綺麗なだけじゃない狼谷さん   作:狼谷さんカワ(・∀・)イイ!!

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キミと文化祭⑥ 有名

 

「(御神くんのおかげで、式守さんと緊張せずに回れてるのかも………)」

「(御神さんのおかげで、和泉さんと自然にお話出来てるのかも………)」

 

 

和泉くん・式守さんの心境。

お互い一緒に文化祭を回る事、お誘いをしてから大分緊張、ド緊張していたんだが、共通の仲間がいてくれた事、共に戦う? 戦友が出来てくれた事に対して心強く思ったのか、和泉くん・式守さんはそう感じていた。

因みに、式守さんはどうにか狼谷さんと一度話をしてみたい、と思ったりもしている。

 

 

ただ、傍から見たら―――。

 

 

「和泉~~! はい、残念賞!」

「―――――うん」

「…………………」

 

 

「みっちょん、みっちょん! 文化祭楽しんでるかーー!」

「お楽しみの目玉は例のカメラ撮影だな。頑張れよ」

「――――――――」

「………………うん」

 

 

 

緊張してない、自然に、と言うのは気のせいだったレベル。

完全に上の空、である。

 

 

でも、それでも御神くんとの約束だけはしっかりと覚えている。

握られた手の中には、しっかりとあのサプライズ企画開始時間が記された紙が握られているから。

カップルナンバーの用紙と同じくらい大切に……と言っても過言ではない。

 

 

「し、式守さん。そろそろ3組の喫茶店に………」

「は、はいっ! 和泉しゃ……ッ! それに今お昼、お昼どき、ですよね!!」

 

 

色々とテンパっては居るが、ちゃんと時間通りに間違いのないように、2人は向かう。

ドキドキとワクワクが8:2の割合で頭の中で渦巻きながら。

因みに、ドキドキの大半はお互いが原因だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1年3組 執事喫茶。

只今、大事件? 勃発中。

 

 

 

「―――いやぁ、まさかこんな事ってあるもんなの……??」

「うん。……正直、私もサプライズの中身聞かされた時、冗談の類、どっきりの類だと思ってた。そんなわけ無い、って」

「いやいや、先生がやってくれるもんだと思ってたんだけど。なんなら、今も冗談で~す、って言ったって驚かないわ……。今以上の驚きないもん」

「……サイン欲しい」

「握手してほしい……」

 

 

事件、とは少々言い過ぎた。

1年3組の執事喫茶では、現在色んな意味で衝撃を集めてるだけだ。

 

まだ、お客さんたちには知らせてないこのサプライズ企画の全容。

現在、知るのはクラスの皆だけだ。

 

サプライズを仕掛ける側が相当な衝撃を受けているのだから、当然店のお客さんたちが知られたら、どれ程の影響を及ぼすのか想像が出来ない。

 

 

「え~~、急遽先生の伝手で来てもらった。多分、つーかお前らも知っての通り、人気なソラ君だ。お前ら頑張ってるし、ちょっぴり贔屓しても罰は当たらない、って判断でな。因みに、本人はノリノリだ。文化祭で出してる店のBGMを担当するのも楽しみです、って快く引き受けてくれたぞーー! お前ら、礼を言う様に」

「……………」

 

 

 

音楽の夢川先生の隣に立つ人物は頭をゆっくりと下げた。

 

それこそが現在クラスで一番の衝撃、その原因であり、喫茶店が今も営業中じゃなかったら、大声で歓声を上げてたかもしれない。

 

それ程までの人物――――。

 

 

 

「マジで、ソラだ。ソラがウチに来るってどーいうこと!? 目の前に居るのに冗談の類だって思っちゃうよ先生!!?」

「わぁぁぁぁ!! ああ、いや、駄目駄目!! 今騒がしくしちゃったらサプライズにならない!! 頑張るっっ!!」

「ちょっとまってちょっとまって、マジでマジ?? 今話題の人気YouTuberのソラの演奏生で聞けるってマジ!??」

「背ぇ、おっきーー! それに綺麗な顔………っ! 青い髪も素敵~~……!」

 

