綺麗なだけじゃない狼谷さん   作:狼谷さんカワ(・∀・)イイ!!

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キミと文化祭③ 相談

 

 

色々とあったが無事に、文化祭の準備は………まだ終わってない。

 

取り合えず、時間いっぱいまで頑張って、残りは明日に持ち越しと言う形となった。

明日で終わるのかどうかは……神のみぞ知る、と言うヤツだろうか。

因みに、どのクラスでも似たようなもので、それほどまでに文化祭に力を入れているのが解る。

ここまでくれば、無事に文化祭本番を迎えてもらいたいものだ。

 

 

 

 

 

そんな死力を尽くした生徒たち。

もう精も根も尽き果てて、帰路に着く面々の中で、唯一の例外が居た。

 

 

 

「――はぁぁぁぁぁ、ぶんかさい、ぶんかさい……、し、しきもり、式守さんと……、っきゃぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

そう、和泉くんだ。

式守さんと一緒に文化祭を回る約束を取り付けた。OKを頂いた。見事に成功した。

 

色んな人に背を押されて、どうにか勇気を持てて、振り絞った結果が最高なモノになった。

嬉しくて嬉しくて嬉しくて、傍から見たら不審者? って思われてもおかしくないくらい、夜の道で大はしゃぎ。

勿論、ある程度の理性? は働いている様なので、ご近所迷惑にならないギリギリではあるが……、ひょっとしたら見られてたら、長らくとどまっていたら通報されるかもしれないレベルではある。

 

 

「わぁ、わぁ、こんなぼくがっ! いっつもいっつも、ついてなかったぼくが……っっ! 一生分の運使ったって言っても良いよ!! だって、だってだって! 式守さんと………! わぁぁぁぁ!! 神様ありがとうっ!!」

 

 

顔を手で覆い、ぶんぶんぶんっ! と上下前後に頭を振り乱す和泉くん。

天にも昇る気持ちとはこういう事を言うのだろう、と自分ながら解釈。

 

 

 

「で、でも本番は文化祭! 頑張って式守さんをエスコートしないと。えと、えと……各クラスの出し物確認して、えと、えと、……や、やっぱりカップルナンバーの撮影場所はちゃんと把握して、えと、えと―――さい、最後は……………さ、最後は………っっ」

 

 

 

指を折り折り、すべき事を改めて再確認しつつ、家を目指す。

最後にして、最大のイベントの事を少しでも考えてしまうと、頭が沸騰して灼熱を帯びてしまう。

 

 

そう―――告白する。

式守さんに告白をする。

沢山背を押してもらってここまで来たのだから。中途半端でやめる気は和泉くんには無いのだ。

 

 

 

因みに、今日も一緒に式守さんと帰っていたんだけど……、流石に家にまでは来ないから途中で分かれている。

だから、必然的に和泉くんが1人になる状態が生まれる訳だ。

いつもは超有能なボディーガードの様な彼女が傍にいてくれていたから回避できていたリスク。それを回避する術はない。

更に付け加えるなら、和泉くんは しっかり前を見てない。生まれて初めてここまで浮かれてしまってるから、基本的な安全確認を怠ってる。

そんな状態で、彼を不幸体質は見逃してくれる訳もなく……。

 

 

「いたっっ!!」

 

 

盛大に何かにぶつかってしまった。

ぶつかった勢いが強かったのか、和泉くんは思わず尻もちをついた。

 

今一体何にぶつかったのか、長年のぶつかり経験? 接触事故経験? から察するに、物じゃなく人と当たった! と言う事は瞬時に理解すると。

 

 

「はわわわ! ご、ごめんなさいっっ、よく前を見てなくって……」

 

 

直ぐに謝罪した。

 

夜道とはいっても、この通学路はそれなりに人通りの多い。

夜のウォーキングをする人も居るし、ジョギングをする人も居る、犬の散歩をする人も居る。だから、人とぶつかってしまう! と言う和泉くんならではの危険はあるものの、比較的安全な道で安心も出来る道……。

 

 

「(~~な、筈なのにぃぃ、もう家に帰るだけだったのにぃぃ、1日の最後の最後で! もうっ、ぼくのドジっ!)」

 

 

自分の不幸で誰かを巻き込みたくない、と言う気持ちは常にある。

式守さんが和泉さんを護ってくれる事が多くなってきても、男性陣で言えば御神くんや犬束くんが助けてくれる事が多くても、それは忘れない様にしている。

忘れない様にしていた筈なのに……浮かれすぎてた。

 

 

「ほんとごめんな――――ひぃっ!?」

 

 

和泉くんは、急いで起きて、急いで頭を下げたから気付くのが遅れてしまっていた。

暗くてまだハッキリと見えてないけど、自分より大きな人、男の人にぶつかってしまった、と言う事。

 

