綺麗なだけじゃない狼谷さん   作:狼谷さんカワ(・∀・)イイ!!

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2年生
キミと部活


 

 

「私たちも2年生か」

「……ですね。あっと言う間な感じがします。特に2学期からは……」

 

 

狼谷さんと御神くんは登下校を共にする。

以前まで、前髪が隠れてて見栄えがしなかった、パッとしなかった容姿だと虐められていた彼はそこにはおらず、しっかりと表情を出し、妹のナミのコーディネイトで整え、身形を気にする様になっていた。

 

無論、隣の狼谷さんに少しでも恥をかかせたくない、と言う想いもあったからだ。

 

 

「ふふ。そうだな。私もキミと一緒になれてから特に早く感じたよ。まぁ、2人きりで登下校するまでに大分時間がかかった様な気もしているが」

「ぅ………、す、すみません」

「いや、良いんだ。お互い慣れていないだけで、これから頑張っていこう。私にとっては有意義で、良い事だらけだったよ。……御神くんのおかげで、後輩の友達(・・・・・)が出来た事もそうだ」

 

 

文化祭を経て晴れて付き合う彼氏・彼女な関係になった筈なのだが、やっぱり御神くんは慣れてない、と言う事もあって直ぐに顔を赤くさせたり、皆の前では和泉くんバリの不幸体質? にでもなったのか、滑って転んで怪我して~だったりする。

 

一緒に登下校するのにも、時間がかかったのは言うまでもなく……。勿論、狼谷さんは部活動、御神くんは動画撮りで時間が合わなかった、と言う事情もあったが、今は大分セーブしている。

 

 

トモダチ(・・・・)………ですか」

「そんな顔しないでくれ。私は嬉しいから」

「あ、いや……そうですね」

 

 

 

そして、狼谷さんが言う《後輩の友達》とは当然ながら、知ってる。

何せ―――……。

 

 

「おはようございますっ! 狼谷先輩!!」

「ッッ!!??」

「!」

 

 

身内だから。何なら妹だから。

もう少しで学校に着くからか、或いは狼谷さんと同じくバレーボール部に所属したからか、合流した。

 

登下校の大部分はそれなりに空気を呼んでる様子。

 

 

 

「今日もリク兄ぃ……じゃなくて、部活でよろしくお願いしますねっ!」

「ああ、こちらこそよろしく頼むよ。ナミ」

「えへへ。学校でもお姉ちゃん、って呼びたいんですけど―――」

「……流石に、それは」

「あははっ! まだ(・・)ですよね?? じゃあ、私は先に行ってます! リク兄ぃ! 狼谷先輩をちゃんとエスコートしてあげなきゃダメだからね? 離しちゃだめだからね!?」

「わ、わかりました―――」

 

 

妹のナミは、当初こそ兄のリクくんに彼女が出来た~と言う話を聞いて、この世の終わりが来たのか? って思う様な悲痛な嘆きと、あの世からの使者か? って思う様な憤怒の炎を携えていた。

 

どんな人なのか? と根掘り葉掘り。

 

普通に恥ずかしくて、和泉くんには話したとは言っても、幾ら家族とはいっても、そう気軽に狼谷さんの事を語るなんて恥ずかしくて、無理―――と言おうとしたんだけど、ナミの阿修羅の様な顔を見て逆らっては駄目、と瞬時に判断して情報を吐かされた。

何故か、母は楽しそうにその光景を眺めている様だったが、リクくんは全く楽しくなかった。

 

 

悲痛な表情は一体何処へやら……、基本ベースが憤怒の化身になっていったナミだったが、狼谷さんと実際に会ってから直ぐに変わった。

最初こそ物凄く警戒していた様なんだけど、幾らか会話を重ねていく内に仲良くなり、学校の外で会う時は《お義姉(ねえ)ちゃん!》と呼ぶ程。

 

その呼び方で狼谷さんも御神くんも、かなり気が早い、と言う事を、あの告白&求婚を思い出してしまったのか、盛大に顔を赤くさせたのはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

「妹の次は、和泉くんか………」

「まあ、式守さんが居れば彼は大丈夫だとは思うが、心配になってくるな。どうしても」

 

 

