とある風紀委員の無能力者   作:テクテクテクテク

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令和のこの時代に書きたくなったので、とあるのオリ主2次書きました。


1話

 無機質なトレーニングルームに向かいあう男女の姿があった。少女のほうは茶髪のツインテールに小柄な体なのに対して少年の方は180cmほどの身長に、がっしりとした体格で年齢的にも少年の方が上である事がうかがえた。

 

「準備はよろしいですか」

「おう、いつでもいいぞ」

 

 少女から確認に少年が応えると2人の空気が変った。互いに会話はなく、自身の心臓の音がよく聞こえる。

 

『始め』

 

 無機質な合図がなるのと同時に少女が姿を消した。と思ったその時、少年の背後上空にに少女が現れる。それと同時に少女からの蹴りが放たれた。いかに体格差があろうと、不意打ちで蹴りをもらえば少年の負けは想像にかたくない。

 

 しかし、その蹴りは少年に当たることはなかった。まるで後ろに目がついていたのかとまで思うような反応で少年はかがみ、蹴りを躱した。標的を見失った少女の体はキックの勢いのまま少年の上を通り着地する。が、その足が地につくと同時に地を這う高速の回し蹴りが放たれた。

 軸足を失った少女の体が宙に浮き、背中から地面に落ちる。かろうじて受け身をとれたのであろう、すぐさま立ち上がろうと手に力を入れる。たちあがる1秒にも満たない時間、それがだが闘いにおいて決定的な隙、その隙を逃す少年ではなかった。全身の筋肉を活用した必殺の拳を少女に向けて解き放った。

 

「ッ……!」

 

 模擬戦の勝者が決まった。

 

『終了、勝者東條真』

 

 

「ふう、お疲れ様。大丈夫か白井?」

「ええ、大丈夫ですわ。それにしても、相変わらずお強いですわね」

「近接戦だけでいえばな。お前が鉄杭とか使ったり、複数人相手だったらたいしたことないさ」

 

 模擬戦を終えた2人は先ほどまでの緊張をときながら先ほどの感想を話しはじめた。

 

「どうやって先ほどの蹴りを躱しましたの?」

「ああ、アレは白井が移動する先を見ていたからな、蹴りも移動する瞬間に足に力が入っていたからだいたい読めた」

「…相変わらずの戦闘センスですわね」

(あの一瞬でそこまで見極めるとは、さすがにちょっと気持ち悪いですわ)

 

 目の前の男が答える内容に白井の内心はやや引いていた。だが白井は淑女であり、できる後輩であるため黙っていた

 

「ま、格闘術に関しては俺の体質がかなり向いているからな」

「完全記憶、もうほとんど能力ですわね。それで無能力者というのは無理がありますわ」

「しょうがないだろ、身体検査(システムスキャン)で言われてるんだから。できることなら俺も奨学金ほしいわ」

 

 “完全記憶”これがこの少年、東條の体質であった。見たものを瞬時に記憶し、忘れることはない。体を動かす時でさえ、一度技を見ただけで覚えるというのはかなりのアドバンテージを持っていた。

 

「で、どうする?まだやるか?」

「当然、1本とるまではやめませんわ!」

 

 白井の熱意に少し押されながらもその後、33本目にして白井が勝利し、模擬戦は終わった。東條はNOといえる人間になろうと思った。

 

 

 

 

______

 

 

 

 

 

 

 夏の日差しが照りつける炎天下。7月にはいってからの学園都市じゃ猛暑の連続であった。

 

「暑すぎる、地球温暖化もバカにできないな」

 

 暑さに愚痴をはきながら歩く男が1人。名前は東條真(とうじょうしん)。学生服のYシャツに汗をにじませていた。右腕には緑の腕章をしていることから、彼が風紀委員(ジャッジメント)であり、現在はパトロール中であることがわかる。

 

「はいそこ、ゴミは拾っ捨てる」

「信号無視するな」

「おいこら青髪ピアス、お前は何回職質されれば気が済むんだ」

 

 歩きながら道中様々な注意をしていく。人口の8割が学生であるこの街は治安が安定しておらず、ルールを破るものが現れる。そういったものたちに対して東條のような風紀委員や警備員(アンチスキル)が動くことによって治安が維持されてきた。

 

「この暑さで皆よくそんな元気があるなあ」

 