暗い道で、自分より大きな相手を眼前にすると、物凄く驚く。恐怖心だって芽生える。

何よりも、相手が怖い人だったらどうしよう、謝って許してくれなかったらどうしよう、と心臓が早く強くドキンドキンッ!! と脈打った。。

 

 

「……………」

「ごめんなさごめんなさごめんなさごめんなさ―――――……ぁ」

 

 

でも、最も怖かったのは目の前の人の反応が全然なかった事、だろうか。

ぶつかった筈なのに、それなりに男の子な体格な和泉くんが尻もちをついてしまう位には、接触をした筈なのに、目の前の大きな人は微動だにしてなかった。

 

それがとても怖くて、一体何が起きてる―――、と心の底から怖気づいてしまう。折角の幸せな気持ちから一転、暗雲立ち込める気分~~だと色々と負の面を考え過ぎていた丁度その時。

 

 

「―――え? あれ?? キミはひょっとして……御神くん??」

 

 

ぶつかった相手が誰なのかが判明した。

驚きながら、ビクつきながら、小さく縮こまりながらも、相手の事を確認しようとした和泉くんが視た人は、よく見知った人、友達だった。

 

ただ、いつもと違うのは……顔を目元までスッポリと隠していた前髪が左右に分かれてその素顔の殆どが露になってる、と言う所。

 

 

「(わぁ……、御神くん印象が違う……、こっちの方が良いと思う……)」

 

 

いつもの印象とまるで違う。

いつも前が見えてないのでは? と心配する程にあまり見た事無かった御神くんの素顔。心配していた、と言う事もあるが、断然今の方が良い! と思った。同性的に見ても素顔をちゃんと出してる方が、格好良いのと何処か童顔気味なのが可愛くて。とにもかくにもこちらの方が良い。

 

それと比較的早く判明する事が出来たのは、和泉くんにしてはかなりラッキーだったのかもしれない。

先ほどまで恐怖の対象だった相手が、自分の友達だった。その時点で恐怖心が殆ど無くなったから。

 

 

でも、その代わりにそれ以上に心配する事になってしまう。

何故なら、素顔の感想よりも、いつもの御神くんじゃない、と言う印象が出てきたから。

 

 

「ど、どーしたの?? わぁ、目がまたあるね―――じゃなくて、顔がめっちゃ赤いよ!? えええ! ほんとどーしたの? 大丈夫???」

 

 

こんなに話をしているのに御神くんは反応してくれない。。

完全に上の空。自分が御神くんの目の前に来てるのに気付いてくれてない、存在を認識できていない感じがするのだ。

 

こんな御神くんは初めてだから、猶更心配になって……。

 

 

「―――……あ、あれ? 和泉くん……だ。和泉くんが、いる」

「今気づいたの!?? そう、ぼく、ぼくだよ!? 気付いてくれた良かった……。で、どうしたの? だいじょうぶ?」

 

 

ペタペタペタ~と和泉くんは御神くんの身体を触って状態を確認。

 

 

「えっと、もうちょっとしたらぼくの家があるから……、いや 公園の方が近いからそっちの方が良いかな? ちょっとそこで一休みした方が―――」

 

 

この状況、理由は解らない。

けど、物凄く顔が赤くなってるし、何より普通な感じじゃない。

このまま、また明日~~なんて見捨てる? 様な事は当然出来ない。何せ御神くんは和泉くんにとっての恩人。恋の恩人なのだから。返しきれない程の大恩があるのだから。

 

 

そうこうしている内に、顔が真っ赤だけど、何処か上の空だった御神くんの思考がハッキリとしてくる。

 

そして、まるで弾かれた様に……御神くんは爆発する。

 

 

 

 

 

「うわああああああああ! いず、いず、いずいずいずいずいずいずみぐぅぅぅぅぅぅんんっっっ!!」

「~~~~ッッひゃあああっっ!??」

 

 

 

 

爆発? した御神くんは、和泉くんに思いっきり抱き着いた。

 

ハッキリ言って、和泉くんより御神くんの方が体格は上。力は五分五分かもしれないが、上から覆いかぶさる様な形で、押し倒す様な形になってしまえば、それも虚を突かれてしまえば、抗う事なんて出来ない。

 

なので、押し倒される形になってしまった。

 

 

「ッッ!! い、和泉さん!!」

 

 

そして、2人以外に更に新たなる乱入者が此処に降臨。

 

和泉くんに何かあったのでは? とまさに第六感の如く感覚で後を追いかけ、この夜道を進み、更に和泉くんの悲鳴? を聞きつけた瞬間、気にせいなどではなく、この虫の報せは確信だ、と持ち前の俊足で駆けつける1つの影があった。

 

路地を曲がり―――視界の中に入ってきたのは、暴漢に襲われそうになってる? 和泉くんの姿。

それを見た瞬間、――――彼女(・・)の視界が真っ赤に染まった。怒りが頂点に達した。

 