 

 

《ソラのストリートピアノちゃんねる》

 

 

 

ネットに上がってる音楽系動画の中でも、大分上位に位置している人気YouTuber。

色んな所のストリートピアノで突然演奏を始めて、街行く皆の反応を楽しむ、って動画だったんだけど、その場その場がコンサート会場になって、静まり返り、引き終えたら大拍手の嵐。

現在、様々なジャンルの曲を演奏する為、老若男女問わずだが、特に若者を中心に人気沸騰のピアニストチューバ―である。

 

後々にテレビ出演する~~等色んな噂話があったとか無かったとか。

 

 

 

「(おーい顔引きつってるぞ? ソラ君??)」

「(うぅぅ……、ほんと、だったんだ。ここまで、なんて……。半信半疑だったのに……)」

「(いやいや、自分で動画出してたのに知らなかったの?)」

「(そっちは全部妹に任せてたので………。自分の弾いてる所は普通に見せて貰って、わざわざサイトで見たりは……)」

 

 

 

夢川先生とぼそぼそ、と内緒の話をし始めるソラくん。

もう、お気づきだろう、ソラくんの正体は御神くんだ。

 

喫茶店でのバイトでは《真田リク》と名乗り、動画中では《ソラ》と名乗っている。

要所要所で、金髪だったり青髪だったり、赤髪だったり……、ソラはそのままの通り空の色、青髪のウィッグをつけて演奏。

髪の色や髪型をちょっと変えるだけでも気付かれないモノ、らしい。

現に、金髪で臨んでいた真田リクくんは、人気YouTuberだとはバレなかった。

 

 

でも、それでも気付いた人は居た。

気付ける人は気付ける。

真田リクくんだろうと、人気なソラくんだろうと、気づける。

 

 

「似合ってるよ」

「……ぁ、ありがとう、ございます」

 

 

狼谷さんは気付く事が出来た。。

 

御神くんの目を見て見覚えがあることを覚え、彼自身が気になりだして、最後は、あの喫茶店でバイトをしている時に確信を持った。

たかが髪の色が変わったくらいだ。狼谷さんが特に惹かれたモノの1つと言って良い彼の目を見れば解る。

 

因みに、妹ちゃんのナミが兄の事を髪型変えただけじゃん、と苦言を呈していた様だが、現在の所、家族以外は狼谷さん以外看破したモノは居ない。

 

 

「秘策ってなんの事が結構気になってたから、解決出来てちょっとすっきりしたわ。まぁ、それ以上に私も驚いたけどね」

「本当に解らないもの、なんですね。……私は、直ぐに解りましたが」

「そりゃ、勿論。狼谷さんが彼の事を想ってたからで―――」

「わーわーわーわー!!」

 

 

夢川先生の言葉に、顔面真っ赤にさせて手を振る御神くん。

そんな彼を見て微笑む狼谷さん。

そして、更に注目を集める。

 

 

「いや、やっべ~~。狼谷とソラのツーショット!」

「うん! 絵になる! 凄く絵になってる!!」

「あの間に入って写真撮りたい!! サービスの1つにしない? そこまで事務所的にオーケーなの??」

 

 

クラスの人達の反応を聞いて。

クラスの人達の視線を感じて、御神くんは衝撃を受けた。

 

 

なるべく言わない様にしていても、どうしても思ってしまう。どうしても考えてしまう。

こればかりは仕方がない、と半ば諦め、せめて狼谷さんの前では禁句として身の内に仕舞っておこうと考えていた事。

 

 

【狼谷さんと自分とでは釣り合わない。相応しくない】

 

 

 

 

でも――――。

 

 

「………ぼくは、狼谷さんの隣に居ても、大丈夫なんですか……?」

 

 

自然と口に出してしまっていた。

口に出すつもりは無かった。

 

でも、気づいたら口に出ていて、狼谷さんにバッチリ聞かれていた。

 

 

「大丈夫も何も、私が傍に居たいと思い、君も同じ気持ちでいてくれるのなら、隔てるモノは何もない、と私は思うよ。互いに気持ちが大切じゃないか」

「ッ―――――――」

 

