綺麗なだけじゃない狼谷さん   作:狼谷さんカワ(・∀・)イイ!!

17 / 20
キミと球技大会①

 

 

カワイイと言われたい……、カワイイって言われたい………。

 

とんでもない欲が身体の中から湧き上がり、溢れ出してくる。

式守は和泉からどうしてもそう言って貰いたい、と願っている。別に普段言ってくれない~と言う訳ではないが、たまに独り言で【可愛くない……】と言われた事があって、それからと言うモノ、特に言われたい、カワイイと言われたい、と思いだしているのだ。

 

因みに、和泉はちゃ~んと弁明はしている。

式守の事が大好きな和泉が、彼女を貶す様な事を言う訳がない。ただただ、彼女は格好良い、と思ったから。物凄く格好良いと思ったから、可愛いとは違うな、と言う意味で言ったのだ。

でも、致命的な部分が式守の耳に届いてしまったので、大分拗れちゃったのである。

 

 

だから、言われたい、言われたい。猫崎に言われるまでも無く、強く思っている……が。

 

 

 

「式守さん! がんばって!!」

「がんばってくださいっ!」

 

 

和泉と御神の応援。

何の画策もしていない純粋な応援を聞いて……その笑顔を見て、八百長などして良いのだろうか? 

 

特に和泉からの応援だ。応えなければならないのではないか。

 

 

彼女の中の欲が完全に粉砕された。

 

 

 

結果————

 

 

犬束 217

猫崎 187

八満 98

和泉 20

御神 262

狼谷 299

式守 300

 

 

 

「ちょっ、ちょっとまてまて、バケモンか!!? なんだよ、このスコア!!」

「後半3人有りえないんだけどっ!?? 最後はみっちょんと狼谷が突き抜けたけどもっ!??」

 

 

ばば~~ん、とフルスコア達成した時はボウリング場に居る皆から歓声が、拍手喝采が湧き起こった。

その中心人物は当然式守と狼谷。

惜しくも、狼谷は最後の1投だけピンに嫌われてしまったようだが、それでも最後の想いを式守に託す、パーフェクトの想いを式守に託して……その結果がコレだ。

 

 

「凄い……、パーフェクトゲーム初めてみたよ……。それに狼谷さんも。前よりグッと上手くなってて……負けちゃった」

 

 

御神の最高得点(ハイスコア)が中学時代に出した283点。

その点を2人が最初のゲームで超えてきた。

 

不思議と悔しさは全くなく、ただただ感服し、尊敬し、憧れる。そんな想いでいっぱいだった。

 

 

式守と狼谷はガッチリと握手を交わした。

まさに天上人達の戦い、と言った貫禄だ。

 

 

2人はくるり、と振り返る。

その笑みを見て。

 

 

「す、すごいっ! 式守さん……フルスコアだ! かっこいい……!」

「和泉さん、手を―――」

「へ? わっ」

 

 

式守が言うままに、和泉は両手を前に出して……。

 

 

「やりました!」

 

 

ぱちんっ、とハイタッチを交わした。

 

そして、その隣では狼谷が朗らかな笑みを、それでいて満足そうな笑みを浮かべて御神の元へ。

 

 

「最後の最後で、ピンに嫌われてしまった。でも、全部出し切れたよ」

「狼谷さん凄かった。凄かったです! ぼくは、最後置いて行かれちゃいましたね……。でも、凄く楽しかったです。ナイスゲーム!」

「うん」

「じゃあ、ぼく達も――――」

「んっ」

 

 

式守に倣って、御神は両手を前に出した。

狼谷は目をぱちくりとさせていたが、直ぐにその意図に気付き、横の2人の様にハイタッチを交わすのだった。

 

 

「や、マジでアイツら何者だよ……。圧倒的強者のオーラがヤベェ……」

「もはや一般人じゃ入れない領域だよ……」

「ふむ。式守はカワイイよりかっこいいをとったか……。そんで狼谷は狼谷で結構負けず嫌いな所あるんだな」

 

 

 

色々あったけれど、今日は本当に楽しかった……といい笑顔な御神。

そんな御神を見て狼谷も笑う。

 

正直、烏滸がましい考えかもしれないが、中学時代に出来なかった事を、今沢山取り戻そう、と狼谷は御神に微笑みを向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

因みに、結局トップになった式守が、辞退したので、最下位である和泉がおごる、と言うルールは消滅した。

 

そして続く2ゲーム目も、殆ど式守と狼谷の一騎打ち。それに続く御神、どうにか続く犬束と猫崎、何処か遠い目をしてる八満と和泉。

 

 

強者2人の対戦成績? は2勝2敗のイーブンだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後――――球技大会。

 

 

