愛を知らない死神と戦場を舞う少女たち   作:シッシー@連載中

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第3話です!

死神君の過去が色々出てきますが、伏線などの複雑な構成は苦手なので今後はあまり影響として出てこないと思います……多分

彼が使う謎のチャームの正体も判明しますぞ!

それではごゆるりとお楽しみください。


第3話

?「被検体番号9999-01。いわゆる、強化リリィ……ってやつですかね」

 

 

 

その言葉に、その場にいた全員が絶句する。

 

強化リリィ───それは、ヒュージ研究における第一線の多国籍企業"G.E.H.E.N.A."により、人体実験を施されたリリィのことである。

 

それは本来、G.E.H.E.N.A.が"少女"であるリリィに非人道的な実験を行うことによって生み出される存在であるが、彼もまた、人体実験を施されたリリィの1人であるというのだ。

 

 

 

咬月「お主が……強化リリィというのか?」

 

?「はい」

 

史房「でも、男性であるあなたがなぜG.E.H.E.N.A.によって実験を……?」

 

 

 

史房のその問いに、目を瞑り言葉を整理するかのように沈黙する少年。そしてゆっくりと開いた口から出たのは、信じられない内容であった。

 

 

 

?「今から1年前、僕の家族はヒュージによって命を奪われ孤児になりました。その後、研究員を名乗る男に連れ去られて地方の小さなG.E.H.E.N.A.の研究施設に収容されました」

 

 

 

 

彼は1呼吸置いて話を続ける。

 

 

 

?「その研究所で行われていたのは、公式に記録も残っていない極秘の研究でした……マギも持たず、年寄りや男性などのリリィになり得ない者、身寄りのない者を使って人工的にリリィに仕立て上げる研究………「01(ゼロワン)計画」……彼らはそう呼んでいました」

 

 

 

療養室に耳が痛くなるほどの静寂が訪れる。その場の全員が言葉を失い、咬月は顔から血の気が引いていた。

 

 

 

咬月「なんと非人道的なっ……」

 

茜「そんなことあってたまるものですか……信じられない……」

 

史房「つまり……その実験でリリィとなってしまったから、あなたはチャームを使用できた。ということでしょうか?」

 

?「その通りです。ご存知の通り、リリィになるのはマギの共鳴を強く受ける女性ですが、そのリリィの数が減る前に人工的にリリィを作れないかというものでした。地方にある小さな研究施設のごく1部の研究員の独断で行われていたため、一切外に情報が漏れることはなかったようです」

 

 

 

弥宙「クソG.E.H.E.N.A.め……」

 

樟美「お口が悪いよ、弥宙ちゃん」

 

?「……ふふ、こらこら、女の子がそんな言葉使うんじゃないですよ」

 

 

 

突然の優しい言葉で論され、驚いた顔の後に赤くなった頬を指でかきながら目を逸らす弥宙。その様子を、隣で壱がジト目で見つめていた。

 

 

 

史房「コホン……それで、名前が思い出せないというのは、その実験のせいということでしょうか?」

 

?「そうですねぇ……研究施設にいる間はずっと番号で呼ばれてましたからねぇ。すっかり忘れてしまいました……」

 

史房「そうですか……すみません、私たち何も知らずに……!」

 

 

 

G.E.H.E.N.A.による人体実験、ご両親の死……事情を知らないのに深く聞きすぎてしまった。そう後悔した史房が謝るために彼の顔を見る。すると、彼は自身の口に人差し指を当てて彼女の言葉を遮った。

 

 

 

?「しー……謝ることじゃないですよ。聞かなきゃ分からないことだってあるでしょう?隠していたことでもありませんし、気にしないでください」

 

 

 

その優しい言葉と瞳に謝罪と感謝の意を込めて、史房は深く頭を下げる。

 

 

 

咬月「これで君がなぜリリィになったのかが分かった。壮絶であったな……同じ男だ。ここにいる時は何でも言ってくれ」

 

?「お気遣い感謝致します」

 

咬月「では次の質問なんだが……君が使っていたチャームは一体……?」

 

