今回、私の大好きな作品である「アサルトリリィ」を題材にした小説を執筆してみました。
私のアサルトリリィに対する知識はアニメとラスバレ、あとはwikiなどで設定等を調べた程度ですので、作品自体もアニメに沿って進めていきます。
処女作であり、他のユーザーの方と1部設定が被ってしまう所があるかもしれません。何卒よろしくお願いします。
第1話
優秀なリリィを輩出する名門ガーデン「私立百合ケ丘女学院」。
幼稚舎から高等部まで、多くの少女が1人前のリリィになるべく日々勉学や訓練に励んでいる。
戦場の最前線には高等部のリリィが出撃し、その一つ下の中等部のリリィは「予備隊」と呼ばれる仮レギオンとして、戦場での裏方やサポートなどを受け持っている。
幼稚舎からの付き合いで編成された通称"伍人組"のうち、中等部の田中壱、江川樟美、金箱弥宙、高須賀月詩の4名は、訓練の一環で百合ケ丘女学院周辺の偵察活動を行っていた。
樟美「今日のお夕飯なんだろう?いっちゃんは何がいい?」
壱「私はやっぱり和食がいいかなぁ」
弥宙「私はカップ麺でいいや。なんなら毎日でもいい」
月詩「それは不健康だよ弥宙ちゃん。でも分からなくはないなぁ」
樟美「分かったらダメだよ月詩ちゃん」
春の心地よい暖かさが本格的な暑さに変わり始めた6月下旬。蝉の声が響き渡る百合ケ丘女学院近くの森の中で、その大合唱に負けないぐらいの楽しそうな少女達の笑い声が聞こえる。
壱「ほらほら、もう少しで学院だから制服の乱れとか直して………伏せてっ!!!」
壱の掛け声でその場の全員が伏せる。その途端、彼女達の頭部があったであろう位置を1つの弾丸が通り抜けていく。弾丸は全員の頭を掠めたあと、彼女達の背後にある木にぶつかりなぎ倒す。
月詩「なに?!なんなの!?」
4人が弾丸の飛んできた方向を見ると、この辺では珍しいミディアム級ヒュージがその鋭い爪で木々をなぎ倒しながらこちらに向かってきた。
それも1体ではなく、2体、3体と数を増やしていく。
弥宙「うそっ!なんでこんなところにヒュージが?!」
壱「とにかくチャーム起動!!月詩!信号弾!」
月詩「は、はいぃ!えーとえーと……てやっ!」
月詩は自身のチャームであるグングニルを構え、上空に向けて信号弾を放つ。すると弾丸が赤い煙幕を引いて空へと駆け上がっていく。
中等部のリリィが持つ、緊急時のSOS信号弾である。
樟美「いっちゃん、どうしよう……」
壱「ひとまず先輩たちが来るまで持ちこたえるよ!全員構えて!」
他3名「「「了解!」」」
全員がチャームをヒュージに向ける。ミディアム級ヒュージは見える範囲で5体。中等部とはいえ、それなりにヒュージ撃退経験のある彼女達にとってはさほど苦にならない相手であった。。
一同「「「「やあああああぁぁぁぁ!!!!!」」」」
各々がヒュージへと斬りかかっていく。ガキン!とチャームとヒュージの腕がぶつかり、激しい音と火花を散らす。
そして1体、また1体とヒュージを倒していく4人。しかし───
樟美「ぜんっ…ぜん、減らないっ…くっ!」
弥宙「はぁ…はぁ……次から次へと!なんなのよもう!」
倒しても倒しても数が減らないヒュージ達。それどころか、最初よりも4人に立ちはだかる数が増えている。今目の前にいるのは、ざっと20体のミディアム級ヒュージであった。
敵の戦闘力はさほど高くないが次から次へと湧いてくるため、既に10体近くのミディアム級を倒した4人には疲労の影が見え始めていた。
月詩「なんでこんな……」
壱「ぜぇ…ぜぇ……終わりが見えない……きゃっ!」
ガチン!と大きな音が鳴り響き、壱がヒュージの攻撃により弾き飛ばされる。突然の攻撃のため、対応が遅れてしまった。
樟美「いっちゃん!」
3人が飛ばされた壱の元へ駆け寄る。幸いにも怪我はしていなかった。しかし、「全員がヒュージに背を向ける」というこの行動が最悪の状況をもたらす事になる。
弥宙「ちょっと待って……囲まれた……?」
弥宙の発言に全員が周囲を見渡す。
ぐるりと1周、隙間なくヒュージがこちらを見つめている。少し目を離した隙に完全に囲まれてしまった。
樟美「ま、まずいよ……いっちゃん……」
壱「そんな…どうしよう……」
月詩「いやだぁ……死にたくない…あかねえ……」
弥宙「くっ……先輩達はまだ来ないの……?」
その場の全員が死を覚悟した。この状況はどうやっても抜け出せないと理解しているからだ。
無抵抗になったのを理解したのか、1体のヒュージが動き出しこちらに飛びかかってくる。その鋭い腕は真っ直ぐ4人を捉えていた。
一同「「「「っ!」」」」
目を閉じ、歯を食いしばり、全員で身を寄せあってヒュージの腕が体に突き刺さる痛みを待ち構える。
ガキンッ!