 

「御神は、どっちするんだっけ?」

「えっと、ぼくもサッカーの方だよ。だから9時45分から、だね。お互い頑張ろうね!」

「おうよ! 目指せ優勝!! だなっ!!」

 

 

全学年がぶつかる球技大会は、この学校の名物行事の1つでもある。

基本的に、最上級生である3年が強いのは間違いないが、それでも時たまに1,2年生が下剋上を突きつける事だってあるから、かなり熱い大会だったりするのだ。

 

 

「それにしても、御神っちは身長も高いんだし―――、バレーとかバスケの方が有利な気がするんだよね。そう思わない? 狼谷も」

「ん……それはまぁ、確かに。でも、バレーもバスケも女子種目だからムリじゃないかな」

「それは勿論解ってるよー! でも何だか、勿体ないなぁ、って」

 

 

御神は、これまでクラスにあまり目立たなかった方だ。

でも、狼谷と付き合いだして―――あの文化祭の時辺りから自分を出す様にしてきた。部活動こそ、マネージャーを務めている様だが、相応に動ける事は知ってるし、元々の身体能力も悪い方じゃない。

だから、絶対に戦力になるだろう、と言うのがスポーツイベントに燃えてる面子の大半の意見だ。

 

 

「まてまてまて~~ぃ! サッカーだってタッパ、体格必要だぜぃ! 何せ、御神はキーパーだ! 見事にセーブしまくってくれる事間違いなし!」

「や、そんな期待されても……って、飯塚くん。ぼくキーパーだったの?」

「身長が必要なのは何もバレーやバスケだけじゃない、ってな! だから、羨ましくなんか、無いんだからねっ!!」

 

 

「うわぁ……、何も血の涙? まで流さなくても」

「気持ちは分からんでもない! この世にはどうしようもない事は多々あるのだ! 存分に泣くがよい! 涙の数だけ、強くなれぃ!!」

「ちょっと、明菜~~。なに、そのキャラ?」

「昨日のドラマでやってたヤツだよ~」

「あぁ……スポコン系のヤツね」

 

 

わちゃわちゃしているけれども、皆が皆、気合入ってるのは解る。

このクラスには満遍なく運動部が揃っているから、それも有るのかもしれない。

勿論、御神も勝ちたいという欲はある。

 

 

「狼谷さん。ぼく、応援に行きますからね」

「ありがとう。私も、可能な限り御神くんの所に行くよ。……見守っててくれた方が力になるのは体験済みだから」

 

 

マネージャーとして、バレーの練習を、試合をいつも御神に見守られている。

相応に勉強をしているんだろう、的確な事も先生と一緒になって言ってくれてる、と言うのもあるが、やはり好きな人からの声と言うモノは、本当に力になるのだ。

 

狼谷は、それを実感しているから。

それに今握られてる手も……。

御神の熱が、自分の熱と混ざり合って、より熱く、より強くなれそうだった。

 

 

「ちょっと~~。御神っち? ウチらも頑張ってるんだからね~~? 何分の1かくらいは頂戴よー?」

「おアツいの羨ましいよねぇ、それこそ、羨ましくなんか、無いんだからねっ! って、ツンデレ見せても良いくらいに?」

「わわっ、勿論だよ! 皆の事、応援してる! 頑張って!」

 

 

そんな中で、皆が皆、御神を求めてる? 様に集まってきた。

 

 

「これは、ハーレムと言うヤツでしょうか? つまり、爆破しなければなりませんね」

「ええ、そうですともそうですとも。リア充爆発と言うヤツですとも」

「ええ、ええ、我らも参戦しますよ?」

 

 

そして、その周囲を取り囲む様に男子たちが群がっているのだった……。

その後どうなってしまったのか……詳細は省く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全種目に共通して言える事だが、今大会はトーナメント形式。故に1度でも負ければ即終わりだ。

1度も負けられない、と言うのが良い刺激となり、更に盛り上がりが増す。

 

 

それはサッカーも同じ。

 

 

 

「1-1……か。うーん、ぼくが止めれなかったのが凄く悔やむ……」

 

 

延長戦があるのかどうかは聞いてない。

でも、試合の序盤、まさかの和泉の不幸属性? が自分にも付与されたとでもいうのか、何本かボールを止める事が出来たのに……結んでいた筈の靴ひもが解けて転倒してしまった。

 

その結果、隙をつかれて決められてしまったのだ。

 

一瞬、和泉の顔が頭に過ったのは許して欲しい。

でも、それも仕方がない。

 

 

 

「御神くん!! がんばれーーー!!」

「御神さん!! がんばってーー!!」

「ナイスセーブだぜリク!!」

「良い試合してんじゃん、それに御神っち、めっちゃ止めてる!!」

「がんばれー」

 