?「あぁ、あれは───」

 

 

 

少年が口を開こうとした瞬間、部屋のドアが勢いよく開けられた。そして入室して来たのは、紺色の長い髪に赤縁のメガネの少女。

 

百合ケ丘女学院が誇るチャーム研究のスペシャリスト、真島百由であった。

 

 

 

咬月「百由君、部屋を入る時は静かにだな……」

 

百由「あ、理事長代行、史房様、ごきげんよう……って、そんな事よりも!」

 

 

 

百由はベッドの上の少年と目が合う途端、ズカズカと近寄ってきて彼の両肩に手を置く。

 

 

 

百由「あなたね!死神と呼ばれてるのは!」

 

?「え、えぇ……死神と呼ばれているのは初耳ですが……」

 

百由「さっきあなたのチャームを調べさせてもらったわ!どこのメーカーかも分からないし、内部の構造もどのチャームとも似つかない。使われてる材質もステンレスでもセラミックでもなければジュラルミンでもない、あれは一体何なの?!」

 

史房「百由さん、少し落ち着いて……!」

 

 

 

少年を前後に揺さぶって食らいつきながら質問攻めにする百由を、史房はなんとか引き剥がす。

 

 

 

咬月「百由君、少し落ち着きたまえ。今ちょうどその話をしておったのだ。それに彼は本調子ではないぞ」

 

百由「…はぁ…はぁ……分かりました。私も一緒に聞かせてもらいます。取り乱してすみません」

 

 

 

そう言って、百由は史房の隣に椅子を置いて腰掛ける。その様子を見て、史房はため息をつくのだった。

 

 

 

咬月「すまなかったな。彼女は真島百由。我が校のアーセナルでチャーム研究をしておる。君のチャームを調べてもらっていたのだが、ここまで興奮気味になるとは……」

 

百由「ごめんなさいねぇ……チャームのことになると落ち着いていられなくて……」

 

?「お気になさらず。あのチャームは、その道に詳しい方であれば食らいつくのも致し方ないかと思います」

 

壱「……えと、ところで百由様?その背中に担いでいるバッグはなんですか?」

 

百由「あぁ、これね!」

 

 

 

百由は背中に担いでいるバッグを下ろし、中からひとつのチャームを取り出す。中華包丁のような大きくて四角いブレードと2門の銃口が付いた、コンパクトなチャームであった。

 

 

 

百由「これは貴方のチャームよね。詳しく教えてちょうだい」

 

?「あぁ、どこに行っていたかと思いました。あなたが管理してくれてたんですね。どうもありがとう」

 

 

 

そう言って、彼は百由からチャームを受け取る。しかし、高等科に進学したらアーセナルになろうと決めている弥宙が口を開く。

 

 

 

弥宙「それはあなたのチャームなのですか?あの鎌みたいなやつとは違うようですが……」

 

?「いえ、これがあのチャームですよ。ほら」

 

 

 

彼がチャームを握る手にマギを集中すると、ブレードとハンドルの間に埋め込まれたマギクリスタルコアにバインドルーンが浮かび上がる。彼のルーンは死と再生を意味する「ユル」と、愛情を意味する「ギューフ」を組み合わせたものであった。

 

そして、ガシャンガシャンと派手な音を立てて格納されていた3枚のブレードが展開し、ひとつの大きな剣となる。

 

 

 

?「僕の自作チャーム、名は「ハービンジャー」と言います」

 

 

 

そう言うと、展開されたブレード一つ一つの境目に隙間が空き、ガシャンと弧を描くように形状を変える。また、ハンドル部分も延長され、噂で聞く「鎌形のチャーム」の姿へと変わった。

 

 

 

弥宙「す……すごい」

 

百由「ほえぇ〜……こんな可変ギミック見たことないわ……」

 

咬月「自作チャーム……君がこれを作り出したというのかね?」

 

?「えぇ、まぁ。ヒュージの活動地域に遺棄されたあと、さまよってたら廃棄された研究所を見つけまして、そこにあった古びたマギクリスタルコアと転がっていた部品で作り上げました」