 近頃、その不安定な治安がさらに不安定になったのか能力者による事件も多発しており、風紀委員は大忙しであった。東條がそんなもめごとを起こすものたちに対して感心していた時であった。

 

 ドカン! と突如爆発音が届いた。

 

「おいおい、爆発はやばいだろ!」

 

 東條はすぐさま爆発のした方向へとむかった。

 

 

 

_____

 

 

 

 

 時は少し遡る

 

 

「ね~、ほんとに行くの?」

「当たり前です!レベル5!常盤台のエース!お嬢様ですよ!!」

 

 佐天涙子は親友の初春につれられて歩いていた。なにやら同じ風紀委員の白井黒子という子にある人を紹介してもらえるという話であった。

 その人物というのは『御坂美琴』この学園都市に8人しかいないレベル5だ。そしてそのレベル5ということが佐天が会うことを渋る要因であった。

 

 

 

 

 

 学園都市。人口230万人の約8割を学生が占めるこの都市は世界の技術の最先端に位置する科学の都。その科学力は外の世界の2、30年先を行くといわれる。その中でもこの学園都市を象徴する技術が

 

 

 

 『能力開発』である。

 

 

 

 この技術はこれまでファンタジーとされてきた超能力を現実のものとした。

 

 とは言ったものの、その能力開発を受けたところで、実際に能力が活用できるレベルは3からであり、大半の生徒はレベル2以下のあまり役立たない程度の能力しか持たない。例にもれず佐天も初春もそれぞれレベル0とレベル1であり、夢見た超能力者とは言いがたい。その一方でレベル3以上の生徒はエリート扱いを受けることもあり、佐天のような無能力者からしてみればエリート思考の強い人間が想像されてしまう。

 そんな事情もあり、佐天としては親友の誘いであってもあまり気乗りはしていなかった。

 

 

 

____

 

 

 

 

 

 待ち合わせ場所に着くと初春の言う2人が見えてきた。

 

「あれ、白井さん頭をおさえて、どうされたんですか?」

「ち、ちょっと色々ございまして…」

「はあ」

 

 初春が白井を心配しているが、これはファミレスで御坂を襲ったときに受けた制裁であり、白井としても触れられたくないのか言葉を濁す。

 

「とりあえず紹介しますの、こちら柵川中学1年の初春飾利、それから~…」

「は、はじめまして初春飾利です」

「どうもー同じく柵川中学1年の佐天涙子でーす、何でかついて来ちゃいましたー。あ、ちなみにレベル0でーす」

 

 初春が照れながら自己紹介するのに対して、佐天はやや嫌みを含んだようにレベル0であることを伝えた。

 

「初春さんに、佐天さん、私は御坂美琴。よろしく」

 

「よ、よろしく」

「お願いします」

 

 高慢な性格を予想していた佐天からすれば素直に自己紹介をされた事にやや肩すかしをくらったようで、先ほどよりも小さな声でしか返事ができなかった。

 

 

 その後も御坂へ抱いていたイメージの裏切りは続いた。お嬢様学校の常盤台に通っていることから上品な性格かと思えば、白井に強めのツッコミをしたり、ゲームセンターに誘われたりととてもお嬢様ではなかった。レベル5であることも鼻にかけず、自分と接してくれていた。

 

「良かったですね」

「え?」

 

「御坂さん。お嬢様って感じではありませんでしたが、思ったよりもずっと親しみやすい人で」

「…どーなんだかね」

 

 初春もまた佐天と同じように、思い描いていたイメージとの違いを感じていたようだった。それでもレベル5という力は佐天からすれば遠い存在であり、簡単に親しみやすいとは口にできなかった。

 

「…あれ?どうしてあの銀行、昼間から防犯シャッターを降ろして___」

 

 

 

 初春が銀行を見ながらなにやら疑問を言葉にした瞬間であった。その銀行の防犯シャッターがズドン!と音あげ爆発した。

 

「初春!警備員(アンチスキル)への連絡を!」

 

 白井は先程までの御坂にすりついていた態度から一変して風紀委員の顔へと変わり、事件の対応へ向かった。

 

 

 銀行を襲ったと思われる3人組の強盗犯が逃走を図るが、その前に立ちふさがる影がひとつ、茶髪のツインテールの少女、白井黒子が立ちはだかる。

 

