綺麗なだけじゃない狼谷さん 作:狼谷さんカワ(・∀・)イイ!!
やってきましたボウリング場 《ROUNDⅡ》
この場所はボウリングに限らず、色んなアソビが出来るアミューズメントパーク。
学校からも近いし、人によっては家からも近いから目下生徒たちの憩いの場としても利用される。
因みに、初めて狼谷さんとアソビに来た場所でもある。
カラオケボックスも常設されてるので、そこで歌をうたった。何処か顔を赤らめてる2人は本当に初々しく、見る者が見れば ほっこりとした気分になるだろう。
勿論、2人でのアソビ……つまり初デートだったから、2人だけの秘密ではあるが。
閑話休題
そんなこんなで集まったのは女の子 5人 男の子3人の8人グループ。
「こんな人数でボウリングは初めてだなぁ………」
人知れず、こっそりと目を輝かせて、ROUNDⅡを見上げるのは御神くん。
狼谷さんと2人でやってきた時とはまた違う感覚。
高校生になって、沢山トモダチが出来たのは間違いないのだが……、動画投稿の為のピアノの練習、実際の撮影等やる事が沢山あって、学校が終わったら直ぐに帰っていたし、トモダチとこうやってアソぶ事もあまり無かったと思うから。
「―――――ふふ」
そんな彼の事を、まるで解ってるかの様にただ傍で微笑みを向けてくれるのは狼谷さん。
ただ微笑みを向けているだけなのに、まるで献身的に支えている様にも見えるから不思議だ。
「
「でも、少年みたいな目してるけどな。御神の方は」
ニヤニヤ、と見ているのは猫崎、そして八満。
同時期~と言うのは当然ながら、和泉くんと式守さんのカップルだ。今も双方共に顔を赤らめて、つかず離れずの絶妙な距離感でいる。
「それ言ったら、和泉だってそうじゃん、ハチミツ~~。何だかみっちょんそっちのけで、目ぇ輝かせてるよ、アレ!」
「おおぅ……。いつの間にやら、式守あんな傍に。……んでも、気づいてねぇトコみると、猫の言う通りっぽいな」
「ムッツリな顔してるね~~」
和泉くんは、目を輝かせてROUNDⅡの方を見てる。
今日一緒に遊ぶ事が楽しみで楽しみで仕方がない、その目的地に着いたから我慢できない! お預けを喰らった犬! と言った感じだ。
「誰がお預け喰らった犬だ」
「一体誰にでつっこんでんのさ、束」
「って、犬つけろや! んな事より! 今回のボウリング! 負けた1人がスコア一番高いヤツにおごり! 勝負だって事忘れてねーだろうな?」
「ふっふ~~ん。そんな燃える展開、忘れてる訳ないじゃん? ……受けて立つ、って構えだよ。バレー部女子の運動神経、あんまし舐めない方が身のためだよ~、犬」
「アホか」
勝負事うんぬんかんぬん……は、猫と犬が勝手に決めてしまった事。
当然ながら、運動不得意なハチミツは蚊帳の外。
「あれれ? 何だか凄い気迫だけど一体なにが……??」
「さぁ、どうしたんでしょうね」
「式守さんはボウリングしたことある?」
「2~3回くらいなら……」
「あはは……、ぼくも似たり寄ったりなんだよね。……なんでも御神くんは凄い上手らしいよ? あの狼谷さんも同じくらい凄いんだって」
和泉くんは、式守さんと話しつつ―――もう1つのカップルである御神・狼谷の方を見た。
今は、あの2人も猫&犬の熱気に気付いたようで、一体何事かと凝視している様子。
「……ぼくも、負けたくないな。きっと、式守さんは運動神経抜群だし、ボウリングだって凄く上手だと思う。ぼくだけが下手で、足引っ張っちゃったら格好悪いよね」
和泉くんは、ぐっ、と力を入れた。
彼の視点では、狼谷さんと御神くんのカップリングは理想的な構成だった。高身長だし、ピアノ演奏した時とか格好良いのを通り越して、最早崇める勢い、崇拝する勢いだった。本人は、狼谷さんに釣り合わない……と随分と悩んでいた様なんだけど、それは和泉くんにしてみれば凄くお似合いで十分過ぎる程肩を並べられてると思う。
そんな彼が居るからこそ、自分も頑張らないと、と和泉くんも力が自然と入るのだ。
「和泉さんは和泉さんですよ」
「え?」
そんな時、ちょっと眉間に力が入っていた様なので、それを解す様に式守さんの人差し指が和泉くんの額の皺を伸ばした。
