綺麗なだけじゃない狼谷さん   作:狼谷さんカワ(・∀・)イイ!!

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文化祭終了♬

そして超熱い!!!Σ(゚∀゚ノ)ノギャー


キミと文化祭⑧ 告白

 

透き通っていて、何処までも音色を響かせる。

 

それはまるで天使の様な、女神のような歌声……。

思わず聞惚れる、なんて初めての経験だった。

それでも尚、演奏の手を止める事なく続ける事が出来たのは、きっとぼく自身がこの歌を、止めたくなかったんだと思う。

 

 

誰が入ってきた!?

ここって、今まで誰も入ってきた事なかったのに!?

 

 

とか、普段なら沢山思って考えてテンパってしまいそうなんだけど、そんなのは全て些細な事だと思った。いつまでも聞いていたいし、弾いていたい。そんな気持ちになる。

様々な色が合わさり、1つの歌に形成されて、場を彩る。

 

 

【母ちゃんとセッションするのは最高だったぞ】

 

 

確か、父も経験があるとか、無いとか。

母を射止めたラブソング。父が伴奏をし、母が歌った話。

 

 

不意に、彼女と目が合う。

ニコリ、と互いに微笑みあいながら、たった2人だけのコンサートを心行くまで堪能したのだった。

 

 

 

 

 

 

「…………思わず、歌ってしまった」

 

 

 

どれだけ楽しい事でも。

どれ程至福の時であっても。

 

始まりがあるものには、終わりはある。

 

耳に歌声が、演奏が残って離れないのは―――――やっぱり、名残惜しいからなのだろう。

本当の意味でいつまでも聞いていたいし、いつまでも弾いていたいから、なのだろう。

 

でも、現実に戻される。

歌が終わった直ぐ後に予鈴の音が不協和音の様に響いてきたから。

 

 

天使の様な女神様の様な歌声の正体。

それは勿論狼谷さんだった。

 

何でこの場所に来たのか?

何か用事があるのか?

 

等、沢山の疑問がきっと普通なら生まれる事だろう。

でも、それらを全て押しのけて、御神くんの心は1つに定まっている。

 

 

 

「今の……、私がよく聞く好きな洋楽だったから。つい……。こんなこと初めてだ。きっと、御神くんがいたから、心地良かったから、なんだろう」

 

 

 

頬を仄かに赤く染める狼谷さん。

それと以前までの自分では考えられないな、と自虐的にもなる。

2人しかいない場所とはいえ、学校でいきなり歌をうたうなんて。

【私らしさ】が全く気にならなかった。

今も感じるこの気恥ずかしささえ、心地良さに変わる。

 

1つ1つ全てが心地良くて嬉しかった。

 

 

「………? 御神くん?」

 

 

それと同時に、その全てをくれたと言っても良い御神くんの事が気になった。

入室するやいなや、突然歌いだした事、ここに来た事、彼にとっては聞きたい事が山積みではないだろうか?

だけど、彼は何も言わずにゆっくりとした動作でピアノの蓋を閉じた。

音が止んだ時点でも思ったが、片付けに入ったその所作を見て更に名残惜しく思う。

 

 

そして、目が合う。

いつもの彼の目より―――そこには真剣味がある目。真っ直ぐに見据えてくる目に、思わず圧されそうになったが、それ以上の衝撃が矢継ぎ早にやってくる。

 

 

 

「―――好きです。狼谷さん。……ぼくと、ぼくと………」

 

 

 

それは、突然の告白だった。

流石の狼谷さんだったが、突然の告白には呆気にとられる

 

だが、更にこれまでを上回る最大級の衝撃が狼谷さんの全身を叩く。

 

 

 

 

 

 

 

「ぼくと、結婚してください」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時の事、きっと狼谷さんは生涯忘れる事は無いだろう。

告白をされて、頬が熱くなったかと思えば、さらにその限界を越えた様な気分だった。

 

その後は正気(・・)を取り戻した御神くんが沈黙しながら頭の中で大パニックを起こした。

無論、狼谷さんも平常心でいられるわけもなく、暫く2人の間では長い長い沈黙。

 

 

「まさか、告白と同時に求婚までされるとは夢にも思わなかったよ……」

 

 

体感時間では何時間も立った様な気分だ。

先に声を上げたのは狼谷さん。

これまでの比じゃない程に顔を赤くさせながら、目に掛かった前髪をそっと上にたくし上げる。

それは、顔色をちょっぴり誤魔化そうとしているのかもしれないが、無意味だ。

 

 

 

「ぼくは、なにを!?? ご、ご、ごめんなさいっっ!」

 

 

 

御神くんは思いっきり頭を下げた。

ぶんっ!! と風切り音が聞こえる速さと勢いで。

 

 

そんな御神くんを見て、告白をした相手が自分よりも遥かに慌ててるのを見て、少しだが落ち着きを取り戻した。

 

 

 

「私達はまだ学生。それも高校1年生だ。15歳じゃ結婚は認められてないかな。昔の元服は15歳だったようだけど」

 

 

 

笑みを向けながら正論を諭す様にいう。

益々顔を赤くさせて、慌てふためくのは御神くん。

 