風紀委員(ジャッジメント)ですの!!器物損壊及び、強盗の現行犯で拘束します!!」

 

「…ハンッ!風紀委員も人手不足みたいだな!こんなお嬢ちゃんが風紀委員かよ?」

 

 強盗犯達は現れた風紀委員が小柄な少女であることに安堵すると、バカにしたような笑いをあげた。

 

「どきなお嬢ちゃん。どかねえと怪我するぜ!」

 

 大柄な男が悪役らしいセリフを吐きながら襲いかかる。

 しかし白井はひらりとかわしながら腕をつかみ、勢いそのまま叩きつける。

 

「そういう三下のセリフは……死亡フラグですわよ」

 

「ウギャッ!」

 

 男は地面に叩きつけられた衝撃でうめき声を上げ、気を失った。

 

「見た目どおりじゃねえって事か」

 

 仲間が気絶したことにより、白井への警戒度が急激に上昇する。

 リーダーらしき男が前に出る。その表情は先ほどまでの油断したものではなく、敵意にあふれたものであった。男は右手に集中し力を込める。

 

「俺だってなあ、レベル3の発火能力者(パイロキネシスト)だぜ」

 

「最初から手の内をさらしてどうしますの」

 

 白井は呆れた表情で男を見る。

 

「うるせえ!……消えた!?」

 

「こちらですの」

 

 男が腕を振ると火球が白井に向かって飛んだ。しかし、そこにはすでに白井はおらず、消えたと思った男の後頭部に白井の蹴りが炸裂した。

 倒れた男の服に鉄矢が現れ、地面に縫い付ける。

 

「うぐっ!空間移動能力者(テレポーター)!?」

 

「これ以上抵抗しますと直接体内にテレポートさせますわよ」

 

「ま、まいった」

 

 白井の怖すぎる脅しをうけ、観念したのか男はうなだれ、暴れることもなくなった。

 

 

____

 

 

「離せよ!!」

 

「ダメ!!」

 

 白井が能力者の対応をしている内にもう1人の強盗犯が逃走を図っていたようだ。

 人質のためか男の子の腕を引っ張っているが、その子を掠わせまいと佐天が男の腕を押さえ、綱引き状態であった。

 

「いい加減にしやがれ!!」

 

 なかなか手を離さない佐天にイラだちを覚えた男は少女に向かって足をあげ蹴りを放った。

 

「…!」

 

 佐天の体は反射的に目をつむり、衝撃に備え強張る。

 しかし、いつまでたってもその衝撃はこなかった。

 

「…?」

 

「な、なんだてめえ…!」

 

 佐天が不思議に思い、目を開けるとそこにあるのは自分に向かったまま、ぴくりともしない男の足。その足を片手でつかむ高校生ほどの少年が一人、爆発を聞きつけてやってきた東條がいた。

 

「大丈夫か?この子を連れて白井達の方へ下がってくれ」

 

「は、はい」

 

 佐天が戸惑いながら立ち上がると、東條はここから引くように語りかけた。

 

「ひとまず片付けるか」

 

 東條が強盗犯達に目を向けると、片足を捕まれた男が東條に向けて拳銃を構えていた。

 

「こ、これが見えねえのか!さっさと離しやがれ!」

 

 強盗犯と東條の距離は1Mもない超至近距離。いかに拳銃を当てることが難しいといわれていても、間違いなく必殺の距離であった。

 

「…撃ちなよ、どうせ当たらないから」

 

 しかし、東條のほうはそんな事を気にするどころか強盗犯に対して挑発を始めた。

 足をつかむ強さがどんどん強くなっていく事が男をさらに焦らせたのだろう、脅しですめばいいという考えから変って、引き金に意識が向かった。

 バン!という乾いた音が辺りに響く、遅れて硝煙の香りが漂ってきた

 

「ね、当たらない」

 

 東條に向かって撃たれた拳銃からは煙が上がっており、間違いなく弾がでたはずだったが、その体には傷一つなかった。東條も当然のような反応をしながら拳を握る。

 

「確保」

 

 強盗犯が最後にきいた言葉であった。

 

 

「白井、他に仲間はいないか?」

「いきなり来たと思ったら仕切りだされて……おそらくはその3人だけですの」

 

突如発生した銀行強盗も白井達の活躍により問題なく解決した。

 

 

 

 警備員が到着すると、強盗犯達は連行されていった。

 

