『相棒』と共に   作:ボスドゴラ親衛隊

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 とりあえずこの章はおしまい。

 今回は短めです。

 一度忘れた技も本来の力はなくなって使えるみたいな設定になってます。
 動きに身体が慣れていたみたいなイメージ?です。


宿敵との出会い 3

 

 「ん!?」

 

 激しい金属音と共に目を覚ました彼の前に広がっていたのは、激しく打ち合うポケモンたちの姿であった。

 

 角の生えた青色ポケモンの速さも恐ろしいが、それを受け止めている相棒、一体何が起こったのか。

 先程まで防戦一方だったボスゴドラは、師匠の手持ちであるシュバルゴのような鋭いランスを片手に、ギルガルドのように分厚い盾をもう片方に持ち、戦いを有利に進めている。

 

 ならば!

 

 「かはっ……」

 

 急に起きたせいで傷口が開いたが、それでも構わないと歩を進める。

 今の相棒に指示を出す必要はないだろう。

 そんな信頼と共に目的のバッグを開けて、とある『どうぐ』を取り出した。

 

 「頼むぜ……」

 

 

 『私が……敵……』

 

 ショックを受けたようで、その場に立ち尽くす四足、隙だらけのところに新たに生まれたランスで『みだれづき』を放つ。

 『こうかはいまひとつ』のようだが、この攻撃の真価は回避に専念させることによって相手の集中力を削ることだ。

 三回ほど命中したのを確認して、即座に『せいなるつるぎ』を放つ。

 

 師匠である『ギルガルド』の必殺の一撃。

 

 どれだけ『かたくなる』や『めいそう』をしても関係ない。

 その身体の芯に響かせる一撃、頭は動かないが本能で回避する四足は、反射的に『インファイト』に持ち込む。

 槍というのは中距離線の武器であり、超近距離戦では不利になる。

 

 それゆえのインファイトだったが

 

 『お前より小さいポケモンにだって同じことをされてきたんです。対策手段がないとでも?』

 

 大型のポケモンであるボスゴドラも同じように超近距離戦は苦手であり、今までの旅で何度もその弱点を突かれて手痛いダメージを負ってきた。

 ならば、彼女の望む進化であるこの『メガシンカ』にその対処法が存在しないわけがない。

 

 胸からストーンエッジが打たれ、それと同時に回避した先へハンマーのような『アイアンテール』が炸裂する。

 

 『クッ!』

 

 どんな相手にも不動を貫いて戦い続けた伝説の『てっしん』ポケモンがただの一般ポケモンに膝をつかされる。

 

 今までにない事態に、混乱する彼だか、そこは腐っても伝説に語り継がれるポケモン。

 瞬時に立て直し、後退するおまけに『ラスターカノン』を打って追撃を阻止する。

 

 一進一退の攻防、先に動いた方が負けるような膠着状態。

 

 それを破ったのは……。

 

 『ギガーーー!!!』

 

 先程まで『ひんし』であったはずのギガイアスであった。

 その巨体を存分に活かした突進に加えて、相手の背後に『ストーンエッジ』による尖った岩を生み出すことによって、壁との衝突によるダメージを与える。

 不意の一撃に吹き飛ぶ『コバルオン』にボスゴドラのラスターカノンの追撃。

 空中では満足な回避も許されず、その鋼の身体に傷痕をつける。

 

 それでもコバルオンは倒れない。

 

 たとえ救いのためという前提が折れても、どこからか溢れる謎の闘志だけは消えることもない。

 

 なぜなのだろうか

 

 自分に戦う理由はなくなったはずだ。

 

 人間は己に勇気を示し、その相棒はその勇気に応え未知なる力を解放した。

 

 ならばなぜこの身体はなぜここに留まるのか……。

 

 『ふたつ謝罪する』

 

 『今さら怖じけづきましたか?』

 

 『いや……、まずは理不尽な仕打ちへの謝罪だ』

 

 それと

 

 『ここで戦いを止められない理由ができた』

 