 

さも当たり前の様に、常識を解くように、幼子に教える様に、狼谷さんは淡々と説明をしてくれた。

ただ―――その顔は何処か晴れやか。いつも以上に晴れやかで、微笑みは万人を魅了する。

 

 

 

「~~~~~っっ、やっばぁぁぁ! 狼谷がめっちゃ可愛い! なんだアレ!? すっげー可愛い!!」

「こんちくしょーーー! 狼谷さんにあんな顔させるなんて、ソラだから許されるんだぞーーー! 羨ましいぞぉぉぉ!」

「同性から見ても、なーんか悔しいなっ! 狼谷が乙女な顔してる、させるなんてっ!?」

「もう、お似合いじゃん! 超カップル誕生じゃんっ!!」

 

 

わいのわいの、と喜んでいるのか楽しんでるのか、良い具合に盛り上がってる。

今日の後半戦の士気向上にもつながっているから、集客力アップに加えて、回転率も大幅に向上、売り上げトップも夢じゃないだろう。

 

でも、そんな中、少しだけ違う話題も上がっていた。

 

 

「あ、でも それじゃ御神くんが可哀想な気がする……」

「そういや、アイツは今美化委員の仕事だっけ? タイミング悪いのか、タイミングが良いのか………。んでも、あんまり見せたい光景じゃねー気がするなぁ」

「なんだかんだ一緒に居るって感じが多かったからね。狼谷と御神くん。高身長同士で目立ってたし。狼谷が世話焼いてる姿も堂に入ってて、今とは違う意味でお似合いな感じもしたしなぁ……」

「最近じゃ、御神っちが笑う所、多くなってきた~って感じがしたしねぇ。狼谷が頑張ったんだ~って思っちゃったし。……それにたまーに見える表情、狼谷と一緒に居る時見せるすごーくキュートな顔もヨシだったし」

 

 

本人が居る前で散々な事を言ってくれてる気がするが、大部分が心配する声ばかりだった。

それは甘酸っぱくて、温かくて、とてつもなく恥ずかしくも感じて……。

 

 

「御神くん自身が気にしてるだけだったようだね」

「~~~~ッッ。そ、そのよう……です」

 

 

表情から何を考えているのか、大体解ったのだろう。

狼谷さんは、クスリと笑いながら、御神くんにそう言い、御神くんはただただ顔を赤くさせ、青髪に赤面と彩りをその顔で表現するのだった。

 

 

 

そして、そうこうしている内に。

サプライズ企画のスタート。

 

 

 

 

「えっと、ここが御神くんのクラスがやってる喫茶店で……」

「サプライズ、って何なんですかね……? 今の所、それっぽい感じはせず、普通……執事の格好をしてる人達の喫茶店、って感じです」

 

 

 

和泉くん、式守さんが到着。

恐る恐る、と言った感じで喫茶店を覗き―――執事姿の皆が、タキシード姿の人達が忙しなく動き続けている。

大繁盛、と言った様子だ。

 

 

 

「! おお~~、待ってたよ、和泉くんと式守さん!」

「!! え、えっと……」

「あ~ごめんごめん。2人が来たら宜しく頼むって狼谷に言われてたんだ。ほらほら、入って入って」

 

 

タキシード姿の女の子に促されて、和泉くんと式守さんは案内される。

丁度空いていたのか、或いは予約まで取ってくれていたのか解らないが、教室を二分してる仕切りの直ぐ傍、端の席へと案内された。

 

 

「注文は、これだけで良いの? じゃ、ごゆっくり~~」

「あ、はい。ありがとうございます……」

 

 

パパパッ、とオーダーを済ませて戻っていく。

タキシード姿も合わさって、仕事が出来るお姉さん、と言う感じで何処か憧れを覚える。

そして、何よりも―――――

 

 

「……和泉さん。さっきの人が気になるんですか?」

「え? 気になるって言うか……、式守さんがあの姿をしてたら、スゴク格好良くて、素敵だろうな~って………ッッ!!??」

 

 