「頑張る和泉さんも素敵です。でも、私は楽しそうにしてる和泉さんはもっと素敵だと思います。皆で楽しく過ごしましょう。結果なんて二の次でいいじゃないですか。和泉さんが楽しむ事が私にとっても何よりもうれしいですから」
素敵な笑顔、見惚れるイケメン顔で諭す様に言ってくれる姿に思わずキュン♡となる和泉くん。ナチュラルにそんな台詞を、それも言い繕った様子は一切ない心からの本心だと思わせてくれる台詞を言えるなんて……。
「かっこいい……、好きっ………」
「ええっ!? いえ、嬉しいですけど、このタイミングなんですか!?(ぅぅ~……、嬉しい、でも かっこいいより可愛いの方が……)」
人目も憚らずに好意を告げる和泉くん。
多少なりとも複雑な胸中を持っているが圧倒的に嬉しさがその顔色に表れてる式守さん。
2人は本当にいつも通り。
「……ふふ。仲が良いな」
「そう、ですね」
いつも通りだ、と温かい目で見られるのは、主に同じクラスにいる猫や犬やハチミツで、知っていてもまだまだ新鮮な面持ちな別クラスの狼谷さん、御神くんは別。
「(ぼくの事、沢山凄いって言ってくれてるけど、和泉くんだって凄いよ)」
相手に好きである事を告げる事。
勿論、狼谷さんの事が好きなのは噓偽りない真実。何なら求婚までしちゃったのだから。
御神くんは、チラリと横目で狼谷さんを見た。
微笑ましそうに口端を上げて、穏やかな目で、2人を見ているのが分かる。
これからもこの恥ずかしくて、くすぐったくて、甘酸っぱい気持ちは慣れる事は無いんだろ。
「ほんっと、初々しいのぅ~~」
「好きってハッキリ言えてるから、もう初々しい、じゃない気もするがな」
「雰囲気がだよ~! 雰囲気! でしょハチミツっ!」
「わかったわかった。店の入り口で はしゃぐな」
「つーか、早くいかね??」
「わっ!! ご、ごめんね!」
「……………」
本当に、こんな感じなのも本当にいつも通りなのだろう。
犬束くんは、空気を読まないの? って思えるくらい早く中に入ろう、と提案してるケド、そう言える程いつも通りなのだと実感している。
足早に向かう和泉くん。そして、犬束くんを睨む式守さん(和泉くんに謝らせたこと、間に割って入られた感じが嫌だったのだろう)。
そんな皆を見て、狼谷さんも歩を進める。
「行こう」
そう一言御神くんに告げて。
御神くんも頷いて、先へ進もうとしてる狼谷さんの手を取った。
一瞬、ほんの一瞬狼谷さんは驚く。手を繋ごう、とした意図が無かったから。勿論 歓迎する事柄ではあるが、式守さんではないがこのタイミングで手を繋ぐ~とは思わなかったから。
「……肖る様で、ちょっぴりズルい気もしますが、ぼくも狼谷さんが好きです」
「!」
誰にも聞かれない様に、狼谷さんだけに聞こえるくらいの大きさで、御神くんは顔を赤くさせながら、再びの告白。
狼谷さんは、手を繋いだ時の様に驚いていたのだが、直ぐに笑顔になった。仄かに赤く染まる顔を、御神くんに向けつつ、大きく頷く。自分も同じである、と告げる様に。
そして、どうにか5人と一緒に入るまでに、赤くなった顔を戻そう! と2人して躍起になるのだった。
「っしゃあ! 再三確認だぁ! 負けた1人が1番スコア高いヤツにおごり!」
「受けてたーーーーつ!」
「再三のアホか」
「あははは………、凄い気迫。猫崎さん、部活の時以上じゃないのかな?」
「うん。それは少々考え物な気がしなくもないが、今日はオフだ。気にしない事にするよ」
犬束の宣戦布告、改めての宣戦布告に嬉々と気合とで受けて立つ構えの猫崎。
背景にはオーラが可視化されてるようで、雰囲気が凄い。
それは、バレー部の試合、練習試合時以上だ……と御神くんが考えてしまうのは、バレー部マネージャーになったからこその感性だろう。
狼谷さんは、まだ一段階上? な気迫を持ってる猫崎に苦笑い。でも、普段手を抜いている様にも見えないし、そんな性格じゃないのも知っているつもりだから、何も言わず楽しむことにした。
もしも、この場に顧問の先生が居たら―――――と思ったり思わなかったり。
「う~~、やっぱし、御神くんもボウリング上手なんでしょ? ぼくも頑張って高得点狙いたいんだけど……(格好良いトコ見せたいし……)」
「うーん……ボウリングはスポーツだからね。一朝一夕でどうにかなる~のは難しいと思うよ。ぼくは、昔から大分通ってきたからちょっと自信ついてるだけで、そんな大した事じゃないよ」