 

 

妹と言う名の嵐? が去った後。

2年生になっても恒例的に見る光景が目の前に広がってる。

勿論、呟きの通り和泉くん

 

ここは狭い道路。

 

歩道も当然狭く、端によって歩いていたんだけど、丁度和泉くんのカバンの紐が自動車のサイドミラーに引っかかって、危うく大事故・大怪我となりそうな驚愕、衝撃の光景。

でも、間髪入れずに式守さんが和泉くんを救った。

彼を抱きかかえると、どうにか鞄を離させて、引き摺られそうな所を間一髪で救って見せた。

 

そして、互いに至近距離で見つめ合う。

 

 

 

「あんまり困らせないで」

「……好きっ!」

「ええ!?? なんでこのタイミングで!?」

 

 

その事故の衝撃より、式守さんの格好良さが和泉くんを射止めた様子。

確かに式守さんの意見もその通りだと思うけれど。

 

 

「朝から災難だったね。和泉くん」

「2人にケガなくて良かったよ」

 

 

居合わせて、普通に話しかける事が出来るのもある意味怖いのかもしれない。

慣れと言うモノは本当に怖い。

 

せっせと巻き散らかった文房具や教科書やらを狼谷さんと御神くんは一緒に集めて2人の傍に。

2人の邪魔になるのでは? と少なからず思わなくもなったが、殆ど事故な状態なので。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「御神! 後生だ! 頼む!!」

「え、ええ?? 突然どうしたんですか、芦川先生?」

 

 

その日の放課後。

狼谷さんはバレー部へ、御神くんは音楽準備室へとそれぞれで頑張ろう! と別れた矢先の事。

バレー部顧問の芦川先生に呼び止められた。

 

 

「夢川が、御神ならここにいつも来てる、と言ってな。居てもたってもいられなくなったんだ」

「えっと。はい。ここでピアノの練習をさせて貰ってます。………いえ、それより頼みって何ですか? ぼく、芦川先生に何か頼まれてましたっけ??」

 

 

一瞬、男子バレー部への勧誘の事か? と思った。

でも、女子バレー部の皆に熱心な勧誘を受けた事はあるけれど、女子バレーの顧問である芦川先生からのお誘いは確か無かった筈。

 

そもそも、先生と話す事自体あまりないので、もしも頼まれ事があれば早々忘れるモノじゃないと思う。

 

 

「すまん! 内容を言ってなかったな。……後生だ。バレー部のマネージャーになってくれないか!? 女子の」

「……………えぇ??」

 

 

忘れる訳もない。

そんな事間違いなく今日初めて言われた。

男子バレー部に入ってくれ、とは何度も何度も言われて、申し訳なさに苛まれつつ断り続けた……が、女子バレー部のマネージャーをしてくれ、とは聊か青天の霹靂、と言うヤツではないだろうか。

 

 

「え、ええ? 何でです? いや、でも、女子バレー部って結構人数居るし、マネージャーが居ないと大変、なんて事も無いと思うんですが」

「お前と狼谷が付き合いだしたと言う話は、耳に入っている」

「―――――ぇぇぇ??」

 

 

結構公認になった2人の間柄。

でも、まさか教師側が言ってくるなんて思いもしなかった。節度あるお付き合いを~~くらいは言われるかな? と思っていたんだけど、それも無く今回の芦川先生が初めて。

だからこそ、余計に恥ずかしく感じるのだろうか? 御神くんの顔は赤い。

 

 

「多分、その日を境になんだ。常に冷静で、常に一歩引いていた狼谷に()が現れたのは。……間違いない、御神。お前のおかげなんだ」

「え、ええ? 狼谷さんに熱?? 体調不良……とかですか?」

「な訳あるか」

 

 

発熱して体調不良なんだったら、直ぐにでも休ませなければ! と思った御神くんだったが、芦川先生にチョップされて止められた。

 

 

「狼谷は前のままでもレベルの高い選手だった。だが今は違う。ひとつ壁を抜く事が出来なくなってると思ってたが、ここ最近の成長は目を見張るモノがあった。超えれそうな手応えを感じた。男にうつつを抜かすなどと~~と古臭い事を考えてしまったが、狼谷にとっては間違いなく良い風が吹く切っ掛けだったんだ。お前が傍に居れば、もっともっとアイツは飛翔()べる。もっともっと高くまで。だから、頼む。お前の力を貸してくれ」