式守さんの姿を合わせて見ていた。

それが一番だった。

 

普段から可愛いだけじゃなく、とても格好良いのはよく知ってる。

いつも助けてくれる時なんか、スゴク格好良いし、体育の時は場を騒然させた。猫崎さんと式守さんのバスケ デスマッチ? にはクラス中が痺れたと言っても良い。

そんな彼女の執事姿……、タキシード姿を想像してしまえば、和泉くんも頬が緩む。目を輝かせる。そんな想像を膨らませていた時に、式守さんからの問い。思わず本音がポロリ、と口から出てしまって、出した後に気が付いて思わず口を閉じる。

 

でも、もう手遅れ。

 

式守さんも顔が真っ赤、和泉くんも顔が真っ赤。

 

 

「和泉さんが、お好き、なら こんど……おかり、お借りして、みましょう……か?」

「あ、あぅ、あぅ……そ、その………えと………」

 

 

何処か微笑ましく初々しいカップル。

男子たちからは、羨望の眼差しとちょっぴりの嫉妬。

女子たちからは、ただただ可愛い、と胸をキュンキュンさせて見入っていた。

 

 

そんな時だ。

 

 

 

《―――――――♬》

 

 

 

突如、ピアノのメロディが喫茶店内に流れた。

 

バラード系の曲……それはラブロマンスの主題歌ラブソング。

ミリオンヒットした曲のピアノアレンジver。

 

CMで流れてたり、デパート等でも流れてたりしてるので、曲の事を知らなくても、恐らくは誰もが一度は耳にした事がある曲だろう。

和泉くんも勿論例外ではなく、突然ピアノのメロディが流れ出したのには驚いたみたいだけど、直ぐに聴き入ってしまっていた。

 

 

「わぁ……凄い………」

「素敵な音色………、まるで誰かが演奏してるみたい、ですね……」

 

 

曲のテーマを考えたら、当然うっとりとしてしまう。

何せ、内容が内容。恋物語の曲。

ただただ、その曲を楽しんでいたその時。

 

 

「来てくれてありがとう。嬉しいよ」

「あっ! 狼谷さん! そんな、ぼく達の方こそありがとう、ですよ」

「そうです。……狼谷さん。こちらこそ、素敵な演出の時間に誘って貰って……本当にありがとうございます。その格好も、素敵です」

 

 

 

 

和泉くんと式守さんは、夫々が頭を下げつつ―――、狼谷さんの周辺をきょろきょろ、と見渡した。

 

 

「ひょっとして、御神くんを探してるのかな?」

 

 

2人の挙動を直ぐに察知した狼谷さん。

少し笑いながらそう聞くと、軈て2人とも首を縦に振った。

 

 

「うん。サプライズ企画の時間を教えてくれたのは、御神くんもだし」

「お2人とも、一緒にお礼を言いたいですよね。和泉さん」

 

 

今は別の仕事中なのかな? と少し残念がっていた様だが……。狼谷さんは笑顔で告げた。

 

 

「サプライズは更にここからだよ」

 

 

そう告げると、仕切りをスライドさせて、向こう側を見える様にした。

 

すると―――そこには広いスペースがあり、てっきり飲食関係、若しくは執事の小道具等を保管してるスペース? と思っていたのだが、それは全く違った。

 

 

現れたのは、ピアノとそれを見事に操ってる人の姿。

ピアニスト……? プロ顔負けの演奏を続けている人の横姿。

 

 

 

 

「―――え、アレって……」

「嘘……、いやいやいや、マジ??」

「なんで文化祭に?? えっと、ひょっとして動画とか取ってたりする?? 演出??」

 

 

 

 

その姿を見たその時から、お客さんが皆ざわつき始めた。

ソラの名とその姿は、本人が想像もしていないくらいに有名なモノなのだと言うのが改めて解る。

 

そして、更に驚くべき事に……。

 

 

「い、和泉さん。あの人って……」

「……?? 御神くん??」

 

 

御神くんの家族、そして狼谷さんに続いて更に2人。

彼の事、彼の正体を見抜いた人が現れた瞬間でもあった。

 

 

 

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