 

「あっ、ちがっ! ちがくないっ!? いや、そ、そのっっ!! と、父さんが、こうやって、母さんを―――ッッ、や、でも両親のせいにするなんて出来なくてっ、でも、本心でもあって―――って、ぼ、ぼくはなにを、どうしたらっっ!?」

 

 

自分よりも大きい筈の御神くん。

身体をめいっぱい小さくさせてる姿は、本当に愛らしい。

 

 

 

「結婚は、まだ(・・)無理かもしれない。だからその代わりに―――」

 

 

 

狼谷さんは、頭を下げ続ける御神くんの顔に両手を添えて、そっと持ち上げる。

自分の目と目がしっかり合う様に、視線を固定して―――。

 

 

 

「私をキミの彼女にしてくれませんか?」

 

 

 

御神くんも、きっと今日の事は忘れられないだろう。

自分が感慨極まってしまったせいで、憧れであり尊敬をしていた父親の姿を思い描いていた事もあって、超先走ってしまった事……もあるが、それ以上に。

 

狼谷さんの赤い顔、微かに目元が潤み、そしてその添えられた両の手は凄く熱いこと。

 

返事を返した後の柔らかくなった表情、目を細めて笑うその笑顔。

凄く綺麗なだけじゃなく、凄く可愛いと思ったその笑顔を。

 

 

生涯―――忘れる事はないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とても賑やかな文化祭も全て終了。

そしていつもの日常が戻ってきた。

 

いや、いつもの、ではない。新しい日常が始まる。

 

 

 

「す、凄い……、そんけーするよ! 御神くんっ!!」

「ぅぅぅ、恥ずかしい……和泉くんが語ってくれたから、つい聞かれてない事まで喋っちゃった………」

「ぼくは 御神くんも含めて沢山の人が背中押してくれて、なんとか、って感じだったのに、一味も二味もちがうっ!!」

「そ、そんなこと無いよぉ? ぼくも和泉くんと変わらないから。色んな人に助けられて。………あの時は、父さんがぼくの背を押したんだ。……うぅぅ、正直押す力強過ぎたんじゃ? って思っちゃってる」

 

 

 

そんな新しい日常の一コマ。

御神くんと和泉くんは図書室で話をしていた。

 

丁度昼の休み時間。

狼谷さんはバレー部の昼練でおらず、和泉くんは図書委員の仕事で図書室にいて、御神くんは、日課(ルーティン)の読書で図書室に居る。

 

お付き合いをし始めてから、当然狼谷さんと一緒に居る事が多くなった。

それは和泉くんも同じで、だから御神くん・和泉くんの2人きりな場面は結構珍しくなってきている。

そこで、和泉くんは既に噂になっているあの(・・)狼谷さんと付き合ってる男が居る。と言う真偽を、御神くんに聞きに来たのだ。

野次馬根性、と言う訳ではないが 御神くんも和泉くんにとっての恋のキューピット。逆も然り。やっぱり気になってたから。

 

そして、聞いてみればまさにの展開。

自分よりも何歩も先に行ってる御神くんに、和泉くんは目を輝かせた。……御神くん本人はそんな風には思ってないのだが。

 

 

「憧れるよ。だって、ぼくもいつかは式守さんに…………」

 

 

和泉くんも、憧れる。

付き合ってください……ではなく、結婚してください、とプロポーズをしたい。してみたい。

相手は勿論式守さん。

御神くんの様に、綺麗なピアノを演奏し、歌をうたい、最後に告白~~なんてロマンティックな事は出来ないかもしれないが、夜景の綺麗なレストラン等々、出来る事だってきっとある。

 

 

 

「ッ~~~~~!!」

「だ、大丈夫? 和泉くん」

 

 

 

でも、告白―――そう考えるだけで、和泉くんの顔面は火を噴いた。

 

考えるだけでもコレ。傍に誰かが居るってわけじゃないのにコレ。

本人を前にやってみせた御神くんの精神力は神懸かってる! と言うのが和泉くんの評価である。

 

 

「おっす~~~! こーんにーちはーーっ!」

 

 

そんな時だ。

勢いよく、図書室の扉が開かれたのは。

 

 

「ね、猫崎さん!?」

 

 

火を噴いている場合じゃない。

クラスメイトであり友達でもある猫崎さんが突然とはいえやってきたのだ。早く平常心を取り戻そう、と両頬をぱちんっ、と挟み込んで気付けをした。

 

 

「あっ、御神っちみーーっけ!」

「!!?」

 

 

びゅんっ! 

にゃっ!