御神くんは、やや消沈気味になってしまった和泉くんの肩を叩いて言った。
「だから、今日はスコアは気にせず、ただただ思いっきり楽しもうよ。その方が良い。……まぁ、犬束くん達はちょっとアレだけど」
スコアを気にせず~と言ったものの、犬束や猫崎たちはバリバリ気にしている、と言うより勝負事にしちゃってるから、一切の手抜きはNG、本気モード。
「それに、上手くなりたい! って言うなら、ぼくが幾らでも付き合ってあげるからさ?」
そういって、和泉くんに笑いかけた。
とても優しい言葉に思わず目をうるわせる和泉くん。
「ありがとうっっ! 御神くんっ!! ぼく、全力で頑張るからねっ!!」
その見た目よりも強い力を持ってる和泉くん。
全力で頑張って御神くんに抱き着いた結果――――再び御神くんは悲鳴を上げる事になるのだった。
「か~~みやっ! み~~~っちょんっ!」
「「??」」
和泉くんと御神くんが男の友情を深め合ってる? 所を見ていた式守さんと狼谷さんに割って入るのは猫崎。
「そんな怖い顔しないで~。ほらほら、スマイルスマイルっ! 特にみっちょんっ!」
「えええ!! 私そんな怖い顔してるっ!??」
「私も、普通に2人を見ていただけなんだが……。そうか。強張っていたのか」
猫崎の指摘に、慌てる式守さんと はっ! と驚いて顔に触れる狼谷さん。
無意識に表情に出ていた様だった。ただ、あの2人が仲が良い事、自分達にとっても素敵なトモダチである事も有るから色んな意味で複雑な心境だった……のかもしれない。
「えっへっへ。まぁ、御神っちと狼谷は いっつも甘々~な感じだし? 和泉とみっちょんもそうと言えばそうだけど、みっちょん! ここは更にチャンスタイム発生だよ!」
「???」
「チャンス……?」
狼谷さんも式守さんも猫崎が何を言っているのか、その意味が理解出来てない様子。
「惚けてる、って感じじゃねーなぁ、2人とも。これが
そこに八満も入ってきた。
仕様が無しに、教えてあげよう! と猫崎は式守さんの至近距離まで顔を寄せて耳打ちする。勿論、少々離れる事になったが狼谷さんにも届くくらいの声量で。
「ほら、ボウリングだよ。苦手なフリして、カレピに花持たせよう作戦!」
「か、カレピ? 下手なフリ?? そんな事は……」
「まぁ、聞けよ。女の《下手》は《カワイイ》に変換されるもんなんだよ。特にこの面子でボウリング来るのは初めてなんだ。最初が見せ場だぜ」
カワイイ、と呼んでもらいたい。言ってもらいたい。
それは式守さんはいつも思ってる事だ。だからこそ――――その作戦? には心が揺らぐ。
「……そういう物、なのか。…………私は」
鳩が豆鉄砲喰らった様な顔になって呆気に取られていた狼谷さん。
猫崎が言う作戦も、八満が言う公式も初めて聞く種のものばかり。
そして、自分の想い人にそう言ってもらえる……と言うのは狼谷さんにとっても喜ばしい、多幸感が湧き上がってくる想いだ、と表情を綻ばせた………が。
「あっあ――――……この作戦、ちょっち狼谷は、無理かなぁ。だって御神っちと一緒にボウリング来たことあるんでしょ? 下手したら、物凄く心配されちゃうかもしれないよ? それはそれで良い空気感って感じはするけど……、あんまし心配かけるのって抵抗あるっしょ? あの御神っちだし」
「ぅ………、それはまぁ……」
バレーボールのマネージャーになった時。
練習を熱心に見て勉強もしてサポートもしてくれて……特に気を使い出したのは、やっぱりケガ関係。激しく動くスポーツだから、色々と絶えない分類。
その度に、慌てて心配して、動き回ってる御神くんを何度も見てきてるから、それを意図的に起こそう、と言うのは気が引ける所の話じゃない。
「式守さん。私には無理な様だ。……頑張ってくれ」
「え、ええ!?」
それはまるで全てを託す、と言った勢いだった。
何とも憐れな様子が見受けられてしまう。
でも、傍目から見れば、2人は十分良い雰囲気で十分羨む関係なのだが……他人には解らない葛藤と言うモノが存在する事は、式守さんもよーく知ってるから何も言えない。
「おーい! お前ら~~! エントリーしたぞ! ほれほれ、ボール選んでこいよ」
犬束の声で我に返り……いざ・ドキドキ☆ボウリング大会スタートである。