 

 

 

「和泉さんに、一体なにをしてるんですか!! 離れてください! 離れなさい!!」

 

 

 

 

強烈な圧を身に纏い、修羅の様な……阿修羅の様な面持ちで迫る武士の名前は式守さん。

もう少ししたらひょっとしたら恋仲になるかもしれない相手の危機を察知し、まるでヒロインを助ける主人公の様に現場に駆け付けたのだ。

 

 

いつもなら、式守さんの圧力は周囲を威圧して、それだけで制圧出来そうな勢いを持つまさに覇王な色なのだが……、今回ばかりは違う意味で相手が悪かった。

 

 

「わぁぁぁっわぁぁぁぁっ、ぼ、ぼく、ぼくっっ、どうし、どうした、どうしたらぁぁぁっ、わぁぁぁぁぁっっっ!! いずみぐぅぅぅんっっぅ!!」

「み、みかみくんっ、落ち着いて! 落ち着いて! 一体何があったの!? 大丈夫だから、なんかすっごく目立ってるから!!」

「え? あれ?? みかみ、ってひょっとして、御神さん……ですか!?」

「っ!? し、式守さぁぁんっっ、すごい、すごい良い所にっっ! ちょっと御神くんが大変でっ! 力を貸してくださいっっ」

「わ、わかりました!」

 

 

式守さんの圧力? 全く気付かない程に、取り乱した御神くんだったから。

 

式守さんもここまで近づいたら一体誰が和泉くんを襲ってるのかわかってくるわけで……。

 

 

和泉くんは、本当についさっき。文化祭を一緒に回ろう、と言う約束を取り付け、更に帰り道でも式守さんと一緒で、また明日――――とあいさつまで済ませた。これ以上ないくらいの綺麗な別れ方だったんだけど、改めてまた余韻冷めぬ間に会ったら少々気恥ずかしい感じがするが、今はどうしようもない。手を貸す以外の選択肢は無かった。

 

 

 

その後、和泉くんと式守さんは、2人でどうにか こうにかして、御神くんを落ち着かせる事に成功した。

成功したのは良いんだけれど……。

 

 

 

「ぅぅ…… ふ、2人とも。本当にごめんなさい………」

 

 

 

次は大謝罪大会になってしまったんだ。

 

 

「もー、御神くん20回くらい謝ってるよ? ぼくは最初から怒ってないから」

「私もですよ。……そりゃ、最初は和泉さんを襲ってる、って思っちゃったので、怒った風に聞こえたかもしれませんが、私は御神さんの事は信頼してます。だから、もう謝罪は大丈夫です」

 

 

公園のベンチで小さくなって謝罪を繰り返す御神くん。

自分より身長は高いんだけど、程よい高さまで頭が下がってるので、和泉くんは彼の頭を撫でてあげた。二度、三度、とあやす様に。

 

 

「話、聞かせてよ。ぼくも式守さんも、キミの力になりたい、って思ってるから……」

 

 

和泉くんは、そういうと少しだけ間をおいて式守さんの方を見た。

 

 

「(勝手に言っちゃったけど、式守さんも思ってるよね??)」

「(勿論です!)」

 

 

和泉くんと式守さんのアイコンタクト。

互いに通じ合ってるのが良く解る光景、ともいえる。

 

 

「話せない内容なのであれば、無理にとは言いません。御神さん自身が決めてくれて大丈夫です。でも、私も和泉さんも、いつでも大丈夫ですから。いつでも力になりますっ」

 

 

笑顔でそういう式守さん。

実は、御神くんが和泉くんの背を押していた事は式守は知っている。

2人で何を話しているのか……、と不躾かもしれないが、気になってしまって立ち聞きをしてしまった事があって、それが自分の話で 自分たちをくっつけようとしてくれてる内容だったんだ。

式守さんとしては、御神さんは大恩人であり、いわゆる恋のキューピットと言っても大袈裟ではない。勿論、そうでなかったとしても手助けしたい、とは思ってる。

 

2人に共通して言えるのは、とても優しい所だから。

 

 

 

 

 

「え、えと…… 2人に、聞いてもらいたいです……。2人にしか、聞けません……。せ、センパイとして聞いてもらいたいです」

「うん! もちろんだよ! ……センパイ??」

「何ですか? センパイって」

 

 

 

 

ほんの少しの沈黙の後、御神くんは口を開いた。

相変わらず顔は真っ赤っ赤。病気の類ではない、と言う事は確認済みだけど、それでも、それだけでも心配度が増すと言うもの。

 

 

でも、この後の御神くんの言葉を聞いて―――直ぐに意味を理解することになる。

 

 

 

 

 

 

 

「ぼく……… ぼくも………、その、狼谷さんと、文化祭 一緒に回る事になって………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




狼谷さん不足……(|| ゜Д゜)
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