 

 

っと、素早く一瞬の内に、目の前までやってきた猫崎。

流石の身体能力。式守さん達に《猫》と呼ばれてるだけの事はある。

 

 

「猫崎さん? 図書室では静かにお願いね―――」

「あーーっと、そーだったそーだった……。ごめんごめん」

 

 

ペロッと舌を出して謝罪をする猫崎さん。

天真爛漫な人、とはこの事だろうか。……確か、狼谷さんは猫崎さんの事を遠慮のない人、とも呼んでいた。

 

 

「もうちょっとで狼谷も来るからさ? その前にちょ~~っと聞いてみたくて」

「え? ぼくに?」

「そーそー! ……ずばりっ! どーやって狼谷の事オとしたの!??」

「ッッ!??」

 

 

本当に遠慮がない人だ。あまりに真っ直ぐストレート過ぎて、思わず即答して即倒しそうだった。

 

 

「いやーね? ちょっと前までは何だか無理してる感じだったのに、ある日(・・・)を境に自然な笑顔が見れる様になってさ?」

「狼谷さんはいつも笑顔、じゃないかな?」

「そりゃ、御神っちに向けてる時は絶対笑顔が多いよ。でも、これまで皆はさ、狼谷の事クールで何考えてるか解らない、とか ミステリアス、とか言って疎遠気味にしてた時だってあるんだよ? でも最近じゃ、あの凄い笑顔で、皆から話しかけやすくなったって明らかに変わったんだよね。御神っちと付き合いだした、って噂はそのころ位から結構流れてて~~」

 

 

指を立てながら一から説明し続ける猫崎さん。

勿論、和泉くんに注意されたし、声のトーンはちゃんと気を使って話をしている。

 

 

「それに、何だか苦しそうだ、って思った事もあった。だから今の狼谷はほんと最高だよ。同じ部だし、同性だし、ちょっぴり悔しいケド、それ以上にその狼谷を変えた御神っちの事も気になりだしてさ?」

 

 

また目を輝かせて猫崎さんは顔を寄せてきた。

物凄く近い気がする……。

以前の御神くんなら、それこそ即倒そうになったかもしれないが……今は違う。

 

 

「狼谷さんは何も変わってない、って思うよ。今も昔も、とても優しくて、綺麗で、格好良くて……」

 

 

猫崎さんが見てきた狼谷さんの姿と、御神くんが見てきた狼谷さんの姿は、少し違うのかもしれない。

 

 

「それに、ぼくは何もしてないよ。……狼谷さんが、ぼくを見つけてくれた(・・・・・・・)だけ、だから」

「へ? それってどういう――――」

 

 

こればかりは、猫崎さんが解る訳もない。

狼谷さんと御神くんの2人だけのモノ。和泉くんにさえ、話をしていないから、本当の意味2人しか知らない事だ。

 

 

 

「何の話をしてるんだ? 2人とも」

「「!」」

 

 

そんな時だ。

いつの間にか、狼谷さんが図書室に来ていた。

全く気付かなかった。猫崎さんと話をしていたから、と言う理由もあるかもしれないが、話し相手を変わっていた和泉くんでさえ、気づいてなかった様で、ぎょっと顔を強張らせた。

 

 

「ああ、猫崎だったか。昼練が終わって直ぐに何処かに向かったかと思ったら、図書室(ココ)に来ていたのか」

「え、あ――――うん。そうそう。ちょこ~~っと、図書室に用事が………」

「珍しいな。私に話があるから、と図書室(ココ)に来る事は多々あった気がするが、……私が覚えてる限りでは、初めての事じゃないか?」

「ひぇっ………」

 

 

段々尋問モードに入っていってる気がする。

表情や声色は全く変わってない筈なのに、物凄く怖い。肉食獣ににらまれた様な気がする。……それこそ狼に睨まれてる猫の図。

図書室だと言う事を、当然図書委員である狼谷さんは知ってるから、ちゃんと声も小さく落としている。……丁度、猫崎さんだけにハッキリ聞こえるくらいには。

 

 

「(怖い――――っ)」

 

 

殆ど他人事な立ち位置に居る筈なのに、何だか泣きそうになってる和泉くん。

その後も変わらない圧を纏って猫崎さんに尋問し続けようか、と言う所で。

 

 

「狼谷さん。お疲れ様です」

 

 

堂々と、一切ひるむ素振りを見せず、入っていく猛者が此処に居た。

その人とは、勿論御神くんだ。

 

 

「今日の練習は大変だ、って聞いてたからね? お腹空いてない? ぼく、ちょっとした軽食なら持ってるから、また御馳走するよ」

「あ―――……ああ、ありがとう。御神くん。そうだった。確かに少しお腹空いたんだった……」

「流石に図書室(ココ)じゃ、飲食禁止だから教室に戻ったら、ね?」

 

 

何でもない様に普通に話をしていく。

鈍感なのか天然なのか……兎も角命拾いをした猫崎さんは。

 

 

「あ、ありがとう御神っち!! 狼谷っ!? なんもないからね! ただ、私は馴れ初め話をちょ~~~っとした好奇心で聞いてみたかっただけだからっ!!」

「あ、ああ。そうだったのか。……でも、恥ずかしいな。私が知らない所でとは言っても、改めて聞かれる、と言うのは」

「ぅ゛……そ、それはゴメン! でもでも、やっぱり気になっちゃったから……。兎も角! 御神っち! ありがと~~~~!!」

「え? え? 何がありがとう……?」

 

 

最後までよく解ってなかった御神くん。

最終的に、和泉くんがお礼は受け取るだけで良いと思うよ、と半ば強引に諭して終了、となったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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