 『そして、今からお前たちと戦うのは英雄である、鉄心のコバルオンじゃない』

 

 『ただ一頭のコバルオンだ』

 

 思い出したのだ。

 

 彼が救い手となってポケモンたちの救世主となる前の自分を。

 

 強きもの戦いに明け暮れ、毎日ボロボロになりながらも戦い続ける日々、全ては強くなるため、何も後ろにいない、ただ自分自身との戦いの日々。

 

 コバルオンは最初から強いから救世主になったわけではない。

 

 弱かったから『サナギラス』や『ストライク』にすら敗北するような普通のポケモンだったから

 

 だから弱者の心がわかる。

 

 その悲しみも怒りも強さも全て知っている。

 

 だから救世主となった。

 

 守るために、ただひとつの命であっても決して見捨てないために

 

 だが、眼前にいるのはその英雄ではない。

 

 救うことを世界から望まれ、それに応え続けた結果呪われた哀れな奴隷でもない。

 

 

 ただ一頭の戦士である。

 

 

 「なんか良くわかんねえけど、いい面構えになったじゃねーか、青いやつ!

 

 だけどこっちだって負けてやる道理はねえぞ!

 

 吹き飛ばせ、ボスゴドラ!」

 

 『グオォォォ!』

 

 相棒の声に応え、その分厚い装甲と体重を活かした『とっしん』が炸裂する。

 鈍重に思われるその身体からは想像できない『でんこうせっか』の如き速さで迫る巨体を戦士は正面から受け止める。

 

 『ギガインパクト』

 

 コバルオンの最大火力技であるその攻撃にも『ひるむ』ことなく突進するボスゴドラに笑みを浮かべるコバルオン、互いに反動の大きい技であるがゆえに、当てないという選択肢もあるが……。

 

 キィーーーン

 

 当然のようにぶつかり合う。

 

 体重の分だけボスゴドラが有利とはいえ、コバルオンも負けてはいない。

 衝突の後で一瞬だけ緩んだ隙を見て首の力を最大限に活かした『アイアンヘッド』を放つ。

 結果的に互いの距離はほとんど同じであるため、仕切り直しとなった。

 

 お互いのラスターカノンやストーンエッジを放つ牽制合戦のあと、再度ぶつかり合う。

 

 三十合は打ち合った後、おもむろに向かい合う二頭。

 

 

 これが最後の一合だと悟ったようだ。

 

 

 振り抜かれた聖剣は世界を切り裂くような鋭い音を響かせて。

 

 終わらない戦士たちの闘争は………。

 

 『見事だ』

 

 いにしえの戦士の勝利に終わった。

 

 

 「お疲れ様だボスゴドラ」

 

 青年は取り乱さない、眼前にいるポケモンは、使命と憎悪に染まった存在ではなく、ただひとつの戦士だと理解したから。

 倒れた、けれど満足げな相棒を、いつ取ってきたのだろうか、リュックの中にあるボールに戻してから、青年は一言。

 

 「一応聞くが、まだやるか?」

 

 軽い口調でありながら、いつでも動けるように身構え、手には『モンスターボール』が握られている。

 霊体化して見えないが、空気の揺らめきからして、その隣にも何かいるのだろう。

 

 『いや、終わりにしよう』

 

 首を振って意思表示する。

 

 その後、ゆっくりと洞窟の外へ歩き出す彼を見送ると、ため息を吐きながら

 

 「ポケセン、遠いんだよな……、『あなぬけのひも』って原理がわからなくて怖いし、歩くか」

 

 戦士が歩み始めた逆の道を、のんびりと歩き始めたのだった。

 





 ボスゴドラの負けですね。
 次の出会いはガラルの大地です。
 ケルディオとの戦いもあるので、書くとしてもかなり先になります。

 ちなみにギガイアスは空気を読んでくれています。

 気分がのったら『とある鉄竜の話』の続きができるかもしれません。
 でもその前に『とある末っ子の卒業式』です。

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