 

 

芦川先生の眼力に気圧されそうになった。

正直、自分が傍に居るだけで狼谷さんの力になれるのなら、諸手を挙げて賛成する所存ではあるが。

 

 

「………すみません。少し考えさせてください」

「……そうか、いや、やっぱりいきなりはすまんかった……って、ちょっとまて、これまで男子バレーに誘われた時は、『考えさせてくれ』なんて一度も言ってなかったよな!? つまり、それは脈アリ、可能性はアリと見て良いのか!? 良いんだな!??」

「ッッ!!? え、あ、いえ。最初から無下に断るつもりは無かったんです」

 

 

一気に興奮しきった芦川先生を宥める。

 

断り続けてきたのも当然事情はある。女子バレー部だから~と言って御神くんが邪な考えを持ったわけではない。(それは芦川先生も解っている様だが)

 

 

これまでは、家に早く帰ったり、ピアノの練習をしたりしていたのは、バイトだったり、動画撮影だったり、つまりは家計の助けの為にだった。

だから、あまり時間を束縛される事は出来ないと思ったんだ

 

でも、狼谷さんと言う彼女が出来て、それを家族が知った途端に

 

 

()を大切にしなさい』

 

 

と母に言われたんだ。

 

 

『家計を助けてくれるのは本当に嬉しいわ。でも一生に一度しかない高校の青春を謳歌する為には、やっぱり彼女との時間の方を大切にしなさい』

 

 

 

そう笑顔で言われた。

動画の件も暫くはストックがあるし大丈夫だとナミにもお墨付きを貰った。

 

でも、これまでも苦だった訳じゃない。自分のやりたい事でもあった。

父が残してくれたピアノで、その演奏が助けになるのなら……と。

 

その想いも告げると、母は優しい笑顔で背を押してくれた。

楽しい事、全部しなさい―――と、最後に言葉を添えて。

 

 

 

 

そして今。

楽しい事してみたい事、数えきれない程あるにはある。狼谷さんと一緒に居たら、、本当に沢山思いつく。

でも、だからと言って周りに迷惑をかけて良い訳じゃない。

 

 

「でも、いきなりぼくが入って、その……他の皆の迷惑は………」

「絶対にならん! 女子部活に男子マネは確かに少ないかもしれないが、前例がない訳じゃない。それに体育の成績は良いみたいだし、その点も問題ないだろう。加えて御神と狼谷、お前らカップル、学校で人気ランク上位に位置しているんだぞ。狼谷の色んな姿が見れて嬉しいだの、お前はお前で高身長で顔も見える様になって評価爆上がりヨシだの。ああ、羨ましいなんて思わないからな!」

「ぇえ……!?」

 

 

最初の方は狼谷さんと一緒になれた時点で、様々な圧を含んだ視線を受け続けていた。

でも、それは次第に薄まり軈て無くなっていった。自分が気にしなくなっただけだと思っていた。

芦川先生は羨ましくない! と言いつつ羨ましそうに――――している様子はない。

何だか楽しんでる様に見えた。

 

最初から無理だと思っていた勧誘がまさか成功するかも!? と思って舞い上がってる感じだ。

 

 

「では、良い返事を期待している、と言っておこう。私は部の練習に戻るよ。―――また、時間が空いたら、お前の弾くピアノでも聞きに来るとしようか」

 

 

芦川先生はそういうと手を挙げて、準備室から出て行った。

 

 

その後暫く―――ほんの数分だけ考えて。

 

 

「やっぱり、狼谷さんと少し相談してみよう、かな……?」

 

 

芦川先生には、凄い事を言われたから、少なからず気恥ずかしさは感じるけど、狼谷さんの力になれるのなら、やっぱり嬉しい。どれだけ小さな事だったとしても。

 

 

 

「……あ、ナミにも一応」

 

 

 

妹のナミの事だって忘れてないよー と、想像上の中で頬を膨らませているナミに向かって笑いかける御神くんだった。

 

 

 

 

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