突如、金属音が鳴り響いてヒュージの動く音が一瞬途切れる。体を強ばらせた4人がゆっくり目を開くと、1人の人物がヒュージの攻撃を防いでいた。
尊敬する先輩達が助けに来てくれたかと思ったが、その考えが間違いであることを瞬時に理解する。
百合ケ丘女学院の制服でもなく、アールヴヘイムの隊服でもない黒いマント。そして、百合ケ丘女学院のリリィが誰も持っていない巨大な鎌形のチャームのような何か。
「え……?」
誰から出たか分からない困惑の声。その声が聞こえたか定かではないが、鎌を振り回し、攻撃を仕掛けてきたヒュージを両断する。
目の前で崩れ落ちるヒュージを背後に、マントの人物がこちらを振り返る。
4人は身構えてその人物を見つめる。フードを深く被っているため顔は見えないが、背丈は170を超える高さであった。
その人物は4人に近づき、片膝を地面について身を低くする。
?「怪我ないか?もう大丈夫だ。近くでケイブが発生してたみたいでね。それは潰してきた。周りに倒れてるヒュージは君たちが倒したのか?よく頑張ったな。あとは任せろ」
そう言ってマントの人物は1番手前にいた壱の頭を優しく撫でる。
死への恐怖が和らぎ、安心の感情が膨れ上がり、4人は涙を流す。大丈夫だ。任せろ。その言葉は窮地に追い込まれた彼女たちを救い出す魔法の言葉であった。
?「さてと、この子達を殺そうとしたのは誰だ?」
マントの人物がこちらを睨みつけるヒュージに向かって問いかける。答えが返ってくるわけでもないが、無言の返答にその人物は鎌を構える。
?「……ふっ!」
地面を一蹴りすると、ヒュージに向かって飛び込んで行く。そして、その勢いのまま鎌でその大きな体に斬りかかる。
耳をつんざくどの生き物にも似つかない悲鳴とともに、グシャリと活動停止したヒュージが崩れ落ちる。
周りのヒュージも、対象をマントの人物に切り替えて攻撃を仕掛ける。
しかし、巨大な鎌を巧みに振り回して全方向からの攻撃を防ぎながら、次から次へとヒュージを倒していく。
その流れるような攻撃姿は、思わず戦場でありながら見とれてしまうものであった。
月詩「凄い……」
樟美「ねぇ、いっちゃん、あの人ってやっぱり……」
壱「ぐす……えぇ、間違い…ないわ」
現在、百合ケ丘女学院や関東を中心に活動しているガーデンでは、とある噂が囁かれていた。
それは、黒いマントを羽織って巨大な鎌を持ち、リリィを窮地から救い出してヒュージを殲滅させる謎のリリィの存在であった。
その見た目から「死神」と呼ばれ、戦闘力の高さや多くのリリィの命を救ってきた功績からあらゆるガーデンが正体を探している。
弥宙「あれが死神……噂通り凄いわ……」
月詩「あっという間にヒュージがやられていく……」
4人が呆気に取られてるうちに、20体近くのヒュージは全て片付けられてしまった。辺りに静寂が訪れる。
壱「あのっ……」
壱がヒュージを全て倒した、鎌を肩に担ぐその後ろ姿に声をかける。しかし、その声に答えることはなく……
膝から力なく崩れ落ちた。
弥宙「え……ちょっと!」
急いで4人は倒れ込んだマントの人物の元へ駆け寄る。うつ伏せの状態から仰向けにし、状態確認のために深く被ったフードを脱がしていく。
樟美「……え?」
月詩「うそぉ……こんなことって……」
4人はその姿を見て絶句する。なぜなら───
「…ぃ……おーい!大丈夫ー?」
遠くから声が聞こえる。4人にとって、馴染みのある声であった。
月詩「あかねえ!」
茜「ごめんなさい!遅くなったわ。皆大丈夫?」
森の奥からこちらに走ってきたのは高等部1年生の渡邉茜だった。
茜は伍人組の1人であり、壱や月詩などとは幼稚舎からの付き合いである。茜は駆け寄った月詩を優しく抱きしめて頭を撫でる。
壱「はい……皆この方のおかげで無事です」
茜「この方?」
茜が壱によって抱えられてるその人物へと視線を送ると、茜もそれを追って本来そこにいるはずでは無いマントの人物を認識する。
茜「……え?どちら様……なの?」
壱「私たちがヒュージに囲まれてしまった時に助けてくださったんです。黒いマントと大型の鎌のようなチャームを持ってました。この人は……彼は……」
茜「もしかして例の死神……?しかも"彼"って……まさか」
茜もその顔を覗き込む。そして驚愕し言葉を失う。
その人物は、本来リリィになり得ないはずの「男性」であったからだ。
茜「……渡辺茜よりガーデンへ。学院周囲の偵察していた予備隊がヒュージと交戦。窮地の所を例の死神によって命を救われました。当の本人は現在気を失っています。これより学院へと運びますので、療養室を空けてください。以上」
茜は持っていた通信端末で学院へと連絡を入れる。そして一言、空を見上げて呟く。
「これはとんでもないことになりました……」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
仕事の合間に趣味として執筆していくつもりですので、更新は完全に気まぐれになります。
もちろん途中で投げ出すことはありませんので、気長にお待ちいただければと存じます。
ではまた次回ノシ