていた場所だ…時折掃除で戻る事もあるのだが、今は

 

「はぁ……フラれた……」

 

『まぁそんな事もあるさ』

 

「気づかなかったよ、そんなに嫌われてたとか」

 

『まぁ行く世界で現地妻囲えばそりゃ嫌われるナ』

 

「………………」

 

それがダメ押しとなったのかハルトの目に涙が浮かぶと

 

『はぁ…アナザーW』

 

『あ、ヤベ』

 

「う……うわああああああ!」

 

『あーあ、ハルトを泣かせた』

 

『先生!アナザーW君がハルトを泣かせました!』

 

『ちょっ、俺のせいかよ!』

 

『お前以外に誰がいる』

 

『けど事実だろ!』

 

『時と場を選べ、ほら見ろハルトの感情がマイナスに振り切れてるから』

 

『見てくれ!アナザーハザードが使えるようになったぞ!凄いだろ!最高だろ!天っ才だろ!』

 

『見て見て!俺っちアナザージャックリバイスになれるようになったぜ!』

 

『アナザープリミティブドラゴンになれるがこの本に物語のオチがないのは気に入らん!』

 

『暴走フォームのアナザーに覚醒して行ってるな』

 

『何てこった!!……つーかキャロルの奴、本当にハルトのこと忘れてたか?ボケ老人の下りとか覚えてるような振る舞いだったが』

 

『さぁな…しかし』

 

『あぁ」

 

嗚咽を漏らして泣くなど長い付き合いのアナザーライダーでも見たことない光景であった別世界に幽閉されたとか、そんなハード展開でも泣く事なかったのに

 

『泣けハルト、失恋や挫折は心の骨折だ!次は逞しくなる!』

 

『いやアナザーフォーゼ、これ以上心やわ骨折したらハルトの心は折れて戻らんぞ』

 

その後、ハルトは泣き疲れて寝たのであった

 

ーーーーーーーー

 

その頃 チフォージュ・シャトーでは、ハルトの光景を見ている者がいた

 

「良いんですかマスター?ハルトさん大号泣じゃないですか?あはははは!カッコ悪!」

 

「派手に泣いてるな」

 

「珍しい光景ダゾ!」

 

「構わん……構わないんだコレしかないんだ」

 

「マスターがナツキさんが言った未来を避ける為にハルトさんを巻き込みたくないからって、知らぬ存ぜぬの演技なんてしなけりゃ良かったんですよ…じゃなきゃハルトさんが悲しむ事もなかったのに…まぁ失恋して可哀想なハルトさん…あはははは!現地妻にでも慰めて貰いなさいな!!」

 

「「「やはり性根が腐っている(ゾ)」」」

 

「元々、奴はただの協力者…踏み込みすぎた関係だっただけだ」

 

「踏み込みすぎな気もしますけどねぇ〜」

 

「分かっている…それで計画はどうなっている」

 

「順調ですよ、まぁただ」

 

「分かっている、オレ自身が呪いの旋律を受けなければならない事はな」

 

ーーーーーーーー

 

翌朝、失意のどん底に落ちたまま王国に帰還したハルトを見るなり皆は安堵と同時に

 

「我が魔王、アレ程行かないでと進言しましたのに!!」

 

「ごめんな影武者立てて、今度からはキチンと話しを聞くよ我儘に付き合わせていつも悪いなウォズ」

 

そう謝るなりフラフラの足取りで自室に戻ろうとしているハルトに思わず

 

「……へ?」

 

「ね、ねぇ魔王ちゃん何かあったの?」

 

「ん〜何、キャロルにフラれただけだよ」

 

「だけとは思えないダメージだ」

 

「まぁそうだね人生初の失恋だから心の置き方がわからなくてさ……はは…うわああああ!」

 

泣き崩れて倒れるハルトにフィーニスは心配そうに声をかけるが

 

「あ、あの魔王様…その…」

 

「ご…ごめんな皆、後で千冬達にも謝りに行くって伝えてくれる?それとカメレオンは何処かな?お礼言わないとね……あ、仕事しないとな溜まってるだろうし」

 

 

執務室に足先を向けたハルトを見送ると

 

「何があってこうなったの!?魔王ちゃんのメンタルボロボロで情緒不安定じゃん!!俺達の知ってる魔王様なら泣かないよ!」

 

「この本にも書いてません…恐らく完全に我等と知る歴史から分岐している可能性があります」

 

「だからアレ程、ハルト様にキャロル殿の真意を示してあげろと」

 

「そんな事言ってないよねカゲンちゃん?」

 

「すまん」

 

「ですけど本当にキャロルさん…」

 

「彼女の決断なら我が魔王も肯定しますが…ただ」

 

 

[すまないなウォズ呼び出して]

 

[いえ、それよりどうされましたか?]

 

[オレはハルトと距離を置く…いや関係を精算する]

 

[……その真意は?我が魔王が貴女の事を深く愛しているのはよくご存知の筈です]

 

[だからこそだ、オレが死ぬ光景を見たハルトが悲しみのままアナザーオーマジオウになる未来を実現させたくない…その先にある殺し合いなど論外だ…オレはあの馬鹿にいつも笑って欲しいだけだ」

 

[それには貴女がいなければ[だろうな]でしたら何故!]

 

[やはりオレは命題がどちらかわからない、だから過去の行いに筋を通す事にした]

 

[……………]

 

[これはハルトには話すなよ、バレたら面倒だ]

 

[キャロル殿…それは我が魔王は望みませんご存知でしょう?]

 

[あぁ寂しがり屋だからな、だが大丈夫だろう千冬達がいる]

 

[そういう話では…っ!]

 

キャロルが頭を下げた光景を見てウォズは何も言えなくなった

 

[わかっている…だがコレしか思いつかないんだ頼むハルトには黙っててくれ]

 

 

 

「何と言いますか…何で夫婦揃って変な所が似るのですかね?」

 

「だよね〜」

 

「今回は悪手だな」

 

「はい、反省が多いですね我々も」

 

「………」

 

「フィーニスどうされました?」

 

「いえ…その……何というかクジョーが考えそうな手だなぁって」

 

「「「え?」」」

 

「あ、いえ何となくですクジョーが取りそうな作戦に似てるなぁって思っただけで、ほら一応は元幹部ですから僕も」

 

「そう言えばウォズちゃんが話す前から魔王ちゃんって」

 

「キャロル殿の異変を知っていたな」

 

「誰から聞いたか疑問でしたが…至急あの日議事堂にいた物を調べて下さい!」

 

「は、はい!!」

 

 

この日から色々と動き始めたのは言うまでもない

 

 

 

並行世界戦争、その災厄の未来は一歩ずつ音を立てて近づいているのだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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