 

 

和泉達が応援に来てくれてるから。

折角応援に来てくれてるのに、こけた時に和泉の顔を思い浮かべてしまって申し訳ない……と、御神は思いつつ、大事無かったので、しっかりと靴紐を結び直して集中している。

それ以降、変な事は起きないので不幸属性付与? などは無く、ただの不注意、しっかり結んでなかった事に対する結果だと、御神は自分を戒めた。

 

 

「おお……、正直、1回戦は3年生だし、優勝してもおかしくないチームって言われてたから、難しいかも? って思ってたら……」

「うん。凄いね。皆頑張ってる! よっしゃぁ、ラスト5分! 出し切れーーー!!」

「………がんばれ、がんばれ」

 

 

 

狼谷は、ぎゅっと拳を握りしめた。

普段は、自分が試合をする側で、よく声援・応援を背にプレイをしていた側だと言えるだろう。でも、こうやって誰かを、好きな人を全力で応援する事、ハラハラするこの感覚、全てが新鮮で初めてで、心が騒めいた。

御神が倒れた時はより顕著に想い、大丈夫だと知った時の安堵感も半端じゃない。

 

 

ここまで頑張ったのだ。ここまで上級生相手に食らい付いてるのだ。最後の最後まで―――――。

 

 

 

 

「頑張れ! 御神くんっ!! 皆っ!!」

 

 

 

 

普段の狼谷からは中々考えにくい程の大きな声で、エールを送る。

一瞬、ぎょっとした女子たちだったが、直ぐに良い笑顔になり、続きざまに声を出した。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ………」

 

 

 

 

皆の守りの固さもあって、相手のシュートの威力・精度共に抑えてくれてる。だからこそ御神もここまで粘って獲る事が出来ている。

互いに支え合いながら、互いに高め合いながら、ここまで頑張ってきている。

それに加えてこんなにも声援を貰ったら――――もっともっとやらなきゃならない、と思ってきた。

 

 

 

「ここで決めれたらヒーローだよ。真島くん、飯塚くん」

「へっ! わかってんよ!」

「やってやるって!」

 

 

ボールを拾い、御神は真島へとパスを送る。

 

 

「(御神は、皆の声援に、……狼谷の声援に応えた。さっきのシュート、あれマジでやられた!? って思ったのに、獲ってみせた。……なら)いい加減、俺らも決めねぇとな! 何本外してんだ! って感じ!?」

「右に同じ!!」

 

 

残り時間を確認。

後、数分———程度。

学校の球技大会だ。アディショナルタイム~なんてモノは無い。

 

 

だから―――。

 

 

 

「最後の攻撃だ! いっくぜぇぇ!!」

【おおおお!!】

 

 

 

これを最後とし、持てる力を全部ぶつける。

 

 

「ボール獲られても許してくれよ! 御神!!」

「倒れるなら前のめり! でやってくる! 御神っち!!」

 

 

 

 

その後は見事な攻撃だった。

まさしく特攻の二文字。

 

 

3年生をたじろかせる程の、残り少ない筈の体力・気力を全て注ぎ込んだ代物。

後の試合の事は考えない、この試合で全て出し切る。

そもそも上級生で、優勝候補筆頭の相手に後の事を考えていたら勝てる訳がないから。

 

 

 

そして、最後の最後———。

 

 

 

「こっのっっ!!」

「ッッ!!」

 

 

上級生側にもプライドと言うものは有る。

負けない、負けてたまるか、と気迫には気迫で押し返す様に、相手のボールをインターセプト。

そのまま、クリアしてディフェンスラインが確実に上がってきてるから、そのままシュートを決めてやる! と大きくけり出した。

 

 

「カウンターだ!! これで決める!!」

 

 

「やっべ! 下がれ―――――!!」

 

 

最後の最後、攻撃に全振りしたつもりだったが、だからと言って諦めたりはしない。追いかけようと駆け出したその時。

 

 

 

「オーライ!!」

 

「な!!?」

「ええ!?」

 

 

何故か、センターライン付近までキーパーである御神が上がってきていた。

キーパーが上がってきている事に全く気付いてなかった。

 

 

そのまま、御神がボールをトラップすると、蹴りだしてパス。

 

 

 

 

「カウンターのカウンター、だよ!!」

「いっけーーーー!!!」

 

 

 

 

 

それは固いディフェンスに生まれた穴。

御神のパスから攻め入った結果————シュートが決まった。

 

 

 

2-1

 

 

 

 

優勝候補を下した。

その瞬間、皆は  わーーー!  と言う大絶叫と共に、御神の方に駆け寄ってダイブするのだった。

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。