「まさにグッドタイミングでしたの」

「おう、白井に初春、御坂もお疲れ」

 

 警備員への報告を終えた東條に白井達が声をかけに来た。

 

「まあ、ナイスタイミングっていうよりかは、あの子が持ちこたえてくれたからな。初春と同じ制服だけど知り合い?」

「はい!友達の佐天さんです」

「へー、後でお礼言わなきゃな。それと…御坂」

「ん?」

「あの子が襲われたとき、コイン取り出してただろ」

「うっ…!それは…」

「まったく、正義感があるのはいいけど場所は考えてくれ」

「お姉様…」

 

 御坂美琴は電力使いのレベル5。その能力から打ち出される攻撃は冗談ではなく兵器クラスであり、御坂が気軽に能力を使うことに東條や白井は頭を悩ませていた。

 

 

 

 

「本当にありがとうございました!」

「お姉ちゃんありがとう!」

「え、いやいやそんな」

 

 現場から少し離れていたところでは、佐天が誘拐されそうなところを助けた男の子とその母親から何度も頭を下げてお礼を言われていた。佐天としては犯人の逮捕ができたわけではないため、ここまで強くお礼を言われると少し恥ずかしいものがあったが、それでも悪い気はしなかった。

 

 そんな佐天に対して東條のからも声をかける

 

「お疲れ様。男の子の件はありがとう、初春の友達なんだって?」

「は、はい!佐天涙子っていいます。その、ありがとうなんて…」

「よろしく、俺は東條真だ。佐天が時間を稼いでくれたから間に合った」

「あはは~、そんなに言われる照れますね。…そうだ!さっきの拳銃かわしたのって何の能力ですか!?」

 

 あまりにもなれない事を言われるものだから、普段の佐天であれば聞かないような人の能力についての質問が出てきた。

 

「いや、俺は無能力者だよ」

「え、だって…拳銃…」

「あー、いやアレはね、うーんなんて言えばいいかな。まあ躱したんだよ」

 

「ええ…」

(いやいや!拳銃だよ!弾丸だよ!能力者でもないのに躱すって!?)

 

 東條の口から言われたことは信じられないものであった。例えば御坂や白井のような能力者であれば銃弾を躱すことも可能であるし、そう言われたほうが納得できた。しかし、自身と同じ無能力者の身でなしたということは到底受け入れられなかった。

 

「この方はそういう人なのです」

「最初は信じられないですよね…」

 

 佐天が唖然としているところに白井と初春からのサポートが入る。同じ風紀委員の2人からすれば見慣れた光景のようで、どうやら東條の言葉にも嘘がないと思えてきた。その後は、東條が白井達の所属する風紀委員177支部の先輩であることや、完全記憶であることなどを聞かされたが、正直

 

「じゃあ、俺はそろそろ帰るわ」

 

「はい、お疲れ様です」

 

 東條は警備員への報告を済ませて帰っていく。佐天はそんな東條の背中をじっと見つめる。

 

「あたしと同じレベル0か……」

 

 誰に向かってでもない独り言を言う佐天はすこしだけ笑っていた。

 

 

 

 

 

______

 

 

 

 

 

「白昼堂々、銀行強盗とは今時気合いの入った奴らだったな」

 

 東條は寮への帰り道に今日の事件を振り返りながら歩いていると、前方で数人がとどまって何かをしていた。

 

「いいからさ、金だせよ金」

 

「や、やめてくれ!」

 

 カツアゲであった。眼鏡の少年を3人の男達が囲み、金を出せと脅している。

 今日はやたらと事件に遭うなと呆れながら男達に声をかける。

 

「風紀委員だ。その人から離れろバカども」

 

「あ?風紀委員かよ、何でもねえよ」

「チッ、帰んぞ」

 

 男達は少し注意すると悪態をつきながらもカツアゲをやめて離れていった。

 東條もそれが確認できると、囲われていた少年に駆け寄り声をかけた。

 

「大丈夫か?」

 

 胸ぐらを捕まれていたため少年の服はよれていて、鞄には靴の跡がつけられていた。

 

「……っと、早く…よ」

 

「?」

 

 少年はうつむきながら何かぼそぼそと喋ったあとに暗い夜道を歩いて行った。

 

 

 




主人公の名前は最近やったパワプロの東條小次郎と黒珠真からとりました。
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