 

史房「ちょ、ちょっとまって。遺棄って……どういうこと?」

 

?「01計画で生き残った者は僕以外にはいません。皆ヒュージの活動地域に死体を遺棄されていました。後片付けが楽なんでしょうね。僕も研究の中で仮死状態になって死亡という判断を受けたんですが、残念なことに生き延びてしまったということです。マギの共鳴に適合したのがバレなかったのは、不幸中の幸いでしょうか……」

 

史房「そうなんですか……」

 

百由「転がってた部品……それでも、一般的な金属なら成分が判別出来るはずなんだけど……どの金属の元素とも似つかないのよねぇ」

 

?「多分なんですが、これヒュージの装甲だと思うんですよね……」

 

 

 

その場の全員が「なっ!?」と声を上げる。

 

 

 

?「ランクまでは分かりませんが、ラージ級の攻撃を防ぐほど硬いので、もしかしたらギカント級ヒュージの装甲かも知れません」

 

 

 

部屋の照明を反射して、キラリとシルバーのブレードが光る。

 

 

 

百由「そりゃどの金属とも合わないわけだぁ……」

 

 

 

もうお手上げの百由は天を仰いだ。このチャームは自分の理解の及ばない次元のものである事を嫌でも理解してしまったからだ。

 

その後はチャームのことや彼の好みや趣味など、プライベートの話に花が咲いた。特に月詩と茜のホラーに対する意見の対立はもはや喧嘩に近く、全員で宥める程だった。

 

しばらく談笑していると、部屋の中にチャイムが鳴り響く。咬月が壁の時計を見ると、かなりの時間が過ぎてしまっていた。

 

 

 

咬月「おや、もうこんな時間か。私も私の仕事をせねばならんな。少年よ、続きはまた明日でも良いだろうか?」

 

?「えぇ、構いませんよ。今日は色々ありがとうございます」

 

咬月「礼を言うのはこちらの方だ。リリィを救出し、こちらに情報の提供までしてくれた。本当にありがとう」

 

 

 

頭を下げる咬月に笑って答える少年。

 

 

 

咬月「ではお暇するかの。史房君」

 

史房「はい。あの、本当にありがとうございました。では」

 

 

 

少年にお辞儀をし、笑顔を交わした史房と咬月は部屋を後にする。

 

 

 

2人が去った部屋の中で、唐突に元気な声が響く。

 

 

 

弥宙「あ、あのあの!そのチャーム見せてください!」

 

?「えぇ、どうぞ」

 

 

 

テンション高めの弥宙にハービンジャーを渡す。緊張した手つきてそれを受け取ると、驚きと感動と、色々交じった表情になる。

 

 

 

弥宙「わっ、軽い!大きいから取り回しが大変かと思ったのに、これだとあれだけ早く振り回せるのも納得だわ!」

 

百由「わ、私も触りたい!」

 

壱「私も!」

 

樟美「わ、私もいいですか?」

 

茜「あの、出来たら私にも少しだけ……」

 

?「ふふっ……チャームは逃げませんから、ごゆっくりどうぞ」

 

 

 

空の色が夕焼けから星空に変わるまで、療養室では和気藹々とした少女達と少年の声が聞こえてきたそうな。




彼のチャームは、アメリカのアニメーション「RWBY(ルビー)」に登場するクロウ・ブランウェンという人物が使用する、ショットガンと鎌に可変する大剣、ハービンジャーをそのまま使わせてもらいました。

いやだって、あの歯車の部分はマギクリスタルコアピッタリでしょうに(興味がある方は調べてみてください)

RWBYと言えば、主人公のルビー・ローズが使用するクレセント・ローズが有名ですが、ハービンジャーも劣らないかっこよさなんですよねぇ……


ちなみに、アサルトリリィを手がけたアニメ会社「シャフト」より、2022年7月3日からRWBYが放送されます!
この機会に知らなかった方はぜひ見て見てください!アサルトリリィ好きのあなたならきっとハマりますよ!

ではまたノシ
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